テーマ:生物学

自閉症スペクトラムの限られた分野の集中力とADHDの新奇性探求:時代・環境で変わる発達障害の適応度

児童期前後から競争原理や経済活動に全面的にコミットして、夫婦が共働きで必死に生きていくようになってきている物質的に豊かな先進国では、親が子供に十分に構って上げられる時間やスキンシップ、対話が少なくなりがちである。 早い段階から親と子は別人格という個人主義的な認識になり、小学生くらいでもう個室を持って自分のプライベートを守るようにも…
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生物学的原因を重視する発達障害と親子・養育要因を重視する愛着障害:社会階層の影響とADHD

幼少期の良好な親子関係の相互性を通した『愛着(attachment)』の形成は、自分の存在を支えて居場所を作ってくれる『対象恒常性』の確立につながりやすい。無条件の愛情を注いで傍にいてくれた『親・養育者』を原型とする対象恒常性は、自分の内面にある安定したイメージであり信頼・安心のある人間関係のパターンである。 この自分の存在を好意…
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大隅良典氏が『オートファジー研究』でノーベル医学生理学賞を受賞:生命・細胞の仕組みと応用可能性

東京工業大の大隅良典(おおすみよしのり)栄誉教授が『オートファジーの分子メカニズムの解明(酵母を使ったオートファジーに関連する遺伝子の特定)』で『ノーベル医学生理学賞』を受賞することが決まった。日本人では3年連続のノーベル賞受賞になるようだが、基礎科学分野の基本的なメカニズムや応用性の高い原理・法則の発見が改めて評価されるという形での受…
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ロバート・ザイアンスの単純接触効果と馴れたものに安心・好意を感じる動物

精神状態がリラックスしていて気分・機嫌が良い時の問題は、システム1の認知容易性と相関した直感性・創造性が優れやすくなる代わりに、緊張感・警戒心が弱まるために『物事を疑って深く思考すること(システム2による努力と集中を要する思考)』ができなくなるということである。 気分・機嫌が良くて笑顔が出るような時には、物事が概ね上手くいっていて…
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AI・ロボットのテクノロジー進化は人類の脅威になるのか?2:技術はどこまで人間を代替していくのか

“Artificial Intelligence”のAI(人工知能)にも、人間の知的能力を部分的に置き換える『部分AI』と人間の知的能力を全体的に置き換えてほぼ人間同等の存在を生み出そうとする『全体AI』とがあるが、現在開発されているAIのほとんどは会話やゲームなどに特化した部分AIではある。 ロボットの大半も現時点では、生産ライ…
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AI・ロボットのテクノロジー進化は人類に何をもたらすか?1:遺伝子・技術によるヒトの進化の歴史

“ホモ・サピエンス(知恵あるヒト)”は“ホモ・ハビリス(道具を使うヒト)”としての特徴を持ち、人間はある段階から他の生物のように『DNA(遺伝子)』を変化させて適応するよりも、『科学技術・環境調整』によって適応度を高めてきた。 数百万年~数十万年前の猿人・原人の段階と比較すれば現生人類(新人)の骨格・顔貌・運動能力はDNAレベルで…
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小保方晴子『あの日』の書評5:STAP細胞はあったのかなかったのか?

STAP細胞関連のニュース報道だけでは分かりにくかったこととして、『多能性マーカーのOct4陽性のSTAPの細胞塊を作製すること』と『STAP細胞を長期培養してES細胞(胚性幹細胞)の多能性を実際に持つSTAP幹細胞を作製すること』と『STAP幹細胞をマウスの受精卵に混入してキメラマウスを作製すること』の3つが混同されていたことがある。…
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小保方晴子『あの日』の書評4:200回も成功したとされるSTAP細胞作製の定義

小保方晴子さんの『あの日』は『STAP細胞捏造事件(本人の認識では不公平なSTAP細胞捏造疑惑)』に対する抗弁や後悔の書の体裁になっているのだが、全体の構成と内容からすると『自分の担当していた研究内容の範囲外の問題(特にキメラマウスの作製)』で自分に責任があるとして非難されて処分されたことに納得がいかないという強い思いが滲んでいる。 …
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小保方晴子『あの日』の書評3:若山照彦氏のキメラ作製の手技とストーリーありきの研究

バカンティ教授は初期の仮説では、スフェア細胞(スポアライク・ステム・セル)は全身の組織に初めから存在しているとしていたが、その後に『スフェア細胞は体内のストレスなどによって後で作られる』というものに発想を変えているが、この初めから存在するのではなく何らかのストレスなどの要因で作られるという仮説は、STAP細胞作製のメカニズムの原点でもあ…
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小保方晴子『あの日』の書評2:チャールズ・バカンティのスポアライク・ステム・セル仮説の影響

バカンティマウスを作成したチャールズ・バカンティ教授の研究室に所属することになるが、一緒に研究する3人の学生たち(アナ・セレナ・ヴァネッサ)もイェール大主席卒業のセレナをはじめとして秀才揃いである。 ハーバード大学・バカンティ研究所での研究生活は、気管の人工器官を生体に定着させるためのヒツジの鼻腔粘膜上皮細胞シートを作成する実験か…
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小保方晴子『あの日』の書評1:小保方氏の学生時代と再生医療への興味

STAP細胞問題と研究不正疑惑で話題になった小保方晴子さんの自伝的な著作だが、『生命科学・多能性幹細胞(万能細胞)』についての専門的な知識や具体的な実験手法の説明にも多くのページが費やされている。 生命科学の生物実験の具体的プロセスの描写などは決して読みやすい内容とは言えない。専門用語の予備知識や科学実験の経験のない人が読んでもス…
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文明社会参加の心的基盤を築く『潜伏期』:リビドー潜伏と“超自我・教育・人間関係”からの学び

S.フロイトの精神分析のリビドー発達論では、“性的な成熟”と“社会性の獲得”という二つの発達課題が重視されているが、これは『愛すること(関係性)+働くこと(社会性)』に幸福の条件があるとしたフロイトの言葉とも重なっている。 ダイバーシティの広まりによって、価値観やライフスタイルが多様化・自由化している現代においても、就職・事業によ…
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ホモ・サピエンス・サピエンス(現生人類)の種の存続と進化:過去と未来の絶滅回避

現生人類であるホモ・サピエンス・サピエンスの内部でも、『肌と目の色・顔の彫りの深さ・骨格と筋肉・目の大きさ・髪質などの違い』から『人種』という概念が日常用語で使われていたり、人類の歴史ではアパルトヘイトや白人優位主義、ホロコーストをはじめとして『人種差別(民族差別)・民族虐殺』が深刻な人権問題となってきた。 しかし、DNAのヒトゲ…
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先史時代に人類(ホモ属)が経験したインドネシアの火山大噴火による絶滅危機と環境適応

約7万年前に起こったインドネシアのスマトラ島にある『トバ火山』の超巨大噴火がそれであるが、この噴火は現在火山活動が活発化している日本においても、その破滅的な噴火の威力と影響を想像することは難しい。トバ火山噴火のVEIレベル(火山爆発指数レベル)は8であり、これは有史以降の人類の歴史では未経験の凄まじい噴火である。 1815年に起こ…
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人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)の特殊性と“旧石器時代の長い時間・人類絶滅の度外視”

現代の高度で豊かな文明社会を生きている人類というのは、生物の進化の歴史では異端中の異端であるだけでなく、私たちが地球史の最先端で享受している科学技術の便利な道具と無数の情報・娯楽・構造物に囲まれたライフスタイルというものは、『歴史的な時間軸』では正に一瞬、まばたきすらできないほどの一瞬に過ぎないというのは、考えれば恐るべき歴史の足跡であ…
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人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)の特殊性と“霊長類を称するヒト”の生態系における特権意識

ホモ・サピエンス・サピエンスという人類(ホモ属)の種は、自己と世界について言語的・数字的に認識できる知能を持ち、自分と他者の間の言葉・文字のコミュニケーションを通して相互に意思疎通できるという極めて特別な種である。 そして、『言語・数学・知能・協働・社会性(協力と競争)・歴史・戦争』などを総動員して、他の動物には作ることが不可能な…
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ヒトはなぜ“男女の持続的なパートナーシップ”を求めるのか2:少子化・晩婚化と学習期間の長期化

先進国における近年の少子化・未婚化(晩婚化)の最大の原因としては、『経済的な豊かさ(出身家庭の豊かさ)による要求水準の高止まり+ウェブ社会の普及(安価な娯楽・低コストなコミュニケーションの増加)+自意識・自己愛の肥大』を考えることができる。 元々、人間の男女の持続的なパートナーシップの必要性の多くは、『子育てに必要な経済的・労力的…
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ヒトはなぜ“男女の持続的なパートナーシップ”を求めるのか1:性と子供の養育

人間の性になぜ“生殖”と“享楽”という2つの側面が生まれたのか、つまりは子供が産まれる生殖にはつながらない愛情・快楽(精神と肉体の満足)のためだけの性行為をなぜ人間は求めるのか。その答えは単一的なものに還元できないが、享楽のための性は不倫・浮気の原因にもなる一方で、性が精神的にも肉体的にも満たされる行為になり得るということが『ヒトの男女…
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人間のセクシャリティの3つの側面:“恋愛・結婚の倫理観と持続性”が生む葛藤と神経症

S.フロイトの精神分析では、無意識のエスが生み出す“性的欲求の充足と抑圧”が神経症の主な原因として語られるが、“不安感・罪悪感・抑うつ感・強迫観念・身体症状”などのメンタルヘルスの不調である神経症は『本能(自然)と倫理(文化)の葛藤』に悩む人間に特有のものでもあった。 人間のさまざまな男女関係(好きな相手との関係)を通した本能的な…
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田沼靖一『ヒトはどうして死ぬのか 死の遺伝子の謎』の書評

ヒトを含む生物はなぜ死ぬのか、どうして個体は永遠に生存することができないのかという問いに対するマクロな答えは、進化生物学では『有性生殖で遺伝子多様性を保つため+世代交代で環境適応能力を高めるため』ということになる。 一つの世代の同一の個体が、永遠とまではいかなくても数百年とか数千年とか超長期的に生存してしまうと、敢えて子孫を繁殖さ…
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人の“愛”を解明しようとする脳内ホルモン仮説とその限界:自他の長期の結びつき・利他性・共同幻想

魅力的な異性の知覚・認識そのものは、神経伝達物質(脳内ホルモン)の分泌以前の段階の『内面・心』で半ば自動的に行われているので、すべての性欲や恋愛感情の発動を生化学的・物質的な基盤だけで解明し尽くすことはできないし、そこには多分にどのような異性が魅力的であるかという文化的・社会的な情報や価値観の刷り込みも影響しているでしょう。 進化…
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進化心理学の生殖適応度とスティーブン・ジェイ・グールドのスパンドレル:愛と性欲の生理心理学

進化心理学が想定する『遺伝的な優秀性と劣等性の基準』は、適応に求められる能力(俊敏さ・狩猟の技量・戦闘能力・多産性・授乳能力)の時代感覚が相当に古い時代に留まっている感じがあるにも関わらず、異性の美貌や望ましいスタイルの特徴に関しては『マスメディア(商業主義)の影響を受けた近代的な最近の基準』が採用されているという矛盾点も上げられます。…
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生殖適応だけでは語れない人間の男女関係の複雑さとロバート・トリヴァースの『投資理論』

冷徹な進化論の生存適応度の統計的研究では、自己遺伝子が数百年のスパンでさえ生き延びる確率は数%にも満たず、結局、遺伝子の系統樹を子孫に下っていくと大半は数世代くらいの子孫で断絶してしまいます。家系・家業・身分としては養子などを取ることで存続することも多いですが、確実な直系の子孫が何十世代も途絶えずに続くことは極めて稀なことです。 …
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リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』と自然の摂理(生殖適応度)から見た人の知性・自我・死

人類は他の動物にはほとんど見られない理性と知性、科学、技術、言語などによって、『生態系の意識レベルの頂点』に上がったという自尊心を持ってはいますが、ただ生成消滅を繰り返すだけの自然界では『人間的な知性の優位性』は自己満足以上のものではないように見えます。 人間がどんなに凄い発明をしようとどれだけ高度な理論を構築しようと、生物種を事…
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リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』と遺伝子決定論・環境決定論

現代日本では、少子化・未婚化の人口減少問題(社会保障制度の持続性)や結婚・出産(高齢出産)のライフイベントを巡るニュース・議論が多く出されていますが、『遺伝子・進化論』の観点から人間の行動選択や生殖適応(子供を持つ選択)、男女関係(相手選び)について考えてみると、今までとはまた違った人間関係・意思の絡み合いの景色が見えてくるかもしれませ…
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STAP細胞論文の疑惑・撤回と自然科学の実験結果の再現性:STAP細胞は実在するのか否かの本題

未来のノーベル賞級の研究かと持ち上げられていたSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)だが、小保方晴子ユニットリーダーの論文に掲載されていた『STAP細胞の証拠写真』が、過去(早稲田大学大学院時代)の博士論文の写真を使い回ししたものであることが明らかになり、STAP細胞の実在性に疑惑が寄せられている。 理化学研究所は『論文の写真や…
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小保方晴子さんらの研究チームによる“STAP細胞(新型万能細胞)”の作製・発表

あらゆる組織・臓器(器官)に分化する機能を持つ『万能細胞』は、生命工学的な再生医療の分野の研究・臨床に絶対不可欠な細胞であり、従来はヒトの受精卵から採取される『ES細胞(胚性幹細胞)』が用いられていたことで、生命倫理学の立場から非難を受けることも多かった。 ヒトの生命の始まりである受精卵(生殖細胞)を殺さなくても作製できる万能細胞…
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長谷川英祐『働かないアリに意義がある』の書評3:なぜ個体(人)は社会のために働きやすいのか?

『第三章 なんで他人のために働くの?』は、W・D・ハミルトンの血縁選択説(血縁淘汰説)によって、自分の遺伝子を残さずに働いてくれる真社会性昆虫の個体がなぜ生まれるのかを説明している。女王アリとその子のワーカーは同一の遺伝子を共有しており、ワーカーが自分自身の遺伝子を残せないとしても、女王アリに協力して働きその子を増やすことで、間接的に自…
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長谷川英祐『働かないアリに意義がある』の書評2:みんなが一斉に働き者になる事の何が問題か?

なぜアリの社会集団の中に働かない個体がいるのかの最も簡単な説明は、『余剰労働力(バッファ)の確保』のようだ。エサを探索する仕事に全てのアリが出払っていれば、そのエサを回収する仕事に回れるアリの数が減ってしまうように、『働いていない手の空いた個体』がいたほうが、環境変化・必要な労働の追加に対応しやすくなる。また、感染に弱い卵を舐めて抗菌作…
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長谷川英祐『働かないアリに意義がある』の書評1:真社会性生物が構成する階層・役割のある社会

人間は自分や家族の生活のために働いているが、間接的な貢献・結果が多いにしても、社会全体のためにも働いている。『社会のために働いている・日本国憲法には勤労の義務がある』という大義名分を口に出すことは少なくても、“働かない個人”に対して道徳的な不満を抱いたり、自分だけが働かせられて損をしているというような感覚を持つ人も多い。 資本主義…
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