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zoom RSS 男性保育士に女児の着替えをさせないは男性差別か?:千葉市長の問題提起

<<   作成日時 : 2017/02/09 23:22   >>

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千葉市の熊谷俊人市長が『男性保育士活躍プラン』を打ち出し、『男性保育士に女児の着替えをさせないでほしい』という保護者の声に代表される『男性保育士に対する偏見の問題』をツイートして話題になっていた。熊谷市長は育児の中で男性だから担える重要な役割があるとして、男性保育士に対する社会の理解を進め、今以上に男性保育士の割合を高めることを目指すようである。

現状、千葉市における男性保育士(正規職員)の数は50人で、女性保育士の1割に満たないが、保育士の職業領域のダイバーシティ(多様性)と男女共同参画のレベルが低いという認識を市長は示している。現在は男性保育所長は0人だが22年度までに1人、27年度までに5人に増やす目標も設定し、保育所の男性用トイレの整備促進、男性保育士による『父親向け育児講座』なども政策として目指すようだ。

市長の語る保育士業界における男女共同参画推進や男性保育士による女児の着替え・トイレ(おむつ交換)の介助の促進に対しては賛否両論が出されているが、特に『男性保育士には女児(乳幼児)の着替え・おむつ交換をさせないでほしい』という反対意見に焦点が合わせられていた。男性保育士の中に確率的に性犯罪者がいるかもしれないという疑いのまなざしとまでいかなくても、男性と女性のセクシャリティや性犯罪(性的な加害行為)の発生率の違いを憂慮しての反対意見が見られた。

確かに今まで医師・学校教員・保育士など日常業務の中で子供と接することのある専門職の人が、性犯罪(盗撮含む)を犯してしまった先例はあり、その加害者の大部分は女性でなく男性である。乳幼児・児童生徒の子供が被害者となる性犯罪だけでなく、成人被害者も含めた性犯罪全体でも加害者の9割以上は男性とされるが、その犯罪統計的な事実というか女性と比較した男性のセクシャリティ・性欲の好ましくない傾向を持って、男性保育士に女児の着替えを絶対にさせるべきでないと言えるかどうか。

常識的に考えれば、できるだけ同性保育士による着替え(おむつ交換)の介助が好ましいし、3〜5歳以上になって女児の性自認がはっきりしてきたら基本的に女性保育士が着替えの面倒を見るというのが良いように思う。

ただ絶対に女児が3歳以上くらいになったら男性保育士が着替えの管理をしてはいけないという杓子定規なルールではなく、(間違いが起こらないように)『最低限の相互チェック体制(二人きりの状況にしない等)』を整えた上で、人員が足りなかったり臨機応変に対処しなければならない時には、男性保育士が着替えを手伝ったりするのは問題ないのではないだろうか。

男女雇用機会均等法や男女共同参画社会推進などによって、あらゆる職業の男女平等化が進んだが、保育士は今でも圧倒的に女性が多いように『女性がするのが普通の仕事(女性のほうが望ましい仕事)』というジェンダーバイアスが残っている。

保育士に限らず看護師・サービス業などでは、『ケアの仕事・感情労働・丁寧な接客接遇』は男性よりも女性のほうが望ましいとか女性がするのが普通であるというジェンダー(女性向きの仕事・女性らしさが生きる仕事という固定観念)の影響が今でも払拭されておらず、男性だけでなく女性もそれが普通と思う向きがあるのである。

保育士が女性向きの仕事というジェンダーバイアスの固定観念には、子供は母親が育てるのが自然で望ましいとする『母性神話・母親任せの育児の歴史』の影響があるが、近年は家庭の育児でも父親のイクメンの働きが期待されているように、育児において男性のマンパワー(力の強さ・外遊びの体力・指導力等)が活かせる場面も実際には多いだろう。

保育士の仕事は、まだ自意識・言語能力が未熟な乳幼児の身体および日常生活全般に関わるものなので、性被害や男性の下心の可能性(自分の性的トラウマ)に敏感な親御さんになると、何もできない無防備な娘(赤ちゃん)がもしかしたら性的な目線で見られているかもしれないというリスクを想像してしまうのかもしれない。

だが女性保育士よりも男性保育士のほうがリスクが高いといっても、男性保育士全体の中にペドフィリア(赤ちゃんまで対象とする小児性愛の性犯罪者)がいるかもしれない確率は非常に低いもので、複数体制での着替え・おむつ交換などの相互チェックを原則としていれば大丈夫だろうし、そこまで特殊な性嗜好を疑うというのは現実的でない極端な警戒心になってしまう。

厳密には、男性保育士が内面で何を想像して何を考えているか分からないという理由で不満や警戒を持つ親御さんもいるかもしれないが、『内面の自由』を侵害してまで悪いことを考えているはずと憶測・決めつけをしたり、『男女の性的・生理的差異の公私混同(男性だけ性欲に弱く職業倫理・法規範を逸脱しやすい)』を前提にするのであれば、保育士のみでなく子供・女性を対象とするかなり広範な職業が男性に不向きという極論になりやすい。

男性と女性の性欲の違い、男性に女性よりも性犯罪の加害者が多いというのはあるが、男性全体の中で実際に性犯罪を犯す人(頭の中で想像することまで分からないにせよ)は少数派であり、保育士・教員などの専門的な仕事で信頼を裏切って倫理・法律に違反する人は更に少ないだろう。

できるだけ性犯罪のリスクをゼロに近づけるには、内面でも性的な妄想頻度が少ないとされ、攻撃性・性犯罪率(性的侵襲)も低い女性のほうが男性よりも安心に感じるという人がいるのは分からないでもないが、専門家や職業人として採用する時には『職業倫理・法律順守・勤務中の人間性・公私の区別』については原則として信用して任せるしかない部分が大きい。

確かに厳密に追及すれば、サービス業・営業で女性客を相手にして笑顔で爽やかに接客していても、内心でどんな性的欲求を抱いているか(ひょっとして異性として好意を持っているのか)分からないというのはあるかもしれないが、そこまで目に見えない内面を疑えば男性は誰も対人サービスの仕事(特に女性・女児が相手となる仕事)には就けないというおかしな話になってしまう。

仕事中のすべての男性が絶対に100%、女性相手の性犯罪をしないという確約は保育士に限らずできないだろうが、だからといって『すべての働いている男性保育士』をあらぬ疑いのまなざしで見るというのも理不尽であり、基本的には専門職としての職業倫理や責任感、人間性を信頼して、できるだけ疑念を持たれない相互チェックを働かせながら(人員・状況が許すのであれば女児の着替え・排泄の世話は女性保育士が担当する努力はしても良いわけで)効果的な男女共同参画を模索していくべきだろう。

大多数の男性保育士は、子供のために真面目に職務を果たしているわけで、『幼児性愛・性犯罪の予備軍』であるかのような猜疑心・警戒態勢で見ること自体が失礼で問題のあることでもあるが、『男性と女性の生物学的・性行動的な差異』をセンシティブに見てしまう人(あるいは自分自身や子供が実際に性被害を受けてトラウマになっている人・男性不信が強い人)には気になってしまうというのも心情としては分かるものではある。

保育士の業界を今後も女性ばかりの職場として維持していくことは困難になるだろうが、千葉市長の政策のように『男性保育士を意識的に増員していくべき』なのか、『自然な求人状況(男性の保育士志望者数)に任せていくべき』なのかは意見が分かれるところだろう。

男性保育士の参加を拒絶するものではないが、男性で保育士になりたい人がそもそも少ないのであれば敢えて増やす必要はないという考え方も現状では根強いように感じるが、ジェンダーバイアスの影響があるとしても、給与水準などを別として男性一般に『子供・高齢者などを身近でケアする仕事の動機づけ(保育・看護・介護などの仕事を自発的に希望する人の比率)』がまだまだ女性に比べて少ないという問題もある。


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