川崎市無差別殺傷事件と中高年ひきこもり問題1:51歳の岩崎容疑者の凶行が強めた偏見

川崎市無差別殺傷事件は5月28日午前7時40分頃に発生して、わずか十数秒の間にカリタス小学校のスクールバス内部で大勢の子供たちが刺されました。加害者の岩崎隆一容疑者(51)が登戸第一公園付近のコンビニ前で柳刃包丁2本を取り出し、複数の大人を包丁で刺してから、カリタス小学校専用のスクールバスに駆け寄って小学生たちを次々と刺していったという恐ろしい事件です。

この事件で19人が刺されて小学6年生の女児と39歳の保護者の男性(外務省職員)が死亡しましたが、加害者の岩崎容疑者はバス運転手に怒鳴りつけられた後、即座にバス前で首を切って自殺したため、本人の口から直接の動機・心情を聞くことは不可能になりました。切りつけられた小学生は全員女子児童だったとされますが、一方的に無抵抗な子供たちを大勢切りつけ、自分だけ自殺して逮捕起訴・処罰・非難を逃れるという非常に身勝手で卑劣な事件でした。

その後の報道で、岩崎隆一容疑者が長期のひきこもり状態にあったことや実の両親がいなくて小学生時代から伯父夫婦の元で生活していた境遇(伯父の実子はカリタス小学校に通っていたこと)などが明らかになりました。

岩崎容疑者について中学校卒業後に職業訓練を受けて一時働いていたとの報道もありますが、10代後半~20代前半以降の具体的な生活状況・仕事・交友関係が不明であり、ひきこもり状態が数十年以上の期間にわたって続いていたと推測されています。岩崎容疑者の写真も10代の頃の2枚が出てきたのみで、その後の写真はおそらく一枚もないのではないかと見られています。

岩崎容疑者がひきこもり的な状態にあったため、「ひきこもりの人はメンタルヘルスを悪化させて凶悪犯罪を犯しやすい」といった間違ったステレオタイプがウェブを中心に広まり、SNSや掲示板では「ひきこもり問題に対する社会防衛的側面からの解釈・対応策」の感想・意見が多く出されていました。

また岩崎容疑者が51歳と比較的高齢であったため、全国に約61万人いるとされる「中高年ひきこもり」の問題がクローズアップされました。20代以下の若者のひきこもりは約50万人程度とされていて、(就職氷河期問題などの影響も受けている)中高年ひきこもりの方が人数の上で上回るようになってきています。ひきこもりを不登校と連続線上にある若者特有の問題であるという見方が、覆される状況になっているのです。

しかし、行政のひきこもり支援策・就労支援制度などは今まで概ね35歳未満の人を対象にしていて、40~50代以上のひきこもりの人たちは実質的な相談窓口も乏しく具体的な支援作もほとんど検討されてこなかった経緯があります。ひきこもりの人がひきこもりではない人よりも犯罪率が高いという統計データなどはありませんが、今回の事件で「長期間にわたってひきこもっていると精神状態が不安定になりやすい傾向」が、他人に危害を加える悪い方向にイメージされやすくなった問題はあるでしょう。

また「ひきこもり」というネーミング(ラベリング)が持つネガティブなイメージは強く、本人に対して「あなたはひきこもりである・ひきこもりだから対応や治療が必要である」という物言いは、ひきこもりの人の精神状態を余計に悪化させたり自暴自棄な衝動性を強めたりするリスクはあるでしょう。

岩崎容疑者も伯母から手紙で「ひきこもり扱い」されたことに怒り・不満を感じて、口頭ですぐに「自分はひきこもりではない(生活の家事などは自分でやっているじゃないか)」と言い返したと報じられ、ひきこもりとして扱われたことが事件を起こす一因になったのではないかとの見方もあります。

岩崎容疑者がひきこもった直接の理由・原因・心情については不明ですが、小学生時代に両親が離婚してどちらからも養育を拒否されたことで、自分が親から捨てられたと思い込んだこと(実際に伯父夫婦に預けられてから実親は一度も面会にさえ来なかったといいます)が「社会憎悪・他者拒絶・自信低下(自己肯定感喪失)」などに大きな影響を与えたとは言えそうです。


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