鈴木みそ『銭 壱巻』(コミック)の感想:“漫画雑誌・アニメ・コンビニの値段”のテーマ

“金銭”をテーマにして経済社会の仕組みを説明する漫画コミックには、『ミナミの帝王』『闇金ウシジマくん』『ナニワ金融道』などいろいろなものがあると思いますが、それらはどちらかというと“借金(負債)・法律の抜け道”と絡んだアンダーグラウンドな社会の厳しさに焦点を当てています。 鈴木みその『銭(ぜに)』は、交通事故で死んだ少年チョキンの…
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インターネットを用いて“直接民主制・住民の政治参加”を実現できるか?:多数決の原理と政治の目的性

インターネットと現実の政治をリンケージする試みというのは、アメリカや韓国の大統領選などで見られてきたが、それらは『ウェブによる間接民主制(代議制)の補完』という性質を持つに過ぎない。インターネットは技術的には国民すべてが政治に参加する『直接民主制との親和性』を持っているが、直接民主制は個人の特殊意志(私欲)を集積しただけの『衆愚政治』に…
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“他者・社会とのコミュニケーション”と切り離せない自己アイデンティティの確立:精神分析と適応

前回の記事では、エディプス・コンプレックスとコミュニケーションスキルの相関について考えてきたが、エディプス期(幼児期)のコミュニケーションは『親子間・幼稚園(保育園)の友達』に限定されたシンプルなものである。人間がコミュニケーションする範囲は、“精神の発達(関心領域の拡大)”と“環境の変化(所属する場所)”の双方の影響を受けて段階的に拡…
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“親子間のコミュニケーション”と“子どもの心理的な発達プロセス”を巡る精神分析的な社会化の課題

『コミュニケーションスキルの向上』に合わせて社会適応性も高くなっていくが、精神分析の発達論ではコミュニケーションに障害が起こりやすい時期として、エディプス期(oedipal stage)と青年期(adolescence stage)が想定されている。コミュニケーション(communication)とは、外部にある他者や社会の仕組みと『双…
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ジャック・ラカンの『大文字の他者』が支える象徴的秩序と境界性人格障害のコミュニケーションの問題

ジャック・ラカンの精神分析学では人間は現実界において『無意識的願望(本当の欲望)』を十全に満たすことができない、このことは『他者とのコミュニケーションの不完全性』という外観をとって現れることになる。『他者とのコミュニケーション』というのは、外向的で社交的な人にとっては極めて気軽で簡単な行為に過ぎないが、内向的で回避的な人にとっては精神的…
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吉本隆明『老いの流儀』の書評:老年期における心身の健康と高齢化社会の展望について語る

『円熟』と『老化』という言葉の語感はかなり異なるし、最近では『老人』という言い方を嫌って『高齢者』という風に表現することが多くなった。『後期高齢者』という言葉は『人生の末期』をイメージさせるものとして随分と不評だったし、老いの不安や肉体の劣化を緩和するための『アンチエイジング』をコンセプトとした各種のビジネスはかなり隆盛しているようだ。…
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インターネットの『実名制』はなぜ大多数の個人に広まらないのか?:勝間和代のクロストークからの考察

毎日新聞の勝間和代のクロストークで『ネット上でも実名で表現を』というお題が出されていました。私自身は『ネットにおける実名制と匿名制の長所・短所』については過去の記事でさまざまな観点から考察してきたので、ここでは『ネットの実名制』がどうして記事・人物の信頼性やコミュニケーションの有効性になかなか結びつかないのか、なぜ誹謗中傷と無関係な人で…
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“教職大学院”による教員養成課程の6年制化で『教師の質の向上』は図れるか?2:教員の資質と能力

前回の記事の続きになるが、ロースクールに関しては、ロースクールに進学すればその大半が医師のように法曹になれるという誤った思い込みを持っている人もいるので、教職大学院を設置する場合にもその種の大学院を修了すれば、ほとんどの学生が教師として働けるようになるという誤解を生じないようにしなければならないだろう。 10~20代の6年というの…
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“教職大学院”による教員養成課程の6年制化で『教師の質の向上』は図れるか?1:専門職の高学歴化

民主党政権で学校の教師を育成する『教員養成課程(教員免許制度)』の基本的な仕組みが見直されようとしている。自公政権で導入された『教員免許更新制度』は見直される予定だが、民主党は更新制に代わる『専門免許制度』を取り入れるので、実質的には自公政権よりも教師が受けなければならない教員研修の時間数は増大することになるようだ。 教員養成…
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香山リカ『キレる大人はなぜ増えた』の書評:“自己防衛的な攻撃性”と“利益獲得的な攻撃性”

少し前に、少年犯罪・校内暴力などの事例を挙げた『キレる若者』というフレーズが流行したことがあったが、最近は若者の特徴を評価するフレーズが『草食系男子・消費や結婚をしない若者・雇用の安定志向』といったマイルドで抑制的なものへと変化してきているようだ。 10代~20代の若者が中高年の大人よりもキレやすいというのは元々感情論や印象論のレ…
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補正予算の執行停止による“3兆円の財源捻出”と地方自治体の反発:民主党の子ども手当て・税制改革

民主党政権は『子ども手当て・高速道路無料化』などマニフェストで公約した政策の実現のために、『補正予算の見直し』で3兆円の財源を作ろうとしている。当初は無駄遣いの削減や不要不急の事業の見直しで、3兆円規模の予算を比較的スムーズに作れると見積もっていた政府だが、『地方自治体の補正予算の執行停止に対する反発』は思いのほか強く、何とかぎりぎりま…
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戸矢理衣奈『下着の誕生 ヴィクトリア朝の社会史』:女性のファッション史と身体の解放

S.フロイトの創設した精神分析は、イギリスのヴィクトリア朝時代(1837年-1901年)の余りに厳格過ぎる性道徳へのアンチテーゼとしての側面を持っており、19世紀のヒステリー(神経症)は性的な欲望や身体を罪悪視する社会的風潮(世論の圧力)と強い相関を持っていた。現代からは想像できないことだが、近代ヨーロッパの黎明期には『女性の身体』は美…
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島田荘司『龍臥亭幻想 上下』の書評:森孝魔王の正義の復讐と村落社会の迷信・差別の悲しみ

明治維新によって幕藩体制と身分制度が解体され、備中藩の旧藩主・関森孝(せきもりたか)はかつての所領と家臣の多くを失い、関家の遺産を元に暮らすことになった。廃藩置県と四民平等によってかつての威勢と富裕を失ったとはいえ、関森孝は江戸時代であれば備中藩を治める殿様であり、明治の御世に入っても派手な暮らしを繰り返して次第に関家の財産は細っていっ…
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小中学校における『心のノート』の廃止と学校での道徳教育・人権教育のあり方について

民主党政権が、小中学校で道徳教育の補助教材として用いていた『心のノート』を廃止する意向を示している。『学校での道徳教育(道徳の科目化)』を巡る議論は、安倍晋三内閣の教育再生会議で盛り上がったことがあったが、学校教育の一部としての道徳教育には、戦前の『教育勅語に基づく修身教育』の影響を踏まえた日教組などの根強い慎重論もある。 「…
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アダルトチルドレンの原因となる“慢性的な見捨てられ不安・喪失感”と“情緒的なネグレクト”の関係

アダルトチルドレンとしての過去を持つ人は、『抑圧・否認・隔離・投影・合理化・解離』といった防衛機制によって自分の悲しみや痛み、絶望を覆い隠そうとする認知パターンを持っています。何かつらいことがあった時に頭の中に思い浮かんでくる典型的な“自動思考”として、『このくらいのことは大したことではない・自分は傷つけられることには慣れている・自分に…
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“混合診療の禁止”は違法でないとする東京高裁の判決:患者の希望と医療の進歩を見据えた議論を。

日本では『混合診療』が認められていないため、健康保険の適用外の治療・投薬を受けると、保険適用の治療費(保険診療)も含めて『全額自己負担』になってしまう。腎臓がん患者の男性が国を相手取って、『自由診療(保険適用外の治療)』と『保険診療』の併用=混合診療が認められない現状の医療制度を改善することを求める裁判を起こしていた。2007年11月に…
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約440万年前に生きた最古の人類アルディピテクス・ラミダスの全身像が復元:樹上生活から地上生活へ

古人類学や進化生物学では、最古の人類としての猿人はどの化石なのかという議論がありますが、私の世代では世界史の教科書の冒頭に、猿人の代表として約300万年前のアウストラロピテクス・アファレンシスが挙げられていました。どこからが人類の仲間なのか、類人猿から人類に進化したのはどの化石からなのかの『厳密な線引き』はできないと思いますが、数百年以…
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強迫性パーソナリティ障害の精神分析的な解釈:“完全主義・義務意識”と“罪悪感・自己嫌悪”の相関

幼少期には、母親・父親から受ける『躾(しつけ)の強度や方法』によって人格構造(性格特性)の基礎が形成されてくるが、理不尽な体罰や配慮のない人格非難などを受けた場合には『怒り・反抗・攻撃にまつわるサディズム(嗜虐性)』が起こってくることがある。大半の子どもは、身体的虐待を受けようが精神的侮辱を受けようが、両親がいなければ生きていけないとい…
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