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zoom RSS 現代日本ではなぜ“恋愛・結婚の活動性”が低調なのか1:恋愛と結婚に求めるものの違いと現実生活

<<   作成日時 : 2011/03/03 07:25   >>

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現代の男女関係(恋愛関係)のあり方や結婚にまつわる心理には、1980年代までとは違うさまざまな変化が起こっていて、過去において“当たり前”とされていた適齢期の婚姻規範や恋愛・家族形成への欲望などが通用しないケースが増えている。その背景には、『男らしさ・女らしさ』と関係するジェンダーアイデンティティの変容や『男女の雇用の質・男性の経済的役割』など社会経済情勢の変化も関係しているが、晩婚化・未婚化に加えて、恋愛をしていない男女が増えているという指摘もある。

20〜30代の独身男女の過半数に『恋人がいない』というウェブ上でのアンケート調査(無作為抽出の大規模な統計調査は見つからなかったですが)が話題になったりしているが、その一方で漠然とした『いつかは結婚したいと思う』という回答は近年では概ね9割以上で推移していて、(実際的な行動の有無を除けば)結婚願望そのものが無い若年層は少数派である。

恋愛・結婚をしていないという状態の具体的な中身にはさまざまなケースを想定することが可能だが、『恋愛・結婚を意識的にしないようにしている(異性と付き合ったり結婚したりするコストを引き受けたくない・それらに殆ど興味がない)』という人を除けば、『恋愛・結婚ができないという状態及び理由』には以下のようなケースを考えることができる。

1.好きになれる相手が見つからないか、自分からは全くアプローチしない。

2.好きな相手ができてアプローチしているが、自分の異性としての魅力が承認されにくい。

3.好きな相手ができてアプローチしているが、自分の社会経済的な能力・状態が承認されにくい。

4.異性としての魅力やコミュニケーション能力はあり、生活の絡まない恋愛段階までは上手くいくが、経済的理由(生活能力の不足)により結婚はできない。

5.結婚相手としては選ばれやすい条件(社会経済的な能力・状態)を持っているが、恋愛相手としては選ばれにくい。

恋愛結婚が主流とされて数十年が経つが、『恋愛への欲求(恋愛の相手に求められやすいもの)』『結婚への欲求(結婚の相手に求められやすいもの)』は実際には人によってかなり異なる部分があるので、恋愛ができないという悩みと結婚ができないという悩みには、重なる部分もあれば重ならない部分もある。『恋愛』は中学生や高校生のような責任能力・経済的自立がない未成年でもできるように、本人同士が性的魅力や性格上の長所、一緒にいる面白さを認め合えばすることができるという意味で、『社会的・経済的な状態の影響』が比較的小さい。

外見的な魅力や会話の面白さ、価値観の共通性といった要因だけで恋愛ができることも多いが、年齢が高くなるにつれて結婚と恋愛との距離は近くなるので、結婚願望のある20代後半以上の女性の恋愛では個人差はあるにせよ、『結婚できそうな相手か否かの視点・仕事や収入など現実的な条件の考慮』が加わってくることのほうが多い。

子どもを持ちたいという希望が強ければ、女性には生殖能力の年齢による制約もあるので、(楽しむだけの恋愛をしている時間はないという意味で)それだけ相手選びの慎重さや現実的な基準性は高まりやすくなる。堅実な価値観の人の中には10〜20代前半の時期でも、恋愛する相手と結婚する相手を選ぶ基準がそれほど変わらないという人もいるが、概ね社会人(職業人)としての経験を積んだり自立的生活の大変さを実感したりすることで、『異性選びの基準』も必然に影響を受けやすくなるとは言える。

結婚は最終的には相互が結びつくことで『日々の生活・育児の環境・家庭生活の基盤』がきちんと維持できるかどうかが重要であり、『相手のことが好きかどうか(異性・人としての魅力)』に加えて『実際的に共同生活ができるか(家族が暮らせる最低限の所得と労働意欲などがあり毎日の生活に責任が持てるか)』という要素を排除して考えることは通常できない。

5年、10年と長く付き合った異性や人として好きな恋人であっても、必要限度の経済力や職業意識の問題から、ある年代になると『嫌いではないけど先(結婚・家族形成)が見えない』ということで別れるカップルも少なくない。『相互の愛情・現実の生活』を自立的に支えたり『子どもを持つ希望』が強かったりすれば、『必要限度の経済条件・仕事状況』といった要素を避け続けることはできないからで、恋愛結婚とは対照的にその実生活の条件面にフォーカスされやすい出会いの場が『婚活・お見合い』である。

もちろん、安定した職業と収入さえあれば結婚できるというわけではなく、そこには『(現実生活の周縁にある)エロス的な恋愛へのこだわり』『相互の魅力や長所の承認・引き合い』といったものが影響してくるし、男性でも女性でも『家庭生活上の必要性+α』の自己価値(性的・性格的・コミュニケーション的な他の同性とは区別される魅力)を認められたいという欲求は切実であり本質的でもある。

男性は『お金(経済能力)』だけを目的とする結婚(男女関係)を最も忌避し、女性は『身体(性愛)』だけを目的とする結婚(男女関係)を最も忌避する傾向があるが、これは男女双方が相手を『かけがえのない相手・交換不能な相手』として承認している証拠を求めているからであり、お金や性愛(セックス)は突き詰めれば『他者』と交換可能なものだからである。

しかしこれは逆説的に、伝統的な男性社会における婚姻の本質としての『財と性(生殖)の交換』を浮かび上がらせており、男性の魅力の中心が主に『社会経済的な能力』にあると考え、女性の魅力の中心が主に『性的魅力(容姿・スタイルなど身体性)』にあると考えている人が今でも多いことの現れでもある。






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