テーマ:社会学

ロバート・チャルディーニの『説得力の6原則』とプロスペクト理論・社会的証明の原則:2

行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーのプロスペクト理論では、人は不確実な状況下では『利益の獲得』よりも『損失の回避』を重視した意思決定をすることが明らかにされています。それは人は利益によって得られる喜びよりも、損失によって蒙る苦痛のほうが一般に大きいからです。100万円を得られる喜びの主観的な大きさに対して、100…
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ロバート・チャルディーニの『説得力の6原則』と説得の心理学:1

人に何かをしてもらいたい時、特に初期の意思決定(自己選択)を翻してでも動いてもらおうとする時には『説得』が必要になってきます。『説得』というと、物事のメリットやデメリットを説明してメリットの多い方を勧めたり、行動の善悪(合法・違法)などを説いて倫理的・法律的に好ましくないリスクのある行動をやめさせたりすることをイメージしますが、実際に他…
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男性と女性のどちらが生きづらいのか?2:男と女で何が得(損)かが変わる非対称性の問題

その人が外見をどれくらい重視しているかというのは、表面的な意見からだけでは分からないことが多く、『社会的望ましさ』の影響も受けるので大半の人は『外見よりも中身のほうが大切』と回答するのですが、実際には『自分が選択可能な範囲の中でできるだけ好みに合致していて性格も自分と合う美しい人・格好いい人』を選ぼうとする人が多いわけです。 厳密…
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E.エスポジトの語るメディア技術と社会的記憶の関係:ウェブ・技術革新がもたらす次の社会構造

『環節的社会』ではいまだ明確な社会的記憶はないが、象形・表音の文字のメディアが発明されて階層分化(身分制の確立)が進む『成層的社会』では『預言的記憶(蜜蝋モデル)』の社会的記憶が作られる。 更に、成層的社会では『修辞的記憶(倉庫モデル)』の社会的記憶も生まれる。蜜蝋モデルというのは宗教的・神話的なエピソードに基づく社会的記憶のモデ…
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二クラス・ルーマンの社会システム論(社会進化論)とE.エスポジトの社会的記憶(メディア論)

社会学・経済学をはじめとする社会科学では『社会(society)』を観察と研究の対象にするが、社会は直接的あるいは客観的に観察することができないという意味では、『抽象的・統計的な認識の対象』になりやすい特徴を持っている。日本では明治期の文明開化によって西欧の文物・学問が輸入されてくるまで、『社会』という抽象的で包括的な概念は存在せず、『…
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なぜ『日本人の幸福度』は先進国の中で低いのか?:経済成長期の中流階層の人生設計を標準とする自己評価

日本人の主観的幸福度が先進国で最下位というニュースで、日本は世界第3位のGDPを誇る経済大国なのに、なぜ国民は幸福を実感できないのかという疑問が提示されている。 日本人の「幸福度」は先進国で最下位 「幸せはお金で買えない」国民性なのか タイトルには『日本人は幸せをお金で買えない国民性なのか』とあり、本文中にも 『幸せを感じ…
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パーソナルな自己愛を満たす『理想の自己(充足した自己)』と社会経済的な役割を果たす『自我理想』

個人主義と消費文化、私的世界に基づいた『理想の自己(充足した自己)』をより高めていった所に、自分の理想のあり方・生き方と社会的な役割・使命感が一体化した『自我理想』というものがあり、自我理想に接近するような行動を取り成果を上げた場合には『自己愛・自己評価』が満たされるということになる。 理想の自己(充足した自己)というのは自分個人…
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競争的な個人主義・消費文化・労働から遠ざかる現代人の自己愛と近代的価値への態度:2

長期雇用や年功賃金が前提であった昔であれば、どんなに嫌なことやつらいことがあっても、雇ってくれた会社に何とか踏ん張って留まっていれば、その内に地位や給料も上がって部下もできて良いこともあるんだからという理由で説得されていたりもした。だが、現代では雇用形態の格差や昇進・昇給・賞与のないアルバイトのような待遇(名前だけの正社員)も多いため、…
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競争的な個人主義・消費文化・労働から遠ざかる現代人の自己愛と共同体への帰属感:1

ポストモダンの現代では、個人主義と消費文化、私的世界に基づく自己実現が『理想の自己(充足した自己)』の原型になりやすいが、それは近代社会における『共同体への帰属感+同胞・権威への忠誠心』を欠いた自己満足や競争心(優越感)でもある。 理想自己は社会的な役割規範や他者(同胞)との仲間意識から離れやすいために、『感覚的な快楽・主観的な自…
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田舎暮らしに憧れる若者の増加2:“個人の自由・気楽さ”と“共同体のつながり・安心”の葛藤

かつて田舎で生まれ育った人が『都会』で働いて暮らしたいと思っていたベクトルの反動として、今度は都会で生まれ育った人が『田舎』で働いて暮らしたいと思うベクトルがある。端的には、『今までとは異なる環境・ライフスタイル・人間関係の希求』であるが、もちろん都会にもメリットとデメリットがあるように、田舎にもメリットとデメリットがある。 ○田…
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田舎暮らしに憧れる若者の増加1:都会暮らし・サラリーマンの働き方に対する疲労感の現れか

都市部に住んでいる人で、『田舎への定住を希望する人の割合』が増加傾向にあるのだという。以下の新聞記事によると、都市部の住民で田舎への定住を希望する人は31.6%、前回2005年の調査より11%も増加して年齢別では20歳代が38.7%で最も多かったという。 田舎への定住希望が急増、20歳代で4割近くに 田舎暮らしに求める条件で…
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“勝者・神話・自己肯定の物語”として再構成される歴史:靖国神社参拝とM.アルヴァックスの集合的記憶

かねてから歴史は『勝者の物語』と言われてきたし、民族や国家の生成発展の歴史は、日本の記紀にあるニニギノミコトの高千穂峰への天孫降臨のように、およそ現実にあったとは考えられない『神話的な物語』から始まったと伝承されるものであるが、科学や知識が高度に発展・増加した現代においても私たちが自国・自民族の関係する歴史問題を客観的に評価することは簡…
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ポストモダンと後期近代(レイト・モダニティ)の現代思想3:再帰性の高まりと個人化の苦悩

ポストモダン思想を初めて提唱したのは、フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールの『ポストモダンの条件(1979年)』だとされるが、リオタールも工業分野の労働による物質的な豊かさだけを追求していた時代が終わるという『脱工業社会・脱産業社会(=情報化社会・知識労働の増加)』のコンセプトを打ち出していた。 ヨーロッパやアメリカでは…
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ポストモダンと後期近代(レイト・モダニティ)の現代思想2:近代社会を構成する要素・価値

近代以前の歴史の時代区分は、原始時代(先史時代)から古代、中世、近世を経て移り変わってきたのだが、近代化は『終わりのない最新化(アップデート)・成長志向の繰り返し』を意味するから、近代が近代よりも先の更に進歩した時代に変化するという可能性は殆どない(近代初期よりも前の時代に退行・貧困化したり人心が荒廃したりする恐れはあっても)と考えられ…
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ポストモダンと後期近代(レイト・モダニティ)の現代思想1:終わらない近代化

歴史学の時代区分では『現代(contemporary age)』と『近代(modern age)』は形式的に分けられている事が多いが、現代史というと『現在進行形の出来事や人物とも接続されるごく最近の歴史』といった意味合いが強く、近代史というと現代よりは少し前の時代の歴史といった感覚になってくる。 日本の歴史であれば、近代というと明…
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M.マクルーハンのメディア論と人間の意識:マスメディアの時代が生んだネーションとパブリック

メディア(media)とは、何らかの情報・知識を他者に伝達したり、モノや人がある地点を移動させたりする『媒体・媒介』のことである。現代でメディアというと、狭義のメディア定義となるマスメディア(テレビ・新聞・雑誌)やインターネット(ユーザー参加型メディア)のことを指すことが多いが、広義のメディアには手紙も電話も電信も含まれる。人やモノを移…
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ブラック企業とハラスメント(使役する人間の道具化)を生み出す現代の競争経済社会の構造要因

過労死・感情労働・権力構造が関与した『ブラック企業問題』の本質は、企業や上司の指示・命令が法律や社会常識に照らし合わせて間違っていても、『閉鎖的な職場環境・人間関係』の中では、同調圧力を伴う逆らえない正義・規範になってしまうということである。 もちろん、組織の上下関係や慣習・文化、同調圧力だけではなく、『拒否すれば解雇されて生活費…
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A.R.ホックシールドの感情労働(感情マネジメント)のつらさと産業構造・リーダーシップの転換:3

感情労働には他者の感情やあり方を理解しようとすること、他者の不満・要求を傾聴してそれをケアしようとすることが含まれるが、こういった『人間関係・情動・コミュニケーションが関わる仕事』は20世紀までは主に“女性の仕事(例えば老親の介護を妻・女性の親族に任せきりにするなど)”としてジェンダーに割り振られてきたりもした。 しかし、産業構造…
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A.R.ホックシールドの感情労働(感情マネジメント)の増加とハラスメントの問題:2

場面・相手に対応して自分の適切な感情を表現できるように制御することを、『感情マネジメント』と呼んでいるが、感情マネジメントをする最大の目的は『他者に対する好意・尊敬・適切な関心』を表現して伝えることで、安定的で良好な人間関係を維持するためである。 好意的な感情の贈り合いの意味と解釈については、過去にマルセル・モースの『贈与論』を参…
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A.R.ホックシールドの感情労働(感情マネジメント)の増加とハラスメントの問題:1

労働環境におけるパワハラやセクハラが増大した背景には、“工業労働(第二次産業の肉体労働)”から“サービス労働・知識労働(第三次産業の精神労働)”への変化といった急速な『産業構造の転換』も関係しているはずである。 第三次産業のサービス業の増大は、ポストフォーディズム(脱産業化社会)、知識産業化、認知資本主義など様々な呼ばれ方がされる…
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男社会のホモ・ソーシャルにおける“男女関係の認知の歪み”とマタニティ・ハラスメント:3

ホモ・ソーシャルの男社会のつながりでは、女性とのプラトニックなつながりや相互的な尊敬、性格・話題の一致などを『恋愛関係の中心』に置いた話がほとんどなく、男同士で『分かりやすい良い女(性的に魅惑的な女)』をどれだけモノにできるか(実際にモノにできなくても空想上で強引・快楽的な性関係をどれだけ妄想しているか)、楽しくて快楽的な関係を持ってき…
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パワーハラスメントと男社会のホモ・ソーシャルにおける“セクハラ・犯罪”のリスク:2

『雇用の不安定化・企業への不信・離職率の増大』と連動したハラスメント概念の拡張(企業の理不尽な待遇や上司の人権侵害的な言動を非難する動き)によって、企業に酷使・人格否定されたり使い捨てにされる『非人間的な扱い』をされても、それを我慢しなければならないとする社会的な共有観念は衰えているようにも見える。 だが一方で、暴言や罵倒・解雇・…
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“お金”と“時間”を巡る今後の働き方の変化3:自由な時間資源を何に用いるかの選択と価値

『可処分所得(お金)』と『可処分時間(自由)』のどちらを優先するかの価値観の対立は、今後更に重要な意味合いを持ってくる。すなわち、『時間に追われるだけの毎日の繰り返し』に陥るリスクは、自分の人生・余暇や人間関係を楽しみづらくなるだけではなく、今よりも高度な知識や有用な技能を身に付けるための『自己投資・スキルアップ(何らかの勉強・訓練への…
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“お金”と“時間”を巡る今後の働き方の変化2:テクノロジーの発達とグローバル化の要因

現実にはIT社会が普及して各種機械の性能が向上し、パソコンやインターネット、タブレット、スマホ、工作機械、医療機器、簡易なロボット機械などの『人間の仕事をアシストしてくれるツール(端末)やシステム』がどんどん登場しても、人間の労働負担は以前より軽くはならず労働時間の劇的な短縮ももたらさなかった。 むしろ携帯電話の開発と普及によって…
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“お金”と“時間”を巡る今後の働き方の変化1:お金の必要と相対的な時間の選好性の上昇

経済格差の拡大や生活保護(貧困)の増加という『職業キャリアの断絶・可処分所得の不足』が先進国に共通する問題として浮かび上がっている中、『仕事に追われる日常・自由時間の不足』という“仕事が順調にいっているように見える人”を襲う新たな問題も深刻になってきている。 収入がある程度良くて人並みの暮らしができる仕事、あるいは自分がやりたいと…
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権力の本質と社会秩序・人間関係3:合意形成と利害調整への参加とガバナンス

近代初期には権力による統治というと、『立法・行政・司法の三権』による強制力のある政府機構がイメージされやすく、権力を発動する政府による統治(あるいは政府そのもの)を“government(ガバメント)”と呼んでいた。ガバメントは制度的・法的な根拠を持つ『合法的な秩序維持のための強制力』のことを意味していて、一般の人々は『被統治者(権力か…
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権力の本質と社会秩序・人間関係2:二クラス・ルーマンの複雑性の縮減と複合性の増大

権力を持つということは、『その相手の立場・地位・利害を左右できる直接的あるいは間接的な影響力』を持つということであり、権力の歴史的原始的な起源は『逆らえば殺害する』ということにあったと推測される。前近代社会の政治権力の本質も『体制に逆らう勢力・個人を抹殺することができる』ということにある。中世期のヨーロッパや西部開拓時代のアメリカ、戦国…
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権力の本質と社会秩序・人間関係1:公権力(政治権力)と私的権力(プライベートな力関係)

人々が毎日同じような生活行動パターンを安定的に繰り返したり、既存の役割や常識、規範に無意識的に従っているように見える『社会秩序』はどのようにして形成され維持されているのか。 社会学では社会秩序の形成要因を『権力(強制)・利害の一致(功利主義)・価値規範の共有(共同性)・コミュニケーションによる合意(相互了解の納得性)』などに見出す…
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U.ベックの“個人化”と自由・孤独な個人の“自己の物語化”によるアイデンティティ再構築

ドイツの社会学者のウルリッヒ・ベック(Ulrich Beck, 1944~)は、近代社会では個人は伝統的な家の縛りや村落共同体、血縁共同体、身分階層、宗教の規範からどんどん解放されていく『個人化(individualization)』が進展すると指摘したが、これは伝統的な共同体やその規範・慣習からの『自由な個人の解放』を意味してもいた。…
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近代化による“自己(自分)”と“共同体感覚”の変化:帰属感・安定感を弱める現代の自己

現代では自分が他の何物でもない唯一の自分であること、自分が他者から独立した意識や世界観を持つ独自の自己であることは、あまりにも『自明な前提』になっているし、『個人主義・プライバシーの重視・ウェブの浸透』などによってますます社会と自己、他者と自己、主観的世界(内面)と外部環境との距離感は開いているように感じられる。 しかし、イタリア…
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