コミュニケーションを円滑にするカウンセリング的な傾聴のポイント2:反射・共感・明確化・開いた質問

『相手の話題・発言』に対してどのような反応(応答)を返せば円滑なコミュニケーションにつながるのかは、なかなか難しい部分もありますが、『相手の話題(話したいこと)について話すという事』を基本にしながら、『自分の話題・経験に相手の興味関心を惹きつけるという事』も意識してみると良いと思います。

○相手の話題(話したいこと)について話すという事

Aさん『昨日の晩御飯は、六本木で知り合いが経営しているレストランに家族で食事に行ってきたんだ。』

自分『六本木のレストランまでディナーに行ってきたんだね。』

Aさん『うん、いつもは帰りが遅くてなかなか家族で出かけられないんだけど、知り合いの店だから普通のコースよりもサービスして貰えて良かったよ。』

自分『仕事が忙しいとは聞いてたけど、毎晩帰りはかなり遅くなるのは大変だね。友達からサービスもして貰えたみたいで良かったね。』

Aさん『うん、なかなか妻や子どもとゆっくり話す時間も取れなかったんだけど、昨日は高校生の子供の進路についての話題なんかもでたりして、久しぶりに話すきっかけも得られたんだけどね。』

自分『あぁ、もうB君もいつの間にか高校生になってたんだね。B君も自分の進路ややりたいことについて色々と考えているんだろうけど。』

Aさん『そうなんだ、今までまともに家族と向き合う時間があまりなくて反省しているんだけど、息子は第一志望だった大学と自分のやりたいことにつながる学部とが噛み合わないといった話もあるみたいで…』

自分『俺たちも学生時代や若い頃にはあれこれ迷ったり悩んだりしたけど、自分の問題ではなく、親として子どもにどういったアドバイスをすべきかも悩ましいところではあるね。』

このAさんと自分の会話のやり取りでは、相手の話している話題やテーマを繰り返すようにして返す『反射(オウム返し)』と“大変だったね・良かったね・悩ましいところ”といった『感情的な共感』の技法を適宜用いることで、相手が更にその先を話したくなるような会話の流れが自然に作り出されている。

『反射(オウム返し)』というのは極めて単純で基本的な技法ではあるが、『相手の話している内容』についてちゃんと聴いていますよということを示す分かりやすい応答であり、『反射(オウム返し)+感情的な共感+適切な質問(開いた質問)』の組み合わせによって、スムーズで気持ちの良いコミュニケーションが展開されやすくなるのである。反射(オウム返し)だけに留まらず、『明確化(要約)+相手の伝えたい感情の反復+開いた質問』などのカウンセリング技法を合わせて用いることで、相手に対する興味関心の強さだったり相手の感情に対する共感だったりを自然に伝えることができる。

感情的な共感というのは、『喜怒哀楽の分かりやすい感情』を相手に伝える事であり、『本当に楽しそうだね・それは私も許せないしむかつくね・そんなに悲しい事があってつらかったでしょうね・落ち込んで何もしたくなくなる事があるよね』といった感じの言葉で、“相手の感じていると思われる感情”をそれとなく言語化することでもある。基本的に対人コミュニケーションでは、『相手の感情・感覚を否定するような応答』は敬遠されやすく、素直な考えや気持ちを話しにくい相手として認識されるので、相手の発言内容に賛同できない部分があっても、(考え方そのものついては別途議論するにしても)その訴えてくる感情には共感的反応を返すほうが人間関係は深まりやすい。

『閉じた質問(Closed Question)』『開いた質問(Open Question)』の質問形式の違いは、閉じた質問は『ステーキは好きですか?あなたは働いていますか?昨日の夜は家にいましたか?』など“はい・いいえ”でしか答えられない質問だが、開いた質問のほうは“自由な回答・自分の話したいように答えられる自由”が許されている質問である。

上記した『閉じた質問(クローズド・クエスチョン)』を『開いた質問(オープン・クエスチョン)』に置き換えると、『どんな食事のメニューが好きですか?どのような仕事に興味がありますか?(仕事内容は大まかにいうとどのようなものですか?)・昨日の夜は何をして過ごしましたか?』などの質問になる。その結果、質問された相手はより自由度のある答えを返せるようになり(問い詰められているような緊張も和らぎ)、その質問を起点とした会話が弾むきっかけにもなりやすい。

『明確化(要約)+相手の伝えたい感情の反復+開いた質問』を活用した会話の事例を上げると、以下のような感じになってくる。

Bさん『最近、彼氏との恋愛が上手くいかなくて悩んでいるんだけど、彼が真剣に話を聞いてくれないの。』

自分『彼との関係が上手くいかないというのは辛いよね。真剣に話を聞いてくれないというのはどういうことなの?』

Bさん『うん、もう付き合ってから5年になるんだけど、今はお互いの気持ちとか悩みとかを改まって話す機会もなくなってきたんだよね。付き合った当初はお互い大学生だったけど、卒業して環境も変わってきちゃって、彼も忙しいことは分かってるんだけどね。』

自分『Bも今年からは働き始めたし、確か彼氏のほうは何歳か年上だったよね。環境が変わって今までのような付き合いができにくくなったとか。』

Bさん『私のほうも忙しくて頻繁に連絡はできないんだけど、彼のほうから電話やメールは滅多に来ないし、彼が去年から出張で距離も離れてしまって。』

自分『距離が離れてしまうと心配なことも増えるけど、仕事がお互い忙しくて連絡も少なくなるのは寂しいし、お互いがどう思っているかも伝えにくくなるしね。』

Bさん『そうなの、それでこのまま離れたままで話をすることも少なくなっていくと、彼との関係がどうなるのか自信も無くなってきちゃって。たまに仕事の付き合いで会うCさんから食事の誘いを受けていて、彼氏がいるからと断り続けてはいるんだけど。』

自分『要するに、彼氏と離れて連絡回数が減ってしまっているのに、彼から今後の恋愛をどうするのか、自分がどういう気持ちでいてBとのこれからの事をどう思っているのかについてのはっきりした考えが出てこないから、心配や不安が強まったり迷ったりするんじゃないのかな。』

Bさん『そういう話になるんだけど、なかなかはっきりとした答えを聞くきっかけも見出しにくくて。』

自分『Bとしてはこれから二人の関係をどういう風にしていきたいと思ってるの?』

“明確化(要約)”というのは、『つまり~ということですね・要するに~という話ですね・今までの話をまとめると~』といった形式での発言ですが、それまでに交わされてきた『断片的な言葉のやり取り』の意味・主張・感情を適切にまとめて相手に語りかけることで、『相手の話の筋道・主旨・気持ち』をしっかり理解しているということが伝わりやすくなります。

“明確化(要約)”はいい加減に話を聴いていたり、相手の伝えたい内容を理解せずに適当なまとめ方をしてしまうと、『この人は全く自分の話を聞いていない・いい加減なまとめをして切り上げようとしている』という風に受け取られて逆効果になる場合もあるので、しっかり丁寧に話を聴いていないと使いにくい技法ですが、そうであればこそ、上手く適切な明確化ができれば『相互の信頼感・話の理解度と進展性』が高まることになるわけです。

上記した会話事例における『開いた質問(Open Question)』は、『真剣に話を聞いてくれないというのはどういうことなの?・Bとしてはこれから二人の関係をどういう風にしていきたいと思ってるの?』という質問になっており、Bさんの積極的な説明や意見、考え方を引き出しやすくなる質問になっています。






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