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zoom RSS 『ロマンティックラブ+結婚+経済の結合』が規定していた近代人のライフプランはどう変わるのか?:1

<<   作成日時 : 2016/12/01 12:19   >>

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好きな人と恋愛を経験して夫婦として結びつく『恋愛結婚』が当たり前だった時代が終わり、万人が経験すべき近代の通過儀礼(イニシエーション)のように捉えられていた『恋愛』がしてもしなくても良いものに変わってきているというBLOGOSのシロクマさんの記事を読んだ。

「恋愛結婚が当たり前」だった時代の終焉とこれから

恋愛やセックスは面倒だけど今すぐ結婚したい?「恋人いらないってホント?出現!“いきなり結婚族”」 #クロ現プラス #nhk

現代では20〜30代の結婚率が低下して、未婚者で恋愛をしている人も大幅に減ってきている。外見・交遊・センス・コミュニケーション力などによる恋愛格差(モテ格差)の拡大もあり、学生時代から恋愛が活発なグループとそうでないグループに分離しやすくなっているとも言われる。若い頃に異性との恋愛も含めた賑やかな交遊関係が充実しているかどうかの視点から、『リア充』というネットスラングが生まれたりもした。

先日のニュースでは、20代の若者で過半の人が恋人がいない(男性の7割・女性の6割が恋人なし)ということが話題になっていたが、『(芸能人も含めた)高い理想を反映した好みのタイプの異性』はいても、『リアルの恋愛(現実的に付き合える可能性がある男女関係)』が若年世代で一般にかなり低調になっているようである。

若い男性も女性も多くは、異性・恋愛・性に興味がないわけではないが、『自分がアプローチ可能で付き合えそうな感じの異性』には好意や行動が向きにくくなっている。第一印象や見た目で熱烈に惹かれる魅力があるわけではないが、『知り合ってから段階的に相手の良い部分を見つけて少しずつ好きになっていく』というような、良い意味での異性関係のすり合わせや妥協を、30〜40代以上になるなど相当に年を重ねなくてはしなくなっているのである。

ドキドキするような魅力的な異性にアプローチして交際する、刺激的な恋愛の時間の共有をするというロマンティックラブの恋愛は、近代資本主義の原動力(より大きな消費欲求をかきたてる影響力)の一つと考えられてきた。

ドイツの経済学者ヴェルナー・ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』の考え方では、近代社会の過剰な見せびらかし消費(顕示的消費)の多くは、『恋愛市場で異性にモテるため(異性と結婚した後は家族・子供のため、より豊かな家庭生活のためになる)』に行われるということになる。

女性に自分の魅力や能力を認めさせるための男性の恋愛への投資(女性へのプレゼント・職業的な権威・ステータスの顕示的消費・家や車の購入)、より力のある男性から選んでもらうために自分を煌びやかに魅力的に見せるための女性の恋愛への投資(化粧・ファッション・髪型・宝石・装飾品)が、近代的な贅沢・奢侈の過剰消費を生み出し資本主義を拡大させたという考え方である。

ロマンティックラブの恋愛を前提とした恋愛結婚というのは、ある程度の大きなお金がかかるだけではなく、『男女の伝統的なジェンダー(男性の労働・経済力と女性の性的魅力との擬似的な等価交換性)』にもかなり影響を受けてきたところがある。

異性としての魅力を感じる相手にドキドキするロマンティックな恋愛とその先にある結婚というのは、近代の資本主義と個人生活(異性・結婚・子供と関係した主観的幸福感)を規定してきたものである。だが、恋愛には一定の向き不向きがあるので誰もが必ずできるものではないし、基本的にはどこかの部分(あるいは全体のバランス)で自分と釣り合う相手としか恋愛をすることは難しいという現実もある。

若者でリアルなロマンティックラブの恋愛が低迷してきた理由を分類すると、『平均所得の低下や非正規雇用の増加で恋愛のイベントやプレゼント、車、おしゃれなどにかかるお金を準備しづらくなった』『男女のジェンダーがフラット化して更に男女の所得格差も小さくなってきた(男性が経済力・将来性で女性を惹きつけにくくなった)』『若者に流行しているネットのフォトジェニック文化(リア充な雰囲気・メンバーの写真をアップして共有する文化)で異性の魅力として男女共に分かりやすい外見・見栄えが占める比率が高くなった』を上げることができるだろう。

『恋愛・性愛を経ないで結婚を望む若者』が増えているというニュース、あるいはビジネスライクな契約結婚(後半は恋愛結婚的なものに変質するが)をテーマにした新垣結衣・星野源出演の人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を参照しているが、実際に恋愛を経験しないでいきなり結婚する人が多く増えるかといったらそれほど増えないような気もする。

恋愛が面倒くさいといっても本当に誰でもいいわけではないだろうし、それほど好きでもない相手と結婚するからには『結婚生活や育児が成り立つだけの経済力+安定した職業や将来性などのメリット』は求められるわけで、現代の若者が恋愛・結婚に消極的な理由がそもそも『経済力がない・雇用や収入が安定しない・将来の見通しが立たない』であることを考えると、余計に盛り上がりそうにない。

恋愛できるような好きな相手が見つからないから、前向きになれる良い出会いがないから、あるいは自分が好きな相手から選ばれないから恋愛・結婚をしない(できない)という理由も大きいだろうが、それ以前に『経済力がない・雇用や収入が安定しない(非正規雇用・昇給のない低賃金)・恋愛や結婚のための仕事(お金を稼ぐこと)に必死になれない』という理由があって、恋愛をしてもその先がないから恋愛しても仕方ないという諦めモードの若者も多い。

これも鶏と卵で、その人と一緒に暮らすため(その人との子供を作り育てるため)に、何もかも捨てて必死に働きたいと思えるほどに惚れ込む異性がいないから、職業的・経済的な向上心がいまいち高まらずミニマムな経済生活で現状維持をしているという人もいるかもしれないが。

恋愛をすっとばして結婚だけができればいいのにという人は、『職業・収入が堅実で結婚生活を維持するだけの経済力があるのに、結婚する異性だけが見つからないという状態にある人』であり、若年層ではその比率は恐らく小さいだろう。

結婚してくれる相手さえいれば、すぐに結婚生活をスタートさせて子供を作っても大丈夫なだけの仕事状況と経済基盤(何なら持ち家も)があるのであれば、恋愛なしでも結婚したいという人はいるかもしれないが、『結婚後にギリギリの生活(下手をすれば今よりも貧しい生活)』しかどうせできないのであれば、(特に女性側は)敢えて好きでも嫌いでもない人と結婚したいという人はいないように思える。


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『恋愛と結婚は別物』という面は確かにあるが、それは『恋愛の非日常的なドキドキ感・イベントや感情交流の高揚感・特別な相手との特別な時間』と『結婚の日常的な人間関係(育児)・衣食住の家庭生活・ルーティンな雑務』とは違うという意味である。 ...続きを見る
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