“音声言語による電話のコミュニケーション”と“文字言語によるウェブのコミュニケーション”

前回の記事に書いた『カスタマーサポートの話題』に関連するコンテンツが『コールセンターブログ』にいろいろと掲載されています。以下に引用した記事では、アメリカの顧客マーケットでは1回の電話で、「対応に出たコミュニケーター」が問題状況を解決できなければ、その企業の商品・サービスの利用を辞めるという厳しい調査結果が出ているとあります。

この調査は、「アメリカの通信販売、銀行、携帯電話、CATV/衛星放送、保険、PCの6分野のコールセンター」を対象にした調査報告のようですが、日本でも顧客満足度や企業の信頼感を高める為のカスタマーサポートは非常に重要な業務となっています。ただ、カスタマーサポート業務の多くが離職率の高い非正規雇用となっており、アウトソーシング(外注)やオフショアリング(海外への拠点移動)も増えているので、専門スキルと業務経験のある有能な人材を安定供給することが困難な状況になっています。


1回の電話で顧客が逃げる![コールセンターブログ]

これはコールセンターに電話して、1回で問題が解決しないと顧客の約3分の2はブランドスイッチを検討してしまうという結果である。この調査は通信販売、銀行、携帯電話、CATV/衛星放送、保険、PCの6分野のコールセンターを対象に調べたようだ。

同調査結果によると、1回目の電話応対時における迅速な対応力と解決力が決め手としており、1回電話して解決できなければ見限るとも書かれている。何とも厳しい状況である。さらに、英語圏のコールセンターにおけるオフショア問題にも触れており、コールセンターの所在地も少なからず影響しているようだ。

国外のコミュニケータにおけるスキル評価が低く、1回目の電話応対時の問題解決率の低さに顧客は不満を示すらしいのである。コミュニケーションスキルが低いと問題解決率は45%、逆に明確な対応をすると、その数字はなんと88%と述べられている。こうした状況を海の向こうにおける英語圏の問題として受け止めてはいけない。

最近のコールセンターのオペレーションは、従来のような基本的な礼儀や常識的な言葉遣いなどのスキルだけではなく、1回の電話でいかに問題を素早く処理するかという能力やスキルが重要視される。とくに、ネット普及によって、eセルフサービス・ポータルやFAQサイトが充実し、初歩的な質問の自己解決率は高まってきているだけに、今まで以上に複雑な問題への応対・処理能力が求められている。


音声通話だけでコミュニケーションする『電話』というメディアの好き嫌いは、人によって大きく分かれるのですが、『仕事上の電話』でなくても『プライベートの電話』でも、(通話料金が気になるとか時間が無いとかではなく)電話で長話するのが何となく居心地が悪く落ち着かないという人もいます。『電話する相手との関係性(相性)』に依拠する部分も大きいですが、電話好きな人とそうでない人との違いは、『リアルタイムの音声コミュニケーション』への適応度(選好度)の違いであり、『対人コミュニケーションにおける非言語的情報』への依存度の違いではないかと思います。

簡単に言えば、対人コミュニケーションにおいて『相手の視覚情報(顔・表情・振る舞い・態度・実際の行動)』『場の雰囲気(相手と一緒の空間の雰囲気)』に依存する度合いが大きいほど、『身体性を伴う視覚刺激』のない電話のコミュニケーションに違和感や緊張感を感じやすいということです。また、『視覚情報・身体感覚』と対人コミュニケーションの結びつきを強く意識している人は、『相手の外見・行動』を直接的に知覚したり身体的に触れ合ったりすることで『コミュニケーションの空白(沈黙の空き時間)』を埋める傾向があるので、絶えずどちらかがしゃべり続けていないと時間を埋められない電話のコミュニケーションに息苦しさを感じるのかもしれません。

長時間に及ぶ電話のコミュニケーションが好きな人というのは、『沈黙の空き時間』を絶えず埋め続けるだけの雑多な話題を次々と展開できる人か、沈黙する時間がある程度あっても気にせずにマルチタスクで何かをしながら気軽に電話を続けられる人だと思いますが、電話には『相手の時間』をリアルタイムに拘束するという特性があるので、『相手が今、暇なのかどうか』ということも関係してきますね。特に、忙しい日常生活を送っていることが予測できる相手だと、要連絡の『大切な用件』がないのに気軽に電話をかけることは難しくなりますし、電話というのは基本的に『相手の都合の良い時間』を考えてかけなければならないツールです。

『電話』よりも『電子メール』によるコミュニケーションが活発化している第一の理由は、電子メールには『相手の時間』をリアルタイムに束縛する特性がないからであり、『(極端に遅くならない限り)いつ返信しても良い』という気軽さがあるからです。『電話』の長所としては、「自分のメッセージ」が相手に確実に伝わったということをその場ですぐに確認できることがあり、重要な用件に関して「相手の意志や判断」を直接確認したい場合には電話のほうが便利です。『電子メール』は、相手が返信して来ない限り、『きちんと内容を読んでくれたかどうか?自分の伝えたい意図やメッセージを正確に理解してくれたか否か?』を確認することができませんから、確実に相手に用件や意志を伝えたい場合には電話のほうが適しています。

大抵の人は、『実際の対話(面談)』『音声のみの電話』のどちらでもバランスよくコミュニケーションを楽しめると思いますが、どういったメディア(媒体)のコミュニケーションを好むのかには、『その人の気質・性格・生活習慣・対人関係パターン・コミュニケーションの目的・相手との関係性(物理的距離)』などが反映されることになります。

『電話』は聴覚情報(音声言語)のみのコミュニケーションツールであり、声の調子(沈黙の頻度)や声の大きさなどから相手の心情や状況、性格を察知することが出来ますが、『相手の身体性・顔の表情・空間の共有』といったリアルな視覚情報(感覚体験)が欠落しています。厳密には、携帯電話でもテレビ電話などの技術が進歩しているので、割高な通信料金を支払えば『相手の顔や表情』を見ながら音声通話が出来ますが、テレビ電話は電話のメリットである『身だしなみや服装に構わずに気軽に話せる点』を無くしてしまうことや、通信料金が高いこともあってそれほど一般化していません。

相手の顔(表情)や仕種(態度)、話し方(声の抑揚や声色・声の大きさ)といった『視聴覚情報の欠けたコミュニケーション(テキスト優位のコミュニケーション)』には、『電子メール』『チャット』『ウェブ上のテキストによる会話(掲示板・SNS・ブログ)』などがあります。

それらは、『電話』と比較すると聴覚情報(声の特徴や雰囲気)が欠けているので、『相手のリアルタイムの感情・調子・雰囲気』が伝わり難くなりますが、『話し言葉(パロール)』ではなく『書き言葉(エクリチュール)』を使ってコミュニケーションをするので、『論理的・言語的な情報の正確な伝達(整理して推敲された言語的コミュニケーション)』に関しては電話よりも優れています。

『電話』『チャット(メッセンジャー)』は、『時間の共有(リアルタイム性)』があるという点で類似していますが、「お互いのステータス(オンライン・オフライン・取り込み中・電話中など)」を表示できるチャットは電話ほど『相手の時間』を厳しく拘束せず『コミュニケーションへの参加・離脱』が比較的容易であるという特徴があります。







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■書籍紹介
メディア文化論―メディアを学ぶ人のための15話 (有斐閣アルマ)

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