マイナンバー制度導入によるメリットとリスク2:マイナンバーと金融情報の結合+負担と給付の公正性

欧米諸国でも『社会保障番号(ソーシャルセキュリティ・ナンバー)』が既に普及しているが、国家が出生と同時に付与した固有ナンバーによって人生が死ぬまで管理され続けるという『心理的圧迫感・思想的対抗心』を別にすれば、その『利便性・効率性』は『コスト・リスク』を上回る可能性が高い。

現時点においても、年金番号・運転免許証番号などの個人に割り振られた固有ナンバーは多く存在しており、マイナンバーとの差異は『統合的・一元的な個人情報の収集と利用』にまで応用できるかどうかの違いにある。

マイナンバー制度導入によるメリットとリスク1:生涯変わらない固有番号の割り当てと行政の効率化

マイナンバー制度に期待されている効用は現時点では、『行政の効率化とコスト削減・負担と給付の公平化・社会保障の給付手続きの簡素化・ITやコンサルなどの関連産業の活性化』であり、消費税増税時には低所得者の支援対策としてマイナンバーによる所得捕捉を前提にした『給付つき税額控除』も検討されているようである。

マイナンバーは公的年金・児童手当・生活保護などの給付の申請、税金の納付とその記録などに当面は活用されることになるが、『住民票・戸籍謄本・所得証明書・通帳残高のコピーなどの複数の書類』を自分で集めなくても済む給付手続きの簡素化にも役立てられる。

企業から個人への給与・賞与などの支払いもマイナンバーで管理されるようになり、複数の収入がある人の場合でも、マイナンバーで一元化することで『収入の全体(合計金額)』を税務署が迅速に把握することができて、『納税の煩雑さの軽減・脱税(過少申告)などの不正の防止』などが期待できるとされる。

法改正で2018年からは、銀行口座(金融資産情報)とマイナンバーを任意で紐づけられるようになるので(この時点ではまだ強制的に銀行口座とマイナンバーが結び付けられるわけではない)、『納税の所得捕捉の精度向上に基づく公正性・効率性』が高まることにはなる。

その一方で、『収入と資産のガラス張り化』によって『私的所有権の相対化(自分の財産であっても国家に全体像を見られて管理されているという感覚)』という別種の問題も出てくる。悪意ある行政の関係者などによって、『収入・資産の情報というプライバシー』が不当に脅かされて流出する危険性もあるので、規律の強化と法的な罰則などで『不正アクセスなどによる情報漏洩・不正な情報閲覧のリスク』を回避していかなければならない。

個人の収入や資産を確実に捕捉できる精度を上げられるマイナンバー制度には、メリットもリスクも両方あるが、『収入・資産の数字に反映される客観的能力に応じた税・社会保険料の負担と給付』を実現しやすくなるというメリットが期待されている。

収入の過少申告や資産隠しなどの不正を減らして、『税・保険料の応能負担と困窮者への税還付(給付金)』を徹底させることで、結果として『経済格差の縮小・社会的弱者(貧困層)の支援策・生活保護などの適正な利用』などに結びつきやすくなる可能性もある。

マイナンバーは『予防接種・メタボ健診・処方薬などの医療情報』の専門家間の共有や管理にも応用されることで『医療資源の節約・保険診療の効率化』などが目指されるようになる。更に、『匿名的なビッグデータ(個人情報の巨大な集積とその統計解析)の産業活用』という観点でも、『商品開発・マーケティング・潜在需要の掘り起こし』などが期待されているようだ。

初期投資だけで約3000億円ともいわれる巨費が投じられるマイナンバー制度だが、その管理運用や利用範囲の拡大のメンテナンスにも継続的に大きな予算が必要になるとされている。

これだけの巨額予算に見合うだけの成果をマイナンバー制度が上げるためには、『行政コスト削減に努める費用対効果の追求+セキュリティの安全性(個人情報の適切な保護と利用)+国民の利便性と社会政策的な公正性+セキュリティを確保したマイナンバーの応用範囲の拡大+経済活動の活性化と税源の拡大』が必要になってくると思う。

あらゆる自分の情報が一元的に管理されて色々な手続きが楽になる(行政・企業の側がこちらの申請・許可に応じて迅速に手続きに必要な情報を集めてくれる)というメリットは確かに大きいが、その背後に『情報漏洩・クラッキング・完全管理社会・私的所有権の相対化(情勢に応じた財産の半公有化)のリスク』があるということも忘れないようにしておきたい。


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