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zoom RSS 男性と女性のどちらが生きづらいのか?1:男は力・女は美のプロトタイプの変化とジェンダー

<<   作成日時 : 2017/08/26 08:22   >>

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社会的に規定されるジェンダーと相関する代表的なプロトタイプとして『男は力(金)・女は美(愛嬌)』というものがありますが、近年ではこのプロトタイプが成り立ちにくい社会潮流・男女関係も生まれてきてはいます。

例えば、1990年代以前には、男性で『美(顔・容姿・ムダ毛など)のコンプレックス』に真剣に悩む人は相当な少数派でしたが、2000年代以降は美容院やエステに通ったり化粧品(化粧水など)を使ったりする男性もでてきて、『ただしイケメンに限る(どうせ醜男は努力しても相手にされない)』といったかつては女性に多かったタイプの外見コンプレックスに悩む男性も増えてきました。

男性と女性の恋愛行動(性行動)パターンの違いと社会的性差のジェンダー論

かつては『男は力(金)』というジェンダーが支配的だったので、多少顔や見てくれが悪くても高学歴・高収入を目指して社会経済的影響力を持てば、立派な価値のある男として社会からも女性からも承認されるという価値観で男性は生きていました。女性も本音はともかく(昔もアイドルの追っかけなどはありましたので)、結婚して男性に扶養される立場にならなければいけない女性が多数派だったこともあり、『男は力(仕事とお金)』のジェンダーを追認して男の顔や容姿についてあれこれ論評してイケメンのみが好きと公言するような女性は少なかったのです。

逆に、男なのに顔の造作や髪型、美肌などに過剰にこだわっていつも鏡を見ているような奴は『男らしくなくてダメだ・男の人生は仕事をして稼いで家族を養ってなんぼだ』というのが旧来のジェンダーだったわけですが、近年は男性が一人で家族を扶養できなくなった経済情勢の変化もあり(男は力・金だといってもそれを持っていないのでどうしようもなくなった事情もあり)、『男も外見が格好いいほうが良い・男も力だけではなく美も大事・男も女を視覚的に喜ばせてほしい(昔は男ばかりが女に美や愛嬌を求めてきたが今は女も求める)』という価値観を持つ女性が増えて、それに合わせて外見を過度に気にする男性も増えています。

男女関係のみならず男性同士の関係においても、『男は力』というお互いの職位・権力・年収(財力)・腕力などに基づく上下関係のジェンダーがつきまといやすい。一部の昔馴染みの同級生・友達や気の置けない親友などを除いて、男性は他の男性との関係において『上下関係・役割関係のないフラットな人間関係』というのを持ちづらくなっているのです。

子供時代にも腕力・人気・スポーツ・リーダーシップなどで序列・上下関係は生まれやすいのですが、特に『社会的地位の序列・上下』が影響してくる大人になると特に男性同士でお互いの名前を呼び捨てで呼び合うような、『フラットな男性同士の人間関係』はほとんど無くなってしまうのです。

年齢・学歴・年収・職業的権威・役職などによって大人の男性同士の序列が暗黙裏に決まってくるのですが、その上下関係(どちらが上でどちらが下か)の感覚はそれを本人が認めても認めなくても、社会全体で概ね共有されている社会的常識に類するものになっています。

特に会社・学校など同じコミュニティに所属している場合には、上下関係のある序列・役割に力づくで逆らうこともほぼ不可能であり、いくら人間はみんな平等ではないかと反対しても、大多数の人は社会的常識に組み入れられている上下関係(上司と部下・店員と顧客・職位や権威)に従うので、『常識のない人』というように見られるのが落ちなのです。

『男は力』のジェンダーの直接的・間接的な影響によって、男性同士では『力・金・社会的地位』がかけ離れていると、過去にどんなに仲の良かった親友であっても、以前のように対等で親密な友人関係を維持できなくなっていきやすいのです。どんなに性格や趣味、話題が一致していても、男性同士で『力の大きな格差』がある時には、優位な男性のほうがそんなことは気にしない俺たちは対等だと思っていても、劣位な男性のほうがどうしても惨めさや居場所のなさ、相手との差の大きさを感じて疎遠になっていくことが多くなります。

現代でも男性は『力(社会的地位・お金の影響力)』によってランクづけされやすく、女性は『美(顔・容姿の美しさ・性的魅力)』によってランクづけされやすい傾向がありますが、この傾向には生物学的性差であるセックスと社会的性差であるジェンダーの両方が影響していると考えられます。

ランクづけの道徳的な善悪や人間性の評価は別として、『力・美の上下関係(どちらが社会一般で優位と見なされるか)』は誰もが無意識的にせよ知っていて社会的に暗黙裏に共有されているものですが、この上下感覚の性差には『男性社会・父権社会の影響』も当然あります。

数十年前までは、女性が60〜65歳以上まで勤め上げられる会社・職業がほとんどなく、教員・医師・公務員・看護師など一部のキャリア女性を除いて、男性(夫)に経済的に扶養して貰わなければならない男性社会の構造があったために、余計に『男は力・金』のジェンダー的な価値観が強まったとも考えられます。

『女は美・愛嬌』というのも男性社会におけるジェンダーの影響は大きいですが、性行動が能動的で競争的な男性がより魅力的な美しい女性を求めるという生物学的性差・原始的本能も影響しているでしょう。

しかし『美の基準』そのものは時代や文化、個人の好みによってかなり左右される相対的なものであり、『社会一般で概ね共有されている美人・可愛いの基準(モデル)』はあるとしても、個人レベルの男女関係やカップリングでは誰がどのような外見・性格の人を気に入るか(自分に対する相手の気持ちも考えて現実的な選択として誰を選ぶか)はかなり個人差が大きくなるのです。

一方で、男性は相手の女性が『自分にとっての最低限の美(魅力)の水準』を超えていないと、恋愛や結婚の相手として選ぶことがまずないというのは一般的な事実としてあります。自分にとっての性的魅力が多少低くても、他の人間性や魅力に秀でていればパートナーとして選ぶことは十分ありますが、自分にとっての性的魅力がゼロで全く感じられない(触れたいと全く思えない)相手になるとパートナーとして選ぶ可能性も極めて低くなってしまうのです。

また美人の基準は相対的なもので個人差がありますが、『社会一般で美人・可愛いとされる女性の基準』は概ね一致していて、男性社会では美人のパートナーを持つ人ほど嫉妬と羨望も混じった高い評価を得やすいという傾向があります。

社会的地位とパートナーの美貌がかけ離れている場合には(全く接点のない世界で生きている人同士であれば関係ないですが)、特に男性同士の関係では嫉妬や羨望、不公平の悪感情が強くなりやすいともいいます。

目立つ美人や可愛い人がろくでもない男にひっかかってDVやストーカー、モラハラ、借金(貧乏暮らし)、殺傷事件の被害に遭って別れたり事件になった時には、『それ見たことか。そんなつまらない男を選ぶからだ。男を見る目がないから、男を容姿だけで選ぶからそんなひどい目に遭うのだ』という女性自身の見る目のなさをバッシングする声がネット上などでは溢れます。

こういった非難の声の背景には必ず嫉妬や羨望も含まれますが、それと合わせて『そんなダメ男より誠実で女性を大切にして仕事を頑張る俺を選んでいれば幸せにやれていたのに(そんなろくでもない男に美人な女がくっついていき、自分にはくっついてこないのが許せない)』という暗黙裏の自己推薦のような競争心理もあるのです。

男性社会を前提とした女性の美貌のランクづけというのは、男性の社会的地位・経済力のランクづけと対照を為していますが、人を値踏みするのは道徳的な問題があるとはいえ、男性社会では美しい妻・彼女を持つ人は、その人の実際の能力以上に高く評価されやすい(これだけの美人を捕まえた男性は何か特別な魅力・能力を持っているのだろう)傾向があります。


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