| タイトル | 日 時 |
|---|---|
境界性・自己愛性のパーソナリティ障害と自己愛の発達2:自己アイデンティティの脆弱性と依存性
|
2012/01/22 12:24 |
境界性・自己愛性のパーソナリティ障害と自己愛の発達1:S.フロイトの二次的ナルシシズム論
|
2012/01/22 12:17 |
“長崎県西海市2女性殺害事件・台湾留学生殺害事件”とストーカー・恋愛感情にまつわるトラブル:2
|
2012/01/12 06:56 |
“長崎県西海市2女性殺害事件・台湾留学生殺害事件”とストーカー・恋愛感情にまつわるトラブル:1
|
2012/01/12 06:53 |
パーソナリティ障害における“問題状況(不適応)のパターン化”と“主観的な悩み・他者への影響”
|
2011/12/21 05:05 |
新型うつ病と規律訓練型システムによる超自我の形成4:“中心的・権威的な価値規範”との向き合い方
|
2011/11/28 18:19 |
新型うつ病の“選択的なストレス反応”と“仕事上の適応困難”3:仕事のストレス増大要因の考察
|
2011/11/28 18:17 |
新型うつ病の“選択的なストレス反応”と“仕事上の適応困難”1:ストレス回避の過眠・過食の症状
|
2011/11/28 18:12 |
“人間関係の親密さ・本音の交流”を促進するプロセスとカウンセリングの気づきの現実への応用:2
|
2011/11/18 15:44 |
“人間関係の親密さ・本音の交流”を促進するプロセスと視線を合わせる行為の社会的意味:1
|
2011/11/16 02:46 |
“人間関係の苦手意識”を軽減するカウンセリング要素と“ありのままの自分”の見せやすさ・見せにくさ
|
2011/11/16 02:44 |
交流分析における“相補的交流・交差的交流・裏面的交流”の交流パターンの特徴とその会話例
|
2011/10/11 02:12 |
交流分析の“5つの自我状態の特徴”と“コミュニケーションパターンの分類”:精神分析の簡易版
|
2011/10/11 02:09 |
男女のセクシャリティの違いが恋愛や結婚に与える影響3:相手に利用されるかもの不安を超える愛情交流
|
2011/10/04 00:56 |
男女のセクシャリティの違いが恋愛や結婚に与える影響2:なぜ男と女の要求・話題はすれ違いやすいのか?
|
2011/10/01 23:45 |
男女のセクシャリティの違いが恋愛や結婚に与える影響1:なぜ男女関係は非対称になりやすいのか?
|
2011/09/28 01:25 |
認知療法の“認知の歪み”から見た“感情的な苦悩”:どういった考え方で気分が落ち込むのか?
|
2011/09/20 20:01 |
認知行動療法における“自動思考”と“中間的信念・中核的信念”との関係性:ABC理論に基づく作用機序
|
2011/09/20 19:58 |
短期療法(ブリーフセラピー)で重視される“時間的・コスト的な効率性”と“解決志向の戦略性”
|
2011/09/20 19:56 |
恋愛心理と“市場経済・進化心理学”の視点による異性関係の解釈3:類似性と相補性による異性の選択
|
2011/09/13 15:36 |
恋愛心理と“市場経済・進化心理学”の視点による異性関係の解釈2:世代ごとの異性としての魅力の変化
|
2011/09/13 15:33 |
恋愛心理と“市場経済・進化心理学”の視点による異性関係の解釈1:恋愛の選択は自由市場に似ているか?
|
2011/08/31 02:11 |
“他人から愛されたい・傷つけられたくない自己防衛”による対人恐怖:フロイトの対象喪失と喪の仕事
|
2011/08/14 15:50 |
劣等コンプレックスが形成される要因と社交不安障害に関係する“承認欲求・完全主義思考”の問題
|
2011/08/10 09:17 |
A.アドラーとC.G.ユングの劣等コンプレックスに関する理論2:共同体感覚と勇気づけのカウンセリング
|
2011/08/10 09:15 |
A.アドラーとC.G.ユングの劣等コンプレックスに関する理論1:なぜ思春期に劣等感が強まりやすいのか
|
2011/08/10 09:12 |
恋愛・結婚におけるカップリング(相手選び)の心理学2:自己評価と美男美女の外見へのこだわり
|
2011/07/29 07:25 |
恋愛・結婚におけるカップリング(相手選び)の心理学1:年齢段階と人生経験による異性の魅力の多面化
|
2011/07/29 07:19 |
赤ちゃん(新生児)の視覚・聴覚の発達とヒトの乳幼児期の特殊性2:脳の発達の早さとメルツォフの実験
|
2011/06/29 04:49 |
赤ちゃん(新生児)の視覚・聴覚の発達とヒトの乳幼児期の特殊性1:ベビーフェイスと保護本能
|
2011/06/29 04:45 |
尽くし過ぎて上手くいかない男女関係とマンネリ化を緩和する工夫3:相手のために努力しようという動機づけ
|
2011/06/25 17:45 |
尽くし過ぎて上手くいかない男女関係とマンネリ化を緩和する工夫2:異性としての女性と母親的な女性
|
2011/06/24 19:04 |
尽くし過ぎて上手くいかない男女関係とマンネリ化を緩和する工夫1:軽視されるリスクと尊重される振る舞い
|
2011/06/24 19:01 |
“メール・電話の連絡”を自分から余りしない男性の心理とバランス理論3:好きになった女性へのアピール
|
2011/06/13 14:07 |
“メール・電話の連絡”を自分から余りしない男性の心理とバランス理論2:追いかけると逃げるの仕組み
|
2011/06/13 14:02 |
“メール・電話の連絡”を自分から余りしない男性の心理とバランス理論1:小さな不満の蓄積と別れ
|
2011/06/13 13:58 |
上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫3:どうすれば自分と相手を大切にできるか?
|
2011/05/31 00:13 |
上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫2:繰り返される恋愛の悩みの分析
|
2011/05/31 00:05 |
上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫1:無意識に再現されやすい人間関係の特徴
|
2011/05/30 23:42 |
個人の“自由な選択・主体的な判断”はどこまで可能か?:好感度・選択を促進する潜在的な知覚体験
|
2011/05/19 08:12 |
“潜在的な知覚・記憶”が生むサブリミナル効果と注意の二過程説:説得と単純呈示による広告効果
|
2011/05/19 08:07 |
『宣言的記憶』と『手続き記憶』の健忘症(脳損傷)による忘却リスク:自分で自覚できない潜在的記憶
|
2011/05/19 08:03 |
恋愛関係のプロセスと異性へのアプローチの仕方2:自分の気持ちや誘いの言葉をどのように伝えるか?
|
2011/05/13 00:41 |
恋愛関係のプロセスと異性へのアプローチの仕方1:一方向の恋愛感情と双方向のコミュニケーション
|
2011/05/13 00:31 |
“異性との出会い・つき合いの広げ方”と異性としての対人魅力2:誠実さ・純粋さの持つ二面的評価
|
2011/05/05 09:06 |
“異性との出会い・つき合いの広げ方”と出会い方のバリエーション1:恋愛関係の起点
|
2011/05/05 08:59 |
メンタルヘルス(こころの健康)と生産的なスローライフ2:流動的思考による認知(考え方)の転換
|
2011/04/13 18:54 |
メンタルヘルス(こころの健康)と生産的なスローライフ1:精神的な充実・意欲を増すフロー体験
|
2011/04/13 18:48 |
やる気を生む内的モチベーションと外的インセンティブ3:自律性・熟達性・貢献感で高まる働く意欲
|
2011/04/09 19:50 |
やる気を生む内的モチベーションと外的インセンティブ2:ヒューリスティックな仕事と意識の自由度
|
2011/04/09 19:44 |
やる気を生む内的モチベーションと外的インセンティブ1:無償で行動する人・強制されて動く人
人間はなぜ大変なことがあっても努力するのか、どうすれば苦しみや負担の少ない努力ができるのかというテーマについて、前回の記事で考えてみましたが、人間が努力する根本的な動機づけには『低次の生存欲求・安全欲求・帰属欲求』だけではなくて、『高次の承認欲求・自己実現欲求』が関係しています。 ...続きを見る |
2011/04/09 19:33 |
努力する事で得られるものと要求水準の高さ・幸福の実感2:苦しまない努力をするための方法
『成果のでにくい努力の繰り返し』で問題になるのは、自己評価が下がって自己価値を実感できなくなるため、強迫的・義務的に何かに急き立てられてする努力が過剰になりやすいということです。その努力の過剰(努力による疲弊・燃え尽き)の背景にあるのは、現代社会のアノミーや格差感が生み出した『普通の幸福のハードルの高さ』です。普通の幸福とは何なのかについて、厳密な掘り下げをしていたら切りがないですが、一般的にはそれなりの企業に就職して安定した給料を貰い、一定の年齢で結婚・出産育児などを経験し、『仕事の充実感・経... ...続きを見る |
2011/04/02 22:01 |
努力する事で得られるものと要求水準の高さ・幸福の実感1:人は何を求めて努力しようとするのか?
勉強して試験に合格したり専門的な技術のレベルを高めたり、物事を成し遂げたりするためには、一般に『努力・意欲』が必要であると考えられています。何らかの分野における達成や向上に向かって『努力すること・頑張ること』ができなければ、自分の成長や社会経済的な評価(報酬)を得ることが難しく、将来的に幸せになれないのではないか(大きな失敗につながるのではないか)という不安感もあります。 ...続きを見る |
2011/04/02 21:55 |
“戦いに対する反応”と“自分の負け・下位”を認める服従ディスプレイ:身分の上下から敬意の表現へ
武器(凶器)を用いた戦闘では、どちらかが鈍器・刃物や銃器によって死亡するリスクがあり、それは即ち自分もしくは相手が重犯罪者として検挙・処罰されることにつながるので、争いで武器を持ち出す人は殆どいない。武器で攻撃すれば敵対者に致命傷を負わせることが多くなり、個人対個人の争いであれば『報復の危険性』はなくなるが、武器の強力化や軍事兵器(火器・爆弾)の登場は『集団闘争(戦争)の被害規模の巨大化』という新たなリスクを生み出した。 ...続きを見る |
2011/03/19 09:07 |
人間はなぜ“威嚇・敵視”されるよりも笑われたほうが怒るのか?:対等な相手に見られたい心理
攻撃行動のディスプレイや威嚇的な言動から分かることは、人間も他の動物種と同じように、実際に相互が傷ついたり死んだりするリスクのある『戦闘・戦い』をできるだけ避けようとして、『威嚇・虚勢・攻撃のディスプレイ』によって直接的に戦わずに自他の優劣関係や譲歩の確認をしようとしているということである。誰かと激しい対立をした時に、大声で凄んでみたり言葉で相手を脅したり、ジェスチャーで戦闘の準備・覚悟を示したりする行動は比較的多く見られるかもしれないが、実際に殴ったり蹴ったりする乱闘・戦闘が発生することは人間... ...続きを見る |
2011/03/13 07:36 |
人間は敵と“実際の戦い・喧嘩”を回避するためにどうするか?:攻撃ディスプレイと異指向ジェスチャー
前回の記事の続きになるが、実際に殴ったり蹴ったりの暴力を振るわなくても、『間接的な威嚇・集団的な威圧』によって相手の行動や判断の自由を制約できるというのは経験的に了解できることであるが、これは『相手の社会適応性や良識・倫理観の有無』や『暴力行為と事後的な法的処分とのスピード』の問題としても考えられる。人間は通常かなり好戦的で倫理観がないように見える粗暴な人物でも、直接的な腕力を行使して殴り合いをしたりすることは極めて稀である。殆どのケースにおいて『威嚇・威圧のポーズ』や『腕力の強さや性格的な危な... ...続きを見る |
2011/03/13 07:33 |
自分の感情を認識するための自己知覚・原因帰属1:認知的不協和の動機づけと情動の中枢神経説
前回の記事では、スペリーとガザニガらの分割脳実験と右脳(非言語性半球)の潜在的認知プロセスを参考にして、自分自身でも知ることのできない『自分の心理状態・行動の原因』について考えてみました。古代ギリシアのデルフォイのアポロン神殿には『汝自身を知れ』というスローガンが掲げられていたと言いますが、哲学史・宗教史では『主客問題・自我・実存主義・内観と瞑想・帰依と祈り・神との対話・個人主義・共同体主義』などのコンセプト(テーマ)や実践を通して自己を知ろうとしたものの、自己の理解は思弁的あるいは物語的なレベ... ...続きを見る |
2011/02/16 06:36 |
自分で自分の行動・判断についてどのくらい正しく知る事ができるか?:スペリーとガザニガの分割脳実験
自分の心理状態や知的能力については自分自身が一番良く分かっていると思いがちですが、『脳が情報処理していること』と『自分が分かっていること(意識化・言語化できること)』の間に大きなズレがあることが、幾つかの脳神経科学の実験によって明らかになっています。ある課題を遂行するために、脳が大脳皮質で情報処理を行っていても、自分自身はその情報処理の存在に気づかないことがあるという事ですが、この意識化(言語化)できない情報処理プロセスの事を『潜在的認知』と呼んだりもします。 ...続きを見る |
2011/02/15 22:13 |
“幸福感・充実感・リラックス感”を得るためのカウンセリング的な視点3:今・ここにある幸福への感度
カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)の『徹底的な傾聴』とも重なってくるが、カウンセリング技法の基本中の基本である『傾聴』は聴いて貰う側だけに心理的な効果や支持があるわけではない。前回の話題の続きになるが、相手の話を集中して丁寧に聴いているカウンセラーの側のほうにも、他者を理解しようとすることの喜びや自己を客観視して落ち着ける効果というものがある。 ...続きを見る |
2011/02/04 05:10 |
“幸福感・充実感・リラックス感”を得るためのカウンセリング的な視点2:人間関係の悩みの捉え方
『前回の記事』の続きだが、『急がなきゃ急がなきゃ。このままじゃ間に合わない』という自分を急き立てるような切迫感は、確かに稀にではあるが、尻に火がついた事でモチベーションと仕事の処理速度を引き上げることがある。だが、それはやらなければならない仕事量が、『スケジューリングの時間枠』の中に何とか収まっていて、自分の能力・意欲を最大限に発揮すればぎりぎりで終わらせられるという実感に支えられているケースに限られる。 ...続きを見る |
2011/02/04 05:06 |
“幸福感・充実感・リラックス感”を得るためのカウンセリング的な視点1:マルチタスクの焦燥感の改善
肩に力の入り過ぎた緊張感を和らげることができれば、緩やかなリラックス感を得ることができるし、自分の立てた目標・計画を思い通りにこなすことができれば、自分が物事を上手くやり遂げたという充実感を感じることができる。不安や気がかりの原因となっている問題や物事を首尾よく完璧に解決することができれば、長く続く安心感を得ることもできる。そして、一般に人間が幸福感を感じるためには、『自分の望み通りの状態』がテンポ良く実現するか、『期待通りの他者の反応(承認・評価)』が得られなければならないと思われている。 ... ...続きを見る |
2011/02/04 05:00 |
“依存の極”と相関するパーソナリティ障害・人格特性とアパシー2:演技性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティでは『自分のやりたいこと・好きなことへのこだわり』よりも、『他人が自分をどう見ているか・他人がどれくらい自分を肯定して支持してくれるのかという依存性(他者配慮性)』のほうが強くなるので、自分をひっぱっていってくれるリーダー的な存在がいたり、何をすべきか指示・助言してくれる他者がいれば、それなりの社会参加や仕事への動機づけが出来る面があります。 ...続きを見る |
2011/01/18 21:55 |
対象喪失の悲哀がどのようにうつ病の自尊心低下と相関するか2:リビドー固着とナルシシズムの問題
前回の記事の続きとなりますが、自分にとって大切な位置づけにある『かけがえの無い他者(自己対象)』を失えば、誰もが悲しみに覆われた苦痛な心理状態を体験することになるのであり、その悲しみや辛さを癒すためには『喪の仕事』と呼ばれる一定以上の時間が必要となります。対象喪失の悲哀や苦悩、葛藤が十分に癒されるためにはどのくらいの時間が必要なのか。その必要な時間には個人差がありますが、心理状態が回復するに従って『外界・他者・娯楽への興味関心』が戻ってきて、外向的な行動・思考が見られやすくなるという特徴がありま... ...続きを見る |
2011/01/03 14:40 |
対象喪失の悲哀がどのようにうつ病の自尊心低下と相関するか1:“喪の仕事”による感情・自我機能の改善
精神分析では自己と同等の価値を持つ対象を『自己対象(self-object)』と呼び、自己対象を喪失した時には『悲哀感情』が起こると考えますが、重要な他者(対象)を何らかの事由で失った時に起こる『対象喪失(object-loss)』はさまざまな心的過程と関係しています。 ...続きを見る |
2011/01/03 14:37 |
茨城県JR取手駅で発生したバス襲撃事件について3:再チャレンジの希望と対人的な承認ネットワーク
若年ホームレスやネットカフェ難民、派遣切りなどの問題には、人生設計の甘さや労働意欲の低下といった自己責任の関与する部分もあると思いますが、何度も再就職しても自分の経済生活や人生の状況が好転する兆しが見えないという『学習性無力感』だったり、頼れる家族も友人もおらず精神的な支えになる相手もいないという『情緒的セーフティネットの欠如・孤立状況の持続』だったり、預貯金が無くなり住居にも交通費にも事欠くようになった『経済的困窮』が背景にあると考えられます。 ...続きを見る |
2010/12/21 01:26 |
茨城県JR取手駅で発生したバス襲撃事件について2:『人生を終わりにしたい願望』の他律性と選択放棄
ひきこもり・無業者といった非社会的行動の原因の多くには、挫折体験や対人コミュニケーションの苦手意識、既存社会(企業・仕事)への不適合感などの認知が定着する『学習性無力感・アパシー(意欲減退兆候)』が関係していますが、通常は社会や他者との接点を持たない非社会的行動パターンに陥っても、反社会的な暴力性・犯罪性が伴うことは稀です。 ...続きを見る |
2010/12/21 01:05 |
茨城県JR取手駅で発生したバス襲撃事件について1:不安定雇用・繰り返された転職と対人関係からの孤立
茨城県取手市のJR取手駅で17日に、無職の27歳男性がバス内で中高生ら14人を無差別に包丁で切り付ける事件が起こりましたが、加藤被告が起こした東京の秋葉原無差別殺傷事件や金川死刑囚が起こした茨城県土浦市の無差別事件とも類似の構造を持っているように感じます。 ...続きを見る |
2010/12/21 00:52 |
クライアントの鏡としてのカウンセラーの中立性と“無意識・幼児期の決定論”を前提とする精神分析の変化
前回の記事の続きとなるが、クライアントの内面や苦悩を映す『鏡』としての機能を果たすために、カウンセラーの中立性が要請されてくるわけだが、カウンセラーの中立的態度をより噛み砕いていうならばクライアントが『自己との極端な差異・対立・食い違いを感じないような態度』ということである。 ...続きを見る |
2010/12/07 21:51 |
クライアントの“心的現実性・悩みの中心”を理解するための傾聴技法と転移感情についての自覚化
カウンセラー(心理療法家)の第一の仕事は『クライアントの話を聴くこと』であり、C.ロジャーズのクライエント中心療法ではカウンセラーの基本的態度として『徹底的傾聴』を上げている。クライアントの話を聴くことが重要というと簡単なようにも思えるが、『アセスメントを意識した調査的傾聴』と『心理効果を意識した共感的(洞察的)傾聴』とは異なり、前者は“医学的診断・臨床上の見立て”をつけるために、クライアントにまつわる客観的データや周辺情報を得ることが主な目的となる。 ...続きを見る |
2010/12/07 21:44 |
植木理恵『ウツになりたいという病』の書評1:うつ病の未病としてのウツもどきとうつ概念の拡大
古典的なうつ病(気分障害)とは異なる症状や特徴を持つ『非定型うつ病(新型うつ病)』については、過去にこのブログでも何回か取り上げていますが、本書では“ウツもどき”というフレーズによって現代的なうつムーブメントを分析しています。 ...続きを見る |
2010/11/19 01:47 |
デズモンド・モリスが説く現代の社会的序列と地位ディスプレイ:継承者・実力者・文化人の分類
文明社会を構築する政治権力(法権力)も倫理規範も存在しなかった原始的社会では、明示的な腕力(暴力)とその示威的アピールによって『社会的優劣・集団内の序列』が規定されていたと推測される。 ...続きを見る |
2010/11/13 20:57 |
すべての民間暴力を否定する近代国家と理由のある暴力を肯定する人間心理:闘争‐逃走反応の考察
法治主義や人権思想、教育活動が普及した現代の先進国では、他者と『物理的な暴力(実力)』で優劣を競い合って戦う場面はほとんど無くなっているが、十分な社会化・道徳化が行われていない幼児期から思春期に掛けては、感情・プライドの対立から殴り合いの喧嘩が起こったり、少年グループの間で自分たちのほうが強いという暴力(腕力)をほのめかす示威的行為が行われたりすることがある。 ...続きを見る |
2010/11/03 13:32 |
『緊張する対人状況・不慣れな環境』の不安から自分を守る“パーソナル・スペース”と“身体交差”
個人の縄張り意識については、社会学の『パーソナルスペース(私的領域)』と『儀礼的無関心』の概念で説明することができるが、人は公共空間において目に見えない心理的なパーソナルスペースの境界を持っており、知らない他人が数十センチ(80センチ前後)未満まで自分に近づいてくると強い警戒心や不快感を生理的に感じやすくなる。 ...続きを見る |
2010/10/31 12:27 |
他者との関係性の種類・親密度を示す“結合サイン”のディスプレイと挨拶行動の効果
挨拶ディスプレイの一つであるスキンシップを伴う『近接ディスプレイ』は、どういった触れ合い方や身体接触の仕方をしているかによって、二人の人間関係の種類や結びつきの強さを推測することができます。身体接触が行われる近接ディスプレイにはさまざまな種類がありますが、“握手”や“身体に軽く触れる誘導(道案内)”のようにそれほど親しくない相手(初対面の相手)にもする身体接触から、“キス”や“お互いの腕を組む”のように恋人(配偶者)や家族など極めて親しい相手としかしない身体接触までの幅の広さがあります。 ...続きを見る |
2010/10/15 18:47 |
交流分析における“儀式(挨拶)”の交流と相手に親密さ・歓迎の気持ちを伝える“挨拶ディスプレイ”
他人に挨拶をする行為は、エリック・バーンの交流分析の『時間の構造化』において、『儀式(儀礼)』という行為類型に分類されます。交流分析では他者とのコミュニケーションの目的を『ストローク(stroke)の獲得』としていますが、ストロークというのは他者から自分の存在を認められる情緒的・生物学的な刺激のことです。 ...続きを見る |
2010/10/04 15:38 |
TAT・描画法の科学的研究と標準化・信頼性の困難:科学の懐疑主義を臨床心理学にどう生かすか?
リリエンフェルドの『臨床心理学における科学と疑似科学』は、臨床心理学の定説や成果を批判的に検証した本ですが、臨床心理学の『科学哲学的な考察・科学的視点にフォーカスした論考』に関心を持っている人であれば一読の価値があります。『臨床心理学における科学と疑似科学』は、科学としての心理学と技術としての心理学の境界線を明確化する目的で書かれていますが、冒頭では疑似科学・経験論を承認しやすい人間心理の仕組みについても言及されています。 ...続きを見る |
2010/09/26 09:04 |
心理検査(心理テスト)の科学的研究の論点:解釈の多義性を持つ『投影法』の標準化と限界
クライアント(被検者)の性格傾向や精神病理などを目的に合わせて調べる『心理アセスメント』には、調査的・診断的面接を補助するさまざまな種類の心理検査(心理テスト)があります。臨床心理学(clinical psychology)を実証性・客観性を重視する科学的心理学の観点から考えると、『心理検査の科学的・統計的根拠』が評価されることになりますが、心理検査の多くは『信頼性・妥当性・評価基準(統計的偏差)・標準化』によって科学性が担保されていると推測されます。 ...続きを見る |
2010/09/26 09:00 |
交流分析の『エゴグラム』を用いた構造分析の理論:自我状態のアンバランスの修正法について
前回の記事では、5つの自我状態の特徴・機能を大まかに説明しました。エゴグラムの理論・技法を体系化したJ.M.デュセイは、社会適応力と情緒安定度が高くて他者とのコミュニケーションも円滑になりやすいエゴグラムとして、『ベル型』と『平ら型』を上げています。 ...続きを見る |
2010/09/22 05:34 |
交流分析の『構造分析(エゴグラム)』と各自我状態の特徴・役割について
1950年代にアメリカの精神科医エリック・バーンが開発した交流分析(transactional analysis)では、人間の自我構造・精神機能を以下の“5つの自我状態”に分けて考えます。簡易な心理テストに基づいてこの5つの自我状態のバランスをグラフ化したものが『エゴグラム(egogram)』であり、エゴグラムによって自分や他人の性格構造・コミュニケーションのパターンを客観的に認識しやすくなります。 ...続きを見る |
2010/09/22 05:31 |
認知症の人にとってのコミュニケーションと主観的な現実感:“環境世界の共有”による癒し
前回の記事の続きになるが、敬意を持った声掛けや明るい笑顔での挨拶、認知症の人の話を興味を持って聞こうとする姿勢、スキンシップを交えた簡単な会話などによって、ポジティブな情動の共有が起こりやすくなる。 ...続きを見る |
2010/09/15 05:57 |
“情報交換のコミュニケーション”と“感情共有のコミュニケーション”:認知の低下とことば
コミュニケーションの目的には大きく分けて『情報交換・情報共有による意思疎通』と『感情交流(感情共有)・共感伝達による相互承認』とがあるが、一般社会のビジネスや教育の場面で重視されるのは前者の『正確な情報交換とその内容の理解』である。 ...続きを見る |
2010/09/11 04:12 |
男女平等社会における男女関係・結婚生活の幸福観と水無田気流『無頼化する女たち』の雑感
この記事は、現代日本における“女性のアイデンティティの錯綜”と“仕事・結婚・消費の価値認識”:1からの内容を踏まえたものとなります。1980年代は女性のアイデンティティが多様化して、規範的なジェンダーが拡散した時期であり、メディアが“キャリアウーマン的な生き方”を“専業主婦的な生き方”よりもカッコ良いと賞賛することで、女性が社会的生産に参加する『女性の労働者化・男女共同参画社会化』が進んだ時期でもあった。 ...続きを見る |
2010/09/03 23:00 |
企業の定期健診に導入予定の『うつ病兆候のチェック項目』と職場におけるメンタルヘルスの関心の高まり
うつ病(気分障害)に関する啓発教育や情報提供が進んだこともあり、うつ病発症の疑いがある人が『睡眠障害・食欲不振・抑うつ感などの自覚症状』をきっかけにして、心療内科・精神科を受診するハードルは下がってきている。 ...続きを見る |
2010/08/18 16:50 |
リラックスした対人関係を生み出す“ペーシング”と“姿勢反響”:お互いの動作を合わせる効果
対人関係を円滑にするコミュニケーション技術をマニュアル化したNLP(神経言語プログラミング)には、ペーシング(pacing)という基本動作がある。 ...続きを見る |
2010/08/03 01:03 |
視線を用いた非言語的コミュニケーションと優劣関係のディスプレイ:目で好意・悪意・恐怖を伝達する
人間や類人猿、サルにとって、『他の個体』を長く凝視したり目を合わせたりすることは特別な社会的意味を持つ行為である。サル山にいるニホンザルの目を人間が長く見つめると、サルは歯を剥き出して大声で吠え、今にも飛び掛ってきそうな形相をし始める。サル同士でも序列関係が下位のサルが上位のサルの瞳を長く見つめていると、『俺から目を逸らせ』とばかりに目を見開き歯を剥き出しての威嚇行為が始まる。 ...続きを見る |
2010/08/01 10:01 |
ひきこもり70万人・親和群155万人の内閣府推計2:経済的報酬と社会的承認による仕事の動機づけ
前回の記事の続きになるが、毎日会社(官庁)に通勤して働いていない人をひきこもりとする『広義のひきこもり』は、自室(自宅)から出られない人をひきこもりとする『狭義のひきこもり』よりもその数が必然的に大きくなるし、比較的健常なパーソナリティ(主観的苦悩の小さい心理状態)を持つひきこもりの人の比率が増えてくる。 ...続きを見る |
2010/07/26 19:54 |
ひきこもり70万人・親和群155万人の内閣府推計1:現代社会でなぜひきこもりは増えるのか?
内閣府が23日に発表した全国実態調査で、現在ひきこもりの状態にある人が約70万人、ひきこもり予備軍(ひきこもり親和群)が約155万人に上るという推計が出され、今後もひきこもりは増加傾向にあると分析している。 ...続きを見る |
2010/07/26 19:51 |
現代社会における“無償の子育て”と“親孝行の倫理”:親の子に対する愛情・期待の強度と過干渉
子どもは親にどのくらい献身的に尽くさなければならないのかという倫理的な問いかけは、現代社会の都市部では『老後の介護問題』などを除いては殆ど問われることが無くなってきました。当然、親孝行はしないよりもしたほうが良いのですが、子どもの人生設計(仕事・結婚・家計など)を大幅に犠牲にしてまで親孝行をして欲しいと望む親はかなり少なくなっており、『できるだけ子どもに迷惑を掛けたくないという親世代』が増えている傾向があります。 ...続きを見る |
2010/06/28 23:08 |
男女関係における“性格・経済力・容姿の魅力のバランス”:なぜ最終的に性格的魅力が重要なのか?
どんなタイプの異性が好きかという質問に対しては、“優しさ・誠実さ・真面目さ・責任感・面白さ”などの『性格的魅力』を挙げることもあれば、“美しさ・かっこ良さ・可愛さ・高身長”などの『身体的魅力』を挙げることもある。結婚する相手の条件という質問では、より現実的に“職業・年収・地位・学歴”など家計や経済生活に直結した『社会的・経済的能力』が重視されることが多い。 ...続きを見る |
2010/06/07 20:42 |
どうして、“恋愛・結婚”で自分が不幸せになりそうな相手(状況)を選んでしまうことがあるのか?
男性でも女性でも、好きな相手に求める属性・特徴の上位には『誠実さ・真面目さ・信頼感・温厚な優しさ』などが上がってきますが、これらは総じて『性格の良さ』という風にまとめることができます。反対に、『誠実ではない・不真面目である・信頼できない・暴力的である』などの属性を持った性格に問題のある異性を、初めから求めているという人は滅多にいないわけですが、実際には性格・人格に大きな問題のある相手と繰り返し付き合ってしまうという人も少なくありません。 ...続きを見る |
2010/06/07 20:34 |
“浮気”が許せないと感じる男女の心理の違い:男に愛想を尽かした女の気持ちはなぜ変わりにくいのか?
どんなに好きな相手でもいったん嫌いになってしまうと何の関心も持てなくなる人もいれば、相手からかなり酷い仕打ちを受けたにも関わらずもう一度その相手とよりを戻したいという人もいる。一般的には、別離(離婚)に傾き始めた女性の気持ちを元通りに戻すことは困難とされるが、浮気をする男性の場合は浮気をしても安定した元の関係は維持したいという人が少なくない。 ...続きを見る |
2010/05/29 02:08 |
うつ病の発症リスクとなる性格行動パターン(病前性格)とセルフヘルプによる予防的対処
うつ病患者の増加や自殺問題の深刻化を受けて、国もうつ病の『早期発見・早期対応』についての取り組みを強めていますが、うつ病には抑うつ感や絶望感、自己否定感を感じやすい『病前性格』が関係しているとされています。 ...続きを見る |
2010/05/27 12:47 |
“人の可能性・話す意欲・リソース”を引き出す解決志向カウンセリングのコミュニケーションスキル
ブリーフ・セラピー(短期療法)や解決志向型カウンセリングでは、クライアントの『内的リソース(心理的資源・能力)』や『問題解決行動の動機づけ』を新たな可能性として引き出そうとする。 ...続きを見る |
2010/05/18 05:17 |
“ネガティブな感情・気分”の悪循環を断ち切るための認知療法とセルフヘルプによる気分の改善
A.ベックの認知療法やA.エリスの論理療法(論理情動行動療法)では、『認知(物事の捉え方)が気分や感情を規定する』という認知理論の前提に立って、『自分にとって苦痛で不快な感情(気分)』を変容させることを目指していきます。『客観的な出来事』と『自分の感情・気分』が直接的に結びついていると、『嫌な出来事・つらい状況』があると反射的にネガティブな感情が起こったり気分が激しく落ち込んだりします。 ...続きを見る |
2010/05/08 00:27 |
“他人の苦労・不幸”を求める劣等感と“自分の苦労の承認”を求める欲求がすれ違う対話状況
カウンセリングのような一定の役割関係がある対話よりも、友人知人に対する『人生相談・悩み相談』のほうが、相談をする相手の自己開示(自分語り)や生活状況の内容によって、どこまで踏み込んだ相談ができるか、どういった気分の変化が得られるかは変わってくることが多いかもしれない。 ...続きを見る |
2010/04/26 18:49 |
『苦痛な体験』をした人でないと他人の痛みは分からないのか?:カウンセリングの共感性と中立性
自分と同じような『苦痛な体験』をした人や自分と近しい『過酷な境遇』にあった人でないと、自分が直面している苦悩や悲しみを共感的に理解することなどできるはずがないという考え方がある。 ...続きを見る |
2010/04/23 07:44 |
“所与の人間関係の減少”を前提とした現代社会のエロス的(情緒的・家族的)な人間関係の構築
前回の記事の続きになりますが、自分にとって他者はどのような意味や価値を持っているのか、他者は自分に対してどのような影響を与えるものとして認識されているのかによっても、『人間関係やコミュニケーションのパターン』が規定されてきます。 ...続きを見る |
2010/04/20 15:02 |
“他人と関わりたい欲求”と“他人から干渉されたくない欲求”が生み出す人間関係の問題・相性
人間関係の悩みの多くは、『他人から認められたい・愛されたいという承認欲求』や『他人から傷つけられたくない・構われたくないという防衛欲求』とに関係しています。自分にとっての『他者表象(他者のイメージ)』がどのような意味を持つのかは、幼少期からの親子関係や児童期の友人関係、思春期の異性関係など様々な人間関係が影響しますが、『外向的で人間好きな人』と『内向的で人間嫌いな人』とで人間関係の悩みの内容は変わってきます。 ...続きを見る |
2010/04/19 06:57 |
“他者から受け容れられない苦痛・孤独”が生み出す『自虐的・自嘲的な自己暗示』によるリスク
前回の記事では、自己評価の構成要素としての『成功欲求・自己定義』と『承認欲求・帰属欲求』について説明したが、自己評価を原因とする心理的問題には『他者の評価や意見へのこだわり・自己否定的な認知』が関係していることが多い。 ...続きを見る |
2010/04/05 23:14 |
“自己評価・自己肯定感が低下する要因”と“自己評価を高めるためのポイント”
自己評価が不安定になったり極端に低くなってしまう原因としては、『非現実的・不適応的な自己と他者へのこだわり』があるので、この硬直したこだわりを緩和して、自分と他人の特徴や属性を自然に受け容れられるようになれば自己評価は安定しやすくなってくる。その方向に考えれば考えるほど、やる気や自信、楽しさがなくなっていくような『悲観的・自己否定的なこだわり』からできるだけ離れていく柔軟な認知(意識を向ける対象の転換)が大切である。 ...続きを見る |
2010/03/25 13:33 |
自己評価に対する“自己愛の過剰性・劣等コンプレックス”の影響:自己評価を形成する3つの要素
『自己評価(self-esteem)』が低くなると、自分に自信が持てなくて劣等コンプレックスに悩まされたり、目的を達成するための行動やコミュニケーションが出来なくなったりして、日常生活(対人関係)に色々な支障や不利益がでてくる。『自己評価』の高低は『自己愛(self-love)』の強さとも関係しているが、自己愛が強ければ強いほど適切な自己評価が得られるわけではなく、自己愛を補強するために『自分の欠点・短所・弱点』を覆い隠そうとすると、自己欺瞞的な防衛機制によって自己評価はかえって不安定になる。 ... ...続きを見る |
2010/03/21 13:00 |
“家庭・育児の環境要因”は個人の性格形成や知能発達にどれくらいの影響を与えるか?
人間の性格形成や能力向上、精神発達に与える『遺伝要因・環境要因』の影響がそれぞれ何パーセントであるのかを、正確に判断することは難しい。遺伝要因と環境要因の影響を厳密に区別する研究方法(環境条件の統制)には限界があるので、一卵性双生児を用いた『双生児研究(異なる成育環境で成長した双生児の性格・知能・適応の比較)』などの成果を元にして遺伝要因と環境要因の大まかな比率を推測するしかないからである。 ...続きを見る |
2010/02/25 03:15 |
人間の性格や知的水準を規定する“遺伝”と“環境”のバランス:遺伝子・環境の決定論の限界
人間の性格形成や精神発達のプロセスには様々な要因が関係しているが、『生得的な遺伝要因』と『後天的な環境要因』のどちらを重視するかによってスタンスが変わってくる。人間の性格傾向や能力・適性が遺伝(生まれ)によって決まるのか、環境(育ち)によって決まるのかという『氏か育ちか論争』は19〜20世紀を通して活発に行われた経緯があるし、現代でも人間の性格行動パターンに及ぼす特定の遺伝子の影響を研究する『行動遺伝学』のような分野がある。 ...続きを見る |
2010/02/22 03:09 |
『脳内ホルモンのタイプ論』による男女関係のマッチング2:人はどんなタイプを好きになるのか?
どういったタイプの異性を好きになるのかの要因には、自分のパーソナリティを肯定的に強化してくれる相手を好きになる『類似性・同質性』と、自分のパーソナリティに足りない部分を相互的に補完してくれる相手を好きになる『相補性・依存性』とが想定されています。 ...続きを見る |
2010/02/15 21:41 |
『脳内ホルモンのタイプ論』による男女関係のマッチング1:各タイプの恋愛・結婚の特徴的パターン
H.フィッシャーの『脳内ホルモンのタイプ論』では、『恋愛関係・結婚生活のマッチング(相性判定)』も分析することができますが、それぞれのタイプは主に以下のような『男女関係・家庭生活の気質的なパターン』を持っています。『他のタイプ』との相性の良し悪しについては、『冒険型‐冒険型・建設型‐建設型・指導型‐交渉型の相性』が良いと考えられています。 ...続きを見る |
2010/02/12 16:30 |
H.フィッシャーの『脳内ホルモンのタイプ論(パーソナリティタイプ)』による性格行動パターン
性格傾向を全体的・直観的に捉えやすい“類型論”には、C.G.ユングの外向性・内向性に基づく『タイプ論』やE.クレッチマーの『体型性格論』、W.H.シェルドンの『発生的類型論』などがありますが、『恋愛関係における特徴・相性』を知る上で役立つパーソナリティ論としてヘレン・フィッシャーの『脳内ホルモンのタイプ論』があります。 ...続きを見る |
2010/02/12 16:12 |
問題解決志向のカウンセリングと自他理解の重要性3:人の認知・行動は何によって変わるのか?
前回の記事の続きになるが、現実的な『自己理解』や状況認識を深めていくと同時に、『他者理解』を深めることが『新しい認知・行動パターン』の獲得を後押しすることも多い。カウンセリングにはクライアントの問題状況や性格傾向に適した情報提供を行うという『心理教育的な側面』もあるが、その心理教育的側面の中心にあるのが『自己理解と他者理解の促進』である。 ...続きを見る |
2010/01/26 09:51 |
問題解決志向のカウンセリングと現実・欲求の否認のリスク2:今までと違うやり方や考え方の探索
身体疾患でも『早期発見・早期治療』が医学的対処の原則であるように、心理的問題でも『その状況を放置し続ければより状況(体調)が悪くなる』ことが予測される時には、『早期の気づき・早期のケアと行動』が大切になってくると言える。虫歯の治療が痛くて怖いからといって、歯科医の治療を受けなければ、虫歯は放置して自然治癒することはないので、数ヵ月後、数年後にはより虫歯のレベルが進行してより痛い治療を受けなければならなかったり、最悪のケースでは歯そのものを失ってしまう危険もある。 ...続きを見る |
2010/01/24 06:48 |
問題解決志向のカウンセリングと現実認識の転換1:人はなぜ自分の現実を抑圧・否認するのか?
カウンセリングの目的には『クライアントの悩み・問題の解決(軽減)の促進』というプラグマティックな要素と『クライアントの内的世界に対する共感的理解・肯定的受容』というヒューマニスティックな要素とがある。どのくらいのスパン(期間)でクライアントの問題解決を促進するかによって、ブリーフセラピー(短期療法)や精神分析的カウンセリングなどの立場は分かれるが、基本的には『問題解決につながる認知・行動のポジティブな転換』をさまざまな方法や対話で導き出そうとする。 ...続きを見る |
2010/01/24 06:41 |
発達心理学の歴史とフィリップ・アリエスの『子どもの誕生』3:“臨床・発達・教育”の視点
発達心理学の歴史がどのように展開していったのかについて定説はありませんが、19世紀には自然科学(進化生物学)の発展に影響を受けた『比較心理学』という分野が生まれており、人間と類人猿の行動・心理を比較したり、人間の大人と子どもの行動・心理を比較したりする研究が行われていました。 ...続きを見る |
2010/01/18 01:09 |
発達心理学の歴史とエリクソンのライフサイクル論2:自己アイデンティティの可変的な流動化
精神発達段階の最も分かりやすい発達漸成図式は、精神分析の教育を受けていたE.H.エリクソン(1902-1994)の『ライフサイクル論(社会的精神発達理論)』ですが、エリクソンはリビドー(性的欲動)概念に囚われずに個人と社会の相互作用(適応過程)に注目した8段階の発達理論を構築しました。 ...続きを見る |
2010/01/14 17:54 |
発達心理学の歴史と心理学の方法論的な科学性1:“生涯発達の視点”による中年期の危機
日常で用いる『発達(development)』という言葉には、『向上・発展・進歩・前進』など現時点よりも高度な能力や機能を獲得するという含意がありますが、心理学の歴史においても20世紀半ば頃までは発達を『能力・機能の向上のプロセス』として解釈していました。 ...続きを見る |
2010/01/14 17:50 |
人間はどんな相手に“恋愛感情・安心感”を持ちやすいのか?:社会的交換理論による対人認知
『好意の返報性』はやんわりとした相手の好意・関心を引き出しますが、より恋愛感情に近い親密な好意・関心を引き出したい時には、『相手の求めている異性像の特徴(好みの異性のタイプ)』に自分を近づけるという方法もあります。 ...続きを見る |
2010/01/06 20:57 |
異性からの恋愛感情と『好意の返報性』:恋愛・結婚・別れによる自己アイデンティティの変化
前回の記事では、異性に対する恋愛感情が高まる一般的な要因について書きました。今回は、もう少し個人単位で『異性から恋愛感情を寄せられやすいポイント』を見ていきながら、恋愛の本質について考えてみます。 ...続きを見る |
2010/01/05 16:49 |
2009年にEs Discoveryのブログ経由で売れた本(心理学・カウンセリング)のピックアップ
2009年に、Es Discoveryのブログやウェブサイトを経由して購入して頂いたAmazon.co.jpの『本・書籍』と『それ以外の商品』には以下のようなものがありました。 ...続きを見る |
2009/12/31 16:13 |
人の恋愛感情はどんな時に高まりやすいのか2:『異性への恋愛感情』と『一般的な好意』との違い
前回の記事では、『自分の持っている恋愛・自己に対する認知(考え方)』や『二人の置かれている環境・関係』、『その時点での心理状態・生理学的状態』の要因を上げましたが、それぞれについて簡単に説明すると次のようになります。 ...続きを見る |
2009/12/27 10:23 |
人の恋愛感情はどんな時に高まりやすいのか1:相手の『特徴・属性』と『行動・対話』に感じる魅力
人が他人を異性として好きになる要因には『外見的要因・性格的要因・環境的要因・経済的要因・生理的要因』がありますが、客観的な特徴(条件)によって好きと思う人と実際の関わりあいの中で好きになる人との間には、若干のズレが生まれることがあります。 ...続きを見る |
2009/12/27 10:17 |
“精神医学の近代化”と“向精神薬(薬物療法)・神経科学的仮説の発見”の歴史
1950年代の抗精神病薬の発見によって、精神医学の治療法は『エビデンス(統計学的根拠)のある薬物療法』へのパラダイムシフトを体験することになりました。一番初めに統合失調症の治療薬として使い始められたクロルプロマジン(商品名:コントミン・ウインタミン)は、繊維を染める合成染料フェノチアジンの開発過程で偶然に生産されたものでした。 ...続きを見る |
2009/12/16 00:47 |
サラリーマン(働いている人)のストレス状況と効果的なストレス対処:自律神経系の失調の問題
20代〜30代の社会人男性500人を対象とした『ストレスに関するアンケート』で、ストレスによる睡眠障害や消化器の症状が指摘されています。ストレスが原因と思われる心身症状があっても、『忙しくて時間がない・大した症状ではないと思う』ということでメンタルクリニックの受診機会を持てないサラリーマン(働いている人)も多いようです。 ...続きを見る |
2009/12/05 06:44 |
土井隆義『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』の書評1:“優しい関係”と“いじめ問題”
現代社会で生きる人たちにとって『友達とは何なのか?』という問いに対する答えは様々であり、友達が多くいることに安心感や自己肯定を感じる人もいれば、友達から私生活に干渉されることに煩わしさや面倒くささを感じる人もいる。学校・会社の所属が同じだったり、人脈をつなぐ必要性からとりあえず付き合っている『見せ掛けの友達(ビジネスライクな友達)』と、何でも遠慮なく話し合い相談できるような『本当の友達(プライベートな友達)』は違うという意見もあるだろう。 ...続きを見る |
2009/11/17 22:36 |
“非定型うつ病の特徴”と“うつ病の特徴”の比較:非定型うつ病のストレス反応性・過眠過食・疲労感
現在では、古典的な大うつ病性障害(メランコリー親和型性格に由来するうつ病)の症例が減って、『精神運動制止(一切の活動性の喪失)・自責感・自罰感情・罪悪感』の症状がほとんど見られない軽症うつ病(プチうつ)や新型うつ病が増えているといわれます。無理して仕事をしている時やストレスを感じる嫌なことをしている時にだけ、状況反応的なうつ状態に陥る新型うつ病には、『擬態うつ病(詐病)』と『非定型うつ病』という2つの可能性を考えることができます。 ...続きを見る |
2009/11/14 21:00 |
うつ病の古典的病因論と“気分変調性障害・気分循環性障害”の慢性化の問題について
うつ病(気分障害)には、病因論や重症度、循環性(双極性)などに基づく分類がありますが、うつ病全般に共通する基本症状として以下の2つが典型的なものとしてあります。 ...続きを見る |
2009/11/10 17:20 |
“親子間のコミュニケーション”と“子どもの心理的な発達プロセス”を巡る精神分析的な社会化の課題
『コミュニケーションスキルの向上』に合わせて社会適応性も高くなっていくが、精神分析の発達論ではコミュニケーションに障害が起こりやすい時期として、エディプス期(oedipal stage)と青年期(adolescence stage)が想定されている。コミュニケーション(communication)とは、外部にある他者や社会の仕組みと『双方向的な意思疎通』を行う試みであり、このコミュニケーション機能が障害された病態像(発達像)として統合失調症や広汎性発達障害(PDD)、社会性不安障害(対人恐怖症)... ...続きを見る |
2009/10/23 08:06 |
ジャック・ラカンの『大文字の他者』が支える象徴的秩序と境界性人格障害のコミュニケーションの問題
ジャック・ラカンの精神分析学では人間は現実界において『無意識的願望(本当の欲望)』を十全に満たすことができない、このことは『他者とのコミュニケーションの不完全性』という外観をとって現れることになる。『他者とのコミュニケーション』というのは、外向的で社交的な人にとっては極めて気軽で簡単な行為に過ぎないが、内向的で回避的な人にとっては精神的緊張を伴う難しい行為にも成り得る。 ...続きを見る |
2009/10/23 06:44 |
香山リカ『キレる大人はなぜ増えた』の書評:“自己防衛的な攻撃性”と“利益獲得的な攻撃性”
少し前に、少年犯罪・校内暴力などの事例を挙げた『キレる若者』というフレーズが流行したことがあったが、最近は若者の特徴を評価するフレーズが『草食系男子・消費や結婚をしない若者・雇用の安定志向』といったマイルドで抑制的なものへと変化してきているようだ。 ...続きを見る |
2009/10/15 21:39 |
アダルトチルドレンの原因となる“慢性的な見捨てられ不安・喪失感”と“情緒的なネグレクト”の関係
アダルトチルドレンとしての過去を持つ人は、『抑圧・否認・隔離・投影・合理化・解離』といった防衛機制によって自分の悲しみや痛み、絶望を覆い隠そうとする認知パターンを持っています。何かつらいことがあった時に頭の中に思い浮かんでくる典型的な“自動思考”として、『このくらいのことは大したことではない・自分は傷つけられることには慣れている・自分には他人から大切にされるだけの価値がないから仕方ない』といった自己否定的な思考パターンがあります。 ...続きを見る |
2009/10/05 17:38 |
強迫性パーソナリティ障害の精神分析的な解釈:“完全主義・義務意識”と“罪悪感・自己嫌悪”の相関
幼少期には、母親・父親から受ける『躾(しつけ)の強度や方法』によって人格構造(性格特性)の基礎が形成されてくるが、理不尽な体罰や配慮のない人格非難などを受けた場合には『怒り・反抗・攻撃にまつわるサディズム(嗜虐性)』が起こってくることがある。大半の子どもは、身体的虐待を受けようが精神的侮辱を受けようが、両親がいなければ生きていけないという現実的な不安や自分の親が根っからの悪人であるはずがないという縋るような期待によって、両親に物理的に反撃しようとするサディズムは抑圧されることになる。 ...続きを見る |
2009/10/01 12:22 |
強迫性パーソナリティ障害と硬直的な対人関係や感情表現の問題:自律性の発達課題と完全主義思考
精神分析ではS.フロイトやK.アブラハムの性格理論によって、『強迫性障害(強迫性パーソナリティ)』は2〜3歳頃の肛門期性格と結び付けられてきたが、肛門期性格の特徴は『融通の効かない頑固さ・細かい部分が気になる几帳面さ・出し惜しみしたり貯め込む吝嗇(ケチ)・楽しめない感情表現の硬さ・規則や秩序を過度に好む志向性・ミスを許せない完全主義』などにある。 ...続きを見る |
2009/09/28 04:47 |
社会不安障害・強迫性障害に見られる“完全主義思考の認知の歪み”と認知療法による発想の転換
社会不安障害では、『他人から嫌われたらおしまいだ・他人から拒絶されるような自分には価値がない・他人に好意を持たれないことはつらくて耐えられないことだ』といった人間関係にまつわる偏った認知が見られます。論理療法(論理情動行動療法)を開発したアルバート・エリスは、こういった『〜でなければならない。〜できなければ最悪の事態になる』という完全主義思考を、自分を苦しませるだけで効果の乏しい“イラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)”として分類しました。 ...続きを見る |
2009/09/14 07:33 |
“破局的・悲観的な認知”による精神症状の形成と認知療法に基づく“機能的な認知”の獲得
アーロン・ベックが開発した認知療法(cognitive therapy)では、うつ病(気分障害)の気分の落ち込みや意欲の低下の原因を『非機能的な認知(認知の歪み)』に求めて、この非機能的な認知を現実的に反駁することで『適応的な認知』を獲得しようとします。 ...続きを見る |
2009/09/11 01:04 |
インターネットの“匿名コミュニティ・文字コミュニケーション”を用いた人生相談(悩み相談)の利点と限界
インターネット上では各種の掲示板やSNS、Q&Aサイト、ブログなどを用いて、現実の人間関係の中では話しにくい『人生相談(心理相談・悩み相談)』が行われていますが、『ネット相談に関する記事』を起点にしてネット相談の利点と限界について考えてみます。 ...続きを見る |
2009/09/07 16:29 |
境界性パーソナリティ障害における『対象恒常性の欠如』と『自己アイデンティティの拡散』
境界性パーソナリティ障害(BPD)では、他者のことを継続的・安定的に信頼することができず、絶えず分かりやすい形での愛情や承認、保証を求めているので、『現時点における相手の反応・態度』だけを手がかりにして相手の全体像を評価しようとするのです。BPDを持つ人は、理想化(褒めごろし)と脱価値化(こきおろし)で対人評価が両極端にコロコロと変化しますが、それと同じように自分に対する自己評価も『自己肯定』と『自己否定(自己嫌悪)』の間で激しく揺り動きます。 ...続きを見る |
2009/08/12 17:44 |
境界性人格障害の特徴としての『衝動性・依存性・空虚感・不安定さ』と対人関係のトラブル
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、『衝動性・依存性・攻撃性・空虚感』を特徴とするクラスターBの人格障害で、『対人関係のトラブル・コミュニケーションの緊張』を引き起こしやすくなります。境界性パーソナリティ障害を抱える人の『人格構造』は極めて脆弱でストレスに弱く、『相手の反応・環境の変化・悲観的な推測』などによって感情や気分が急速に不安定になります。 ...続きを見る |
2009/08/07 15:45 |
ストーカーと異性間暴力の心理2:対象恒常性の確立の失敗と孤独耐性の低下・自己愛の過剰
一般的な精神発達のプロセスでは、『母子分離不安』を乗り越えて孤独(心細さ)を感じる自我が萌芽した時に、自己と他者の境界線が引かれて『自分の思い通りにならない他者の存在』を認めていくようになります。幻想的な母子一体感のような『自己の延長(自分の一部)としての他者』を否定して、『自己』と『他者』の独立性を承認し相手に配慮した共感的なコミュニケーションができるようになれば、行き過ぎたストーカー行為を行うリスクは低くなりやすいと言えますが、恋愛関係(異性関係)のあり方についてバランスのとれた価値認識を形... ...続きを見る |
2009/07/29 07:11 |
ストーカーと異性間暴力の心理1:精神的な退行と依存性・内的な女性像(異性像)の投影
警視庁が公開しているストーカー被害の件数は毎年約1,000件で推移していますが、実際には警察に届け出ない暗数としてのストーカーもあるので実際にはもう少し多いでしょう。統計では全く知らない相手が『ストーカーの加害者』になることは余り無く、『交際相手が577人(元交際相手を含む、54%)・知人152人(14%)・職場関係151人(14%)』が上位の内訳になっており、面識のある人物が加害者になっています。 ...続きを見る |
2009/07/28 05:41 |
“6つの恋愛形態”のチェックシートと“各種の恋愛形態”をバランスよく楽しむためのポイント
前回の記事の続きになりますが、恋愛関係が初めから上手くいかなくて相手に失望することが多いという時には、お互いの『恋愛に求めている要素・価値・目的』が完全に食い違っていることがあります。 ...続きを見る |
2009/07/18 17:41 |
恋愛における相手の性格行動パターンの変化と恋愛関係に問題を引き起こしやすい“認知の歪み”
恋愛で好きな異性のタイプ(性格特徴)として上げられやすいものに、『優しい・明るい・面白い・楽しい・思いやりがある』といったものがあり、『容姿・外見』の好みは人それぞれでばらつきがあっても、好きな性格についてはかなりの共通性が見られます。特に、どんな恋愛・結婚のアンケート調査でも『優しい・思いやりがある・誠実』というのは男女共にトップにくる好ましい性格特徴であり、基本的に『優しくない人・思いやりがない人・いつ裏切るか分からない人』を敢えて好んで付き合いたいという人はほとんどいません。 ...続きを見る |
2009/07/18 17:25 |
“現代社会における不確定性・孤独感の高まり”と“他者の代替不可能性(深く親密な人間関係)の希求”
前回の記事の続きになりますが、『リアルの人間関係・コミュニケーション』とは別に『ウェブの人間関係・コミュニケーション』を持てるようになったというのが、インターネットが現代社会にもたらした大きなインパクトでした。この事は『リアルの人間関係のあり方』や『知人・家族とのコミュニケーション手段』にも一定の変質を迫ることになります。 ...続きを見る |
2009/07/12 07:16 |
PTSDの発症に関係する神経系・内分泌系の『闘争‐逃走反応』と罪悪感・自責感を生む“凍りつき”の問題
強烈なストレスやトラウマ事態に対する『生理的・身体的な防衛反応(ストレス反応)』は以下のようなメカニズムになっていますが、PTSDでは交感神経系の過剰興奮やコルチゾール(ヒドロコルチゾン)の減少によって『闘争‐逃走反応』の緊張状態を解除することが難しくなります。 ...続きを見る |
2009/07/01 00:38 |
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を形成するトラウマ体験と自律神経系の過剰亢進による身体症状
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を誘発するトラウマ(心的外傷)というのは、個人の『ストレス耐性の限界』と『問題対処能力(状況対応能力)の限界』を越えた強烈なショック体験によって刻まれる精神的ダメージのことです。トラウマの精神医学的な定義では、生死の危険を感じるような体験をしたり、他者が生死の危険に陥っている状況を目撃することによって受ける精神的ダメージとなりますが、厳密には『死・傷害の恐怖』だけではなくて『極度の自尊心(自己信頼感)の傷つき』によってもトラウマが形成されます。 ...続きを見る |
2009/06/27 01:57 |
解決志向ブリーフ・セラピーにおける“心的リソース・前向きな可能性・例外の発見”を引き出す質問法
ブリーフ・セラピーの特徴について書きましたが、ブリーフ・セラピーの効果を生み出す作用機序は『悪循環の切断』と『ユーティリティ(自己の活用性)』にあります。システム論に基づく悪循環というのは、苦痛な心理状態や不適応な状況にはまり込む『繰り返される性格行動パターン+対人関係の様式』のことであり、悪循環の問題は『自己と他者の相変わらずの反応』が定型的に繰り返されることで維持されています。 ...続きを見る |
2009/06/20 10:55 |
S.フロイトの“エディプス・コンプレックス”とM.クラインの“原始的防衛機制”に基づく発達的な病因論
『前回の記事』では、S.フロイトの無意識概念に基づく精神分析の病因論と作用機序を考えてみたが、精神分析の病理学の特徴はエミール・クレペリンの生物学主義を否定して『精神症状の心理学的意味(欲求の抑圧のメカニズム)』を探求したところにある。フロイトは『偶然の産物・脳神経系の機能異常』に過ぎないとも解釈できる『失錯行為・夢・神経症(精神疾患)』のすべてに独自の理論体系に基づく意味を求めたが、これは『自然な病的過程・生物学的な原因』に批判的なスタンスであった。 ...続きを見る |
2009/05/25 21:04 |
S.フロイトの精神分析における“無意識の原因論”と“欠如した物語性の回復”:幼少期記憶の位置づけ
S.フロイトの精神分析は神経症(精神疾患)の原因論として『幼児期のトラウマ・抑圧されたエス(本能的衝動)』を仮定し、夢分析や自由連想といった技法は、それらの否定的な記憶・感情の想起(言語化)を目指すものである。抵抗や苦痛があって自分では思い出すことができなかった『無意識の内容』を意識化(言語化)することによって、心身症状が軽減・回復するというのが精神分析療法であるが、想起される過去の不快な記憶や苦痛なトラウマは必ずしも客観的な現実とは限らない。 ...続きを見る |
2009/05/25 20:57 |
“不況による雇用悪化・生活苦・うつ病”などの影響で30代の自殺者が増加。うつ病原因論の問題点
世界同時不況が拡散した昨年から非常に厳しい経済情勢と将来不安が続いていることもあり、2008年の自殺者(警視庁発表)は前年より844人(2.6%)減ったものの、11年連続で3万人超の自殺を出すことになってしまった。 ...続きを見る |
2009/05/16 07:57 |
“真のリア充”のライフスタイルや行動基準とはどんなものか?リアルとバーチャルの欲望の相互補完性
ネットで『リア充』という言葉を見かけることがありますが、『バーチャルではなく、リアルで充実した生活をしている人』という意味のようです。『リア充』に対置されやすいのは、『非社会的な属性』を持つオタクやひきこもり、ネト充(ネットで充実)などであることから、リア充でいう“リアル”の定義は『物理的な他者と直接的にコミュニケーションする環境・実名の個人として社会的な評価や役割を受け取る環境』という風に言えるでしょう。 ...続きを見る |
2009/04/20 15:21 |
認知療法による非合理的思考や悲観的な思い込みの改善:ネガティブな自己アイデンティティの問題
認知療法や論理情動行動療法は、『不快な気分・苦痛な感情・意欲の喪失』を生み出す非合理的思考(irrational belief)に着目して、自分で自分を苦しめて絶望させる『認知の歪み(cognitive distortion)』を修正するところに特徴があります。私たちが精神的ダメージを受けたり他者に抑えがたい怒り(不満)を感じる原因は、常識的には『客観的な現実・事象』にあると考えられていますが、『非合理的思考』をセルフモニタリング(自己観察)すると、『客観的な現実(出来事)の受け止め方』には複数... ...続きを見る |
2009/04/06 20:36 |
適応的な精神機能が低下する“精神衰弱”と完全主義欲求・自己不確実感によって持続する“強迫性障害”
古典的な神経症(neurosis)とは『不安症状・恐怖症状・強迫観念・ヒステリー(心因性の心身症状)・心気症(病気発症の非現実的な不安)』の総称ですが、フランスの精神科医ピエール・ジャネ(1859-1947)は内因・性格要因を重視した『精神衰弱』という概念で神経症症状を理解しました。 ...続きを見る |
2009/03/09 12:33 |
人間行動の予測・制御を目指した行動主義心理学とオペラント条件づけから導かれる“マッチング法則”
20世紀前半に起こった精神分析から行動主義(行動科学)へのパラダイムシフトは、『主観的な内観法』から『客観的な観察法・実験法』への方法論の転換を引き起こしました。行動主義心理学の始祖とされるJ.B.ワトソン(1878-1958)は、人間の心理を外部から観察可能な『行動』のみに集約するという構想を持っていましたが、その理論的前提にあったのはI.P.パヴロフ(1849-1936)の生理学的な『条件反射』でした。 ...続きを見る |
2009/03/05 14:54 |
優劣判断される“能力面の個性”と価値判断されない“人格面の個性”:理想自我と現実認識のバランス
『個性教育・個性尊重』と『社会適応・職業選択』のバランスについては、「過去の記事」で掘り下げて書いたことがあるのですが、『個性』に関連したエントリーについて読んだので個性と適応性について補足的に考えてみたいと思います。 ...続きを見る |
2009/02/28 10:44 |
青年期のモラトリアムや中年期のアイデンティティの危機と関連するアパシー・シンドローム(選択的退却)
仕事・学問といった『本業』に対する意欲(やる気)が大幅に低下しているのに、趣味・アルバイトといった『副業』に対してだけは活動的に振る舞えるという“選択的退却”の問題があります。退却神経症とアパシーについては『仕事中だけ鬱になる“新型うつ病”』の記事で詳しく考察しましたが、退却神経症は発達段階(年齢・社会的役割)によって『青年期のモラトリアム(スチューデントアパシー)』と『中年期の危機(自己アイデンティティの回顧と人生への懐疑)』に分けることができます。 ...続きを見る |
2009/02/24 04:48 |
電車・バスの中における携帯電話の通話はどうして迷惑に感じるのか?儀礼的無関心とマナー違反
前回の記事で書いた『迷惑』というのも、『自分がして欲しくないことを、他人にしてはいけない』という風に理解するだけでは、『自分がされても構わないこと』が『相手にとっての迷惑行為』になる可能性がある。こういった迷惑行為に対する認識の違いというのは、知らない他者が集まって形成する『公共空間(道路・電車・バス・公園・図書館・病院の待合室など)』において良く見られるが、大半の人が迷惑と感じる行為にも『実際的な被害・他人の行動の妨害』が殆どないというものは意外に多い。 ...続きを見る |
2009/02/20 21:02 |
A.エリスのABCDE理論のモデルと“不快な気分・苦痛な感情”を改善する合理的信念の効果・特徴
認知療法を参照した『怒りの感情』のコントロールでは、『怒りの発生原因』と『他者への要求・報復』に着目して自分の情動的な怒りを自発的にコントロールすることを目標にしました。アルバート・エリスの論理情動行動療法(REBT)の『ABCDEモデル』やアーロン・ベックのうつ病の心理療法に応用される『認知理論(抑うつスキーマ・モデル)』では、『客観的な出来事(A)』と『結果としての感情・気分(C)』が直接的に結びついているとは考えないところに特徴があります。 ...続きを見る |
2009/02/11 13:42 |
『他人に何かをして貰うこと(贈与−返報)』の負債感の増大と経済取引に求められるサービス・人間関係の質
今の日本でもっとも共有性の高い道徳規範は『他人に迷惑を掛けてはいけない』というものであり、これは『己の欲せざるところ、人に施すことなかれ』という儒教道徳にもつながっている。『他人の喜ぶことをして上げなさい・他人が求めるものを与えなさい』というのも説得力のある道徳規範であるが、こちらは『他人に迷惑を掛けてはいけない』という消極的な道徳よりも実践のハードルが格段に高く、相手が何をして欲しいと思っているのかを正しく知っていなければならない。 ...続きを見る |
2009/02/04 06:26 |
精神分析的なエロス論と大人の性愛コミュニケーションに内在する“退行・依存”の要素
S.フロイトはエロス(生の欲望)の原点として『口愛期』における口唇周辺の快楽を仮定しましたが、エロスとは単純な自己保存(生存維持)の目的を超えた『他者への欲望』です。『エロス』に基づく精神分析の汎性欲説(性一元論)や無意識の決定論には多くの反論異論がありますが、汎性欲説が科学的理論ではなくても『人間がパンのみにて生きるにあらず、人間は一人では生きられない』ということについては大半の人が実感として同意できることだと思います。エロスを大人の性欲の次元だけで捉えると問題は矮小化しますが、普遍的な行動原... ...続きを見る |
2009/01/27 04:49 |
『怒りの感情』の発生原因を考慮した認知療法的な対処法:カタルシスとアンガー・マネージメント
精神分析ではエディプス・コンプレックスを経験する前の子供は、『快楽原則』によって行動する利己的な存在と仮定されますが、エディプス・コンプレックスの『去勢不安』によって利己的な快楽原則から適応的な現実原則への転換が起こります。快を追求して不快を回避するというシンプルな『快楽原則』には、自分の思い通りにならない独立した『他者の人格・表象』が存在せず、怒りと泣き、不機嫌による『要求の呈示』によって快の刺激を獲得して不快を取り除こうとします。 ...続きを見る |
2009/01/23 14:48 |
遺伝要因と環境要因によって形成される人間の性格傾向:性格理解のための『類型論』と『特性論』
人間の『性格(character)』は生得的な遺伝・気質を基盤にしながら、後天的な各種の経験と認知変容を積み重ねることによって段階的に形成されていき、成人期に至るまでに大まかな『個性の傾向』としての性格が他者に認識されるようになる。人間の『精神の発達段階』と『性格特性の発現』にも密接な相関があり、精神発達過程の各段階で『適切な刺激・自他尊重の体験』を得ることでバランスの取れた適応能力の高い性格が形成されやすくなる。反対に、精神発達過程において自己嫌悪や他者不信、無力感、攻撃性(過剰防衛)を強化す... ...続きを見る |
2008/12/28 07:14 |
カウンセリングにおける対話の焦点づけと『自分にとっての意味の洞察』:認知・行動の変容と問題解決
『カウンセリングの基本技術』では、『傾聴・観察』と『クライアントの問題への興味の表示』について説明しましたが、クライアントの立場に立って問題状況や感情状態を推測しながら対話を進めていくことで『自己洞察(自己理解)』が深まりやすくなります。 ...続きを見る |
2008/12/01 15:31 |
社会不安障害(SAD)における『対人不安・回避行動・環境不適応』の症状:対人恐怖症の自己認知の障害
社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)は社会的な場面や対人的な行為に非常に強い『不安・緊張・恐怖』を感じて、その社会的な場面をできるだけ回避しようとする不安障害の一種です。通常の社会生活(仕事・通学)をするためには、他者の前で話したり書いたりする行為を回避し続けることはできませんから、社会不安障害の症状が強まってくると社会的・職業的な不利益が大きくなり日常生活に支障がでてきます。大勢の人の前でスピーチをしたり、権威ある人物の前や重要な会議で発言をするときには誰でも... ...続きを見る |
2008/11/20 03:34 |
ジャック・ラカンの『現実界・象徴界・想像界』の視点から見た人間の欲望・言語活動と信頼関係の本質
S.フロイトに還帰しようとしたジャック・ラカン(1901-1981)は、『すべての人間は神経症者である』という命題を現実界を言語化することの不可能性の中に求めた。なぜ、人間は神経症(neurosis)と呼ばれる広義の精神疾患に苦悩するのかというと、『他者の不可知の内面』を推測する関係性の中で展開される『人間の欲望(desire)』が決して全的に充足されることがないからである。『不完全な欲望の充足』を求めざるを得ない人間の存在形式を前提とすれば、どんなに幸福な人生の外観を持っていても、どれほど素晴... ...続きを見る |
2008/11/10 16:17 |
カウンセリングの基本技術としての『傾聴・中立性』:相手の話を引き出し自己洞察を深める傾聴の難しさ
カウンセリングや心理療法にはさまざまな理論や技法があるが、その最も基本的な技術は『傾聴・観察』と『クライアントの問題への興味の表示』である。カウンセリングの目的には大きく分けると『客観的な問題の解決(症状の緩和)』と『主観的な心理の変容(安定や成長の促進)』というものがあるが、初回面接(受理面接)では『相手の話したい内容を聴く』ということに最も重点を置く他はない。専門的な対人援助技術に関わらず、良好な相互性のある人間関係の基盤には『相手の話をお互いに良く聴く』ということがあるが、対人援助場面にお... ...続きを見る |
2008/10/31 02:54 |
“プライベートな人間関係”の親密度を推量する基準としての『応答可能性・援助可能性・価値基準の親和性』
過去に一般的な人間関係の特徴を『贈与−応答の原理』の視点から考えてみましたが、心理的な悩みの多くは『人間関係・コミュニケーションの問題』と関係しています。私たちがプライベートな人間関係(家族・恋人・友達)の親密度を推測する場合には以下のような基準があります。ここではプライベートな人間関係全般を取り扱うために、異性関係における性的な親密度は省略していますが、一般的に仲の良い信頼感のある家族(夫婦)、親密な上手くいっている恋人、親友と呼べるような友人であれば、以下の4つの基準のうち最低でも一つの項目... ...続きを見る |
2008/10/13 12:46 |
ギャンブル依存症の簡易チェックシートと『損失補てんの焦燥感・刺激的興奮の追求』によるハイリスク行動
大阪市浪速区にある個室ビデオ店で15人が死亡、10人が負傷する悲惨な放火事件が起こり、46歳の小川容疑者が逮捕された。この事件にある背景として『ギャンブル依存・借金苦・家庭崩壊』と『個室ビデオ店の防火管理体制の不備(個室ビデオ店の簡易宿泊所化)』が指摘されているが、人間が人生の途上で失敗したり大きな借金を背負い込む三大要因として『アルコール(及びドラッグ)・異性(女)・ギャンブル(賭博)』がある。ここでは、ギャンブル依存症(病的賭博)の問題を中心にして、依存症の病理の特徴と心理的原因について考え... ...続きを見る |
2008/10/06 04:18 |
コミュニティの流動性と学校環境におけるいじめ問題:集団活動の本来の目的からの逸脱と優越欲求
学校・職場などにおける『いじめの問題』については、過去の記事でも何度か取り上げてきましたが、いじめとは『異質性を排除しようとする集団力学』に基づいて発生する現象です。いじめは、特定の集団内において暴力・嫌がらせ・侮辱・からかいなどを伴う『擬似的な階層序列(上下関係)』を作り出しますが、いじめが激しくなるか弱まるかは頻度依存的(数的優位性を競う)な集団力学によってコントロールされ、この頻度依存性は『場の空気』という概念に置き換えることもできるでしょう。 ...続きを見る |
2008/09/24 00:39 |
ピエール・ジャネの精神衰弱概念と不安障害・強迫性障害につながるパーソナリティ特性
S.フロイト(1867-1939)が創始した精神分析は神経症(neurosis)を主要な研究対象とし、“不安・恐怖・強迫観念・ヒステリー”という感情の病理性を自我防衛機制との相関で考えました。特定の対象に対する明確な恐れを感じる“恐怖”と不特定の対象に対する曖昧な恐れを感じる“不安”の大きな違いの一つは、『将来に対する不安・自分の能力に対する不信』にあります。 ...続きを見る |
2008/09/11 06:00 |
J.バビンスキーの“無意識的な観念”の作用と認知療法の“認知の歪み”の変容:抑圧による病理形成
自己暗示として機能する『無意識的な観念・思考』が『身体的な行動(反応・症状)』や『感情・気分の変化』を生み出すというバビンスキーのアイデアは、アルバート・エリスのABC理論やアーロン・ベックの認知療法(認知理論)にもつながっていく画期的な基本図式を含むものでした。前回の記事で書いたように、バビンスキーは日々抱いている意識的な観念・思考が次第に習慣化していくことで、意識的だった観念・思考が無意識領域へと移行していき、その思考内容が本人に自覚できない自己暗示として『本人の行動・症状』を変化させると考... ...続きを見る |
2008/09/10 08:35 |
仕事中だけ鬱になるという“新型うつ病”についての雑感2:退却神経症とアパシーを巡る労働意欲の問題
前回の記事の続きになりますが、職場・仕事・人間関係の精神的ストレスが抑うつ感や意欲減退の原因になっているのであれば、基本的な対策としては『ストレスを消極的に回避する』か『ストレスに積極的に対処する』かのどちらかになってきます。精神的ストレスを低減させる本人の否定的認知の修正やコミュニケーション内容の改善と合わせて、周囲の上司や同僚の協力を得ることで、職場への再適応のハードルは下がってくると思います。精神的ストレスや不適応を強める労働環境の要因として『長時間労働・サービス残業・パワーハラスメント・... ...続きを見る |
2008/09/02 14:44 |
仕事中だけ鬱になるという“新型うつ病”についての雑感1:一般的なうつ病とストレス反応の異同
8月初めに仕事中だけに抑うつ感や無気力などうつ病の精神症状が出て、帰宅後や休日には活発に行動できるようになるという“新型うつ病(メディアの通称)”が話題になっていましたが、精神的ストレスの強い状況や活動だけに反応して精神症状が発症するというストレス反応性障害は何十年も前からあります。重症度の高い精神病である“うつ病(気分障害)”という疾病概念を、広範囲の抑うつ状態・無気力感に安易に用いることには賛成できませんが、新型うつ病といった曖昧な認識を持ち込むことで、本来のうつ病患者ではない人(セロトニン... ...続きを見る |
2008/09/01 05:46 |
子どもの気質と母親の養育態度から形成される“愛着の質”:愛着行動と抗ストレスホルモンの分泌
乳幼児の精神発達では、生後5ヶ月頃から母親と知らない他人を区別して『人見知り不安(stranger anxiety)』を見せるようになり、人見知り不安は生後8ヶ月頃に最も強くなる。人見知り不安は『母親との愛着形成』や『シャイネス(回避的な恥ずかしがり)の強さ』と関係する心理反応であり、安定した愛着(attachment)が形成されていてシャイネス(shyness)が極端に強くなければ、1歳以降に人見知り不安は徐々に低下していく。母親のような養育的な他者に接近してくっつきたいとか情緒的に甘えたいと... ...続きを見る |
2008/08/25 11:47 |
不合理な人間を前提にする行動経済学と“利得・損失・リスク”に対する曖昧な価値判断
経済学の前提には、完全情報下において合理的に自己利益を最大化しようとする『ホモ・エコノミクス(経済人)』がありますが、実際の人間は経済学が想定するほどに合理的な利害判断をするわけではありません。需給均衡の市場を取り扱う新古典派経済学では人間の合理的判断の前提を疑うことがそもそもなく、『人間の感情』よりも『結果としての効用』を重視します。しかし、損得の絡む意志決定や消費者の購買行動には、合理的な経済理論で説明できない不合理な行動が多く見られ、人間の意志決定や経済行動にはさまざまな認知的・感情的バイ... ...続きを見る |
2008/08/22 14:15 |
児童虐待の問題から考える『家庭(家族)の養育機能・教育機能』と『外部の相談機関・支援制度』の重要性
児童虐待(child abuse)とは『無力な子どもに対する心身両面の暴力・育児放棄・性的搾取』のことであり、児童虐待は子どもの生命・身体の安全を脅かすだけではなく、人間(他者)に対する基本的信頼感を破壊したり自分に対する自尊感情を傷つけたりする。児童虐待の心理的な悪影響は非常に大きなものであり、境界性人格障害や心因性のうつ病、PTSD、自傷癖(リストカット・過量服薬のOD)、社会不安障害、パニック障害(恐慌発作)、解離性障害(離人症)、嗜癖(ドラッグ・アルコール・性行為の依存症)などに虐待のト... ...続きを見る |
2008/08/09 13:34 |
異性の“外見の魅力”と“内面の魅力”についての考察:恋愛における性格・内面の評価とは?
異性の魅力について『外見と中身のどちらが大切か?(容姿と性格のどちらを優先するか?)』という話題はよく出ますが、実際の異性関係(恋愛関係)が成立する流れの中では、外見か中身かで迷いに迷って決められないということは少ないような気もします。外見の良さか性格の良さかといったスペックで異性を選ぼうとするのは『静態的なモデル』ですが、大多数の人は自分が好意(関心)を抱いた異性を百発百中で落とせるわけではなく、実際に話しかけてみなければ相手がどんな反応を返すか分からないという『動態的なモデル』の中で行動する... ...続きを見る |
2008/07/31 04:03 |
青年期の精神的成熟(安定)を支援する家族関係と社会環境のあり方:対人ネットワークと社会的孤立
前回の記事の続きになるが、これらの事件に共通する親子関係の要素として、『自分を理解してくれない(本当の自分の考えや希望を親と話し合う機会がもてなかった)・相談に乗ってくれない(今の自分のことを心配してくれない)・親の期待を押し付けてくる(期待に応えなければ切り捨てられる)』といったことが浮かび上がってくる。一昔前の発達心理学的な自立モデルであれば、こういった依存的な要求や甘えは20歳以上の成人が親に訴えることは少ないとされていたが、学生期間の長期化やフリーター化などで平均的に『自立の時期』が遅滞... ...続きを見る |
2008/07/29 10:19 |
認知心理学における高次知覚の考察と人間の顔認識機能(個体・表情・言語情報の識別)の複雑さ
ゲシュタルト心理学では『事物の全体性(ゲシュタルト)』を認識する知覚の体制化が重要視されましたが、プレグナンツの法則によって断片的な情報が全体的な意味ある情報に体制化されると考えました。プレグナンツの法則は『最も簡潔・単純な秩序を持つ形態(全体性)』を知覚する法則であり、『近接・類同・共通運命・閉合・よい連続・よい形・客観的態度』などの要因によって知覚を体制化(群化)して意味ある形(良い形態)を見出すことができるというものです。 ...続きを見る |
2008/07/16 09:52 |
自己顕示的なパーソナリティ障害における“虚言癖・演技性の心理”と“他者操作・場の支配の影響”
古典的な性格心理学では、カール・ヤスパースなどが相当な無理や演技をして『自分を現実の自分以上の存在として顕示すること』をヒステリー的な自己顕示と定義したが、これは演技性人格障害の特徴に近い自己顕示のやり方であると言える。しかし、他者危害性の小さい演技的(オーバー・おおげさ)な自己顕示の問題が“病理的”であるとまで言えるかは微妙であり、自己顕示の最も病理的な現れとしては『欺瞞・虚言・犯罪に基づく顕示的な言動』などを想定することができる。 ...続きを見る |
2008/07/11 12:31 |
科学的な認知心理学の誕生と情報処理システムとしての人間の精神
ウィルヘルム・ヴント(Wilhelm Max Wundt, 1832-1920)が1879年にドイツのライプチヒ大学に心理学実験室を開設したことで、科学的な実験心理学が誕生しました。実験心理学の研究手法は、『感覚・知覚の量的研究』を行うE.H.ヴェーバーやG.フェヒナーの精神物理学、『客観的な行動の法則化』を行うJ.ワトソンやB.F.スキナーの行動主義心理学を経て、脳科学(神経科学)とリンクした認知心理学(認知科学)へと発展してきました。 ...続きを見る |
2008/07/09 06:14 |
“安全安心の欲求”−“所属の欲求”−“承認欲求”の相互的なつながりと他者に承認されない孤独感の認知
人間が安定した精神状態で幸福感や充実感を感じるためには、基本的な衣食住の条件のほかに『安全安心の欲求・所属の欲求・承認欲求』が満たされている必要がありますが、これらの欲求の充足は『養育環境における親子関係』や『社会環境に対する適応能力』、『対人的なコミュニケーション能力(相手の承認欲求を満たすコミュニケーション)』と一定の相関を持っています。 ...続きを見る |
2008/07/03 19:10 |
個人的・社会的な承認ネットワークから零れ落ちる不安(危険)と自己の人格の尊厳を支える自他の信頼感
アブラハム・マズローの欲求階層説では、『生理的欲求→安心と安全の欲求→所属愛の欲求→承認欲求→自己実現欲求』へと発展していきますが、他者の承認や評価と完全に無関係な欲求は『生理的欲求(食欲・睡眠欲)』だけであり、生理的欲求の一つである性欲も自分ひとりでは十分に満たすことが出来ません。人間の人格的な尊厳や本性的な欲求について『他者からの承認(愛情)・他者とのコミュニケーション』を完全に無視して語ることはできず、人間の尊厳や倫理、欲求のあり方は『他者との関係性』と深い相関を持って相互につながっていま... ...続きを見る |
2008/07/01 18:34 |
パーソナリティ障害(人格障害)における“内向性・外向性の過剰”と“自己顕示欲求の表現形態”
性格構造の形成要因には『遺伝・体質・気質・性格(パーソナリティ)・態度・環境』などがあるが、人間の選択する行動の多くは『欲求の充足・緊張の緩和・社会的な役割・自尊心の維持』によって理解することができる。欲求の充足のより高次な形式には『意味の追求』や『自己アイデンティティの確立』があり、そこに社会的存在としての自己概念が加わってくると自己の欲求と社会貢献(他者への奉仕)のバランスが自然に取れてくることもある。『人格(パーソナリティ)』という概念が内包する意味には日本と欧米で大きな違いがあり、最近で... ...続きを見る |
2008/06/27 16:45 |
ジョゼフ・バビンスキーの自己暗示による神経症論(ヒステリー麻痺形成)とバビンスキー反射
自分が致命的な重い病気であることをしきりに訴えるヒポコンドリー(心気症)や手足が振るえたり身体がけいれんしたりするヒステリー反応も、自分の周囲に他人が存在する場面のほうが起こりやすいという傾向があり、他者からの認知・承認を求める心理が大きな要素となっています。前回の記事の続きになりますがS.フロイトやP.ジャネ以前の神経精神医学では、『神経学的異常(脳障害)あるいは身体的原因があって精神症状が発生する』という器質因論(身体因論)が主流でしたが、ジャン=マルタン・シャルコーの催眠療法によってヒステ... ...続きを見る |
2008/06/22 04:52 |
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと3:特別な他者や恋人を求める感情と条件・属性による対人魅力の承認
6月6日2時55分の加藤容疑者の掲示板の書き込みに『それでも、人が足りないから来いと電話がくる・俺が必要だから、じゃなくて、人が足りないから・誰が行くかよ』とあるように、彼はきつくて給料が安い仕事が嫌というのもあったでしょうが、自分という存在(人格)が道具のように取り扱われる職場環境への不満を鬱積したようにも読み取れます。本当は自分のことなんてどうでもいいくせに、何かに利用しようとする時(相手にとっての利益がある時)だけ自分を呼び出してくるというような対象関係の認知が加藤容疑者の内面に非常に根強... ...続きを見る |
2008/06/15 08:16 |
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと2:他者に対する破壊衝動の克服と対人関係の功利的調整
精神分析家メラニー・クラインが考案した発達早期の精神発達論では、乳幼児は無意識的な破壊衝動(攻撃欲求)を部分対象に向ける『妄想‐分裂ポジション』から、破壊した部分対象にも自分と同じ人格や感情があることに気づいて罪悪感を抱く『抑うつポジション』へと発達していくと考えられています。『妄想‐分裂ポジション(生後3〜4ヶ月)』の最大の特徴は、自己と他者(母親の部分対象)の区別が曖昧で、他者を自分と同じ主体性(意志・感情)を持つ独立的存在として認知できないことですが、妄想‐分裂ポジションでは『分裂(spl... ...続きを見る |
2008/06/13 01:17 |
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと1:家族との情緒的な結びつきと社会と向き合う精神的自立のプロセス
6月8日、東京・秋葉原の歩行者天国で7人を死亡させ10人に重軽傷を負わせるという戦後稀に見る無差別殺傷事件が発生しました。加藤智大容疑者(25)はレンタルした2トントラックを歩行者天国の横断歩道に突っ込ませた後に、ダガーナイフを振りかざして多くの人を殺傷しましたが、事件後の加藤智大容疑者の供述とネット(ケータイサイトの掲示板)への書き込みによって浮かび上がってきた人物像は『異性・友人・社会からの肯定的評価』を執拗なまでに求める孤独な男性の姿でした。 ...続きを見る |
2008/06/13 01:05 |
古典的なヒステリー性格の特徴と自己愛性人格障害:他者への信頼感と共感性の視点
神経症(neurosis)は心理的原因による心身の機能障害と位置づけられますが、無意識的願望や二次的疾病利得が反映されるヒステリーの自己暗示的な側面について過去の記事で説明しました。ヒステリーの身体症状(麻痺・けいれん・感覚‐運動障害)を発症させる自己暗示は何らかの疾病利得と関係していることが多いですが、クラスターBの人格障害へと推移したヒステリー性格は『他者の注目・関心・評価』を求める外向型性格の過剰に由来しています。 ...続きを見る |
2008/05/31 05:42 |
好きな相手との関係を終わらせないために『相手から欲望される』ということ:双方向の“贈与”の反復
前回の記事で書いたように、『相手からの贈与を受け取らないこと・相手についての詳細な情報を得ないこと・相手のプライバシーに踏み込まないこと』によって、応答の必要のある『他人』は応答の必要のない『他者』へと変質していきますが、これは自分に働きかけてくるすべての『他者』を『他人』として処遇することが物理的に不可能である以上、半ば自衛的で必然的なものであるとも言えます。贈与の最もありふれた形態は『パロール(話し言葉)』ですが、都会の雑踏で出会うナンパやキャッチセールス、夜間飲食店のスカウトの贈与(パロー... ...続きを見る |
2008/05/08 07:06 |
“贈与―応答の原理”によって維持されるコミュニケーション:贈与(パロール)と人間関係の距離感の調整
私たちの人間関係やコミュニケーション、経済活動の多くは『等価原理』によって大枠が規定され、『贈与と返礼の不均衡(バランスの崩れ)』によって関係性(コミュニケーション・ゲーム)が継続されます。『贈与(プレゼント)』というのは他者に何らかの恩恵・利益を与えたり、逆に他者に何らかの損失・被害を与えたりすることです。贈与を受け取った人間はそれが良きものであれ悪しきものであれ、ある種の『返礼義務・応答の責務』を心理的に負わせられることになります。 ...続きを見る |
2008/05/06 06:45 |
エミール・デュルケーム『自殺論』の類型論とアノミーな現代社会におけるメンタル面のリスクファクター
前回の記事の続きですが、具体的な個別の問題については、これからの人生をどのように考えて生きていけばよいのかという目的性(適応的な認知変容)を意識したカウンセリング的対応を行い、経済・生活・健康面の問題については利用可能な保健福祉制度(相談制度)や法律制度など社会的資源の情報提供を行っていく必要があります。硫化水素ガスを用いた自殺の場合には、本人とは無関係な周辺住民を巻き込む問題がありますが、本人の希死念慮(悲痛な絶望感)を緩和する心理的支援の方法と周囲の二次的被害の防止をどのような形で統合してい... ...続きを見る |
2008/05/05 17:51 |
硫化水素による自殺問題の波及とインターネット・マスメディアによる情報伝達の問題
3月から5月現在にかけて60人を越える人たちが硫化水素ガスによって自ら生命を絶ちましたが、『硫化水素を利用した自殺手段』がインターネット経由で広まったことが各種メディアによって批判されているようです。生きていくのが辛くて死にたいと思う感情が先か、自殺の具体的手段に関する情報が先かという根本問題を無視して、『目に見えるネガティブな情報』だけを確実に規制・削除すれば問題が沈静化するという単純な構造ではありませんが、『手段(道具・薬物)入手の容易性』が自殺既遂率に相関するというデータはありますので、具... ...続きを見る |
2008/05/03 23:00 |
“制縛型の自己不確実者”と“敏感型の自己不確実者”の持つ不安感情と強迫症状の特徴
前回の記事の続きになりますが、エルンスト・クレッチマーの言う内的活動を外部に表現する『転導能力』には、精神内界の表象(イメージ)や感情を外部に発散して内界に留めないというカタルシス機能があります。しかし、転導能力が障害された自己不確実者は、一度体験した強烈な出来事に伴う表象(イメージ)や感情を外部に発散(表現)することができないので、長期間にわたってその表象・感情に伴う不安感に悩まされ続ける恐れが出てきます。 ...続きを見る |
2008/04/29 16:56 |
“内的表象による不安症状”の持続性と“外的対象による恐怖症状”の即時性:行動力を抑制する自己不確実感
心理的不快をもたらす精神症状の代表的なものとして『不安(anxiety)』がありますが、持続期間の短い『正常圏の不安』には『恐怖(phobia)』と同じような特定可能な理由が見つけやすく、持続期間の長い『病理的な不安』には特定可能な理由が見つけにくいという特徴があります。他人に『不安の内容』を具体的に説明しやすく、不安な問題について話を聴いてもらうと気持ちが落ち着いて、自然に不安が和らいでいくという場合には病理的な不安とまでは言えないでしょう。反対に、『不安の内容』についての自己理解が難しく他人... ...続きを見る |
2008/04/17 09:18 |
人間の性格における『固定的な部分(気質要因)』と『可変的な部分(環境要因)』:抑うつ性格の悲観的認知
心理学とは『客観的な行動(対人関係)』と『主観的・生理的な心理(内面)』のメカニズムを科学的に研究する学問ですが、行動主義や性格心理学では『人間の行動生起の予測』に重点が置かれてきました。結論から言うと、現在の心理学のレベルでは事後的に人間の行動を説明(解釈)することはできても、事前的に人間の行動の形成・変化を予測することは不可能です。しかし、『人間の大まかな行動形成の原理』については、オペラント条件づけ(報酬・罰則による行動強化)や成育過程における価値規範(判断基準)の内面化、本能的・社会的な... ...続きを見る |
2008/04/12 00:21 |
仕事を通した社会的アイデンティティ確立の問題と子どもの労働意欲・職業選択を促進する家族関係
茨城県土浦市で起きた事件では、フリーターの加害者が父親から『仕事(正社員の定職)に就け』と責められていたことが“逆切れ”につながったという報道がありましたが、20〜30代で職業選択・就職活動で躓いた場合の就労サポートや仕事に対するモチベーション(勤労意欲)の向上は、非常に困難の多い課題になっています。加害者の男性は、バイトではなく定職に就けという父親の就労刺激に対して、頻繁に家の中のモノに当たる家庭内暴力をしていたようです。しかし、思春期以降も小動物に対する虐待や対人コミュニケーションの困難など... ...続きを見る |
2008/04/01 14:49 |
ヴォルフガング・ブランケンブルク『自然な自明性の喪失』の考察:“当たり前(常識)”を共有できない苦悩
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)は健常者には存在しない心的過程を経験することを意味しているが、精神病理の苦悩の多くは『日常性・自明性からのズレ』によって生まれている。病態水準の重い精神疾患や妄想・興奮に基づく逸脱行動は、多くの場合において、既存社会に適応している人たちの不安や恐怖を高めやすい。そのため、精神保健福祉領域の歴史的活動は『精神疾患にまつわる誤解・偏見の除去』に当てられ、精神病者の社会復帰を促進するためのデイケアやケースワーク、集団精神療法などが創意工夫されてきた。現実社会への適応力... ...続きを見る |
2008/03/27 06:25 |
茨城県土浦市の無差別殺傷事件の報道に対する雑感と人生・家族関係に対する行き詰まり感の問題
3月23日に茨城県土浦市のJR常磐線荒川沖駅周辺で8人を殺傷する悲惨な事件が起こりましたが、24歳の容疑者男性の就労状況や趣味娯楽、生活態度、成育歴などに対するメディアバイアス(メディア報道における偏った印象形成)が大きくなっており、事件と加害心理の本質から遠ざかっているように感じます。容疑者男性の趣味であるゲームやオタク的な生活態度が突発的にキレた原因だとか、コンビニでフリーター(アルバイト)をしていて定職に就いていないことが問題だとか、加害行動の安直な因果関係をラベリング(レッテル貼り)の方... ...続きを見る |
2008/03/26 08:06 |
自己暗示的な神経症症状(自律神経失調)と精神的ストレスへの逃避的適応:古典的神経症における疾病利得
『前回の記事』では、『身体的疲労・精神的ストレス・睡眠不足』によって作業効率や仕事能力が低下する神経衰弱を解説しましたが、19世紀の古典的な精神医学では神経衰弱はノイローゼ(neurosis, 神経症)の下位分類に置かれていました。過去に書いた記事で神経症(neurosis)の定義を、『精神的原因による器質的障害を伴わない心身の機能障害』としましたが、古典的神経症の下位分類で最も代表的なものが多面的な症状・問題を有するヒステリーです。 ...続きを見る |
2008/03/24 03:04 |
“道具としての外国語(英語)”の学習とL.S.ヴィゴツキーの内言・外言による言語の発達観
前回の記事の続きになりますが、太田雄三の『英語と日本人』という書籍では、日本人が外国語の日常会話がなかなか出来るようにならない理由として、『一つの言語体系を完全にマスターしようとするような無謀な完全主義欲求(ネイティブであっても完全に自国語の言語体系を完全にマスターしている人などはいない)』について言及されています。 ...続きを見る |
2008/03/19 22:48 |
近代的な結婚観に基づく“目的論的な家族像”の衰退と個人の自由選択に任された“結婚・出産・育児”の問題
女性の妊娠出産や家庭での育児を巡る問題は、『近代的な家族像・結婚観の変化』や『ジェンダー(社会的性差)の変化』と深く関係しています。ある人にとっては出産育児の決断はそれほど悩むべき問題ではなく、むしろ自分が父親・母親となって子どもを持つことを『人生の主要な目的』だと考えています。ある人にとっては出産育児の決定は深刻な悩むべき問題となり、自分が父親・母親となって子どもを持つことを『人生の重要な選択』だと考えているかもしれません。 ...続きを見る
|
2008/03/09 10:57 |
乳幼児期の言語発達(ことばの発達)と“話し言葉・書き言葉”の学習プロセスの違い
『英語と日本人の書評』では話し言葉と書き言葉の学習方法の違いについて述べましたが、実際に、子どもが『母語としての言語』を覚えていく場合にも話し言葉と書き言葉の学習は異なる特徴を持っています。『乳幼児期の言語発達』では、生後2ヶ月頃から単純な発声である『喃語(なんご・赤ちゃんの単純な発声)』を出し始め、生後8ヶ月頃になると喃語がやや高度化して『言語としての意味』はないものの『うーうぅ・ああ〜う・ままぁ』など自分勝手に音を色々と組み合わせ始めます。 ...続きを見る |
2008/03/07 11:17 |
育児・子どもへの苦手意識に対する母性神話の影響:母親アイデンティティの受容と間接的な承認欲求
保育・教育政策の話から育児不安の話題に戻りますが、もし子どもに何かあったら私の責任(自分の育て方の間違い)にされてしまうのではないかという母親の養育責任に対する不安は、夫が育児に関与せずに『お前に全部子どものことは任せている』というような態度を取るほど強くなります。子どもに何か問題が起きたらという不安は、子どもが乳幼児の時には『健康上(病気や事故)・発達上(言語や知能の発達)・しつけ上(マナーや行儀)の問題』について感じ、子どもが児童期以上の年齢になってくると『学校の成績や不登校・友達との関係(... ...続きを見る |
2008/02/26 23:37 |
大学での発達障害の学生に対する教育的支援の取り組み:知的能力とコミュニケーション能力のアンバランス
大学教育機関で発達障害の診断基準に該当する学生が増えているというニュースがあり、京都大学や富山大学、信州大学では発達障害を持つ学生に対する支援体制の整備が進められているといいます。記事のタイトルには『自閉症などの発達障害』とあり、複数の下位分類がある発達障害の中でも、知的障害・言語障害のない広汎性発達障害(PDD)を中心とした学生支援のあり方が考えられているようです。 ...続きを見る |
2008/02/24 05:04 |
過労状態によって発症する神経衰弱と仕事(勉強)の効率性:睡眠を取れないマウスの脳下垂体の損傷
仕事や勉強の『量』を増やす為には、仕事や勉強をする『時間』を増やさなければならず、『仕事・勉強の時間』を極限まで増やそうとすれば睡眠時間や休養時間を減らす必要が出てきます。受験前の学生は睡眠時間を削って一日の大半を勉強に費やすこともありますし、人員(労働力)が恒常的に不足している企業や厳しいノルマを掲げている企業の場合には、休み返上で毎日長時間労働をしなければならないこともあります。 ...続きを見る
|
2008/02/19 20:02 |
“閉鎖的な人間関係”における対人トラブルを生む“非社会的な自己愛”の高まり
前回の記事の続きになりますが、他者に危害を加える『反社会性』と自己愛の過剰による『利己性』とは必ずしも相関しません。他人に関心が向かないほどに自己愛(ナルシシズム)が極端に強くて、自分自身に関係する事柄にしか興味がないような人は、内的世界(内向的行動様式)に退却して社会適応性が低下することはありますが、他人を攻撃するような反社会性が高いとは言えないからです。自己愛や利己主義が強い場合には、外的世界において他者の行動や財産を力ずくで不当に支配しようとする『反社会性』として問題が現れることもあります... ...続きを見る |
2008/02/14 23:12 |
少子化時代の母親の育児ストレス(育児不安)と社会成員の子育てに対する認識・協力の多様化
育児には他の行為とは比較にならないような多くの喜びと幸福がある一方で、毎日、小さな子どもと向き合って献身的に世話をする母親(父親)には精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。政治的な少子化対策や育児支援は段階的に進められていますが、日常生活における精神的ストレスや育児不安を和らげるような支援を公的な枠組みで行うことは難しく、『夫婦・親族の協力』や『地域社会の育児に対する対人的な理解・支援』が必要になってきます。しかし、核家族化が進んでいる現在では、実質的に配偶者以外の人から育児の協力を得られ... ...続きを見る |
2008/02/06 00:33 |
“主観的な幸福感”を重視するスピリチュアルな世界観と“客観的な根拠”を重視する科学的な世界観:2
前回の記事でスピリチュアルな対話について書いたが、無論、科学的な意味で死後の人間とコンタクトを取る霊媒・霊視や前世へのタイムスリップが事実であるわけではない。『スピリチュアルの世界観の前提』を共有する人間同士であれば、精神的な苦悩を和らげたり、充実した人生を過ごす支えとなる「物語的な意味」を手に入れることができるかもしれないが、それは第三者が客観的に認識できるという意味での科学的事実とは異なるものである。その意味で、スピリチュアルな技法や特殊能力というものは、科学技術のように万人に通用するもので... ...続きを見る |
2008/02/01 15:14 |
“主観的な幸福感”を重視するスピリチュアルな世界観と“客観的な根拠”を重視する科学的な世界観:1
テレビで放送されている江原啓之氏のスピリチュアル番組がBPO(放送倫理・番組向上機構)からの倫理的勧告を受けたようだが、時にカウンセリングとも結び付けて語られるスピリチュアルとは何なのかを現代社会のアノミー(中心的価値観の衰退)と結びつけて考えてみたいと思う。スピリチュアルに対する倫理的批判や科学的検証などは意図せずに書くつもりだが、スピリチュアルというのは基本的に『自分の人生にとって意味のある想像的な物語(霊的世界の前提)を受け容れるか否か』という信仰に近い問題である。ただし、教義に基づく規範... ...続きを見る |
2008/01/30 00:15 |
精神的ストレスとフラストレーションに対応する自我防衛機制の働き:環境適応の視点から見る人間
前回の記事では、『外部環境への適応』と『内的欲求への適応』のバランスについて書きましたが、適応には、自我が余り関与しない物理的充足(生存・摂食・睡眠)のための適応と自我の関与が強い精神的充足(承認・自尊心・自己愛)のための適応とがあります。近代以降にはパノプティコン(一望監視施設)を説いたM.フーコーや反精神医学を標榜したR.D.レイン、普遍的無意識を重視したC.G.ユングなど、『所与の環境への適応に内在する問題』を指摘する人物が多く現れましたが、依然として精神医学や臨床心理学(一般的なカウンセ... ...続きを見る |
2008/01/17 21:37 |
ストレスフルな現代社会における『自己への適応』と『環境への適応』:自由主義と自己アイデンティティ形成
精神疾患の多くは素因ストレスモデルによってその発症を理解することができますが、双極性障害(躁鬱病)や統合失調症など精神病圏の問題を除いて、『環境への不適応による持続的なストレス状況』を引き金にしてメンタルヘルスの不調が起こってくるケースが多く見られます。精神の正常性と異常性の境界線を規定する基準として『標準性・価値認識・適応性・病理性』を考えることができますが、生物学的(進化論的)あるいは異常心理学的にもっとも基本になるのが『環境適応性の基準』です。 ...続きを見る |
2008/01/15 07:46 |
“他者の注目”を求める演技性人格障害と“社会的な価値(他者の好意)”を拒絶する反社会性人格障害
ウェブサイトで演技性人格障害と反社会性人格障害の特徴と概略についてまとめましたので、興味のある方は読んでみて下さい。クラスターB(B群)の人格障害に分類される『境界性人格障害・自己愛性人格障害・演技性人格障害・反社会性人格障害』に共通する特徴は不安定な対人関係(感情機能)と抑制困難な衝動性であり、その根本には自己と他者の境界線が曖昧になるという『自己愛と対象関係の調節障害』が横たわっています。自分で自分のことを尊重して大切にする自己愛(self-love)は適度なレベルで働けば、自分の能力・実績... ...続きを見る |
2007/12/30 10:30 |
カウンセリングと教育の異同についての考察:『社会適応・問題解決・能力向上・人間性の成長』の視点
『人間を精神的に成長させる・状況を良い方向へと変化させる』という目的論の視点で見ると広義のカウンセリングと教育行為には似た部分がありますが、教科指導や道徳教育を行わずに『精神的な問題の解決』に焦点付けするカウンセリングは教育よりも狭義の援助的対人関係と言えるでしょう。『教育』というのは多義的な言葉なので教育とは何かという問いかけに答えるのは難しいのですが、教育には必ず『教える人(先生・親)』と『教わる人(生徒)』という秩序的な上下関係があります。教育の本質は優れた知識・技術・資格・ノウハウを持っ... ...続きを見る |
2007/12/23 06:22 |
脳が認知できない『見せ掛けの現実』と『物理的な現実』の差異:認知的トリックの世界を生きる人間
大脳新皮質を進化過程で獲得した人間は、低次・高次の脳機能によって『環境(外界)・他者・言語・自己』を認知(知覚)して、適応的な行動(運動)をすることが出来る。しかし、認知科学や脳神経科学の研究成果から分かってきたことは、人間の認知機能にはエラー(誤謬)や錯覚が多いが、人間はそれに気づくことが極めて難しいということである。日常生活の中で人間は知覚・判断・予測のエラーを数多くしているが、通常、『現実世界の認知的な歪曲(捏造)』が実際的な不利益や心理社会的な障害につながることはまずない。人間には個別差... ...続きを見る |
2007/12/20 22:15 |
人生の再叙述を行う“ナラティブ・セラピー”と過去の物語を更新する“再決断療法”
前回の記事では、社会構成主義の思想的位置づけとカウンセリング技法への応用について書いたが、構成主義的なカウンセリングでは間主観的な共同作業によって『人生の肯定的な意味づけの生成』を行っていく。構成主義の文脈における不適応な生活とは『客観的な現実』を受動的に受け容れるだけの生き方を意味している。『変えられない客観的現実によって私は苦しんでいる』という自己認識を脱しきれないことによって主観的苦悩はより一層深まるが、『自分と他者の行動によって現実が作られている』という自己認識に近づくことで改善的な変化... ...続きを見る |
2007/12/08 15:37 |
社会的な集団状況における『同調圧力(集団圧力)・役割行動規範』と『個人の判断基準』との葛藤
『前回の記事』で、いじめ問題に対する危機介入アプローチと社会心理学的な集団力学について触れましたが、いじめやモラルハラスメント(精神的嫌がらせ)に限らず『複数の人間が相互作用する場面=社会的状況』には頻度依存的な同調圧力(集団圧力)が掛かります。儒教の祖の孔子は『論語』において『君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず』という同調行動にまつわる行為規範を語りましたが、同調圧力を回避した主体的判断を実践することは相当に困難なことであり、最近の流行キーワードでいうと同調圧力を無視した行動は『KY(空気... ...続きを見る |
2007/11/27 17:22 |
カウンセリングにおけるコンプレックスの自己洞察とラポールと関係した自己言及の中立的な調整:2
前回の記事の続きになりますが、相手の個人的コンプレックスや心的外傷の内容、今までの生活履歴(成育歴)、基本的な価値観などを十分に理解していなければ、私達は絶えず『悪気は無くても他人を傷つけたり不快にする発言・行動』をしてしまう恐れがあります。しかし、一般的な話題やありふれた行動で無意識的に他人(友人)を傷つけてしまっても、コンプレックスを全く刺激されない無菌室のような社会環境・対人関係というのは有り得ないわけですから、日常生活における何気ない言動の範囲内であればその人に加害責任があるわけではない... ...続きを見る |
2007/11/22 00:10 |
カウンセリングにおけるコンプレックスの自己洞察とラポールと関係した自己言及の中立的な調整:1
あらゆる相手に不快感や劣等感、抵抗感を感じさせずに話すというのは現実社会では非常に難しい作業ですが、それは無意識的に相手の個人的コンプレックス(感情的複合体)を刺激する発言を人はしてしまうものだからです。C.G.ユングが分析心理学の中で定義したコンプレックス(心的複合体)とは、個人的無意識の領域に抑圧された『現在の自分が認めがたい価値観・生き方・特徴』のことであり、コンプレックスに関連する話題や概念、人物を認知すると人は不快感や怒り、悲しみ、居心地の悪さなど『特異的な感情反応』を生じます。 ... ...続きを見る |
2007/11/21 21:22 |
演技性人格障害の“自己アイデンティティの拡散”と“性的アイデンティティの未成熟”の問題
前回の記事の続きになりますが、演技性人格障害の全般的な印象としては、物事への注意深さや慎重な判断が不足がちで、長い時間をかける熟慮を好まず相手への親身な共感性に欠けているという印象があります。大雑把な直感(好き嫌い)やその場限りのノリだけで物事を判断してしまうので合理的な問題の解決が苦手であり、勢いで軽はずみな対応をした時には『他人からの信頼』を失いやすいというリスクを孕んでいます。 ...続きを見る |
2007/11/12 09:29 |
他者の注目と好意を求めるハイテンションな演技性人格障害の特徴と表層的な人間関係
前回の記事では、衝動性・依存性・自己中心性・感情の不安定性などを特徴とするクラスターBの人格障害では『他人から認められたい(愛されたい)という外向的な承認欲求の過剰』があり、内向性・非社交性・妄想性・自閉性などを特徴にするクラスターAの人格障害では『他人と関わりたくないという内向的な不安の過剰』があるという話をしました。クラスターB(B群)には、『境界性・自己愛性・演技性・反社会性』の四つの人格障害が分類されていますが、このうち境界性・自己愛性・反社会性の人格障害については過去記事で詳述してきた... ...続きを見る |
2007/11/04 16:46 |
他者(社会)からの影響を拒絶するA群(クラスターA)の人格障害:現実と想像の境界線で孤立しやすい人
過去の記事でクラスターBの人格障害について解説したが、クラスターAの妄想性・分裂病質・分裂病型の人格障害に共通する精神力動は『自己の主観的かつ妄想的な世界像』を懸命に維持するために、現実社会や対人関係を無視して拒絶することである。自分の都合のいい現実解釈や世界認識に執着してその妄想を修正することが困難であり、『自己の内面世界のイメージ及び悲観的な物語』を絶えず外界に投影しようとする特徴を持つ。何故、このように自分の想像力や無意識的欲求が作り上げた『非現実的な世界像』にこだわるのかというと、A群の... ...続きを見る |
2007/11/02 20:55 |
自殺を“個人の問題”に還元しない自殺対策と自由主義社会におけるアトミズム(個人化)の問題:2
他人からの干渉を排除して、自分が選好する最低限の相手とだけ付き合えば良い自由主義の価値観は、他人の援助を必要としないほどに心身が健康な個人、一定の経済力がある個人にとってはそれ以上ない最高の価値観ですが、当然、行き過ぎた自由主義と個人主義には幾つかの副作用が生まれてきます。 ...続きを見る |
2007/10/28 11:01 |
自殺を“個人の問題”に還元しない自殺対策と自由主義社会におけるアトミズム(個人化)の問題:1
現代日本のメンタルヘルス(精神保健福祉)の喫緊の課題として年間約3万人にものぼる『自殺対策』の問題がありますが、最悪の結果である自殺を予防し抑止する為には『公的な支援・専門的な支援・個人的な支援』の三者をバランスよく統合して自殺志願者の生への意欲を強化していく必要性があります。意識的・病理的な自殺という行動は、高度な自己概念と自尊心、複雑な経済社会(生活環境)を持った人間特有の行動であり、『自殺の予防対策』では直接的・間接的な支援(援助)を通して、健全な自尊心と生存欲求を強化していくことが目標と... ...続きを見る |
2007/10/26 14:15 |
実存主義と『生きる意味・人生の価値』を探求する実存療法(existential therapy):2
ニーチェは、本来的に無意味な『人間の生』に生きる意味や根拠を与えてきた『宗教(神)・道徳・形而上学の虚構性(作為性)』を指摘し、『人間は自分の弱さ(無意味さ)に耐え切れず、自分が創造したものに従属しているに過ぎない』という誰もが目を背けていた身も蓋もない事実を無遠慮に突きつけました。世界を構成する現存在(人間)を超越的に拘束すると信じられてきた『宗教の神聖性・権威の不可侵性・形而上学の普遍性・道徳的な善悪』は、本当は『人間のニヒリズム(虚無主義)』を隠蔽するための虚構であるとニーチェはいいます。... ...続きを見る |
2007/10/16 21:47 |
実存主義と『生きる意味・人生の価値』を探求する実存療法(existential therapy):1
自分の人生の一回性や歴史性(一貫性)、不可避性を自覚する時に、自己認識の『実存主義的な転換』が起こってきますが、この自己認識の劇的な転換は『自分は、今生きているこの人生以外の人生を生きることはできない』という冷徹な現実認識に基づいています。自分自身の今までの人生を無かったものにして、新生児の段階からもう一度人生をやり直すことはできず、生得的な遺伝子によって規定される生物学的な特徴を新しく書き換えることも出来ないという客観的な現実認識から生まれるのは、『私は今、与えられているこの生命を生きる以外に... ...続きを見る |
2007/10/14 04:23 |
自己一致と肯定的受容を促進する来談者中心療法と早期母子関係を重視した精神分析理論の問題
『現在の問題の具体的な解決』に焦点を合わせる解決志向アプローチ(解決構築アプローチ)については過去の記事で解説しましたが、解決志向アプローチでは『今までと違った行動や考え方』を選択することで不適応な行動パターン(認知傾向)が改善されていきます。支持療法であるカール・ロジャーズの来談者中心療法(クライアント中心療法)では、カウンセラーの基本的態度を示唆すると共に、『精神的成長(健康)へと向かうクライアントの実現傾向』を促進する受容的・共感的環境を整備することが重視されます。 ...続きを見る |
2007/10/11 01:15 |
“生きる意味”を積極的に生み出す『合理的な信念』と“生きる資格の障壁”を生み出す『不合理な信念』
解決構築カウンセリングを始めとする解決的アプローチは、臨床的な精神症状(抑うつ感・不安感・パニック発作・強迫観念など)にも応用可能ですが、日常的な悩みや対人関係(異性関係)の問題、学校や企業への環境不適応、仕事や勉強の能力向上(目標の達成)などありとあらゆる心理社会的問題に行動的レベルから直接的にアプローチできます。何故なら、人間社会の対人評価(人間関係)や職業活動(学習行動)、試験の成績、社会的スキル、異性関係(愛情表現)などは『実際の行動・発言の組み合わせ』から成り立っており、自分が何かの行... ...続きを見る |
2007/10/09 14:38 |
ユング心理学の“影(シャドウ)”の元型から見る“いじめる人間”のコンプレックス:いじめと笑い
前回の記事の続きになるが、一般的には、高校生くらいの発達年齢になると『個人の発言権の平等性・個人の人格性の尊重』を意識するメンバーが増えて、クラスの中に固定的な階層序列が生まれにくくなりいじめ行動に関心を示す人もほとんどいなくなる。しかし、高校や生徒の気風によっては、頻度依存的な『いじめの娯楽化』の雰囲気が残っていることもあり、金銭目当ての恐喝などが絡むといじめの犯罪化が顕著になることもあるだろう。神戸市の私立高校で発生したいじめ事件では、特定の個人を侮辱して笑いものにすることで楽しむ卑劣な『い... ...続きを見る |
2007/10/02 12:34 |
双極性障害(躁鬱病)の“T型・U型”の分類と“軽躁エピソード”が持つ幾つかの問題点:2
前回の記事の続きになりますが、単極性のうつ病や双極T型障害と違って双極U型障害は、ある意味で活動と静止のバランスが取れた精神疾患であり、軽躁状態をどのように使うのかによって『行動性・衝動性・感情制御の問題の深刻度と性質』が変わってきます。また、躁病エピソードと比較して軽躁エピソードの場合には、『社会的な生産性・発想面の創造性・職業的な適応性』などが残存していることが多いので、双極性障害そのものの存在が見過ごされやすくなります。クライアントが周囲から社会的に有能でエネルギッシュな人物として評価され... ...続きを見る |
2007/09/13 00:11 |
双極性障害(躁鬱病)の“T型・U型”の分類と“軽躁エピソード”が持つ幾つかの問題点:1
気分障害(mood disorder)や感情障害(affective disorder)というと、抑うつ感・気分の落ち込み・意欲の減退・希死念慮などの精神症状が顕著な『単極性のうつ病』をイメージしやすいですが、実際の症例では抑うつ感と軽度な高揚感が交互に生起する『双極性障害(躁鬱病)』が見られることも少なくありません。躁病相とうつ病相が繰り返し出現する躁鬱病というと、統合失調症と並ぶ二大内因性精神病の印象が強く、重症度の高い精神疾患という固定観念があるのですが、軽度の気分の高揚である『軽躁(けい... ...続きを見る |
2007/09/11 12:55 |
ジョセフ・マーフィー『マーフィー わずか「1日」ですべてが変わる!』の書評
書店やウェブで『マーフィーの法則』という言葉をよく見かけた時期がありましたが、普段、人生哲学(成功哲学)や自己啓蒙(ポジティブシンキング)に関する本は余り意識しないこともあり、ジョセフ・マーフィー関連の本は一度も読んだことがありませんでした。本書『マーフィー わずか「1日」ですべてが変わる』は、厳密にはマーフィーの法則というものを一つ一つ解説したものではなく、マーフィーの法則を教えられた人がどのようにして自分の問題や欠点を克服したかという事例集のような構成になっています。その為、具体的な法則や理... ...続きを見る |
2007/09/07 08:09 |
ウェブで語られる“プライベートな問題”と“メンタルヘルスの悩み”:共感的なコミュニティの可能性と影響
前回の記事では、『社会的に不利な属性を持つ人』でもウェブであれば各種のコミュニティに参加しやすいというメリットについて触れました。これをメンタルヘルスの文脈で考えると、精神疾患(心的外傷・不安障害・うつ病)や社会不適応(対人恐怖・非社会性・失業)などの問題を抱えた人たちの『セラピューティック(治療的)なコミュニティ空間』を準備できるということにもつながってきます。 ...続きを見る |
2007/08/27 06:35 |
『不適応な行動パターン』を効果的に変容させる解決志向アプローチのカウンセリング
認知療法的な視点を取り入れた『解決的アプローチ(解決志向や解決構築のカウンセリング)』の嚆矢となったのが、REBT(Rational Emotive Behavioural Therapy, 論理情動行動療法)のアルバート・エリスやうつ病の認知療法で実績を挙げたアーロン・ベックですが、解決的アプローチでは『現在の問題への具体的な対処法』に焦点を当てます。 ...続きを見る |
2007/08/19 20:15 |
S.フロイトの快楽への意志, C.ロジャーズの有機体の価値判断, A.エリスの合理的思考の接点
どういった考え方や物事の捉え方が自分にとって実際的に役立つのか、どの行動を選択すれば自分の未来の可能性を高めてくれるのかを考えるのが、認知療法や解決志向(解決構築)アプローチですが、C.ロジャーズのカウンセリングでは『生得的な功利性への気づき(自然に自己肯定感や幸福感が高まってくれる自己充足的な意識の目覚め)』がその中心にあり、生得的な功利性に気づくことで『自己一致(congruence)』が促進されるとしています。自己一致とは、自分が率直に感じ取っている『自己の経験(self-experien... ...続きを見る |
2007/08/15 20:27 |
S.フロイトの精神分析の基本原則とC.ロジャーズのクライアント中心療法の共感的態度:2
精神分析療法を実施する分析家とクライアント中心療法を行うカウンセラーとの基本的態度(基本原則)の違いを原則論的にまとめると以下のようになります。現在のカウンセリングでは、カウチ(寝椅子)で横になったクライエントが次々に自由連想を続けるような精神分析や、助言や情報提供を全く行わないクライエント中心療法は減っているので、折衷的な態度を取るカウンセラーが増えていると思われますが、『共感性・中立性・真実性・丁寧な傾聴・肯定的な態度』などの基本的要素は程度の差はあれ、およそ全ての技法に共通する側面を持って... ...続きを見る |
2007/08/08 04:38 |
S.フロイトの精神分析の基本原則とC.ロジャーズのクライアント中心療法の共感的態度:1
カール・ロジャーズの"person centered therapy"とも呼ばれるクライエント中心療法とシグムンド・フロイトを始祖とする力動的心理学の精神分析療法(psychoanalytic therapy)は、理論的・技術的に見ると大局的な技法なのですが、長期間の心理面接を予期した『人格的成熟・精神的発達』を究極の目標とする意味では非常に類似した目的論的な立場に立っています。クライエント中心療法や精神分析療法が『探索的アプローチ』であるという時には、この目的論的立場の共通性を意図しているわけ... ...続きを見る |
2007/08/06 07:24 |
精神分析学が“精神現象の解明”に果たした功績とカウンセリングの構成要素
カウンセリング(counseling)とは“健常パーソナリティ”を持つ人の心理的問題に対処する非日常的な人間関係であり支援技術ですが、心理療法(psychotherapy)はカウンセリングよりも臨床的な精神障害の問題に焦点を向けており“病理パーソナリティ”に専門的に取り組む傾向があります。 ...続きを見る |
2007/08/03 01:53 |
“音声言語による電話のコミュニケーション”と“文字言語によるウェブのコミュニケーション”
前回の記事に書いた『カスタマーサポートの話題』に関連するコンテンツが『コールセンターブログ』にいろいろと掲載されています。以下に引用した記事では、アメリカの顧客マーケットでは1回の電話で、「対応に出たコミュニケーター」が問題状況を解決できなければ、その企業の商品・サービスの利用を辞めるという厳しい調査結果が出ているとあります。 ...続きを見る |
2007/07/28 18:41 |
他者の評価や反応を求めるB群(クラスターB)の人格障害:“特別な自分の価値”を自己顕示する方法の違い
人格障害(personality disorder)は、社会環境に適応可能な『平均的な性格特性』から過度に偏った性格行動パターンのことであり、社会環境や対人関係に上手く適応できないために『主観的な苦悩』や『社会的(経済的)な不利益』が生じてくる。人格障害は厳密には精神病理ではなく精神疾患との連続性(スペクトラム)や近縁性を示しながらも、『正常圏における性格の偏り・歪み』と考えられている。 ...続きを見る |
2007/07/15 15:21 |
“子に対する親の保護・支援”の過大評価と子どもの独自性の尊重:家族・個人の“生きるという前提”
前回の記事では、『親と子の自他融合感(心理的境界線の曖昧化)』が強くなり過ぎて、子ども独自の人生(生命)を尊重できなくなる危険について書きました。しかし、一定の年齢に達した子どもに対して『この子は、私がいないと何も出来ない』というほど過保護・過干渉ではなくても、『暫くの間は、私たち(親)の経済生活面での支援がないと、経済力のない子どもが路頭に迷ってしまうのではないか』というような心配をしている親は多いでしょうし、それは養育責任を果たそうとする健全な意志(愛情)の現れでもあります。子どもが学齢期(... ...続きを見る |
2007/07/08 00:57 |
子どもを自己(親)の苦境に巻き込む家族病理:親と子が段階的にそれぞれの道を生きるという認識
加害者にとっても被害者にとっても余りに救済のない事件、日本文化の『親子の情誼(子に対する親の責任意識)』や小此木啓吾の阿闍世コンプレックスとの関係性が深い事件として親子心中の問題があります。人生に絶望した親が子や配偶者を道連れにする心中事件が起こるのは当然日本だけではありませんが、少なくとも『親は親の人生を生き、子は子の人生を生きる』という個人主義の影響が強い欧米文化圏では心中事件が発生する頻度は極めて少ないようです。 ...続きを見る |
2007/07/07 23:56 |
自己存在のリアリティ(現実性)を喪失する離人症と相補的な拘束作用の働く家庭環境の問題
常識的に考えてその環境から逃げ出すことが望ましいと思われる場合に逃げ出せない理由として、『アダルトチルドレンに絡む関係の静止性の問題』と『暴力・懐柔・経済的依存によるマインドコントロール』が二重三重に組み合わさっている可能性を考えることが出来ます。過去の記事の後半で取り上げた東京都足立区の元妻殺害の事件に限らず、『元配偶者のいる不遇な環境』に半ば自発的に支配拘束されてしまうケースというのは少なからずあります。 ...続きを見る |
2007/06/22 20:50 |
乳幼児の精神発達と言語獲得のプロセス2:『人間の顔』に対する認知と社会的微笑
新生児は産まれながらに大人や外界の刺激に対して微笑む『生理的微笑』のシステムを持っているが、生後2ヶ月以上くらいになってくると大人の表情を意識して微笑む『社会的微笑』をするようになる。つまり、生後2ヶ月以降の乳児は、『人間の顔』と『人間の顔ではないもの』を弁別して認識するようになり、人間の顔や表情に対して選択的に微笑むようになるが、一般的に生後6〜8週目以降になると『音声の聴覚刺激(母親の声)』よりも『顔の視覚刺激(母親の顔)』に対する反応が良くなっていく。 ...続きを見る |
2007/06/21 16:59 |
乳幼児の精神発達と言語獲得のプロセス1:新生児の音声の知覚と反射的な模倣
乳幼児は『然るべき時期』に『必要な刺激(愛情)』を与えてあげれば、健全な心身発達と能力の発現を示すことになる。特に、言語機能が完成に近づく『新生児〜幼児期(0〜5歳)の期間』の言語環境・視覚環境は(感覚器官を傷める余りに過剰な刺激は逆効果だが)豊かであればあるほどに良いといえる。自然環境から人工環境まで含めてありとあらゆる対象を指差して質問する子供には、『共感的な声かけ』と『モノの名指し(名前・概念を教えて上げるコミュニケーション)』が言語発達にとって非常に重要な効果をもたらす。 ...続きを見る |
2007/06/21 16:32 |
『自立』と『依存』を巡るアダルトチルドレンの対人葛藤と『状況の変化』を拒否する心理
アダルト・チルドレンは、『機能不全家族(非保護的環境・愛情剥奪環境)で育てられて大人になった人』という意味で用いられます。子ども時代に独特な偏った方法で家族関係に適応していたアダルト・チルドレンは、感情認識や感情の言語化が困難になるアレキシシミア(失感情言語症)や過剰適応による精神疾患、ストレス回避的な嗜癖(共依存的な人間関係)を発症するリスクが高くなると考えられています。 ...続きを見る |
2007/06/16 10:21 |
恋愛関係で重視される双方向的な感情の均衡と『来る者拒まず・去る者追わず』のコミュニケーション形態
通常の恋愛関係(異性関係)では排他的な独占欲求や依存欲求がある程度存在することが普通ですので、一切の嫉妬感情を抑制することは難しいと思いますが、前回の記事で書いたような異性への精神的依存度(独占欲求・執着感情)が弱いケースも『愛するより愛されたい意識』が強く、情緒的コミュニケーションよりも言語的コミュニケーションを優先する人であれば有り得るのではないかと思います。 ...続きを見る |
2007/06/13 06:27 |
恋愛関係における嫉妬感情などネガティブな感情の考察:『相手を愛する事』と『相手から愛される事』
はてな匿名ダイアリーで、『他人に対するネガティブな感情や嫉妬を抱けないという話題』が取り上げられていましたが、『他人に対するネガティブな感情』と『恋人(配偶者)に対するネガティブな感情』とには質的な違いがあり、前者には『他人に対する競争意識』があり後者には『恋人に対する独占欲求(依存欲求)』があります。 ...続きを見る |
2007/06/11 02:53 |
『自分のために生きること』と『誰かのために生きること』のバランスの崩れと機能不全家族の問題
過去の記事では、現代の日本をはじめとする先進国のように、子どもの人権が確立されて子どもが親よりも道徳的・実際的に優位に立ちやすい社会では、積極的に複数の子どもを持とうとするモチベーションが高まりにくいといった話をしました。『子どもの成長・教育・幸福』のために親が全身全霊を注いで尽くす度合いが大きい(過去と比べて)過保護な傾向がある社会では、育児に掛かる心理的・経済的コストが一般に大きくなり、子どもの心理社会的自立に擁する時間は20年以上かかることが珍しくなくなります。国家や地方自治体の育児支援は... ...続きを見る |
2007/06/09 11:07 |
配偶者間・恋人間のDV(ドメスティック・バイオレンス)と共依存的なパートナー選択の問題
前回の記事では、地域社会のコミュニティの衰退と児童虐待の問題について書きましたが、家庭内問題としてのDV(Domestic Violence)や親密な関係にあるパートナーとの間で起こる恋人間暴力について補足しておきます。通常、DVには配偶者ではない恋人(パートナー)からの暴力も含みますが、配偶者間や恋人間の感情的なトラブル(別離・結婚・金銭・浮気などを巡るトラブル)が元となって、室内や車内で相手に激しい暴力を振るうという事件は毎年頻繁に起こります。こういった親密な人間関係の中で突発的に起こる事件... ...続きを見る |
2007/05/26 18:18 |
ゲマインシャフト(地域共同体)の衰退と家族問題(DV・児童虐待)の非社会的な密室化
過去の記事では、多産多死の前近代的社会と少産少死の近代社会における妊娠出産にまつわる『養育責任の重圧感の違い』に焦点を合わせました。現代の日本社会では、若年夫婦が子どもを産み育てることを賞賛していますし政治的な少子化対策にも国民の関心が集まっていますが、『児童虐待・育児放棄(ネグレクト)・親の責任感や社会的スキルの欠如』が大きな問題となっています。政府が一旦打ち出そうとして辞めた親業マニュアルにしても、『標準的な育児方法のテンプレート(雛形)』を示すことで、(内容には、多少時代に適合しない部分も... ...続きを見る |
2007/05/26 16:51 |
性格心理学の類型論(タイプ論):C.G.ユング、クレッチマー、シェルドン、シュプランガーの仮説理論
その人を特徴づける持続的で一貫性のある行動・感情・認知・人間関係のパターンで幾つかのタイプ(性格類型)に分類した仮説が『類型論(タイプ論)』ですが、類型論による性格心理学の起源は、古代ギリシアの時代に遡ります。医聖ヒポクラテス(B.C.468〜377)が考案した四大体液説(血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁)と古代ローマの医学者ガレノス(A.D.131-199)が提示した体液理論(体液病理学:humoral pathology)に類型論の原初形態があると言われます。 ...続きを見る |
2007/05/09 01:56 |
W.ヴントの実験心理学の要素主義的な科学性:『類型論』と『特性論』から成り立つ性格心理学
心理学に科学的な研究手法を取り入れた実験心理学は、1879年にドイツのライプチヒ大学に心理学実験室を開設したウィルヘルム・ヴント(Wilhelm Max Wundt, 1832-1920)によって確立されました。イギリス経験論の連合主義の影響を受けていたヴントは、人間の精神構造が要素に還元できるという要素主義の立場にたち、自分の心の内容・変化を内省的に観察しようとする内観法を用いました。ヴントの要素主義は後に、弟子のティチナー(E.B.Titchener, 1867〜1927)に構成主義(con... ...続きを見る |
2007/05/08 18:53 |
レオナルド・ダ・ヴィンチの複雑なセクシャリティと『モナ・リザ』『三人づれの聖アンナ』の分析
ルネサンスの万能人レオナルド・ダ・ヴィンチの「禿鷹空想」の記事で書いたように、同性愛を幼少期の自分自身に向けられたリビドー(性的欲動)として解釈し、同性愛は自己愛(ナルシシズム)の変形であると考えたフロイトは、二人の母親の存在を意識したダ・ヴィンチの不安定な家族関係と口愛期(乳児期)の欲求不満が彼の同性愛傾向を導いたとしました。実際、フィレンツェ時代のレオナルド・ダ・ヴィンチは、17歳のヤコポ・サルタレリ (Jacopo Saltarelli)という男娼と同性愛関係を持ったとして匿名者からの告発... ...続きを見る |
2007/05/06 13:19 |
ルネサンスの万能人レオナルド・ダ・ヴィンチの『禿鷹空想』と同性愛気質の精神分析的解釈
過去の記事で、シグムンド・フロイトが想像的に行ったレオナルド・ダ・ヴィンチの幼児期の精神分析に言及しましたが、その精神分析は『レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期のある思い出(1910)』という論文に記載されています。レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)は、多くの優れた芸術家・文学者・技術者を生み出したイタリア・ルネサンスの盛期において、ミケランジェロ(1475-1564)やラファエロ・サンティと双璧を為す最高の天才と言われる人物です。 ...続きを見る |
2007/04/29 16:05 |
『脱価値化』が緩和する嫉妬感情と『共感性の欠如(他者の利用)』に根ざす自己愛の反社会性
前回の記事では、不適応で不安定な対人関係をもたらす『分裂』と『脱価値化(devaluation)』の防衛機制について解説したが、脱価値化は『過去に価値を認めていたものを潔く断念する』といった肯定的な効果を生み出すこともある。しかし、過去に親密だった人間関係をあっさりと断ち切る脱価値化を頻繁に用いると、一般的には、根気のない飽き性や身勝手な気分屋、友人に対して不誠実な人という批判を受けやすくなるだろう。 ...続きを見る |
2007/04/17 04:29 |
潜在的(covert)な自己愛障害とシャイネスの強い社会性不安障害(対人恐怖症)の関連性
前回の記事と関連して、自己愛障害の人が自分の自尊心(自己評価)や理想自我を傷つける他者を無価値なものと見なす『脱価値化(devaluation)』の心理機制について補足しておく。原始的防衛機制として知られる『分裂(splitting)』は、他人を『完全に良い人』と『完全に悪い人』の二つに断定的に分類して、自分を否定的に評価する『完全に悪い人』を攻撃して消滅させようとする心理機制である。 ...続きを見る |
2007/04/16 06:05 |
自己愛障害(自己愛性人格障害)に見られる“自己中心性・承認欲求・脱価値化・カリスマ性”
広場恐怖をともなうパニック障害の病理学の記事で、精神疾患全般に共通する中核的症状として『不安・緊張・抑うつ・恐怖・混乱・強迫性』を上げたが、性格傾向の過度の偏りや対人関係が上手くいかない問題で重要になってくるのが『自己愛の障害』である。 ...続きを見る |
2007/04/16 03:16 |
『暇(退屈)な時間』の意味するものと性格傾向(外向性・内向性)による時間の使い方の違い
前回の記事では、ブログの更新とストック性や文章のアウトプットの閾値の話になってしまったが、冒頭で挙げた『タイムマネージメント(time management)』と『暇(退屈)な時間』の話も少しだけ書いておきたい。この問題について書こうと思ったきっかけは、まず、自分自身が『暇(退屈)な時間』を意識することが殆どなくなったこと、そして、梅田望夫さんの『好きを貫くこと』に関する一連の記事で人生全体(個人の利用可能な時間)のタイムマネージメントを考えたことがある(当ブログの関連記事)。 ...続きを見る |
2007/04/12 12:25 |
パニック障害の認知モデルと破局的認知を修正する認知的・行動的なカウンセリング
前回の記事で書いた呼吸性アルカローシスを伴うパニック発作や過換気症候群が慢性化する理由については、バーロウ(Barlow)の“誤った警報理論”やクラーク(Clark)の認知理論などに代表される『パニック障害の認知モデル』によって理解することができる。認知行動療法を実施する場合には、認知モデルを前提としたパニック障害の基本メカニズムをクライエントに教えるようにするとスムーズに技法を適用できる。 ...続きを見る |
2007/04/08 21:58 |
広場恐怖をともなうパニック障害の病理学と過換気症候群の症状との類似性
現実吟味能力が保たれた精神疾患(精神障害)全般に共通する中核的症状として『不安・緊張・抑うつ・恐怖・混乱・強迫性』などがあるが、気分が落ち込み意欲を喪失するうつ病(depression)と並んで発症者数が多いのが不安障害(anxiety disorder)である。うつ病や統合失調症といった精神病と不安障害の不安症状(情緒障害)はオーバーラップ(重複)することが多い。それは、人間の精神の病理性の根本に『未来が現在よりも悪くなるのではないか(未来で何か悪いことが襲いかかってくるのではないか)』という... ...続きを見る |
2007/04/08 21:47 |
認知療法の『認知の歪み(思考の誤り)』とアーロン・ベックの『認知的三角形』
自分を苦しめる不適応(否定的)な思考パターンや行動パターンの適応的変容を合理的に目指す認知療法(cognitive therapy)では、『なぜ、そのような不適応な感情・気分・行動が生起したのか?』という問題状況や心理状態の形成機序(メカニズム)に焦点を合わせます。広範な適応症と対象事例を持つ認知療法は、『認知の傾向・思考の内容』によって『感情・気分・行動・生理』が決定されるという認知理論(認知モデル)を前提としています。 ...続きを見る |
2007/03/13 15:01 |
短期療法(ブリーフセラピー)としての認知療法(認知行動療法)とクライエントの利益を考慮した技法選択
アーロン・ベックがうつ病患者の臨床を経て創始した認知療法(cognitive therapy)は、現在の出来事や認知(考え方)に焦点付けして問題を解決しようとする未来志向の技法です。それに対して、シグムンド・フロイトが神経症(ヒステリー)患者の臨床経験と自己分析を経て構築した精神分析(psychoanalysis)は、幼少期の記憶(無意識領域の内容)や生育歴における精神力動(精神発達上の問題)に焦点付けする過去志向の技法としての特徴を持っています。 ...続きを見る |
2007/03/13 08:27 |
男性原理と女性原理の二元論(dualism)が相対化する現代社会:C.G.ユングの無意識の二面性
前回の記事の続きで、男性原理と女性原理の二元論(dualism)やグレートマザーの元型について補足記事を書いていこうと思います。法治主義と法令遵守(コンプライアンス)は近代国家成立の大前提であり、資本主義や自由主義の精神と矛盾しませんが、合理的でない伝統主義や宗教原理(父権宗教の道徳規範)は、資本主義や自由主義の精神と対立しやすくなります。自由主義とは、他人に具体的・物理的な迷惑を掛けない限り、思想・行動・言論・表現の自由が保障されるべきという思想ですから、『今まで悪いこととされてきたから、今も... ...続きを見る
|
2007/02/23 09:38 |
『過去の異性関係』と『現在の異性関係』の狭間で進行する失恋の苦悩(葛藤)の処理プロセス
はてな匿名ダイアリーの元カノを過去にすることという記事を読んで、恋愛の失恋の痛手と男女の別れ方のパターンというものについて考えてみたいと思いました。以下の記事は、匿名ダイアリーの記事内容と重なる部分もありますが、若干の経験論を交えながらできるだけ恋愛の苦悩の一般論として書いた内容になっています。 ...続きを見る |
2007/02/20 10:20 |
自尊心を求めるH・コフートの自己愛の発達理論とS・フロイトの病的なナルシシズム
「発達早期の母親剥奪(mother deprivation)とナルシシズム(自己愛)の歪曲の問題」では、ジョン・ボウルビーの愛着理論とルネ・スピッツのホスピタリズム(施設症候群)を例に挙げて、健康で正常な精神発達に必要となる母性的なケア(共感的な母子関係)について言及しました。育児の目的である子供の自己アイデンティティの確立と心理社会的な自立を達成するためには、父性的な規律(相克的な父子関係)と母性的なケア(共感的な母子関係)の調和を上手く保つことが有効ですが、社会適応的な自己アイデンティティの... ...続きを見る
|
2007/02/14 02:50 |
発達早期の母親剥奪(mother deprivation)とナルシシズム(自己愛)の歪曲の問題
幼少期から思春期の子供の育児をするにあたって最も重要なことは、自立心と依存心のバランスの取れた親子間のコミュニケーションを心がけることです。家族関係からの切り離しの作用を持つ『父権主義的なアプローチ』によって子供の自己愛(self-love)は対象愛(object-love)へと転化されやすくなり、家族関係への包み込みの作用を持つ『母権主義的なアプローチ』によって子供の基本的信頼感が培われ自己愛と対象愛のバランスをとりやすくなります。 ...続きを見る |
2007/02/12 00:05 |
生物学的精神医学の黎明期:B.A.モレルの変質概念やE.クレペリンの分類体系など
フィリップ・ピネルの弟子であったジャン・エチエンヌ・ドミニク・エスキロール(J.E.D.Esquirol, 1772-1840)は、ピネルの疾病分類を更に精密化して『メランコリー(melancholy)』を、単極性障害(うつ病)に該当する『リペマニー(lypemanie)』と妄想症状(気分高揚)を中核とする『モノマニー(monomanie)』に分類した。 ...続きを見る |
2007/01/29 15:04 |
精神病理学の歴史と『鎖からの開放』を企図したフィリップ・ピネルの疾病分類学
生物学的精神医学では、各種の精神疾患の原因を観察可能な身体因(個人要因)に求めて、解剖学的方法によって原因を発見し、薬物療法や電気ショック療法に代表される物理的な療法で病気を治療しようとする。生物・社会・心理(bio-social-psycho)の領域を横断する精神医学の理論モデルの中で、最も自然科学に近いモデルが要素還元主義に根ざした生物学的精神医学である。 ...続きを見る |
2007/01/26 03:07 |
NLP(神経言語プログラミング)やSFA(解決構築アプローチ)を活用した短期療法の目標設定
問題の内容を詳しくアセスメント(査定)してから有効な対処法(治療法)を考えるという従来の臨床心理学的アプローチ(問題解決志向)は、『クライエントの問題点(病理性・異常性・不適応)』を専門的に査定(判断)するところに最大の特徴があります。正常な知能(判断力)と適応的な精神機能(対人関係)を持っている平均的な健常者をモデルとして、そのモデルとの差異や社会環境への不適応を改善していこうとする問題解決志向のカウンセリングは、基本的に『減点法のアプローチ』です。専門家である心理臨床家(カウンセラー)が、外... ...続きを見る |
2007/01/08 09:40 |
『現在の問題の解決』を志向する解決構築アプローチと『過去の問題の分析』を志向する精神分析療法
『子どものトラウマに対するプレイセラピー』では、子どもの遊戯行為や生活動作に投影される「断片的な虐待のテーマ」や「内面的な表象関係のテーマ」を利用したプレイセラピーについて解説しました。プレイセラピーの治療機序についてはいくつかの見解があり、言語的な解釈を必要とするという「自我心理学的な立場」と言語的な解釈は不要であるとする「自己心理学的な立場」とがあります。 ...続きを見る |
2007/01/07 07:55 |
子どものトラウマに対応するプレイセラピー(遊戯療法)とユング心理学のコンステレーション(布置)の関係
ウェブサイトの記事で子どものトラウマと心理療法を書いたが、この記事では、機能不全家族で成長したアダルチルドレンや養育者から受けた虐待によるトラウマを中心にして「トラウマに対処する心理臨床」を考えてみた。 ...続きを見る |
2006/12/28 19:22 |
反社会性人格障害の診断と社会防衛的な精神医学の視点の問題
前回の記事と関連する内容ですが、行為障害と反社会性人格障害のアクティング・アウトとしての側面と精神医学の対象疾患が増えることによる“過度のラベリングの問題”について触れておきたいと思います。 ...続きを見る |
2006/12/21 12:50 |
DSM-Wによる行為障害と反抗挑戦性障害の診断基準:発達過程における反社会性の問題
発達障害(Developmental Disorder)とは、中枢神経系の成熟障害や神経伝達過程の異常によって発達早期に発症する問題ですが、発達障害の概念には『医学的な障害(disorder)』という意味合いと同時に『社会的不利益(handicap)』が強く含意されています。自閉症スペクトラムに代表される発達障害の多くは、生命の維持や身体の健康に直接関わるような症状を呈するのではなく、既存の社会環境(学校生活)や職業活動(経済生活)に適応できないために社会的・経済的な不利益を蒙りやすいという問題... ...続きを見る |
2006/12/21 11:05 |
ADHDに対する心理学的なアプローチとリタリンによる薬物療法の概略
前回の記事では、ADHDのDSM‐Wの診断基準と学校生活を困難にする症状について説明しましたが、今回は、療育を含むADHDへの基本的な対処法とリタリンによる薬物療法の概略について書こうと思います。 ...続きを見る |
2006/12/12 00:05 |
DSM‐WによるADHD(注意欠陥多動性障害)の診断基準と学校生活への適応の問題
学校教育システムの機能不全の露呈と生徒が所属する集団(グループ)の発達変遷過程の記事では、児童期から思春期に至る不安定な集団関係(対人関係)の問題を、『ギャンググループ・チャムグループ・ピアグループ』の集団発達概念を用いて考えましたが、発達臨床心理学的な問題であるADHD(注意欠陥多動性障害)や行為障害について補足しておきたいと思います。 ...続きを見る |
2006/12/11 18:20 |
心理アセスメント(心理検査)の目的と適応を考えたテスト・バッテリーの問題
『ロールシャッハ・テストとTATに代表される投影法の心理テストの有用性と問題点』では、結果の再現性や鑑別の正確性といった科学的客観性に焦点を合わせて投影法の利点と限界を考えてみました。ロールシャッハ・テストに限らず、無意識領域(意識化されていない区域)にある感情や性格傾向を探る投影法の最大のメリットというのは、心理テストそのものに治療効果が期待でき、通常の対話では得られにくい情報が手に入るということです。 ...続きを見る |
2006/12/06 11:56 |
DSM-Wの臨床診断と薬物療法の安全性を担保する臨床試験(治験)のエビデンスの問題
『前回の記事』で、精神分析に基づく力動精神医学から薬物療法を主力とする生物学的精神医学への移行についての概略を説明したが、勿論、薬物を用いた治療には大きなメリット(効果)がある一方で、それと拮抗するデメリット(副作用)が発生するリスクがある。 ...続きを見る |
2006/11/23 19:54 |
精神分析に基づく力動精神医学から記述主義と薬物療法を前提とする生物学的精神医学への転換
ドイツやオーストリア、イギリスなどヨーロッパ諸国からアメリカ合衆国へ移住した精神分析家達の啓蒙活動と臨床成果によって、1950年代から60年代にかけて精神療法としての精神分析は全盛期を迎えた。心理的な苦悩や病理を無意識の言語化によって治療するという精神分析は、プロテスタンティズムの信仰の伝統に欠けていた『カトリック的な罪悪・信仰の告解(懺悔)』の代理物としての役割を持っていたので、『赦しの秘跡(サクラメント)』の精神療法としてアメリカ国民の富裕層に受け容れられた部分もあった。 ...続きを見る |
2006/11/23 17:57 |
ロールシャッハ・テストとTATに代表される投影法の心理テストの有用性と問題点
臨床心理学の臨床実践と研究調査は、『心理療法(カウンセリング技法)・異常心理学(精神病理学)・心理アセスメント・心理統計学』の領域によって支えられています。有効性と安全性の高い心理療法を選択して、問題解決(症状・悩みの改善)につながる心理臨床を行っていく為には、異常心理学に基づく精神病理(異常心理)の正確な知見だけでなく、心理アセスメントによるクライエントの全人的な理解が必要になってきます。 ...続きを見る |
2006/11/17 13:07 |
学校教育システムの機能不全の露呈と生徒が所属する集団(グループ)の発達変遷過程
愛国心や規範意識、学校再建、教員教育(教員免許更新制)などの問題を巡る教育基本法改正の議論が盛んになっているこの時期に、いじめや学級崩壊、世界史の履修不足、保護者の非常識な振る舞い、教員の指導力不足といった学校教育が抱える諸問題が一気に噴出してきて現場と世論が紛糾している。 ...続きを見る |
2006/11/13 07:17 |
“抑うつ的な希死念慮”を構成する心理的要素が“強迫的な焦燥感・責任感”と結びつく危険性
去年9月の北海道滝川町の江部乙小学校のいじめ問題、先月の福岡県筑前町の三輪中学校のいじめ問題に続いて、岐阜県瑞浪市の瑞浪中学でもいじめの問題が発覚し最悪の結末を招くに至った。いずれの事件も、単なる一過性のいじめやいじめによる精神的打撃(長期的苦痛をもたらすトラウマ)に留まらず、いじめの状況に懊悩した生徒が最も回避すべき自殺の行動を選択したという点で共通している。 ...続きを見る |
2006/11/02 00:10 |
TAT(主題統覚検査)を開発したH.A.マレーの心理的欲求の分類と行動原理としての欲望
前回の記事では、攻撃行動やその衝動(欲求)を様々な理論的立場から説明してきましたが、コミュニケーションで満たされる“4つの対人欲求”と対人評価を高める“5つの性格行動特性”の記事でも以前書いたように、『他者・集団の欲求(目的)の充足』は、対人評価の上昇や対人魅力の強化と密接に関係しています。 ...続きを見る |
2006/10/27 09:07 |
フラストレーション攻撃仮説・モデリング・社会的動機と自己呈示行動:攻撃行動の発現に関する仮説
精神分析を含む心理学史を振り返ると、人間の精神や行動の基本原理として『欲求(desire)』を仮定した心理学理論(心理学派)が数多くあり、人間性心理学(ヒューマニスティック心理学)のアブラハム・マズロー(A.H.Maslow, 1908-1970)は、自己実現を最上位の欲求とする『欲求階層説』を提示しました。 ...続きを見る |
2006/10/25 05:30 |
学校環境でのいじめや対人関係で追い詰められた子どものクライシスコール:遺書を作成する行為と心理
前回の記事が長くなりすぎたので記事を分けたが、福岡県筑前町の三輪中学校と北海道滝川市の江部乙小学校のいじめ問題において生徒が遺書を書き残していたという事が気にかかっていたので、いじめを苦にして遺書を書き残す生徒児童の心理について思考のメモを書いておきたい。 ...続きを見る |
2006/10/18 00:05 |
福岡県筑前町と北海道滝川市のいじめ問題2:教師の言動が生徒に与える影響と学校心理臨床の課題
前回、『福岡県筑前町と北海道滝川市のいじめ問題1:教師・生徒・親の信頼関係の再生といじめ対処の見直し』という記事を書いたが、福岡県の三輪中学校のいじめ事例で担任教諭が被害者児童にいじめ行為をしていた問題とその心理的背景について補足的に考察しておきたい。自殺問題にまで発展するか否かは別として、教育者が調子に乗り過ぎてしまい生徒を皆の前で揶揄したりからかったりして悪ふざけするという状況は、十年以上前から割とありふれた学校の風景としてあった。 ...続きを見る |
2006/10/17 17:56 |
福岡県筑前町と北海道滝川市のいじめ問題1:教師・生徒・親の信頼関係の再生といじめ対処の見直し
福岡県筑前町の三輪中学校2年生だった男子生徒(13)が、いじめを受けたという遺書を残して自殺した事件が取りざたされているが、このいじめに学級の担任教師が関与していたことが大きな問題となっているようだ。この福岡県のいじめ事件の前にも、去年の9月に、北海道滝川市で江部乙小学校6年生の女児が、いじめを苦にして教室で首を吊るという事件があり、一年近くに及んで、学校側と遺族側がいじめの存在の有無を巡って意見の食い違いを見せていた。 ...続きを見る |
2006/10/17 14:16 |
理性的抑制と本能的欲望が葛藤する脳の構造:『認識能力』と『行動制御』で構成される責任能力
『泣くから悲しい』のジェイムズ=ランゲ説が発表当時にもたらした衝撃は、『涙腺から涙が出る』という生理学的変化が『悲しみを感じる』という情動反応よりも時間的に先に起こるという事でした。 ...続きを見る |
2006/10/07 22:29 |
“心脳一元論における責任能力の曖昧化”と“刑法39条の責任阻却事由の原理的考察”
『物理的な脳と心理的な意識の並行関係と機械論的生命観の限界』で、人間の脳器官と精神機能の相関関係について考えましたが、精神科医や心理学者、生物学者の中には、『脳の機能(状態)』と『人間の心(精神)』を同一のものと見る唯物論的な精神観を持っている人が少なからずいます。 ...続きを見る |
2006/10/06 01:43 |
物理的な脳と心理的な意識の並行関係と機械論的生命観の限界:『心とは何か?』を定義することの困難
前回の記事で、『主観的世界の再構成』という知覚・認知の機能の本質について書きましたが、自分以外の各個人の精神内界に再現される内容(表象・感覚・情動・思考)を直接的に知る方法はありません。私達が他人の心理内容を間接的に知る方法は、大きく分けて、『内観法に基づく他人の言語報告』と『観察法に基づく他人の行動観察』の二つしかないのです。 ...続きを見る |
2006/09/30 04:13 |
“知のメカニズム”を科学的に解明する認知心理学と“心の体制化”を発見したゲシュタルト心理学
『認知(cognition)』とは、外部の物体や事象に関する情報を『後天的な知識・記憶・学習』の影響を受けて理解する過程のことで、『知覚(perception)』とは、目・耳・鼻・舌・皮膚の五感を司る感覚器官から直接的に情報を摂取する過程のことですが、人間の知的な情報処理過程全般を認知と呼ぶこともあります。 ...続きを見る |
2006/09/28 01:21 |
恋愛ツールとして“ブログ”を活用することの難しさとウェブの情緒的な対人コミュニケーションの特性
アルファブロガーになったからってモテるわけじゃない!『モテる100ワザ ブログ入門』という『絵文録ことのは』の記事を読んで、ブログを恋愛ツールとして使う事の困難とウェブを活用した出会いの特徴について考えたので、少し備忘録的に書き残しておこうと思う。 ...続きを見る |
2006/09/15 07:16 |
『メラビアンの法則』が示す非言語的コミュニケーションの有効性と言語情報との相補性
人間のコミュニケーションは、言葉による“言語的コミュニケーション”と表情・口調・態度・ボディランゲージ・外見による“非言語的コミュニケーション”により構成されます。 ...続きを見る |
2006/09/13 04:45 |
コミュニケーションで満たされる“4つの対人欲求”と対人評価を高める“5つの性格行動特性”
他者と良好な人間関係を維持して、自分の意志や感情を正確に伝達するコミュニケーション・スキルには、対人魅力を高める外観や対人評価を良くする技術が含まれます。他者と意思疎通したり他者に何らかの印象や効果を与えたりするコミュニケーションには、言葉を用いて行われる『言語的コミュニケーション』と表情や態度、ジェスチュア、外見(容姿・ファッション・色彩・視線)、社会的属性(地位・職業・資格・役割・財力)などを用いて行われる『非言語的コミュニケーション』があります。 ...続きを見る |
2006/09/09 09:52 |
対人コミュニケーションのストレスとアサーティブな人間関係:2
人間の自己主張や自己表現の方法には、『攻撃的な自己表現(自分の意見を主張し他者の意見を否定する方法)』『非主張的な自己表現(自分の意見を抑圧し他者の意見を受け容れる方法)』『アサーティブな自己表現(自分の意見を主張し他者の意見も考慮する方法)』があり、この中で最も良い結果を引き出しやすい最善の方法は『アサーティブな自己表現』であると考えられます。 ...続きを見る |
2006/09/04 20:10 |
対人コミュニケーションのストレスとアサーティブな人間関係:1
社会環境や集団生活の中で私たちが感じる精神的ストレスの多くが、対人関係の葛藤やコミュニケーションの問題から生まれますが、対人関係の全てが不快感を伴うストレスにつながるわけではありません。他者とのコミュニケーションが及ぼす心理的作用には様々なものがあり、その相手とのコミュニケーションによって生起する心理状態(感情・気分・印象・評価)には複数の因子が影響を与えていると考えられます。 ...続きを見る |
2006/09/03 21:01 |
ニート(NEET)と発達障害に相関はあるのか?:ニートの定義の曖昧さと発達障害の問題の多様性
『ニートに「発達障害」の疑い、支援に心理専門職も』という新聞報道では、仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない15〜34歳の若年層であるNEET(ニート)に発達障害の疑いのある者が少なからず存在していると伝えられている。 前回の記事の最後で書くといっていたニートと発達障害の保有率の問題についての記事を書いてみようと思う。 ...続きを見る |
2006/08/26 17:28 |
創造性と破壊性を併せ持つ内的な異性像としての“アニマ・アニムス”:元型イメージと象徴内容
ユングは、男性の内的な理想的女性像を『アニマ』と呼び、女性の内的な理想的男性像を『アニムス』と呼びました。アニマとアニムスはラテン語で生命の息吹(風)とか魂(soul)とかいう意味ですが、この無意識から立ち上がってくるアニマとアニムスの元型イメージを夢などを介して体験するときに、エナンティオドロミアが起きやすくなるといいます。 ...続きを見る |
2006/08/15 19:16 |
自我(エゴ)中心の精神分析学と自己(セルフ)の相補性を重視する分析心理学:無意識の補償作用
フロイトは、無意識に自然的本能や動物的欲求としてのエスを想定し、エスは『非言語的で無構造なもの』と考えていましたが、ユングは集合的無意識を『言語で翻訳し得る物語性と人類共通の構造を持つもの』と考え、その集合的無意識のパターン化された内容である元型は、イメージとして意識に顕現してくると述べました。 ...続きを見る |
2006/08/11 00:45 |
福島県の児童虐待事件と大阪府のマンション監禁事件から考える地域社会の衰退と日常生活の不安
連日35度前後の猛暑の真夏日が続いているが、秋田県の男児殺害事件以降夏に入っても、陰鬱なというか常軌を逸した児童虐待がエスカレートした殺害事件や猟奇的な監禁事件など暗いニュースが続いている。 ...続きを見る |
2006/08/06 19:58 |
C.G.ユングの集合無意識とドイツロマン主義の思想潮流に投射された『普遍性・永続性への願望』
ユングは何故、宗教的精神性を内在させた『魂の心理学』あるいは『背後世界(イデア・神・元型)を前提とする心理学』のような領域へと思考を発展させていったのだろうか。 前回の記事の内容を踏まえて考える時、彼が影響を受けたと書いている神秘主義的な宗教学者であるマイスター・エックハルトを生んだドイツの文化的風土や18世紀ドイツ・ロマン主義の名残を無視して考えることは出来ないでしょう。 ...続きを見る |
2006/08/04 21:46 |
ユング心理学の元型(archetype)や魂(soul)の概念が持つ神秘的宗教性と臨床的応用性
個人的無意識と性的欲動を重視するフロイトから離別したカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung, 1875-1961)は、精神内界に自律的に生起するイメージ(表象)を重視する分析心理学(analytical psychology)を構想しました。 ...続きを見る
|
2006/08/03 05:28 |
乳幼児の幻想的無意識を構想したメラニー・クラインとエディプス葛藤を重視したアンナ・フロイト
フロイト以後の精神分析には多数の学派があるので、対象関係とは何かという問いについては一義的に回答を返すことは出来ませんが、シグムンド・フロイトからアンナ・フロイトへと継承された自我心理学派では、『プレ・エディパル(pre-oedipal, エディプス・コンプレックス以前)な乳幼児は、自他を区別する“自我”が形成されていないので対象関係を持てない』と考えます。 ...続きを見る |
2006/07/27 19:50 |
リビドー充足と対象関係を欲求する精神分析の普遍的人間観:『ヒステリー研究』に見る時代風潮と基本原則
シグムンド・フロイトが創始した精神分析の治療方略は、『無意識の意識化』による自我の強化にあると言えますが、フロイトが神経症の原因とした無意識の内容とは『過去に抑圧された情動と欲求』であり『幼児期のエディプス・コンプレックスに関連した外傷的記憶』のことです。 ...続きを見る |
2006/07/25 09:27 |
臨床コミュニティ心理学が目指す“共生的な地域社会”とリエゾン精神医学の“協働的な専門家システム”
前回の記事で、有機的な社会システムの一部としての心理臨床活動について触れましたが、心理学以外の専門的な関連領域との協働関係(collaboration)は、クライエントの病態や希望に合わせて多面的かつ総合的であることが望ましいといえます。 ...続きを見る |
2006/07/18 00:19 |
『対人援助・心理教育・コミュニティ支援』を行う社会資源システムの有効活用とシステムズ・アプローチ
過去にカウンセリングの広範多岐な適応領域に関する記事を書きましたが、『心理学的アプローチによる対人援助(問題解決の支援)』を企図する心理臨床活動(カウンセリング活動)を、社会システムの内部と周縁に分けて考えてみたいと思います。 ...続きを見る |
2006/07/16 07:37 |
『家族システムの機能的な正常化』と『家族間の相補的なコミュニケーション』を志向する家族療法
精神の健全性や情緒の安定性は、家族間の相互的な人間関係や自立・依存を巡る精神力動と密接に関係しているが、健康な心身や幸福な日常を実現する為にどういった家族関係が最適なのかという単一の正答を出すことは難しい。 ...続きを見る |
2006/07/03 20:22 |
『セリグマンの学習性無力感による意欲減退』と『個人の認知的スキーマを形成する中核的信念』
人間の精神的な苦悩や葛藤の多くは、生活状況や対人関係、記憶情報に関する『悲観的な認知(pessimistic cognition)』によって生起し、実際に経験する様々な欲求の挫折や願望の途絶によって『悲観的な認知が正しい』という学習が強化されます。 ...続きを見る |
2006/06/18 06:34 |
心理・生理・家族構成・職場環境の変化と関係した中年期のメンタルヘルスと特徴的な症候群
前回、中年期の『体力の低下・人生の有限性』の意識変化という記事を書きましたが、今回は、発達心理学的観点から中年期の男性・女性のメンタルヘルスの問題点を少し詳しく説明していこうと思います。 中年期のライフサイクルの特徴や心理・生理・社会・家庭での変化と関係した中年期に好発する各種症候群についても触れていきます。 ...続きを見る |
2006/06/08 10:05 |
中年期の『体力の低下・人生の有限性』の意識変化:心身機能の低下を予防する柔軟な認知・適度な運動
生涯発達の前提に立つ中年期の発達課題とアイデンティティ・ステイタスの変化に対する適応では、『中年期の精神的危機』を『生活状況と人間関係の変化によるアイデンティティ拡散の危機』として説明しました。 ...続きを見る |
2006/06/06 23:28 |
生涯発達の前提に立つ中年期の発達課題とアイデンティティ・ステイタスの変化に対する適応
ユングの『人生の正午』概念に内包される『中年期の危機』に記したように、30代半ば頃から現役引退までの中年期は『生活状況が安定しやすい平穏期』であると同時に『青年期に確立したアイデンティティが揺らぎやすい危機期』でもあります。 ...続きを見る |
2006/05/30 07:22 |
ビネー式知能検査に関する補足と臨床診断的に用いられるウェクスラー式知能検査:サイトの更新
心理アセスメントとしての知能検査の歴史とアルフレッド・ビネーが開発したビネー式知能検査については、心理アセスメントで用いる心理検査とインフォームド・コンセント:ビネー式知能検査による一般知能の評価と『集団知能検査の開発を促進した第一次世界大戦:投影法の性格検査と無意識概念』の記事でその内容を概説しました。 ...続きを見る |
2006/05/21 16:12 |
ユングの『人生の正午』概念に内包される『中年期の危機』:中年期におけるアイデンティティ拡散と再体制化
『エリクソンの心理社会的発達理論』に関する記事において、人間の社会的関係性の発達を前提とした8つの発達段階で区切られるライフサイクルで人間の心理発達を考えました。 ...続きを見る |
2006/05/18 14:29 |
心理検査(心理テスト)の前提にある人間観2:個人に固有のパーソナリティの総合的・歴史的理解
行動科学モデルや認知理論モデルといった基礎理論に基づく心理テストの最大の特徴は、『客観的に観察可能な臨床的有効性やカウンセリング効果』を引き出す為の簡略化された質問紙法を採用するということです。 ...続きを見る |
2006/05/15 00:10 |
心理検査(心理テスト)の前提にある人間観1:統計的な信頼性と妥当性を重視する心理測定論
心理検査(心理テスト)作成の根底にある基礎理論には、『精神分析(力動的心理学)・行動科学モデル・認知理論モデル・(統合的)生態システム論』など様々なものがあります。 ...続きを見る |
2006/05/14 23:06 |
集団知能検査の開発を促進した第一次世界大戦:投影法の性格検査と無意識概念
『心理アセスメントで用いる心理検査とインフォームド・コンセント』の記事で、クライエントの利益増進や問題解決につながる心理アセスメントの種類(面接技法・心理検査)と目的について書きました。 ...続きを見る |
2006/05/13 01:21 |
心理アセスメントで用いる心理検査とインフォームド・コンセント:ビネー式知能検査による一般知能の評価
臨床心理学の研究分野を構成する主要分野には、『心理療法の理論と技法・心理アセスメント・異常心理学(精神病理学)』があり、心理検査(心理テスト)を中心とする心理アセスメントでは、クライエントの問題解決や利益増進を目的とした各種テストを行ってその後のカウンセリング計画や治療方針を立てていきます。 ...続きを見る |
2006/05/08 06:59 |
分割脳実験から分かる右脳の認知過程と左脳の言語過程の協働:サイトの更新
スペリーとガザニガの分割脳実験と認知機能 ...続きを見る |
2006/04/18 11:33 |
子ども社会のいじめの心理と大人社会のモラル・ハラスメント:集団内での示威と防衛の葛藤
以前の『いじめの頻度依存性に関する記事』の補足で、傍観者のいじめに対する行動選択の話とは別に、心理的問題に原因を帰属する観点での記事を書きかけていました。 ある程度、内容がまとまったので記事をアップしておきます。 ...続きを見る |
2006/04/18 06:58 |
モデリング理論による新たな適応的行動の学習2:A.バンデューラの社会的学習理論と動機付け過程
A.バンデューラの社会的学習理論で、『自己効力感など認知的制御』や『個人・行動・環境の相互決定論』の前提として重要な位置づけを持つ学習行動が『モデリング(modeling)』です。 ...続きを見る |
2006/04/16 08:19 |
モデリング理論による新たな適応的行動の学習1:恐怖反応の生得性と後天性
前回の記事で、環境刺激の影響や自分の行動の結果を予測して行動を決定する『予期学習』や『モデリング理論』について触れましたが、今回は、A.バンデューラのモデリング理論を中心として人間の学習行動を考えたいと思います。 ...続きを見る |
2006/04/16 08:00 |
『子どもの教育環境の調整による能力開発』が直面するモチベーションと社会的学習の問題
うつ病や全般性不安障害、強迫性障害、適応障害など人間の精神障害を構成する基本要素として、『情緒障害=情緒の制御困難・情緒の過剰亢進と異常抑制』を想定することが出来ます。 ...続きを見る |
2006/04/10 23:44 |
『泣くから悲しい』のジェームズ=ランゲ説:生理的反応と情動体験の認知の関係
人間の情動の形成機序と情動の適応機能について、過去の幾つかの記事で説明してきましたが、その多くは『認知→情動・感情・気分→行動』という時間的順序を前提としたものでした。 ...続きを見る |
2006/04/08 22:59 |
ヘンリー・タジュフェルの『社会的アイデンティティ理論』:集団間に働くインセンティブの行動原理
『心でっかちの日本人』の書評の補足記事として、『タジュフェルの社会的アイデンティティ理論の反証実験』の概略について記事を上げておきます。 ...続きを見る |
2006/04/06 17:44 |
『問題行動の修正と学習』を重視する行動主義と『支持的関係性と心の変容』を重視する心理主義
前回の記事では、『人間の行動の原因』を、個人の心理に求めるのか頻度依存行動のような集団力学(グループダイナミクス)に求めるのかといった話をしました。 ...続きを見る |
2006/04/03 14:25 |
頻度依存行動として発生するいじめ現象:『望ましい行動』を取るコスト・リスクによる葛藤
前回の記事で書いた『心でっかちな日本人―集団主義文化の幻想―』の感想の続きを書きながら、集団の中で起こる個人の相互作用について考えてみます。 ...続きを見る |
2006/03/31 13:03 |
山岸俊男『心でっかちな日本人―集団主義文化という幻想』の書評:行動に結びつき難い人の心
社会心理学の知見をもとにして書かれた山岸俊男氏の『心でっかちな日本人』では、アメリカ人の個人主義と日本人の集団主義のステレオタイプの欺瞞を幾つかの実験を元に反駁し、いじめ現象の心理学的還元に対して『人間は集団内で自分の心(判断)に従った行動を必ずしも取るわけではない』ということを“頻度依存行動と相補均衡”の概念を元にして説得力のある考えが展開されます。 ...続きを見る |
2006/03/30 08:07 |
『弱さを強さに変える触媒』としてのヴァルネラビリティ(脆弱性):知の再編成と自律的ネットワーク化
ヴァルネラビリティ(vulnerability)という概念は、インターネット領域で『セキュリティ上の脆弱性や欠陥』という意味で使われるが、現代思想や社会心理学などでは『他者からの攻撃や搾取などを招きやすい弱点や誘発性』といった意味で柔軟に利用される。 ...続きを見る |
2006/03/27 12:59 |
青年期危機説と青年期平穏説:学校・企業・家庭の環境への適応と社会的自立の問題
心理学者のエリクソン(E.H.Erikson 1902-1994)は、ライフサイクル理論において、青年期の発達段階を『自我アイデンティティの確立』におきました。 ...続きを見る |
2006/03/19 00:01 |
心理学分野の『発達概念』と『社会的価値観』:自我アイデンティティの固有性と社会性
発達心理学など心理学分野でいう発達とは、生物学的な身体の発達過程を研究するものではなく、『個体の身体・心理・行動』と『個体が所属する社会環境』との相互作用によってもたらされる環境適応的な成長を伴う発達のことを指示します。 ...続きを見る |
2006/03/18 15:12 |
『厳格さと寛容さのバランスの取れた親子関係』で家族への信頼感と他者(外部)への欲求を育む
過去に、『青年期のアイデンティティ拡散と非社会性の問題:搾取から保護への子どもの権利獲得の歴史』という記事を書きましたが、子どもの発達段階における青年期の自立と家族関係について少し補足しておきます。 ...続きを見る |
2006/03/14 12:22 |
摂食障害や睡眠障害を誘発する生活習慣と感情生活の乱れ:ストレス解消と摂食行動の条件付けの弊害
不快な心理的ストレスやフラストレーション(欲求不満)による葛藤の影響がダイレクトに反映されやすいのが、睡眠・食欲といった生物学的本能の領域です。 ...続きを見る |
2006/03/10 05:33 |
ソリューション・フォーカスト・セラピーによる解決法の自己構築と潜在的な可能性への注目
心理学的知見に基づく問題解決志向のアプローチは、標準化された心理アセスメントの実施と効果的な心理療法(面接技法)の組み合わせによって計画的に行われてきた。現在でも、エビデンスベースドな臨床心理学を前提とするカウンセリングでは、問題(症状)の実際やクライエントの状態を的確に把握する為のアセスメント(心理査定)を行って、そのクライエントに適した理論や技法を選択するところから始める事が多い。 ...続きを見る |
2006/02/21 22:47 |
『同じ穴の狢コミュニケーション』と『尊厳保持のコミュニケーション』:人の本能と倫理の価値承認を巡って
『九尾のネコ鞭』の「体育会系ジョークとオタクジョーク、その間にある深い溝」という記事を興味深く拝読させて頂きました。 ...続きを見る |
2006/02/19 10:17 |
クレペリンの早発性痴呆、ブロイラーの精神分裂病から現代の統合失調症へ至る歴史的変遷
前回の記事で、古典的な精神分析の精神病への適応の難しさについて述べましたが、現在の精神医療では、統合失調症患者に対しては、メジャー・トランキライザー(強力な向精神薬)による薬物療法が第一選択になっています。 抗精神病薬のクロルプロマジン(商品名コントミン,ウインタミン)の誕生(1952年)が、精神医療にもたらした恩恵は非常に大きなものがあります。 ...続きを見る |
2006/02/17 10:22 |
『問題解決志向』の認知療法と『自己探求志向』の精神分析:心理面接の枠組みの重要性
幻覚妄想などにより現実検討能力を喪失した重度の統合失調症者とは、相互的な言語的コミュニケーションが不可能であり、心理療法は奏効しないというのが精神医学的な一般論でした。 ...続きを見る |
2006/02/15 06:42 |
生態(人間の心)と環境(外部の事象)をつなぐアフォーダンス:情動機能の肯定的な側面について
生物学的な個体としての人間は、絶えず外部環境と相互作用し、外部で生起する事物や現象から意味や使用方法をアフォード(提供・付与)されます。 ギブソンの知覚理論が提起したアフォーダンス(affordance)概念では、環境世界に普遍的な意味や価値がちらばっていて、人間の知覚機能はその意味や価値を自動的にピックアップすることが出来るのです。 ...続きを見る |
2006/02/12 05:33 |
カウンセリングにおける情動の制御困難と過剰抑圧の問題:感情の受容とコントロール
カウンセリングにおいてクライエントの問題として持ち上がってきやすいのが、情動の制御困難と過剰な抑圧の問題です。 ...続きを見る |
2006/02/12 05:25 |
『言語的アプローチによる心への影響』と『物理的アプローチによる脳への作用』:情動の表現・特定・制御
標準化された心理アセスメントや神経心理学的な精神活動の機序など科学的根拠を持つカウンセリング(心理療法)の研究は、最終的には、効果測定による有意性が確認された認知行動療法的な技法に帰結する可能性が高いように思われる。 ...続きを見る |
2006/02/01 13:28 |
『心の世界の魅力的な物語性』と『心の世界の客観的な解明』:心理学の科学性の社会的認知
前回の記事に書いた心理学的アプローチの効果測定に関する技術的な問題とは別に、臨床心理学のEBM化と逆行する『心(魂)の領域を特別視する人間心理』も、実証科学を目指す心理学の流れに対する防波堤となっている面があります。 ...続きを見る |
2006/01/30 06:20 |
科学的実証主義を前提とするEvidence-Basedな臨床心理学と統計学的な根拠に関する話
認知行動療法は、認知的介入と行動的介入を折衷したプラグマティック(実利的)な技法であり、evidence-based(客観的根拠に基づく)な心理療法であると言われます。 エビデンスに基づく心理療法(カウンセリング)というのは、EBM(Evidence Based Medicine:根拠に基づく医療)という科学的医学モデルを心理学的アプローチに導入しようとしたものです。 ...続きを見る |
2006/01/24 10:48 |
『人格障害の分類と定義』が持つ臨床的意義と倫理的問題:多角的で相対的な人格評価の重要性
前回の記事では、クラスターB(強い衝動性や自己愛を持ち、対人関係の困難や反社会的行為を伴いやすい群)に分類される境界性人格障害の症状と自傷癖の問題を概述しました。 ...続きを見る |
2006/01/21 02:04 |
『自己否定的な衝動性の行動化である自傷行為』とそれが持つ心理学的意味
前回の記事の続きで、境界性人格障害(BPD)などで起きやすい自傷行為についてもう少し深く掘り下げ、自傷行為が暗黙裡に突きつけてくる『心理学的な意味』について分析してみたいと思います。 ...続きを見る |
2006/01/21 01:32 |
境界性人格障害(BPD)という自他の関係性の障害:トラウマによる自己否定的な認知と自傷行為の嗜癖性
境界性人格障害の全ての事例が、過去の幼少期における外傷体験や喪失体験に原因を持っているわけではありませんが、『対人関係にまつわる情緒不安定性(感情易変性)』と『衝動性の制御困難』という症状が神経症水準を明らかに超えている場合には、心的外傷(トラウマ)や生物学的な内因が考えられます。 ...続きを見る |
2006/01/17 18:59 |
自立心と依存心の葛藤によって表出する思春期〜青年期の『家庭内暴力・怒りの感情』の問題
前回、『個別的な多様性を見せるトラウマの影響』という記事を書き、トラウマとなる外傷体験の個別的な心身への悪影響と、性的逸脱など自傷的な意味合いを持つ行動の心因について考えて見ました。 ...続きを見る |
2006/01/12 19:48 |
『社会的認知のある属性による人物評価』と『個別的な人間関係による人物評価』
前回書いた記事『客観的分析を志向したキャッテルの特性因子論』ですが、私は冒頭で人格を『特性(属性)の束』として解釈する理論的立場について触れました。 キャッテルの特性因子論に関する記事を書く前に『Zopeジャンキー日記』 の『私は属性を信じない 私が信じるのは固有名詞だ』という記事を読んでいたのですが、『性格心理学における特性の束』とは別の次元で固有名詞と属性について考えてみようと思います。 ...続きを見る |
2006/01/07 15:06 |
客観的分析を志向したキャッテルの特性因子論:量的な性格理解の有効性とその限界
心理学では、人格(personality)を『特性(属性)の束』として解釈する特性因子論のような立場があるが、その一方で人格を複数の有限の因子に還元し切ってしまうことの危険性を示唆するソフィスティケイトな存在の固有性を重視する立場もある。 ...続きを見る |
2006/01/04 07:04 |
青年期のアイデンティティ拡散と非社会性の問題:搾取から保護への子どもの権利獲得の歴史
現代社会では、身体的・精神的な児童虐待によって傷つけられる子どもの存在がある一方で、大多数の子どもは親から愛情を受けて幸福に健康になるようにと大切に育てられます。 日々のニュースの中では、子どもを虐待して殺害してしまった親やパチンコや異性関係などの遊興に耽溺して育児を放棄する親が取り上げられたりする機会が多くありますが、それでもやはり大部分の親は子どもが元気に幸せに成長してくれることを願って自分の子どもの生命や権利を大切にしています。 ...続きを見る |
2005/12/28 10:41 |
『採用面接で語られる苦労体験』と『一般社会で求められる共感体験』:企業コミュニティへの適応性
朝日新聞で「「苦労」語れなくて、若者のノンプア・コンプレックスの壁」という特集記事を読み、現代社会における青年期の生活経験や心理学的な発達段階について考えさせられた。 この記事では、企業の採用担当者が就職希望者に「今までの人生における苦労体験」を聞くことで、新卒学生の人生経験の多様さや困難を乗り越える向上心、職場での不快なストレスに対する耐性を探ろうとする話が紹介されている。 ...続きを見る |
2005/12/25 01:08 |
ネットの依存性とテクノストレス症候群:QOLを向上させるITライフの重要性
心理臨床や精神医学の分野でも、正式なテクニカル・タームではないもののパソコンやIT機器を長時間利用することによる“テクノストレス(テクノストレス症候群)”の問題が指摘されることがあります。 テクノストレスという用語そのものは、アメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロード(Craig Brod)が1984年に提唱したものです。ITとインターネットが世界で最も早く発達したアメリカで確認されて以降、パソコンの普及が進みインターネット利用者が増加した国や地域で見られるようになり、特に、『非社会的な行動パタ... ...続きを見る |
2005/12/21 18:26 |
個別的な多様性を見せるトラウマの影響:セクシャリティの外傷や家族間の虐待の再現性の問題
過去の記事で、トラウマとは具体的にどのような状況下や体験で起こるのかについて概略を述べたり、自我の統合性を障害する解離性障害とトラウマの関係を考えたりしてきました。 また、トラウマが生み出す精神症状の特性として『反復性・強迫性・侵入性』を挙げて、これらの悪影響を低減させることがカウンセリングの果たす役割であり効果であることを述べ、古典的な神経科医シャルコーのトラウマ理論を振り返ったりしました。 それらのトラウマに関係する関連URLは、この記事の最後に提示していますので興味のある方は読んでみて... ...続きを見る |
2005/12/11 07:06 |
トラウマの形成維持と心的防衛機制の関係:シャルコーのトラウマ認識の視座
神経症や神経疾患、原因不明の慢性疾患などを専門に研究していたパリの19世紀の医師シャルコー(Jean Martin Charcot 1825〜93)は、フロイトの指導医としても有名ですが、精神疾患の病因としてのトラウマの研究もしていました。 老人性疾患を含む神経医学領域の当時の権威であったシャルコーと精神分析学の創始以前にシャルコーから多くの影響を受けたフロイトについては、過去の記事でも扱っているので興味のある方は読んでみてください。 ...続きを見る |
2005/12/04 21:15 |
トラウマを原因とする精神症状の特徴としての『反復性・強迫性・侵入性』:自我の統合性の観点から
過去のトラウマに関する記事で、トラウマとは『自己の生命の維持や精神の統合性を脅かす体験』であるという話をしましたが、自己の統合性は、『過去から現在に至るまで、私の存在は一貫していて連続している』というアイデンティティの意識に支えられています。 ...続きを見る |
2005/11/28 13:41 |
人生の幸福や物事の喜びを奪う『不合理な信念と不適応な仮定』について
前回の記事で、『価値判断のスキーマの複層化』の意義を提示するために以下のような比喩を用いた文章を書きました。 ...続きを見る |
2005/11/26 13:15 |
ユングの『外向性・内向性』の区分と精神的危機へ対処しやすい性格類型
ユングの性格理論は、前の記事で説明してきたような古代ギリシアからの医学や伝統的な哲学、中世的な錬金術の仮説理論に頻繁に見られる類型論の歴史的流れを汲んでいます。 『内向性・外向性』の基本的なリビドーの志向性に『思考・感情・感覚・直観』の主要な精神機能を組み合わせて、人間の性格傾向を8つのタイプ(類型)としてまとめた仮説がユングの性格理論となっています。 このリビドーの志向性に基づく二元論的分類は、完全にどちらかに当て嵌まるというものではなく、どちらかといえば外向性(内向性)の傾向を持つ性格に... ...続きを見る |
2005/11/18 08:59 |
『ユングの類型的な性格理論』の思考形態と『価値判断のスキーマの複層化』の心理的効果
うつ病など精神運動の抑制を伴う気分障害、不安・恐怖・強迫観念など情緒の制御不能を生じる情緒障害、これらを未然に予防するような認知的技法として、私は『価値判断のスキーマの複層化』を考えています。 『価値判断のスキーマの複層化』というと少し難しい感じがしますが、簡潔な表現に直せば『生きる意欲の根源を一つではなく複数持つこと』ということが出来ます。 ...続きを見る |
2005/11/17 02:25 |
恋愛(結婚)関係を破綻させない適切な距離感と情的コミュニケーションの必要性
今回は、前に書いた『恋愛関係の維持の話題』に関係した補足記事を少し書いてみようかと思います。 ...続きを見る |
2005/11/14 11:09 |
『認知・気分・行動・環境・生理』の相互作用を前提とする認知療法
過去の記事で、『スキーマの主体的な変容の可能性』をジャン・ピアジェの構造主義や思考の発達論を元に書いたので、今回は認知療法の基礎と具体的な進行過程について書いてみようと思います。 ...続きを見る |
2005/11/12 05:43 |
ジャン・ピアジェの発生的構造主義と思考機能の発達仮説
前回、認知療法と他の技法の異同と特性についての記事を書きましたが、認知療法の実際的な構造化面接についても少しずつ説明していこうと思います。 今回は、認知療法の具体的な内容に入る前のピアジェの理論や世界観の説明が長くなってしまったので、ジャン・ピアジェの発達段階説や構造主義の概観を示すことで、『スキーマの主体的な変容の可能性』について考えてみます。 ...続きを見る |
2005/11/10 22:07 |
『恋愛(結婚)の対象を獲得するまでの問題』と『恋愛(結婚)の関係を維持することの困難』
異性の愛情や興味を惹きつける対人魅力の詳細については過去の記事で書きましたが、性愛の絡む恋愛関係で生じる問題には、大きく分けて『恋愛の対象を獲得できない問題』と『恋愛の関係を維持できない問題』とがあります。 ...続きを見る
|
2005/11/06 22:52 |
日常生活におけるうつ病の徴候の発見:義務(仕事)と欲求(趣味)を切り分けるストレス対処
■日常生活におけるうつ病の徴候 周囲にいて日常生活を共にしている家族や友人などが気付き易いうつ病(気分障害・感情障害)の徴候としては、以下の行動や態度の特徴を挙げることができます。 DSM−Wなどの専門的な精神医学的診断ではありませんが、以下の『行動面・情緒面・思考面での特徴』が顕著な場合には、何らかの気分障害(気分や感情の不安定や落ち込みを特徴とする精神疾患)の可能性が考えられるので、適切なストレス・コーピングや肯定的な認知への転換、リラクゼーション、生活環境の見直しなどの対策が必要になっ... ...続きを見る |
2005/11/05 17:05 |
認知療法・精神分析・クライアント中心療法の異同と特性
アーロン・ベックやティーズデイル、サルコフスキスなどの認知理論を基盤とする認知療法は、心理療法の中で唯一、薬物療法と同等の効果が実証的に認められている技法です。 エビデンス・ベースド(実証的根拠のある)な技法である認知療法の特色を簡潔に言い表すと、『科学的な実証性(evidence)』『臨床的な有効性(effect)』『実践的な適用性(apply on a wide case)』『学習と実行の容易性(easy)』のバランスが非常に良いということになるでしょう。 ...続きを見る |
2005/10/30 08:29 |
女性のメンタルヘルス3:女性の生理学と妊娠に関する基礎知識、生命倫理
過去に妊娠期の薬物療法に関する注意点を述べたついでというわけではありませんが、正しい女性の生理学的知識として最低限知っておいたほうが良いことをまとめておきます。 ウェブサイトの場合、不特定多数が閲覧できるという特性から対象年齢層を限定できませんが、取りあえず、妊娠可能な第二次性徴期以降の女性、あるいは、女性と性的交渉を含む交際をしている男性に向けた一般的テキストとして書きます。 ...続きを見る |
2005/10/26 12:20 |
カウンセラーという職業の多様な活動領域とカウンセリングが要請される時代背景
カウンセリングという職業、あるいは、心理臨床や心理相談の活動に含まれる仕事というのは実に広範多岐な領域にまたがっています。 簡単に思いつく活動領域を挙げてみても、医療臨床分野、学校教育分野(スクールカウンセリング)、司法矯正分野、公共機関相談分野、産業(企業)支援分野、児童保護分野、障害者福祉分野、社会学的な統計調査分野、コーチングやメンタルトレーニングなど職業能力開発分野、独立開業の心理相談分野など実に多種多様な領域があります。 ...続きを見る |
2005/10/23 00:02 |
女性のメンタルヘルス2:月経前不快気分障害と妊娠期の薬物療法の問題
月経前症候群の症状が重くなり、日常生活や対人関係に及ぶ障害が大きくなると、月経前不快気分障害(PMDD)という精神障害となります。PMDDは、その症候群の特徴から大きく3つの類型に分類することができます。抑うつ症候群は、うつ病(気分障害)の活動抑制的な精神症状とほぼ同一の症候群です。 ...続きを見る |
2005/10/18 10:23 |
女性のメンタルヘルス:女性ホルモンと精神機能の相関関係
前回の記事で、女性のうつ病発症率の高さについて言及しましたが、その原因は単一の原因ではなく、ホルモン分泌など生物学的要因、社会的経済的要因、対人関係や喪失体験など精神的要因が相互に複雑に絡み合ったものです。 また、あるストレス事態や不快な対人関係に対処する場合に、消極的に思い悩み続ける内向的な性格類型の女性やひとつの事柄に過度に執着して不快な過去ばかり振り返り続ける傾向の人、怒りや悲しみの感情を生じやすく情動のコントロールが苦手な人などはうつ病発症のリスクが増大します。 ...続きを見る |
2005/10/10 01:02 |
女性のうつ病発症率について:ライフスタイルの多様化と少子化問題
一般的に、女性は、生理学的なホルモン分泌の不安定さや社会的性差(ジェンダー)による影響、ライフイベントのストレスなどによってうつ病に罹患しやすいと言われます。疫学的調査の統計によると、うつ病(気分変調障害)の生涯有病率は男性の約2倍であり、うつ病以外の精神疾患に罹患する確率も女性のほうが男性よりも高くなっています。 ...続きを見る |
2005/10/08 00:10 |
不安な心理と身体の不調の簡易なチェックシート
前回の記事で、『“正常圏内の不安”と“病理水準の不安”』について概略を述べましたが、『不安の性質・強度・持続性』の観点から不安の病理水準を測定する心理アセスメント(不安評価尺度)には以下のようなものがあります。 ...続きを見る |
2005/10/06 07:36 |
器質的な身体疾患から派生する症状精神病:心身一如の存在としての人
うつ病の精神症状として出てくる『抑うつ感・憂鬱感・不安感・焦燥感・不穏・イライラ・疲労倦怠感』や躁鬱病(双極性障害)に見られる過剰に精神活動が活発化した躁状態、観念奔逸などは、器質的な身体疾患によっても発症することがあります。 ...続きを見る |
2005/10/02 01:12 |
“正常圏内の不安”と“病理水準の不安”
フロイトが創始した精神分析療法の主要な適応症とされた神経症(neurosis)は、心因性の精神症状と身体症状を発症する疾患です。 最新の精神病理学のテキストに神経症の表記がなくなり、国際標準の精神障害の診断・統計マニュアルであるDSM−W(1980年制定のDSM-Vから消滅)からも神経症の分類が消滅しているように、現在では神経症は古典的な名称となってしまった観があります。 ...続きを見る |
2005/09/29 08:12 |
脳の構成要素である“ニューロンの創発性”と行動の発現:ニューロンの分類
過去に『脳の解剖学的構造と生理学的機能』という記事で、人間の脳の大雑把な構造と機能の相関について書きました。人間の多様性のある行動がどのようにして生まれるのかという行動原理・行動原則について、心理学は長い時間をかけて研究を進めてきました。 そして、ロジャー・ペンローズらによる脳の機能局在説が注目を集めだした20世紀あたりから、心のメカニズムと行動の形成過程を研究する分野は、脳科学や認知科学といった(生理学・解剖学の成果を基盤におく)自然科学的な分野と切り離すことが難しくなってきました。 ...続きを見る |
2005/09/27 00:19 |
ストレスを溜め込みやすい行動パターンとストレス・コーピング(ストレス対処法)
精神的ストレッサーは、家庭・学校・職場などの生活環境への不適応や不満、対人関係の悪化やトラブル、感情や気持ちを伴うコミュニケーションの擦れ違いなどによって起こってくるストレッサーですが、それらは『その出来事や状況をどのように理解して解釈するのか』という認知に大きく依拠するストレッサーでもあります。 ...続きを見る |
2005/09/25 06:42 |
幸福論2:強者と弱者の狭間で揺れる人間
市場経済が十分に普及した文明社会に生きる『社会的存在としての人間』は、『他者との差異』から認知する優越コンプレックスや劣等コンプレックスによって様々な行動や発言へと突き動かされる。 こう考えると、人間の本能は基本的に利己的で支配欲求が強いものだから、なかなか他人の支配的影響力を受け容れないものだと思うかもしれない。 しかし、これはある一面で正しく、別の一面では間違っている。 ...続きを見る |
2005/09/19 07:49 |
精神の正常性の診断と集団組織の利害:ジョーンズとバリントの往復書簡
前回の記事で、フロイトの弟子達との離反について語った。 そこで、少し長くなるが、精神分析協会内部の激しい権力闘争や派閥の対立を窺い知る事の出来る資料としてフェレンツィの優秀な弟子ミカエル・バリントとフロイトの元から離反したフェレンツィを精神病者と診断したアーネスト・ジョーンズの手紙のやり取りを引用する。 ...続きを見る |
2005/09/11 00:51 |
トラウマ(心的外傷)を生む危機的状況:トラウマの間主観的な受容の重要性
トラウマの原因となるショック体験には、生命の危機を感じるような事件・事故・犯罪への遭遇、圧倒的な破壊力を持つ自然災害(地震・津波・土砂崩れ・火災など)の体験、死の恐怖をリアルに感じる戦争体験などがあります。また、直接、脅威的な事態や危機的な状況に遭遇しなくても、自我の発達が未熟な子どもなどの場合には、自分自身が対処不能な恐ろしい事件や事態を目撃するだけでもトラウマになることがあります。 ...続きを見る |
2005/09/09 00:21 |
“フロイトの権威主義と父性原理が精神分析に与えた影響”と“弟子達との訣別”
フロイトは現代的な科学の文脈から大きく外れた心理学者であり臨床家であるが、彼が理想としたのは、自然科学的な精神分析であった。 フロイトは、自らのリビドー(性的欲動)を心的活動のエネルギーとする精神分析理論の正当性を固く信じ、絶えず他者に優越していたいという権威主義の持ち主であったためにユングやアドラーを初めとして多くの弟子や同僚と訣別することとなった。 フロイトの自負心の強さを示す一つのエピソードとして、自分が構築した無意識の決定論を中核に据えた精神分析体系を、コペルニクス、ガリレオ・ガリレ... ...続きを見る |
2005/09/06 00:46 |
心理学の歴史概論2:心理学に影響を与えた医学と進化論
■医学から心理学への影響 ...続きを見る |
2005/09/05 00:32 |
心理学の歴史概論1:大陸合理主義とイギリス経験主義の影響
日本の心理学は、欧米の心理学を輸入する形で始まりましたが、心理学そのものの始まりは非科学的なものであれば古代ギリシアのプラトンやアリストテレスの魂(プシュケ)を巡る学問などが心理学としてありました。 ...続きを見る |
2005/09/03 23:05 |
権威と社会3:何故、北朝鮮国内の独裁体制は維持され続けているのか?
例えば、人権保護や経済情勢悪化、核兵器開発など数多くの問題を抱えた独裁国家として注目されることの多い北朝鮮を題材にして考えてみても、北朝鮮は金正日という独裁者一人によって完全支配されている国家ではありません。 どのように強力な権力者であっても、彼(彼女)一人で全国民を完全に掌握し支配することは不可能であり、必ず彼の命令を忠実に伝達して実行する直属の部下(重臣)がいて、その重臣の命令を機械的に実行する官僚組織や軍事機構が存在しています。 ...続きを見る |
2005/09/02 08:51 |
“コンテンツ重視のサイト制作者”と“人間関係重視のサイト管理者”
趣味のWebデザインの『歴史を書かない女性たち』という記事を興味深く読ませて貰い、『ウェブサイトの歴史を残す行為と男女の性差』について色々なことを考えさせられました。 ...続きを見る |
2005/08/29 00:30 |
権威と社会2:宗教的権威と禁欲的道徳の密接な関係
『政治判断による権利の制限』について前述しましたが、ここからは『人間社会に見られる権威現象とその心理』についての考察を推し進めていきたいと思います。 人間の権威の起源は、家庭内における親と子の非対称な関係性にあり、知識・経験・社会的能力に勝る親が子に対して『親の言うことは素直に聞きなさい。私の言う事にごちゃごちゃ口答えせずに黙って聞きなさい』という躾目的の教育的権威がその原型となっています。 従来の家父長制社会では父親が絶対的な権威として子どもの精神世界に内在化させられ、社会的権威の前段階の... ...続きを見る |
2005/08/27 07:00 |
権威と社会1:間接民主制と政治的意思決定に関する論考
『でたらめな仕組みで動く社会』の考察を過去記事で行いましたが、その最後に『規範を守らせる権威について。どういった態度や認知を取るのかの問題』について言及しました。 社会内の法・慣習にせよ、学校内の校則・指導にせよ、その論理的な根拠や合理的な理由を万人に納得させられるものばかりでないことを私たちは経験的に知っていますが、それらのルールの正当 |