カウンセリングルーム:Es Discovery

アクセスカウンタ

help RSS ライブドア事件初公判の雑感。登録者数1,000万に迫るUSENのGyaOと『ネットの中立性』の問題

<<   作成日時 : 2006/05/31 11:46   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

偽計取引や粉飾決算など証券取引法違反(有価証券報告書虚偽記載等)の罪状をかけられたライブドア事件の初公判が行われて、ライブドアの前CEO堀江貴文被告と前FEO宮内亮治被告の主張の食い違いによる対立図式が鮮明になってきている。

現代日本の競争社会における経済的成功を象徴する六本木ヒルズのライブドア本社に、検察の強制捜査が入ったのは今年の1月17日だった。
あれから早くも4ヶ月以上の時間が流れ、時代の寵児であったホリエモンの恰幅の良かった体型や輪郭は青年時代に戻ったかのようにシャープになった。

拘置所で山崎豊子『沈まぬ太陽』を読み感動した堀江被告は、それまであまり関心がなかったと思われる御巣鷹の峰登山に挑み日航機墜落事故の被害者に追悼を捧げたことが話題となった。
3億円の保釈金を支払って娑婆に戻ってきた時には、ライブドア・グループの経営権は実質的にホリエモンの手を離れ、宇野康秀が率いるUSENとライブドアの業務提携が成立していた。

ライブドアは強制捜査当時には全ての事業が虚業のように批判されることもあったが、インターネット内部の情報技術やサーバ管理、情報(ニュース)、ウェブサービスはかなり多くのユーザに利用されていてその評価も一般的にそれほど低くくないように思う。

ポータルサイト、eコマース(livedoorデパート)、ニュースサイト(livedoor NEWS)、ブログ・Wiki・RSSリーダ・SNS(フレパ)などウェブサービスを何度か訪問したことがあるが、ポータルとしての利便性や有用性、サービスの網羅性はかなり高いように感じた。

確かに、ライブドアのIT技術やウェブデザインには二番煎じが多い。一時期、フレパのmixiとの類似性が話題になったように、インスパイアの過剰なサービスも幾つかあるが、アクセシビリティやユーザビリティの観点から評価すれば、ネット初心者にも使いやすく分かりやすいサービスになっている。既に高い人気や評価を得ているものをインスパイアするのだから、利便性や好感度が高いのは当然といえば当然ではあるが……。

現在のライブドアの利用者数やPV、ネットからの収益規模などは調べていないが、ポータルとして圧倒的なシェアを独占しているYahoo!を除けば、日本のポータルではトップクラスのアクセス数を今でも持っていると思われる。

インターネットで見られる無料の映像コンテンツとして圧倒的な集客力と利用率を誇るUSENの『GyaO』ライブドアのポータルサイトが連結することによって、インターネット・メディアとしての影響力と存在感は高まっていくだろう。
インターネットでは従来、集客力のある高品質な映像(動画)コンテンツの絶対数が不足していて、滑らかな動画を楽しむ為の高速大容量の情報インフラ基盤も十分に整備されていなかった。

しかし、光ファイバーを中心とした常時接続の高速通信が急速に普及率を上げており、GyaOのような大量の帯域幅を利用する映像コンテンツもそれほど重さを感じずに閲覧することが可能になった。

また、USENというインターネット・メディア・カンパニーは、数年前の早い段階からFTTH(光ファイバー接続)のプロバイダビジネスを先見の明を持って展開してきた会社でもある。FTTHの普及を必死に推し進めていた段階では営業利益はなかなか黒字にならなかったが、GyaOを中核とする独自のインターネット・コンテンツと高速通信を結びつけることで、ここ最近、大きなシナジー(相乗効果)を生み出しつつあるように見える。

GyaOの利用者数は現段階で900万人を大幅に越えており、近日中にも1,000万人の大台に到達すると予測されている。
しかし、現在、インターネット界隈では、大量の通信回線(帯域幅)を独占するコンテンツ提供会社に対して、回線利用の追加料金を徴収すべきではないかという通信会社側(通信インフラを持つ電話会社やケーブル会社)の意見が出て来ている。

人気の高いブロードバンド・コンテンツを大量に提供するGyaOの加入者数が増えて、高速通信回線の占有率が増えれば増えるほど通信会社からの追加料金要求の圧力が高まると予測される。
また、GyaOに限らず、Yahoo!の無料動画サービスなども人気を高めてきており、今後は、映像コンテンツのビジネス分野における競争はますます激化するだろう。
大手IT企業やテレビ局などが大きな転送量を必要とする無料映像コンテンツを携えてインターネットに参入してくる可能性も高いし、そうなると、それまで余りヘビーなネットユーザでなかった人達の平均利用時間も増えてくるかもしれない。

この種のインターネット・コンテンツの帯域幅占有(巨大な転送量)の問題が、コンテンツ・プロバイダーの事業にかかるコストを引き上げる可能性が指摘され始めている。
コンテンツ提供者(個人・法人)がネットに公開するコンテンツに対して、情報インフラを所有する通信会社は、追加料金やアクセス制限をかける可能性が今後もないとは断言できない。

別料金徴収の問題はともかくとしても、インターネットに公開されたコンテンツのアクセシビリティに意図的な格差や優先順位をつけることは望ましくないといえる。
ブロードバンド環境を提供する通信会社やプロバイダーは、全てのコンテンツやサービスを平等に取り扱い、ユーザのアクセス可能性を原則として(未成年に相応しくない内容のフィルタリングなどを除いて)保障しなければならないと考える。
そうでなければ、インターネット内部の表現の自由や報道の自由、ビジネス機会が恣意的にコントロールされる恐れがあり、ブロードバンドの公共性や公正性が担保できない事になる。

帯域幅の占有の問題に戻ると、最近は、ブロードバンド・コンテンツの急増によってインターネットのバックボーンであるインフラが圧迫されるのではないかという懸念が生まれているようだ。
その為、NTTなど通信会社はインフラへの追加投資や技術開発の採算を合わせる為に、膨大な転送量を必要とするコンテンツ提供者から追加料金を徴収したいという思惑に駆られているかもしれない。

インターネット関連のニュースを集めるCNETで、『ネットの中立性』の是非に関するトピックがいくつか取り上げられているが、GyaOなどの映像コンテンツ配信ビジネスともネットの中立性の問題は大きく関係している。
インターネットの生みの親として知られるティム・バーナーズ・リーは、基本姿勢として『ネットの中立性』を守ることを支持しているようだが、アメリカの下院司法委員会でも『ネット中立性関連法案』が可決された。


ウェブの生みの親バーナーズ・リー氏、ネットの中立性を支持

ネットの中立性とは、ブロードバンドプロバイダーはあらゆる差別を排除して、インターネットコンテンツを平等に処理すべきという考えである。特に米国においては2006年になって最も白熱した政治的話題となっており、電話会社が一部のウェブサイトを遮断、あるいはそれらのサイトにアクセスする際にユーザーから追加料金を徴収するかもしれないと懸念されている。

Google、Microsoft、Yahooなどの企業は、ネットの中立性に法的強制力を持たせる法律の制定を米国の政治家らに働きかけてきた。そのような動きは、ブロードバンドプロバイダーおよび一部のハードウェアメーカーと対立するものだ。

Berners-Lee氏は、このような状況を現在のところ米国のみの問題だとした。「欧州では、ネットの中立性は規則となっている」と同氏。

Berners-Lee氏は、ネットの中立性を支持する見解を示す一方で、まったく規制のない通信およびインターネット市場については支持していない。


ライブドアとUSENの業務提携やネットの中立性とUSENのGyaOの話に逸れたが、ライブドアの事件と今昔の経営の話に戻る。
ライブドアの本業であるIT関連ビジネスの今後は安定したものになる可能性はあると思うが、USENとの合併による規模の拡大はあっても独自に規模の拡大を企図する可能性は殆どないだろう。

堀江貴文が主導した投資経営戦略、株式市場からの資金調達によりM&A(企業の買収・合併)を繰り返し、事業規模を加速度的に拡大する投資ビジネスの戦略は今のライブドアが使うことは出来ない。また、短期的な規模拡大の意図も現経営陣にはないだろう。
時価総額至上主義による巨大グループ化で勢威を張ったライブドアの姿は今はなく、関連子会社もライブドアグループの系列から離脱するケースが増えているようだ。

東証の上場廃止を受けて資金調達の要であった株式市場からも撤退を余儀なくされており、一連のライブドア事件によって損害を受けたライブドアの株主(個人投資家)が第二次集団提訴を起こしている。

集団提訴の法的判断や損害賠償の適正な金額については、東京地裁の判断を待つほかないと思うが、株式投資(有価証券への投資)に関する自己責任の原則が、投資先の企業の経済犯罪の予見にまで及ぶのかどうかという点で興味深く今後の裁判の行方を見守りたい。

しかし、株式市場における企業評価や将来利益の予測は、意図的な風説の流布によって容易に翻弄され価格を操作されるように、株価というのは元来、恣意的で浮動的なものである。事前に価格が上がることが折り込み済みであるインサイダー取引などの違法取引を除いて、株式投資というのはある種のギャンブルだという自覚は必要だろう。

株は、賭け金が数分の1になることはあってもゼロになるというリスクは少ないが、投資金額が大きくなればやはり相応の損失を出す恐れがある。小規模の投資であれば、ギャンブルより損失のパーセンテージが低い為に、ある程度堅実な利殖法としての認知が高まっているが、投資先の企業の犯罪や不祥事によって投資資金の大部分を喪失することがある。

投資した株式会社が違法行為(犯罪行為)を犯した場合に、投資家に対して株価の下落を補償する法的義務はあるのか、どれくらいの割合の補償をすべきなのかといった争点がポイントになると思うが、ライブドアの株主集団提訴の判決が今後の同種の経済犯罪に与える影響は大きいだろう。

5月26日、ライブドア前財務担当取締役、宮内亮治被告(38)らの初公判が開かれたが、冒頭陳述における堀江貴文被告(33)との意見の対立は、堀江被告が積極的に粉飾決算(株価売却益など利益の付け替えによる経常利益の操作)を主導したのか否か、前社長の堀江被告が主犯で宮内被告ら最高幹部はそれに従っただけなのかどうかというところにあるようだ。

宮内被告の冒頭陳述では、堀江被告の指示によって利益の付け替えを行ったとして、粉飾決算の現場における堀江氏の発言を詳細に再現して陳述しているが、堀江被告は粉飾決算の場面を再現した『そんなに、もうかっちゃうの』など一連の粉飾指示の発言について否認している。

しかし、堀江貴文被告だけでなく、宮内亮治被告、熊谷史人被告ら幹部陣も、『違法性の認識』自体については全くなったとして全面否認し、自社株売却益の利益の付け替えや経常損失の補填などの具体的な虚偽書類の作成に対して法律に違反するという認識を持っていなかったという立場を崩していない点は共通していると言える。


ライブドア事件:堀江被告が粉飾主導 冒頭陳述で明らかに

「いいんだよ、強気、強気。ケイツネ(経常利益)50(億円)の方がかっこいい」。東京地裁で26日に開かれたライブドア前財務担当取締役、宮内亮治被告(38)らの初公判で、検察側は前社長の堀江貴文被告(33)が部下に指示した具体的な内容を詳述した。冒頭陳述からは、堀江前社長の無罪主張とは対照的に、部下の忠告を押し切って粉飾を主導した実態が浮かび上がった。


ライブドアショックと呼ばれる一連の疑惑と強制捜査はセンセーショナルな話題を世間に提示したが、事件勃発から4ヶ月を経過して直接の当事者や利害関係者でない国民の関心は他の事件や問題に移りつつあるし、証券取引法違反という罪状の具体的細目にまで興味のある層もかなり少なくなっている。
ライブドア事件に関しては、『額に汗をかかずに楽して稼ぎたい』という若年層の伝統的な労働道徳の減退を嘆く意見も多数寄せられたが、若年層の多くが投資関連ビジネスに強い興味を持っていて従来的な労働規律を持たないというのは独善的な偏見に過ぎないように思える。

金銭至上主義に代表される功利的な社会的価値観の見直しを迫るような意見もあるが、企業のM&Aの投資戦略による規模拡大の経済や個々人のポートフォリオによる不労所得そのものが原理的に悪という意見であれば極論になってしまう。
そういった投資家の投資行動による利益と企業の資金調達の合法的手段を否定することは、資本主義そのものの否定につながることになり現実的ではない。

ライブドア事件の本質は、コンプライアンス(法令遵守)を欠いたライブドア経営陣の欲望の暴走と時代の雰囲気に流された話題作りに追われるマスコミの軽薄さ、造り上げられた虚像のイメージに判断を左右されやすい人間の心の弱さ(強盛なものへの憧憬と迎合)にあるように感じた。

ライブドア事件の裁判とは切り離された形でライブドアの経営事業は淡々と進められ、グローバルな規模で展開するIT業界の再編と競争のスピードも加速している。
インターネットのビジネスモデルには多様な形態があるが、現段階のネット企業の中心的な収益源は、媒体価値を高める事によって得られる宣伝広告事業である。

広告事業と結びついたインターネットの無料サービスは、検索エンジンにしても、ポータルやニュースなどのコンテンツ、ブログやSNSなどのCGM(Consumer Generated Media)にしても、利用者数の増大とPV(ページビュー)の拡大が統計学的な営業利益の増加につながるシステムである。

WEB2.0という次世代のインターネット利用形態に見合ったウェブサービスや良質なコンテンツ、消費者が作成する個性的コンテンツは数多く出揃って来ているが、サービスやコンテンツを実際の利益と交換するビジネスモデルは実質的に宣伝広告のメディア事業しかなく、今後は新たな収益基盤の創造や収益経路の複数化に成功した企業がインターネットビジネスを先導していくことになるのだろうか。

インターネット・ユーザにとっては無料で得られる便利なサービスや面白いコンテンツが増える一方で、インターネット内部でビジネスを展開しサービスやコンテンツを提供する側の企業にとっては厳しい競争と変革の時期が暫く続きそうだ。


■書籍紹介
ヒルズ黙示録―検証・ライブドア
ヒルズ黙示録―検証・ライブドア

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ライブドア裁判など。。
ライブドア、いろいろありました。 でも、何だか悲しいです。なんで・・ ...続きを見る
アフィリエイトDIARY
2006/06/01 19:35
??????〓???
&?&?&?&&&&?&&&IT&?ξ&&〓&&??&&&&?〓???& &&?&?&&&&&&IT=&&j&?〓?&&?&&?&?&&&?&?&&&&&&&&??&&&&&IT?&&?&?&&&&&&&??&&?&&&&?&&& ...続きを見る
???????????
2006/06/07 00:10
ティム・バーナーズ=リー
ティム・バーナーズ=リー 著 者: 涼クール ...続きを見る
エンタメ亭
2006/10/28 14:22

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コンテンツ&本の紹介

Es Discovery's Encyclopedia(百科事典的なアーカイブ)

ESD ブックストア(インスタントストアで色々なジャンルの本を紹介しています!)

心理学の事典や臨床心理学の概説書

S.フロイトとC.G.ユングの書籍
ブログアーカイヴ
2005年
3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2006年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2007年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2008年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2010年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
ライブドア事件初公判の雑感。登録者数1,000万に迫るUSENのGyaOと『ネットの中立性』の問題 カウンセリングルーム:Es Discovery/BIGLOBEウェブリブログ