スマートフォンの普及と電子書籍の可能性1:スマートフォンとフューチャーフォンはどこが違うのか?

NTTドコモやau、ソフトバンクモバイルがスマートフォンの宣伝販売に力を入れており、スマートフォンの契約台数が急速に増えているようだ。2010年のスマートフォン出荷台数は当初440万台と予測されていたが、675万台にまで拡大するというニュースもあり、携帯キャリア各社がスマートフォンの機種のラインナップを強化したことで、スマートフォンに乗り換えるユーザーが増えている。2015年頃にはスマートフォンの契約数がフューチャーフォンを抜いて、携帯電話の主流になるという市場の見方もあるようだ。

スマートフォンというのは『賢い多機能な携帯電話』という意味であるが、日本でスマートフォンが話題になり始めたのはソフトバンクがApple社のiPhoneを発売してからである。スマートフォンはパソコンと従来の携帯電話(フューチャーフォン)の中間的な情報端末として位置づけられることもあるが、分かりやすく言えばパソコンに近いカスタマイズの自由度がある『高機能携帯電話』である。

スマートフォンがアメリカやヨーロッパ諸国で普及し始めた時期には、スマートフォンの定義は『インターネットが利用できる携帯電話』とされていたが、2~3年ほど前のこの時期には日本でスマートフォンが話題になったり売れたりすることは無かった。それもそのはずで、既にi-modeやEZwebを10年以上前から使っている日本人にとっては『インターネットにアクセスできる機能』というのは新しくも珍しくも無かったからである。

アメリカでは携帯電話の通話料金が日本よりも格安であり、ケータイメールの機能も一般化していなかったので、BlackBerryやiPhone、Droidのようなスマートフォンが登場する以前には『音声通話』がメインだった。そのため、スマートフォンの登場が日本では想像が尽かないほどの衝撃と感動を呼んだという側面があり、正にユーザーのライフスタイルさえ変えてしまうようなイノベーティブ(革新的)な携帯電話として認識されたのである。

日本の場合は、ケータイの機能の進歩が余りに早く進んでおり(1999年にはi-modeが登場)、既に10年以上前に知らない相手とメールでやり取りする『メル友ブーム』が起こっていたりもして、ケータイでメールができたりウェブにアクセスできることを『革新的な体験』とは捉えることが出来なかった。日本のケータイは世界のケータイ市場の主流である規格(料金体系)・機能(サービス)から外れて独自の進化過程を辿った『ガラパゴスケータイ』と揶揄されることもあるが、ガラパゴスケータイは世界の主流のケータイと比べれば高機能だったのである。

スマートフォンの元々の定義である『インターネットにアクセスできる携帯電話』を採用するのであれば、日本にある全てのケータイ(ガラケー)は初めからスマートフォンだったと言える。しかし、スマートフォンとの違いの一つとして、『パソコンサイトの閲覧・利用の快適性』『アプリによるカスタマイズの自由度』があり、そこがスマートフォンの魅力として注目され始めているのだろう。

日本の殆どのケータイには『モバイル機能(インターネットのアクセス機能)』が初めからついているが、ブラウザがシンプルなHTMLで書かれた容量の小さいケータイサイト向けに設計されているので、容量の大きなパソコンサイトを快適かつスピーディーに閲覧することは難しい。各社は『フルブラウザ』のサービスを導入してパソコンサイトに対応しているが、ディスプレイが小さいのでサイトの全体を閲覧しにくく、パケット定額制の料金も5,985円とやや割高になってしまう。

日本のフューチャーフォンは元々、ウェブにアクセスして利用できる機能がついていたのに、なぜここに来てスマートフォンが急に売れ始めたのだろうか。その理由は、携帯キャリア各社が『スマートフォンのマーケティング・宣伝広告』に力を入れて機種のラインナップを増やし始めた影響が大きいが、ケータイの主な用途が『ウェブサイト・ウェブサービス(SNS)・ビジネスツール・ゲームなどの利用』に移ってきているからだろう。

最も知名度がある象徴的なスマートフォンは、Appleの開発した“iOS”を搭載したiPhoneであるが、最近ではGoogleが開発した“Android(アンドロイド)”を搭載したスマートフォンのラインナップが急速に充実しており、端末の販売台数ではAndroid搭載の多様な端末がiPhoneを抜いたとされる。

スマートフォンのUIや動作を規定するモバイルOSには、AppleのiOSとGoogleのAndroid2.2(2.1)があるが、両者の最大の違いは、iOSはAppleの生産するiPhoneにしか搭載されないが、オープンソースであるGoogleのAndroidのほうは、シャープ製の端末だろうが東芝製、サムスン製の端末だろうがどのメーカーの端末にも無料で搭載できるということである。

iOS搭載のiPhoneが『アップルのブランディング戦略・プラットフォームの囲い込み戦略』で売り出されているとしたら、Android搭載の各メーカーの端末は『グーグルのオープン思想・多様化と自由化の戦略』で売り出されていると言えるが、どのハード(端末)にもフリーで搭載可能なAndroidのほうが販売台数の上で勝るのは必然といえば必然である。

iPhoneはiOSとセットであり、iPhoneの端末を買うか否かの選択肢しかないが、Androidは実質的にはどのケータイ端末にも搭載できるので、選択肢のバリエーションが豊かになり複数のメーカーがAndroid搭載の端末を製造販売するからである。『物理的なハード(機種)』に拘束されないのがAndroidの多様化戦略の強みでもあり、ある機種のデザインが悪くて売れなくても、それ以外の機種が人気になって売れればAndroidの普及は進むことになる。

最近発売されたAndroid端末だけでも、NTTドコモの“Galaxy S(サムスン)”“LYNX 3D SH-03C(シャープ)”“T-01C(東芝)”、auの“IS03(シャープ)”、ソフトバンクモバイルの“GALAPAGOS 003SH(シャープ)”“HTC Desire HD(HTC)”などラインナップが豊富になっている。

スマートフォンとフューチャーフォンの違いがどこにあるのかについては、以下のポイントをまとめることができる。

1.タッチパネルとして使える『大型ディスプレイ(3.8~4.0インチ程度)』を備えていて、フューチャーフォンよりも画面が大きいのでウェブが使いやすい。

2.アプリのダウンロードとOSのアップデートによって、ケータイの機能を自由にカスタマイズできる。iPhoneであれば“AppStore”、Android端末であれば“Androidマーケット”を通して自分の必要・興味に応じたアプリをダウンロードすることが可能である。無料アプリもあれば、有料アプリもある。

3.常時ウェブに接続しているので、Gmailのリアルタイム着信や現時点における天気予報・ニュース配信などを即座にチェックすることができる。Googleのクラウドサービスの全てを利用することができ、RSSリーダーなどもパソコンと同じ感覚で使える。

4.PCとUSB接続して『写真・音楽・動画・テキスト』などのファイルを移行させることができ、アプリによってMicrosoft OfficeのWordやExcel、PDFファイルの閲覧ができる。

5.GPS機能とGoogleマップの組み合わせでナビゲーションとして使えたり、電子書籍のリーダーとしても使うことができる。

6.mixiやfacebook、Twitterなどの専用アプリがあり、いつでもどこでもソーシャルメディアへのアクセスが容易である。

パソコンではできるがケータイではできなかったことの多くを可能にしたのがスマートフォンであり、iPadやGalaxy TabのようなタブレットPCよりも手軽に持ち運べる端末としての利便性がある。

スマートフォンの欠点を敢えて上げるとしたら、『タッチパネルのアウトプット能力の弱さ(長文の記述がしにくくミスタイプが起こりやすい)』『毎月の通信コストが比較的高くなりやすい(パケット定額制の5,985円がかかる)』ということがあるが、ウェブサイトの閲覧やアプリをメインにした利用で、通信コストにも納得できるのであれば問題はないように思う。ただし、フューチャーフォンと違って、意識してインターネットを使わないようにしても、アプリの自動通信やアップデートなどによって通信料金がパケット定額制の上限になってしまうことが多い。






■関連URI
気楽にモバイルできるケータイ・ネットブックが普及するとパソコン(PC)の需要は減少していくのか?

Googleのトップページのリニューアル・Amazonの電子書籍リーダー“Kindle”について雑感

アメリカの新聞社が『紙媒体』から『ウェブ中心』に業態転換:成長するネット広告に新聞はどう立ち向かう?

“Googleブック検索”と著作権問題,SNSなど交流サイト(コミュニティサイト)と未成年者保護

■書籍紹介



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 7

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

この記事へのトラックバック