日本ではなぜキャッシュレス決済が少ないのか?:国策的に上昇してきた各国のキャッシュレス化率

今年に入ってから、現金を使わない「キャッシュレス決済」が話題になることが増えています。今までキャッシュレス決済の定番はクレジットカードでしたが、PayPayやLINEPayなど「QRコード決済(バーコード決済)」の大型キャンペーンによって、QRコード決済を一度は使ったことのある人が増えたのではないでしょうか。

日本は今でも現金決済率が約70~80%以上と高い国であり、キャッシュレス化率は約20%と低い水準に留まってきました。韓国ではキャッシュレス決済率が約90%以上(2015年)、中国では約60%、カナダやイギリスでは約55%、スウェーデンでは約49%(北欧諸国は現在はより上昇傾向)、アメリカでは約46%、フランスでは約39%となっていて、先進国ではキャッシュレス化率が極端に低いのはドイツの約15%だけになっています。

日本でキャッシュレス化率が低い理由として、「偽札が少ないこと(現金の信用が高いこと)」や「キャッシュレス決済に対応していない店舗が多いこと」「審査が必要なクレジットカードがメインであったこと」「ポストペイ(後払い・分割払い)のクレカで損をする抵抗感があったこと」「広義の現金決済・現金流通に関係する雇用が大きいこと」が上げられます。

しかし、今年に入ってから「QRコード決済の20%還元キャンペーン」をはじめとして、「キャッシュレス決済の還元率の高さ(現金払いよりも得をする)」に注目が集まったことで、スマホアプリでの決済(QRコード決済・Felica決済)をする人も増えています。

経済産業省が2018年4月に「キャッシュレス・ビジョン」を発表して、2027年までにキャッシュレス化率を約40%まで高めて、どこのお店でもキャッシュレス決済を可能にすることで、外国人観光客の消費を活発化させようともしています。そのプロセスでは、外国人観光客によるインバウンドの大型消費が起こることが確実な2020年の東京五輪や2025年の大阪万博も予定されています。

10月の消費税10%への増税時には、国策的にキャッシュレス決済を優遇して、クレジットカードやスマホアプリ、NFC(日本ではSONY開発のFeliCa)のおサイフケータイなどで決済をすると、増税分の約2%がキャッシュバックされる予定になっていることもあり、今後キャッシュレス化率が上昇すること自体は確実と見られます。

キャッシュレス決済をせず現金決済をすれば、増税時には少なくとも約2%の還元を受けられず損をするので、よほどの理由がない限り、何らかのキャッシュレス決済手段を準備するものと予測されます。

韓国のキャッシュレス決済率は約90%以上で極端に高いですが、ここまで比率が上がった理由もやはり「国策的なキャッシュレス決済優遇・減税措置」にあり、キャッシュレス決済をしなければ損失額(実質納税額)が大きくなる仕組みになったので、元々は現金決済を好んでいた人も、クレジットカードやスマホ決済などを利用するようになったとされています。

韓国ではキャッシュレス決済なら年間利用額の20%の所得控除(上限約30万円)を受けられるため、節税・損失回避のためにクレジットカードなどの利用が急増したのです。

スウェーデンやデンマークをはじめとする北欧でも、クレジットカード決済やスマホアプリ決済(Swishなど)を利用すると、所得控除を受けられる実質的な減税措置があるため、キャッシュレス化率が上昇しています。特にスカンジナビア半島では、冬季の道路凍結で現金輸送の経済的・時間的なコストが高くなるので、更にキャッシュレス化推進に賛同する意見が増えやすいようです。

キャッシュレス化率を高めることで、国外から来る観光客が自国で為替交換せずに手軽に買い物をしてくれやすくなり(VISAやマスターカードなどクレカの国際ブランドなら概ねどこの国でも使用できるため)、結果としてインバウンド消費が拡大して国が豊かになるという間接的メリットもあります。


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