森友学園の国有地払い下げや政治的な愛国教育の問題点整理, マレーシアでのVXガスによる金正男暗殺事件

先週のニュースは、マレーシアにおける金正男(キムジョンナム)の嘱託型の暗殺事件と森友学園の国有地払い下げ、洗脳的な愛国教育の問題が大きく取り上げられていた。金正男の暗殺事件ではオウム真理教事件で広く知られることになった『VXガス』が用いられたとされているが、実行犯とされるインドネシアとベトナムの若い女性は騙されて『殺人行為につながるVXガス生成のいたずら』とは知らずに協力した可能性も強まっている。

○インドネシア出身のアイシャ容疑者はネットに自分の動画を多く公開しているYouTuberとされ、ベトナム出身のフオン容疑者はテレビのオーディション番組にも出演したことのある芸能(歌手など)の仕事への憧れが強い女性だったとされる。

北朝鮮の工作員は日本のどっきりテレビのようなテレビ番組制作者を装って二人に接近したようだが、アイシャとフオンには金正男暗殺を積極的に遂行したいとする政治的・思想的な背景は一切ないようである。

家族・知人など関係者の取材でも『有名人になりたかった人・ミーハーで目立ちたがり屋な人』というような話は聴けても、『北朝鮮政府とのつながりや人脈・金正男を暗殺の標的とする謀略』などの話は全く出てきていない、それまでの生き方・人間関係を振り返っても政治的な謀略・活動と縁のある女性ではなさそうである。

芸能人みたいにみんなに注目される派手な仕事がしたいという上昇志向・自己顕示・名声欲の欲望を逆手に取られて、北朝鮮工作員の甘言・勧誘にのっかってしまったのだろう。今までの報道を見聞きした印象では、『何も事情を知らない暗殺要員(逮捕されても北朝鮮関連の真相・背景をしゃべることがない嘱託型暗殺の実行者)』として上手く利用されてしまった事件のように感じた。

なぜ今になって、金正恩(きむじょんうん)総書記は異母兄の金正男を暗殺しなければならなかったのか。金正恩個人の執念深さや嫉妬深さ、疑心暗鬼(革命・失脚の恐怖)といった気質・性格の要因もあると思うが、一説には中国共産党が中国の国際情勢を勘案した誘導に従わない金正恩政権の長期持続を快く思わず、北朝鮮のトップを合理的な思考ができそうな兄・金正男にすげかえる謀略があったとも伝えられている。

リンチ後に機関銃放射の残酷な死刑に処されたとされる金正恩の叔父の張成沢(チャンソンテク)も、中国とのパイプ役として動き、密かに金正男をトップに置く政権転覆計画に関与していたのではないかとも囁かれているが、北朝鮮の前近代的な王朝のような『骨肉の権力争い』は陰惨な様相を呈している。

独裁国家の権力者の親族・側近には、後継者争いや権力の基盤固めが絡んだ『粛清・暗殺』がつきものではあるが、現代において防犯カメラで包囲された衆人環視のハブ空港(クアラルンプール空港)の中で兄弟をVXガスで毒殺するような事件は前代未聞というか、今後もそうそう起こることはないのではないかと思う。北朝鮮政府は暗殺事件との関連を否定している。

マレーシアの政府・警察が北朝鮮を貶めるために暗殺事件をでっちあげたとか、殺されたのではなく偶発的な心臓麻痺か何かで突然死しただけではないかと言ってみたり、そもそも死んだ男は金正恩の異母兄の金正男ではないと宣言してみたりと言いたい放題である。

だがマレーシア政府は北朝鮮の一方的な非難・恫喝に従うことはなく、北朝鮮人の容疑者の男こそ釈放したものの、『金正男の遺体』はその家族が身元引受人として現れてDNA検査を受けない限りは、北朝鮮(第三国)に引き渡すことはないと明言している。



○森友学園の異常な安値での国有地払い下げと塚本幼稚園での行き過ぎた愛国教育(韓国・中国のヘイト思想教育)の問題の論点は、大きく分ければ以下の4つに絞り込まれる。

1.大阪府豊中市の国有地8770平方メートルを、森友学園は相場の9億5600万円よりも異常に安い1億3400万円で購入しているが、どうしてここまで破格の値引きが可能になったのか、本当にごみ処理費用に8億円以上ものお金がかかるのか。

森友学園の籠池泰典理事長夫妻は鴻池祥肇議員の事務所に何度も陳情に訪れ、札束(コンニャク)を出して懇願してきたこともあるというが、政治家の口利きやあっせん収賄(贈賄)の疑いはないのか。国(政府)・官庁・政治家と森友学園の間で不正なやり取りはなかったのか。

2.森友学園・塚本幼稚園で行われている愛国教育では、『教育勅語の朗唱・韓国や中国のヘイト・自民党支持や安倍政権の応援(現在進行形の自公政権の安保政策への支持)』などが行われているが、これは特定の政党を支持したり反対したりする政治教育をしてはならないという教育基本法14条に違反している恐れがあるのではないか。

自公政権の政策や教育勅語の儒教道徳(君臣秩序・上下関係と関連する自己犠牲の滅私奉公)、韓国・中国のヘイト思想、軍歌唱和(いざとなれば戦争断行)の国防精神を絶対に支持しなければならないような前提を置いた過激な愛国教育は、幼児やその保護者の政治的な意思決定および思想信条の自由を侵害している恐れがあるのではないか。

そもそも論として、特定の政治思想・歴史認識・外国へのネガティブな感情を『所与の前提・日本人の義務や規範』のように小さな園児たちに反復的・洗脳的に教え込むことの心理的・倫理的な問題や影響が少なくないのではないか。

3.学校法人の森友学園は『安倍昭恵名誉校長・安倍晋三記念小学校(瑞穂の國記念小學院)・自民党の政治家の講演や支持表明』など安倍首相夫妻との関連の深さを伺わせるが、安倍首相は森友学園・籠池理事長とどのような付き合いがあるのか。

安倍首相は現代の社会通念や常識感覚から考えて非常に違和感・問題点のある森友学園の幼児教育のやり方を支持しているのか、洗脳的要素のある戦前回帰・(政治・歴史の)思想注入の教育方針に賛同しているのか。

籠池泰典理事長は超保守的な政治思想を持つ『日本会議』の大阪支部幹部とされ、安倍首相も日本会議に参加しているとされるが、安倍首相含む自民党の政治家の中には『子供の教育・価値観の戦前回帰(国民の臣民化)』を望む人が多いのか。

4.森友学園・塚本幼稚園では、通園していた園児に対して『犬臭い・もっと清潔にさせよ』などのいじめまがいの批判をしたり、園の方針に従わない保護者に暴言めいた手書きの連絡文を何度か送りつけたともされているが、『(幼児の心理発達や感受性に配慮した)幼児教育・(幼稚園の運営者としての礼儀や節度のある)保護者対応』がきちんとできていたのか。

法律的な問題点として一番大きいのは『国有地の払い下げの不透明な交渉過程における政治家・公権力・財務省関係者の口利きの有無』であり、その口利きに対して鴻池氏がぶっきらぼうに隠語で言い放った『コンニャク(札束)』のような金銭的対価が支払われていたとしたら贈収賄の絡む『疑獄事件』に発展する恐れもある。

仮に疑獄事件に有力政治家が関与しているようなことがあれば、政権そのものが倒れかねない大きな政局の引き金になりかねず、あっせん収賄というような事態も出てくれば、道義的問題では済まない違法行為になって逮捕者が出かねない。

法律的な問題としては、『不正な土地価格交渉のやり取りとそのプロセスでの賄賂の可能性』と『特定の政党・政治家を支持したり特定の外国へのヘイト感情を煽ったりする行き過ぎた愛国教育の教育基本法違反の可能性』が挙げられる。

しかし一般社会の反応としては、上記した法律的な問題点よりも、小さな幼稚園児に対する愛国教育とされるものの内容や手法に対して、『現代社会特に先進国において洗脳的な政治思想・国家主義・滅私奉公・歴史観の刷り込み』が果たして適切で必要なものなのだろうかという大きな違和感・警戒感が多かったのではないだろうか。

日本人が日本を好きになるようにする愛国教育のどこが問題なのか、現代の個人主義(相対主義)や自由主義のほうが、国家・人間の目標や人の社会性・協調性を見失わせて堕落させる間違った思想なのだという超保守主義の意見もあるかもしれない。

だが教育勅語や軍歌唱和(軍隊の称賛)による『戦前回帰を目指す型の愛国教育』の最大の問題は『全体・国家のための個人の犠牲を義務化する,人それぞれの生き方の自由を認めなくさせる(自己犠牲を払わない個人の自由を許さずみんなでどれだけ犠牲を払っているか相互監視して人権が抑圧される)』ことであり、究極的には『国民の臣民化(教育勅語のような天皇・上位者に忠義を尽くして滅私奉公する国民の道具化・使役化)』が進んで『人権思想の軽視』に行き着いてしまうことだろう。

人権思想の軽視や上位者に従属する臣民化というのは、全体・国家のためなら個人が死ぬことさえ道徳的な正しさになるということだが、志願者や納得した人だけが国家のために戦ったり死んだりするのではなく、最終的には全体主義的に『みんなが国家のために戦ったり死んだりすることは道徳的な正しさである(逆に国家のために戦わないとか自分は別の生きがいがあるとかいうことは臆病・忘恩の非国民・売国奴である)』という強制力が強まりやすいのである。

一般庶民の目線や気持ちからの愛国心は『郷土愛・郷愁の念(愛着や懐かしさ)・出自性(ルーツ性)の自己アイデンティティ・人々のつながり』に近いもので、その自然に発露する愛国心には特別な問題はなく個人の人権・自由とぶつかり合うものでもない。そして、一般庶民の目線からの自然に形成される郷土愛的な愛国心は、意図的に教育して無理矢理に刷り込んでいくものでもないのである。

森友学園のような人為的・刷り込み的に教育していく愛国心というのは、公権力・権力者の目線や意図(都合)からくるものであり、端的には『国家(政府)のために忠義・献身・自己犠牲を尽くしてくれる生命さえも捧げられる国民』を育成するための国策的な規律訓練システムの面が強い。

近代の勇敢な兵士(国民兵)や勤勉な労働者を思想的に育成するために、『仮想敵を想定して打ち倒すための国家主義・民族主義』が応用された歴史は長いが、現代の先進国において『公権力・権力者の目線や意図から国民を使いやすいようにするための愛国教育』に、一般庶民の立場から賛同する必然性は薄いか逆にリスクとなる。

政治・教育の権力を握るような人物や家系、団体が、『教育勅語の精神性+価値観の戦前回帰』を求めるというのは、上位者の決定に反論や抵抗をしてなかなか従わない『一般国民の人権・自由』が邪魔ということに近しい部分があるからである。

戦前の学校教育の歴史の反省では、上位者に黙って仕える教育勅語の精神・規範が刷り込まれすぎると、『天皇・国家(国体)の絶対的な上位者や普遍価値』を錦の御旗にする政治家・軍人・教師などが『虎の威を借る狐の権威主義者』になりやすくなり、自分たちに逆らうことを天皇・国家に対する反逆のように解釈・告発することで、個人の自由が雁字搦めにされる過剰な支配体制・相互監視体制(庶民が自由に物を言うことのできない空気)につながりやすくなるだろう。


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