『精神的ストレス(疲労感)』を感じやすい人の神経過敏・精神的萎縮・ACの要因

精神的ストレスを感じやすい人と感じにくい人の個人差は大きいが、その主観的なストレス感受性は人生のさまざまな側面(仕事・恋愛・結婚・家族・学校生活・人間関係)の幸不幸の実感にかなり大きな影響を与えている。

精神的ストレスを感じにくい人にも『対人スキルや環境適応力が高い人・自己肯定的で楽観的な認知が自然にできる人・問題解決的な行動力がある人』といった望ましい特徴を持つ人だけではなくて、『他者に迷惑や危害を加えても良心の呵責を感じにくい人・他者否定的(他責的)で反社会的な認知が自然にできる人・ゴネたり粘ったり無理強いしたりの行動力がある人・無神経や厚顔無恥な人』といった周囲の他人・社会をちょっと困らせるような人もいる。

仕事・職場で極端に疲れきってしまう人の心理:場に適応できない疲労と緊張・嫌々ながらのストレス

精神的ストレスを感じやすい人というのは上記の対照的な特徴でいえば、『対人スキルや環境適応力が低い人・自己否定的で悲観的な認知がしみついている人・問題解決的な行動力がない人』と言える。よりストレートに言えば、『他者・社会・課題に対する不安感や恐怖感が強い人(できれば好ましくない刺激になりやすい他者・社会・課題とあまり関わらずに避けていたい人)』でもある。

『他者・社会・課題に対する不安感や恐怖感が強い人(できればそれらを避けたいと感じていて引け腰な人)』は、現実社会の仕事や恋愛、対人関係などでどうしても精神的ストレスを感じやすくて傷つきやすくなる。本来であれば親しくなって互助や安心、癒しを得られるような他者に対しても警戒して不安を強く感じるので、対人的に孤立しやすく、誰にも甘えたり援助を求めたりといった行動もできなくなってしまう。

この他者・社会に対する悲観的認知に基づく不安感(恐怖感)は、些細なことを気にする『神経過敏な性格傾向』『精神的萎縮』のある傷つきやすい人格構造とも関係しているだろう。

なぜストレスを感じやすい神経過敏な性格傾向が形成されてしまうのかの根本原因の一つは、過去の成育歴のプロセスで『親(養育者)・重要な他者から自分の存在価値・能力・意欲・興味などを否定されたり懐疑され続けたトラウマティックな体験』である。『アダルトチルドレン(AC)に特徴的な親の支配的・他責的・監視的な親子関係』とも重なる部分が多くなっている。

アダルトチルドレン(AC)の人の子供時代の最大の特徴は、『親から子供らしい扱いをしてもらえなかったこと(適度な愛情・保護・肯定が与えられず小さな頃も親に甘えたり頼ったりができなかったこと)』であり、そのことが『親の不機嫌・否定・非難・感情変化に対する精神的萎縮や自己否定』を生み出してしまう。

小さな子供時代にも、親の無条件の肯定的な愛情や評価、受容を体験できなかったこと(逆に自分の存在価値や人生に対して否定的・命令的・懐疑的な扱いをされたこと)で、『他者・社会・人生に対するのびのびとした基本的信頼感の発達』が阻害されやすくなる。乳児期の発達課題でもある基本的信頼感が損なわれるということは、他者・世界から常に傷つけられるのではないか否定されるのではないかという『他者不信・精神的萎縮の態度』を形成してしまうということでもある。

他者・世界(社会)に傷つけられたり否定されることを恐れることによって、消極的・自衛的な引っ込み思案の行動が増えやすくなり、物事に積極的に取り組もうとするモチベーションややる気も阻害されることが多くなる。特に失敗して他者から叱責されたり馬鹿にされたり(揶揄されたり)することを過度に恐れるので、『チャレンジ精神・上達のための反復練習やリハーサル』がしづらくなり、『頑張って根気強くやればできること』でも挑戦しないことによってできないままになりやすい問題が出てくる。

子供時代に親(養育者)から『成功と失敗の二分法の価値観+他の家の子供との過度の比較とダメだし』を植えつけられてしまうと、常に『誰かから自分の行動を監視されていて粗探しされている感覚(何かを頑張ってしてもまた否定されたり怒られたり馬鹿にされたりするのではないかという不安)』が強まってしまう。その結果、成功するか失敗するかの二分法の価値観ばかりに囚われてしまい、実際にやりたいことをやってみる前から諦めてしまうという意欲減退や精神的萎縮が起こりやすいのである。

親の自己嫌悪や劣等コンプレックスは『子供に対する過剰な成功願望の押し付け・失敗やミスの全否定(完璧な100点でないと意味がないとする完全主義)』に陥りやすく、自分が自分の人生で満足(成功)できなかったことを子供に熱狂的・監視的に押し付けて、少しでもできないと怒ったり否定したりしてしまうのである。

『子供の長所・頑張ってできたこと・正解したところ』をまるで見ないで、『子供の短所・失敗したこと・間違ったところ』ばかりをあげつらって否定・叱責をしてしまう。

子供ながらに一生懸命頑張った部分を褒めたり肯定したりしてあげることがないので、子供はどうせ評価されないので努力や挑戦をするモチベーションを失いやすくなり、『親から叱られないように・否定されないようにという無難・臆病なびくびくした精神的萎縮』の行動パターンに固定されやすいのである。

いつもどこかでミスをしないか間違ったことをしないかと上位者に監視されて粗探しされているような感覚が刷り込まれてしまうと、基本的信頼感の獲得に支えられた『自由な発想と行動・思い切った挑戦や目標設定・失敗やミスを恐れない強さ』を身に付けることができなくなる。上位者(他者)からの否定を恐れる神経過敏や精神的萎縮によって異常なまでにストレスに敏感に反応しやすくなると、心身の不調が多くなって疲れやすくなるし、モチベーション・意欲もそれに合わせて低下しやすいのである。

親が子供を自分の思い通りにしても良い『所有物』のように扱う支配的・否定的な間違った育児方針を取っていると、子供は自分を監視・支配している誰か(親の代理表象となる上司・先輩など)に対する神経過敏や精神的萎縮が起こりやすくなり、本来であれば人並みに持っているはずの想像力や自発的なモチベーション、挑戦意欲、ストレス耐性を発達させていくことが難しくなってしまうのである。

のびのびとしたゆったりした心理状態になれない、常に叱られたり否定されないかと緊張して不安な気持ちになっている、くつろいだ楽しい人間関係の構築やコミュニケーションができないとなると、仕事・職場・学校における不適応だけでなく、私生活の人間関係の部分でもさまざまな支障や苦悩が生まれやすくなる。

精神的ストレスを感じにくくして仕事・学業・人間関係に疲れにくくするためには、自分がくつろいで過ごしている(何かの課題を上手くこなして達成している)イメージトレーニング、実際の行動療法的な苦痛刺激への慣れ(安心できる関係・経験の反復的な繰り返し)、達成できる小さな目標を達成することからの挑戦課題のリスタートといったことが効果的だが、自分は自分の人生を自己肯定感を培いながら生きていくのだといった『親(=過去のトラウマティックな記憶・自己否定的な認知の影響)からの精神的自立・リラックスした感覚の獲得』が大きな課題になってくる。


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