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zoom RSS テレビドラマ「獣になれない私たち」「今日から俺は」「SUITS(スーツ)」の感想

<<   作成日時 : 2018/10/17 18:16   >>

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○現クールのテレビドラマをいくつか見てみましたが、どれもテーマや題材がバラバラでした。新垣結衣と松田翔太が主演の「獣になれない私たち」は、都会でハードに働く現代の若い女性を題材にしたコンテンポラリーなドラマで、現在進行形で問題になっている「パワハラ・セクハラ・ブラック企業・若者の恋愛離れ(結婚離れ)・不幸な生い立ち(アダルトチルドレン的な親子関係)・先の見えない不安(将来悲観)」など色々なトピックが盛り込まれています。

深海晶(新垣結衣)がスキンヘッドの社長から、自分の職務役割の範囲を大幅に超えた大量の仕事を押し付けられたり、容姿が良いということで他の社員がすべきプレゼンの役回りを引き受けさせられたりします。口と態度の悪いワンマン社長が仕切る企業では、無理難題を押し付ける社長のパワハラが横行して、ブラック企業の様相が漂っています。

晶は取引先企業のおじさん社員からもセクハラを受けたりしますが、フィアンセ(婚約者)である京也(田中圭)との関係も「4年以上の長すぎる春(元彼女と縁を切れない婚約者の優柔不断)」を経て、結婚に向かう動きにもいまいち気持ちが盛り上がっていきません。

飄々としたクールな公認会計士の恒星(松田龍平)との出会いで恋愛の予兆もでてきますが、ベタな恋愛ドラマというよりもシビアな現代を生きる20〜30代女性のサバイブがテーマになっている感じのドラマですね。現代日本における10〜30代の自殺率の高さもイメージさせる場面として、パワハラやセクハラ、連日のハードワークで疲れ切った深海晶(新垣結衣)がふらりと地下鉄の線路に吸い寄せられそうになるシーンは印象的でした。

「恋愛・結婚」といったものによって決定的に救われることも難しい現代の働く女性のリアルを切り取っていて、仕事に生きるにしても結婚するにしても、最後は自分自身の覚悟(決断)と主張がなければどうしようもならないということかもしれません。「獣になれない私たち」というタイトルも、生存・生殖を目的とする獣のように「強い自己主張(心身共に健康に生きるための当然の要求)」ができない現代人の典型的な姿、大きな企業・組織には従順にならざるを得ない弱い個人の姿を暗示しているように感じました。

○「今日から俺は!!」は、「週刊少年サンデー(小学館)」で80年代後半から90年代前半にかけて連載されていた懐かしい西森博之氏の漫画が原作ですが、ヤンキー文化が完全にダサい時代遅れなものになった現代で、敢えてこの漫画を実写化するという逆転の発想が面白く感じられました。コテコテのケンカや非行のヤンキー漫画というよりは、お笑いのコミカルな要素をふんだんに取り込んだ三橋と伊藤の漫画的な無敵伝説(恋愛のサイドストーリー含む)みたいなドラマですね。

「今日から俺は!!」は、高校デビューした金髪パーマの三橋貴史(賀来賢人)とトゲトゲ頭の伊藤真司(伊藤健太郎)がコンビを組んで、ヤンキー界でのし上がっていきどんどんヤバイ相手から目をつけられるみたいな漫画ですが、ドラマ版ではコメディータッチの笑えるドラマの方向性でした。

賀来賢人さんの笑わせるための「変顔」が思い切りが良くて存在感がありますが、「卑怯な手でも何でも使って勝てばいい+女好きで欲望に正直」な三橋と「正々堂々と勝負して勝ちたい+女性には一途で男気を見せて格好つける」な伊藤との対照的な性格のコンビが漫画でも人気でした。

しかし、「今日から俺は!!」もそうですが、1980年代頃のヤンキー漫画は非常に強いジェンダー(社会的性差)が前提にされていて、「悪い不良に捕まった好きな女子学生(基本は不良文化とは距離がある可愛くて真面目な子)」を守ったり助けに行ったりするというストーリーがとにかく多いですね。

一般に「悪・逸脱」であるヤンキー文化(不良文化)を正当化するコードとして、「好きな女性を守るための暴力と一途さ+女性を拉致・虐待する不良集団にひるまない勇気と強さ」が配置されているわけですが、「今日から俺も!!」も三橋と風紀委員を務めるほど真面目な理子との恋愛関係の楽しいやり取り、捕まった理子を助けに不良集団に殴りこみを掛けるシーン等が見所になっていました。

ヤンキー文化が衰退を極めた現代の若者が見て、「今日から俺は!!」のキャラクターやストーリーが面白いのかは分かりませんが、西森博之氏の漫画はその後に連載された「天使な小生意気」なども含めて、思春期の男女関係の自然で楽しいコミュニケーション(好意ある相手に対するシャイな構い方)、昔ながらのジェンダーを前提とした魅力的な男・女をイラスト(絵)で表現するのが上手い漫画家だと思います。

○「東京ラブストーリー」で共演していた織田裕二さんと鈴木保奈美さんが再び一緒に出演するということでも話題になっていた「SUITS(スーツ)」ですが、海外ドラマが原作で法廷・弁護士ドラマとしてのストーリーは細部まで作りこまれていますね。普通に見ていて面白い弁護士系のドラマだと思いますが、敏腕弁護士の織田裕二さんの天才的な記憶力を持つアソシエイト役を演じている中島裕翔さんも存在感があって演技力もありますね。

ハーバード大卒業までの経歴をすべて詐称し、運転免許証・パスポートなどのIDカードをすべて別人のものに変えて弁護士として働くという設定そのものは荒唐無稽ですが、一目見ればすべての情報を間違いなく記憶できるという特殊能力そのものがフィクションですから、そういった設定も含めて楽しめる作品だと思います。

作品そのもののテーマや内容も引き込まれますが、「SUITS(スーツ)」というタイトルを象徴するかのように、お二方とも体格がいいということもありますが、織田裕二さんも中島裕翔さんもスーツ姿がかなりビシッと決まっていますね。作中では織田さんが「安物のスーツを着るな」といい、中島さんが40万円を超える高級オーダースーツを購入する場面まで織り込まれてましたが、二人の弁護士としての信念や価値観の違いなどもストーリーに深みを持たせています。


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