新元号「令和」について雑感:5月1日、平成から令和へと元号が改まる

今上天皇の退位を受ける形で、5月1日から採用される新年号が「令和(れいわ)」に決まりましたが、事前の予想に多かった「安」の文字は含まれませんでした。「令」という文字の字義から、安倍政権の命令・規則を重視する姿勢が反映されているとの批判もありますが、「令」の漢字は過去の元号でも一度も使用されたことがなく、幕末に最終候補まで残った一案として出されただけと言われています。

「令」には「命令する(命じる)」や「規範・決まり」の意味だけではなく、「よい・立派な・敬称」の意味もあり、「令」の原義は「命令」と「善・良」の二つに分かれます。出典の『万葉集』の「令月(れいげつ)=初春の二月」の「令」は「つやがあり美しい」の意味合いに近いようです。

ただし「令」の会意文字としての成り立ちは、「人を集めて従わせること」にあり、「命じて従わせる」の意味が弱いとまでは言えません。「昭和」と重なる「和」が再び採用されたのは意外でしたが、元号の頭文字は「R」で明治維新以降の「M・T・S・H」とはやはり重複しませんでした。

「令和」の出典は初めて、中国古典(漢籍)の『四書五経』ではなく、日本の国書で日本最古の歌集とされる『万葉集』となりましたが、元号の複数の最終案には中国古典由来のものもあったので、初めから国書ありきというわけではなかったようです。「令和」の発案者として国文学者の中西進さんが有力視されていますが、本人は明確には認めていません。

「令和」は『万葉集』の巻五にある「梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文(「梅花の歌三十二首并せて序」)」に典拠した元号になりますが、この序文は漢文で書かれたもので、大元の出典は漢籍の「文選(もんぜん)」にあるという指摘もあります。

『万葉集』の出典部分の書き下し文は、「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す(ときに、しょしゅんのれいげつにして、きよくかぜやわらぎ、うめはきょうぜんのこをひらき、らんははいごのこうをかおらす)」になります。

現代とはかなり言葉の使い方が異なる古文なので書き下し文にしても、そのまま理解することは難しいですが、古代日本の春の訪れと梅の季節(当時は桜より梅が春の風物詩)を感じさせる明るく温かい雰囲気の歌になっています。


君主が統治する時間・時代を支配する「御代(みよ)」の観念を前提にした「元号」にはさまざまな意見・賛否もありますが、「平成」に続くことになる「令和」の時代が平成よりも物心共に豊かで和やかな時代になることを願いたいと思います。

今回の令和への元号改定は、昭和天皇崩御に伴う昭和から平成への改定に比べると、今上天皇の生前退位の決断および暖かくなってきた春の季節の影響もあって、「服喪・厳か」というよりも「期待感(新元号への興味)・和やか」な雰囲気の中で新元号が発表されました。

少子高齢化社会の本格化や経済・財政・外交・人心の問題など、現代日本が抱える問題・困難は多いですが、大型連休からスタートする形になる「令和」の時代に日本と日本国民ひとりひとりが平和で豊かな時代を築きながら、より前向きに発展し協力していけると良いですね。







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