テーマ:学問

近代経済学と行動経済学と人間の行動選択:常に人間は合理的で、市場は効率的なのか?

経済学では合理的なホモ・エコノミクス(経済人)を前提にして、自由市場原理が効率的な価格決定を行うとする『効率的市場仮説』が信じられている。 効率的市場仮説の基本原則は『市場で取引されている株・債権・商品などの現時点での価格』は『ファンダメンタルな価値(業績・財務・需給など基礎的諸条件)』を効率的に反映した適正価格であり、市場原理は…
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物事はなぜ計画通りに進まないのかの心理学2:統計の外部情報と他人の意図・能力の無視

極端にリスクや浪費を恐れて未来を悲観する人、今までの成功経験や周囲の支持・賞賛がない自分に自信がない人は、最高責任者や意思決定者にまずなりにくいというのが『楽観バイアスによる計画の錯誤(予算の肥大)』の要因になっているのである。 物事はなぜ計画通りに進まないのかの心理学1:計画の錯誤を生む楽観バイアスと専門家の直感 豊洲市場…
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物事はなぜ計画通りに進まないのかの心理学1:計画の錯誤を生む楽観バイアスと専門家の直感

未来を予測することや物事を計画通り(予算通り)に進めることはかなり困難である。教育と訓練を受けていて当該分野に精通しているはずの専門家でさえ、往々にして統計的傾向や確率を軽視して間違ってしまう。 今、東京都では築地市場から豊洲市場への移転計画が『土壌・地下水の汚染問題』で難航していて、元東京都知事の石原慎太郎氏が小池百合子現都知事…
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E.エスポジトの語るメディア技術と社会的記憶の関係:ウェブ・技術革新がもたらす次の社会構造

『環節的社会』ではいまだ明確な社会的記憶はないが、象形・表音の文字のメディアが発明されて階層分化(身分制の確立)が進む『成層的社会』では『預言的記憶(蜜蝋モデル)』の社会的記憶が作られる。 更に、成層的社会では『修辞的記憶(倉庫モデル)』の社会的記憶も生まれる。蜜蝋モデルというのは宗教的・神話的なエピソードに基づく社会的記憶のモデ…
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二クラス・ルーマンの社会システム論(社会進化論)とE.エスポジトの社会的記憶(メディア論)

社会学・経済学をはじめとする社会科学では『社会(society)』を観察と研究の対象にするが、社会は直接的あるいは客観的に観察することができないという意味では、『抽象的・統計的な認識の対象』になりやすい特徴を持っている。日本では明治期の文明開化によって西欧の文物・学問が輸入されてくるまで、『社会』という抽象的で包括的な概念は存在せず、『…
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『大学教育』に何が期待されているのか?2:G型大学とL型大学の分離案と職業教育のニーズ

1970~1980年代以降は大学教育(高等教育)が普及化する一方で、進学塾・中高一貫校・(都心部の進学に有利な)私立校が増加して『教育にお金のかかる時代』となっていったが、バブル崩壊までは『一億総中流社会(持続的な経済成長)』によって、子供の大学卒業までの費用を親が負担することがそれほど難しくなかった。 大学教育が本格的に大衆化す…
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『大学教育』に何が期待されているのか?1:大学全入時代で揺らぐ“学問の府”

文部科学省が進めようとしている大学教育改革の有識者会議で、経営共創基盤の代表で経営コンサルタントの冨山和彦氏が、トップレベルの大学をグローバルに通用する人材育成を行う『G(グローバル)型大学』、それ以外の大学を実務的な職業訓練を行う『L(ローカル)型大学』をすべきだという提案をして話題になっていた。 非エリート大学の「職業訓練校化…
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STAP細胞論文の疑惑・撤回と自然科学の実験結果の再現性:STAP細胞は実在するのか否かの本題

未来のノーベル賞級の研究かと持ち上げられていたSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)だが、小保方晴子ユニットリーダーの論文に掲載されていた『STAP細胞の証拠写真』が、過去(早稲田大学大学院時代)の博士論文の写真を使い回ししたものであることが明らかになり、STAP細胞の実在性に疑惑が寄せられている。 理化学研究所は『論文の写真や…
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iPS細胞作製の山中伸弥教授のノーベル生理医学賞受賞と森口尚史氏のiPS臨床応用の誤報・虚偽発表:2

ハーバード大学とその傘下病院がiPS細胞の臨床応用事例の存在を否定したため、森口尚史氏の主張する『世界初のiPS細胞を用いた再生医療の成功事例』は虚偽であるという判断が下されたが、本人は6件のうち5件は虚偽(今後予定されていた手術)だったが1件は本当に実施されたというスタンスを取っている。 森口尚史氏は1993年に東京医科歯科大を…
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iPS細胞作製の山中伸弥教授のノーベル生理医学賞受賞と森口尚史氏のiPS臨床応用の誤報・虚偽発表:1

京都大学教授の山中伸弥氏(50)が、再生医療や新薬製造に応用可能なiPS細胞(人工多能性幹細胞)を初めて作製した実績を評価されて、ノーベル生理医学賞の受賞が決まった。日本人としては19人目のノーベル賞受賞者だというが、2006年にマウスの線維芽細胞(皮膚細胞の一種)に遺伝子を挿入して世界で初めて作製されたiPS細胞は、『人工的に作製可能…
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『古事記・日本書紀』の日本神話と任那・百済同盟の謎3:日本人としてのアイデンティティの萌芽

『日本人』という統一的な国民アイデンティティが本格的に形成されたのは、幕藩体制(地方の分国的意識)が崩壊した明治維新以後ですが、(畿内を中心として)日本列島に生まれて住む人という意味での大雑把な日本人のアイデンティティが生まれたのは、6~7世紀だったと推測されます。それでも、6~7世紀頃の日本列島には入国審査もパスポートもあるはずがなく…
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『古事記・日本書紀』の日本神話と神功皇后の三韓征伐2:白村江の戦いの敗戦による反動形成

帝紀(系譜)と旧辞(事績)の史実性が高まってくるのは飛鳥時代後期からで、明確に天皇という尊号が用いられ始めたのは33代の女帝である推古天皇(在位593~628)か壬申の乱で皇位を奪った40代・天武天皇(在位673-686)からであると推測されています。欠史八代の後は、12代・景行天皇の子のヤマトタケルノミコト(倭建・日本武尊)の九州征伐…
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『古事記・日本書紀』の日本神話と大国主の国譲り1:高天原の神々の系譜と皇統を接続した物語

戦前の日本の古代史は『古事記・日本書紀』の日本神話と皇国史観で接続されていましたが、記紀は日本の伝説的なルーツと一部の史実が入り混じった古典であり、皇室・皇位の政治的権威の正統性を示すために書かれた書物でした。明治維新からアジア太平洋戦争の敗戦まで、日本の学校教育では天皇を高天原の天神の子孫である『現人神(あらひとがみ)』と教えていまし…
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村上宣寛『心理学で何がわかるか』の書評:科学的心理学のプロセスを重視した丁寧な概説書

医学・医療や健康食品、エコロジーなどの領域では、一見して正統的な科学理論を装っているが、科学的根拠に瑕疵や不備のある『疑似科学』が問題にされることがある。疑似科学にも体験談(目撃談)のみに依拠する杜撰なものから、研究データを細かく例示する精巧なものまで様々なレパートリーがあるが、自然科学と疑似科学との境界線を正確に見極めることは門外漢の…
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絶対精神の個別的・歴史的な展開を予測したヘーゲルの『精神現象学』と現代における自己意識の強化

『物心二元論』では物質と意識(精神)の実在性が問われるが、意識が先行して物質があるという立場を『観念論(唯心論)』、意識とは独立して客観的な物質があるという立場を『唯物論(実在論)』という。普遍論争を行った中世哲学では、普遍的実在の究極の根拠を物質ではない『神』に置いていたので、中世哲学のスキームでは実在論は唯物論ではなく観念論との親和…
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約440万年前に生きた最古の人類アルディピテクス・ラミダスの全身像が復元:樹上生活から地上生活へ

古人類学や進化生物学では、最古の人類としての猿人はどの化石なのかという議論がありますが、私の世代では世界史の教科書の冒頭に、猿人の代表として約300万年前のアウストラロピテクス・アファレンシスが挙げられていました。どこからが人類の仲間なのか、類人猿から人類に進化したのはどの化石からなのかの『厳密な線引き』はできないと思いますが、数百年以…
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現代社会における自己アイデンティティの複層性・断片化が生む自由と孤独:G.ジンメルの社会形成の思想

前回の記事の続きですが、社会行動や他者との関係性が一切無い個人を仮定するならば、“私(自我)”は『観察(認識)する精神の視点・延長としての世界をただ認識し続けるもの』に過ぎないということになります。こういった生活実態やコミュニケーション、社会活動のない抽象的個人(精神)の仮定では、どう考えても現実に存在する個人の人生や人間関係の実情を説…
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ルネ・デカルトの近代的自我の発見と“私(自我)”の精神の限界:自己と社会(他者)の相互作用の視点

京極夏彦の『邪魅の雫』では、自分の自我意識が現実世界そのものであるという画家・西田の『独我論』が展開されますが、独我論というのは“私(自我意識)”以外の“他者・物質の実在”を否定する思想です。常識的に考えると、自分以外の他者や外界が実在しないというのは馬鹿げた観念論のように思えますが、“私の意識”と“世界・他者の実在”を切り離すことがで…
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不合理な人間を前提にする行動経済学と“利得・損失・リスク”に対する曖昧な価値判断

経済学の前提には、完全情報下において合理的に自己利益を最大化しようとする『ホモ・エコノミクス(経済人)』がありますが、実際の人間は経済学が想定するほどに合理的な利害判断をするわけではありません。需給均衡の市場を取り扱う新古典派経済学では人間の合理的判断の前提を疑うことがそもそもなく、『人間の感情』よりも『結果としての効用』を重視します。…
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“時間資源”と“表現欲求”によって実現するウェブ時代の知的生活:知的消費と知的生産の循環

前回の記事では、ウェブが知の共有と創造的思考の可能性を高めたという話をしました。ウェブ時代は果てしなく広がり続ける『デジタル情報の大海』に溺れやすい時代だとも言われますが、各ジャンルで知的生産を続ける人にとっては『書籍情報の大海』よりはやや泳ぎやすい時代になった側面もあるのではないでしょうか。書籍(本)の場合は末尾に『索引(インデックス…
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ウェブ時代における知的生産技術の進歩とツールとしてのブログの利用価値

梅田望夫さんのブログで『グーグルに淘汰されない知的生産術』という記事が公開されていたので、『ウェブ時代の情報整理&知的生活』について少し考えてみたいと思います。インターネットを介在してあらゆる情報にアクセスできる『ウェブの普及』は、ウェブサイト(WWWに公開されたコンテンツ)にアクセス可能な『情報端末の進歩』によって私たちの知的生活の基…
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パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』の書評:データと価値観から社会問題を解釈するリテラシーの必要性

『つまらない学問は罪である』と本の帯に掲げてあるように、とっつきにくい学問にエンターテイメント性を加えて、『常識的ではあるがデータ(資料)と矛盾した社会認識』を興味深く反証するという内容になっている。私はウェブサイト版の『反社会学講座』を断片的に読んだ事はあったのだが、ちくま文庫の文庫版で本書が発売されたのを機に、反社会学講座のすべての…
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W.ヴントの実験心理学の要素主義的な科学性:『類型論』と『特性論』から成り立つ性格心理学

心理学に科学的な研究手法を取り入れた実験心理学は、1879年にドイツのライプチヒ大学に心理学実験室を開設したウィルヘルム・ヴント(Wilhelm Max Wundt, 1832-1920)によって確立されました。イギリス経験論の連合主義の影響を受けていたヴントは、人間の精神構造が要素に還元できるという要素主義の立場にたち、自分の心の内容…
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“知のメカニズム”を科学的に解明する認知心理学と“心の体制化”を発見したゲシュタルト心理学

『認知(cognition)』とは、外部の物体や事象に関する情報を『後天的な知識・記憶・学習』の影響を受けて理解する過程のことで、『知覚(perception)』とは、目・耳・鼻・舌・皮膚の五感を司る感覚器官から直接的に情報を摂取する過程のことですが、人間の知的な情報処理過程全般を認知と呼ぶこともあります。 アーロン・ベックが開発…
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ギリシアの選良的な貴族主義とローマの宥和的な貴族主義:宗教原理と認知的不協和理論

古代ギリシア世界の歴史は、宗教・政治・哲学・芸術・建築・演劇・言語など西欧文明社会の精神的ルーツとなり、キリスト教(ヘブライズム)誕生以前の地中海世界に、ヘレニズムという文化的な共通基盤を準備した。古代ギリシアに起源を持つ言語や哲学は、根本的な原理を探究する理性的営為として現代にも継承されており、ギリシア神話の美しき神々や壮大な物語は、…
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言説のパラドックスを指摘するデリダの脱構築とロゴス(言語)が構築する世界観への懐疑

ジャック・デリダの戯れの事態は、私たちの日常生活でも多く経験することができ、多くの人は『自分の現在の気持ちを適切に表現できる上手い言葉が見つからない』『言葉にしてしまうと軽薄で安っぽいものになってしまう』『言葉で言い表せるほど、単純な問題ではない』という感覚や感情を経験したことがあると思います。 デリダの思想は、一つ一つの概念や用…
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パロール(話し言葉)とエクリチュール(書き言葉)の本質的差異が生成するジャック・デリダの『戯れ』

人間は、言葉とジェスチュア、表情、雰囲気、状況判断によってコミュニケーション(意志疎通)を行うことが可能だが、やはり、他者と意志疎通し意見交換する場合に中心となるコミュニケーション手段は『言葉(language)』である。 世界に存在するありとあらゆる事象を細分化して分節する精緻な言語体系によって、私たちはエクリチュール(書き言葉…
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ソリューション・フォーカスト・セラピーによる解決法の自己構築と潜在的な可能性への注目

心理学的知見に基づく問題解決志向のアプローチは、標準化された心理アセスメントの実施と効果的な心理療法(面接技法)の組み合わせによって計画的に行われてきた。現在でも、エビデンスベースドな臨床心理学を前提とするカウンセリングでは、問題(症状)の実際やクライエントの状態を的確に把握する為のアセスメント(心理査定)を行って、そのクライエントに適…
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クレペリンの早発性痴呆、ブロイラーの精神分裂病から現代の統合失調症へ至る歴史的変遷

前回の記事で、古典的な精神分析の精神病への適応の難しさについて述べましたが、現在の精神医療では、統合失調症患者に対しては、メジャー・トランキライザー(強力な向精神薬)による薬物療法が第一選択になっています。 抗精神病薬のクロルプロマジン(商品名コントミン,ウインタミン)の誕生(1952年)が、精神医療にもたらした恩恵は非常に大きなもの…
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ポリュビオスの『政体循環論』と貴族制から民主制へのアテナイの政治体制の変遷

■様々な政治形態を経験したギリシア世界とポリュビオスの政体循環論 哲学以外にも、アルファベットなどの言語の基盤となったギリシア語、世界のあらゆる叙情的物語に強い影響を与えた悲劇や喜劇、絵画、彫刻といった芸術などギリシア文明社会が後世に与えた影響は計り知れないものがある。 ギリシア神話における主神ゼウスの祭礼の時に行われた平和…
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