テーマ:自然科学

大隅良典氏が『オートファジー研究』でノーベル医学生理学賞を受賞:生命・細胞の仕組みと応用可能性

東京工業大の大隅良典(おおすみよしのり)栄誉教授が『オートファジーの分子メカニズムの解明(酵母を使ったオートファジーに関連する遺伝子の特定)』で『ノーベル医学生理学賞』を受賞することが決まった。日本人では3年連続のノーベル賞受賞になるようだが、基礎科学分野の基本的なメカニズムや応用性の高い原理・法則の発見が改めて評価されるという形での受…
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『熊本地震(震度7・震度6強)』の余震が九州全域で続いている:被害者が増えないことを願う

14日の午後9時26分頃、突如、熊本県の益城町(ましきまち)を震源とする震度7、マグニチュード6.5の大地震が熊本県を中心とする九州全域を襲った。福岡県でも震度1~4の揺れが起こったが、私がこれほど大きな地震の揺れを体感するのは、2005年の『福岡県西方沖地震(震度6弱)』以来のことであり、余震の数の多さではその時とは比較にならないほど…
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マイクロソフトのAI“Tay”のヘイトスピーチ問題:人工知能が自我を備える日は来るか?

マイクロソフトが実験的に運用していた人工知能ソフト(チャットボット)“Tay(テイ)”が、ユーザーとの会話から不適切な言語応答の学習をしてしまい、乱暴な言葉遣いで『人種差別・性差別・ヒトラー肯定・ヘイトスピーチ』をするようになり運用が停止されました。 Tayの言語学習の偏りとヘイトスピーチは、『現時点における人工知能(AI:Art…
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青色LEDの開発・実用化によって赤崎勇・天野浩・中村修二がノーベル物理学賞受賞:科学者の事績と待遇

スウェーデン王立科学アカデミーが、2014年のノーベル物理学賞を『青色発光ダイオード(LED)』を開発した赤崎勇・名城大終身教授(85)、天野浩・名古屋大教授(54)、米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(60)の三名の日本人に授与すると発表した。 中村修二氏については米国籍(アメリカの市民権)を取得していることから日…
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STAP細胞問題と笹井芳樹氏の自殺2:メディアの小保方氏の取り上げ方と研究者としての中立的評価

笹井氏のマスメディアを利用した小保方氏の紹介・売り込みのやり方が過剰であったことは、今からすれば『悲劇・悪循環の発端』だったと振り返ることもできるが、笹井氏はCDB設立の目的の一つを『若い科学者が実力を発揮できる先進的な研究所の設立・大学機関の年功序列的な空気の排除と実績による研究環境の充実』に置いていたという。 笹井氏本人も36…
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STAP細胞問題と笹井芳樹氏の自殺1:科学研究とマスメディア

STAP細胞論文の責任著者だった理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹・副センター長が、研究棟内の踊り場で首を吊って自殺したというニュースにはショックを受けた。 笹井芳樹氏は、ES細胞(万能細胞・胚性幹細胞)を用いた再生医療・発生科学の研究分野では日本を代表する科学者であり、この分野ではiPS細胞研究でノー…
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小保方晴子さんらの研究チームによる“STAP細胞(新型万能細胞)”の作製・発表

あらゆる組織・臓器(器官)に分化する機能を持つ『万能細胞』は、生命工学的な再生医療の分野の研究・臨床に絶対不可欠な細胞であり、従来はヒトの受精卵から採取される『ES細胞(胚性幹細胞)』が用いられていたことで、生命倫理学の立場から非難を受けることも多かった。 ヒトの生命の始まりである受精卵(生殖細胞)を殺さなくても作製できる万能細胞…
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ソーシャルブレインズとは何か?2:脳の認知コストの削減と社会的制約に規定される人の行動

合理的に考えれば、先史時代の人類が営んでいた『社会的な集団生活』の繰り返しが、人間の脳の『ソーシャルブレインズ』の社会適応的(規範的)あるいは他者配慮的(共感的)な機能を強化していったと推測されます。ソーシャルブレインズが完全に機能停止してしまうと、通常の社会生活を送ったり他者と人間関係を結んだりすることは不可能になりますが、それは『自…
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ソーシャルブレインズとは何か?1:J.リゾラッティのミラーニューロンから広がった期待

脳神経科学の分野では、人間の脳を『自分だけで機能する個体の脳』ではなく『他者(社会環境)と相互作用する社会的な脳』として捉えるソーシャルブレイン(social brain)の考え方がでてきています。従来の脳(中枢神経)の科学的研究では、物理的な脳を解剖して生理学的構造を明らかにしたり、脳の各領野・各器官がそれぞれどんな機能を担当している…
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乳幼児期の“言葉・遊びの発達過程”と言語獲得の相互作用説:2

1~2歳以上の乳幼児の多くは、『耳で聞いて理解することができる言葉の数』と『実際に話すことができる言葉の数(発語可能な言葉の数)』との間に違いがあるのが普通ですが、実際には大人が思っているよりも多くの語彙を持っていて、話すことはできないが大まかな意味が分かるという言葉を多く知っています。 ノーム・チョムスキーの言語学(言語哲学)の…
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iPS細胞作製の山中伸弥教授のノーベル生理医学賞受賞と森口尚史氏のiPS臨床応用の誤報・虚偽発表:2

ハーバード大学とその傘下病院がiPS細胞の臨床応用事例の存在を否定したため、森口尚史氏の主張する『世界初のiPS細胞を用いた再生医療の成功事例』は虚偽であるという判断が下されたが、本人は6件のうち5件は虚偽(今後予定されていた手術)だったが1件は本当に実施されたというスタンスを取っている。 森口尚史氏は1993年に東京医科歯科大を…
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iPS細胞作製の山中伸弥教授のノーベル生理医学賞受賞と森口尚史氏のiPS臨床応用の誤報・虚偽発表:1

京都大学教授の山中伸弥氏(50)が、再生医療や新薬製造に応用可能なiPS細胞(人工多能性幹細胞)を初めて作製した実績を評価されて、ノーベル生理医学賞の受賞が決まった。日本人としては19人目のノーベル賞受賞者だというが、2006年にマウスの線維芽細胞(皮膚細胞の一種)に遺伝子を挿入して世界で初めて作製されたiPS細胞は、『人工的に作製可能…
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福岡伸一『世界は分けてもわからない』の書評4:ラッカーとスペクター、科学界が見たいと思った絵

アメリカのコーネル大学の生化学者エフレイム・ラッカーは、細胞のエネルギー代謝の研究に関する第一人者であり、細胞内でエネルギーとして使われるATP(アデノシン三リン酸)を合成するATP合成酵素の発見という大きな功績を成し遂げていた。ラッカーはエールリッヒ腹水ガン細胞を用いて、『なぜ細胞はガン化するのか』の理由を解明するための研究を精力的に…
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福岡伸一『世界は分けてもわからない』の書評3:秩序の構築と崩壊を説明するエントロピー増大原則

写真家の渡辺剛さんの作品『Border and Sight』で事物の境界線の曖昧さを示して、『TRANSPLANT』で事物の可塑性や交換可能性を示唆しながら臓器移植の考察を進めていくのだが、『第6章 細胞のなかの墓場』では科学的な要素還元主義の限界を問いかけている。全体が部分の総和以上の性質(特性)を見せることを、複雑系の科学などでは『…
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福岡伸一『世界は分けてもわからない』の書評2:マップラバーとマップヘイターの対照的な行動原則

大気中に漂っている微生物やモノ・身体に付着した微生物の増殖活動によって、食物の腐敗現象が起こりますが、人類は微生物による腐敗現象を抑制する化学物質として『防腐剤・保存料』を発明した。本書では、サンドイッチ・弁当などに使われるポピュラーな保存料のソルビン酸の作用について説明されるが、ソルビン酸は本来の栄養素(リンゴ酸・乳酸など)の囮物質と…
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福岡伸一『世界は分けてもわからない』の書評1:パワーズ・オブ・テンによる世界の拡大と縮小

生命・生物の仕組みや研究者のエピソードを題材にした福岡伸一の本は、科学的な内容を文学的なメタファーを駆使して解説しているので、読み物としても楽しめるところが良い。過去に、生命の本質を動的平衡性に見出した『生物と無生物のあいだ』や生物の雌雄分離・有性生殖の起源を物語的に書いた『できそこないの男たち』を読んだが、この『世界は分けてもわからな…
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東日本大震災の被害と福島第一原発事故3:計画停電による都心機能の麻痺と今後のエネルギー政策

福島第一原発の事故がもたらしたもう一つの影響として、『農作物の放射能汚染による出荷停止措置・水道水への放射性物質の混入』があります。政府はただちに健康に被害が出るレベルの放射性物質の付着はないとしながらも、食物摂取による内部被曝(特に乳幼児・妊婦の内部被曝)のリスクを考え、福島、茨城、栃木、群馬の4県のホウレン草やかき菜、牛乳などに対し…
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リリエンフェルド『臨床心理学における科学と疑似科学』の書評2:科学的な心理療法研究の概略

S・O・リリエンフェルドの『臨床心理学の科学と疑似科学』では、特定の精神障害の客観的な実在性や診断の妥当性、因果論的な分析、症状の影響の範囲についても考察されていて、特に第5章では解離性同一性障害(多重人格障害)の研究の解説に力を入れています。第9章の『心的外傷後ストレス障害(PTSD)の新奇で論争となっている療法』では、PTSDに伴う…
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リリエンフェルド『臨床心理学における科学と疑似科学』の書評1:症候群の認定と法的責任の変化

臨床心理学における『理論仮説・心理アセスメントの科学的客観性』は、心理学者・精神科医・精神保健専門家・行動科学者の証言の真実性や有効性とも関係していますが、リリエンフェルドの『臨床心理学における科学と疑似科学』の『第4章 専門家証言の科学と疑似科学』では裁判における心理専門家の証言の有効性・許容性についての検証が為されています。 …
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ホメオパシーの効果の科学的根拠の否定。疑似科学や自然主義思想の何が問題と成り得るのか?

ホメオパシー(同種療法)の治療効果に科学的根拠はないというニュース報道が為されているが、従来、自然療法や代替療法、民間療法(健康食品)の多くはエビデンスベースドなものではなくプラセボ効果(偽薬効果)を主とする心理効果に期待する療法である。 ホメオパシーの『科学的な無効性』が日本学術会議によって強く主張されているのは、今年7月山口県…
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チップ・ウォルター『この6つのおかげでヒトは進化した』の書評2:コミュニケーションの発達と社会の形成

前回の記事の続きですが、人類が言葉を獲得して話せるようになるためには、『のどの構造の大規模な変化』が必要になります。ホモ・エレクトゥス以降の人類の祖先は『窒息のリスク』と引き換えにして気道(空気の通り道)と食道(食べ物の通り道)を交接させて、複雑な音声を発声するための『咽頭(のど内部の広い空間)』を確保しました。類人猿ののどの構造は咽頭…
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チップ・ウォルター『この6つのおかげでヒトは進化した』の書評1:直立二足歩行を可能にした親指

チップ・ウォルターの『この6つのおかげでヒトは進化した』はほんわかするサルのイラストが入ったポップな黄色い表紙の本ですが、人類の進化の歴史を解き明かしていく内容は、古人類学や進化生物学・遺伝学などの本格的な知見に基づいていて読み応えがあります。『進化の過程でどのようにして、人類が今のような形態と機能を手に入れたのか?』という疑問や『なぜ…
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ジェームズ・ワトソンの不用意な発言と自然科学が非科学的な“人種”にこだわることの政治的・人道的問題

DNAの二重螺旋構造を発見した功績で、フランシス・クリックと共にノーベル医学・生理学賞(1962)を受賞した米コールド・スプリング・ハーバー研究所会長のジェームズ・ワトソン博士(79)が、『人種による知能格差』に言及したことで話題になっています。既に自分の落ち度を認めたワトソン博士は謝罪を済ませていますが、『黒人は知能で白人に劣る』とい…
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福岡伸一『生物と無生物のあいだ』の書評2:生命の一回性と適応性がもたらす機械論的生命観への疑念

前回の記事で書いたこと以外に、『生物と無生物のあいだ』を読む楽しみはもう二つある。一つは『生命とは何か?』という根本的な生命感の刷新に関する記述であり、もう一つは『科学史から見落とされやすい地味な研究者』にもう一度スポットライトを当てて「分子生物学の歩みのプロセス」を再確認できることである。更に、分子生物学の研究現場における実際の作業 …
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福岡伸一『生物と無生物のあいだ』の書評1:科学者の研究生活の楽しさと厳しさ

『生物と無生物のあいだ』の帯タイトルには、『読み始めたら止まらない極上の科学ミステリー』と書かれているが、本書の対象とする読者層は、生命の基本的な仕組みあるいは本質に関心がある人であり、自然科学分野の研究者を目指してみたいと漠然と思っている若い人たちではないかと思う。つまり、純粋に『生命とは何か?』という根本命題を考えることが楽しくて仕…
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神経心理学による言語障害の研究とノーム・チョムスキーの生成文法の言語観

人間の心の機能や精神病理を『脳の構造と機能』に還元するという生物学主義の影響は精神医学でも臨床心理学でも強くなっているが、人間の精神を物理的な基盤である「脳」と同一視する心脳一元論は近代科学との相性が良い。要素還元主義を原則とする近代科学は、世界にある全ての対象(現象)を物質やエネルギーの構成要素へと還元して分析することで、科学的パラダ…
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スティーブン・J・グールド『人間の測りまちがい 差別の科学史』の書評:2

近代統計学の黎明期を築いたフランシス・ゴールトン卿は、優生学を提起する以前にも徹底的に『あらゆる差異を定量化して測ること』に執着的な熱意を燃やした人物であったようで、グールドは『定量化の使徒』という副題をつけています。しかし、本書のタイトルが“測りまちがい”とあるように、自然科学は研究対象となる事物を客観的あるいは計画的に『計測すること…
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スティーブン・J・グールド『人間の測りまちがい 差別の科学史』の書評:1

観察や実験によって実証的に仮説の真偽を検証する自然科学(natural science)は、客観的な事実探究の学問として認識されており、普遍的な一般法則を発見することを目的としています。自然科学が普遍的であるというのは、観察条件や実験条件が同じであれば、誰が観察(実験)をしても同じ結果が出るということ、つまり、自然科学が正しいとする法則…
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