ストレスに対する現代人の“回避・逃避”と“依存・執着”の自己防衛的かつ非適応的な性格行動パターン

退却神経症や新型うつ病では、本業のストレス状況に対して極端に意欲・集中力が低下しやすく、無理して行ってみても何も生産的な仕事・学習ができないという問題を伴いやすいのですが、少しずつストレスを感じる状況や相手に慣れていくという『系統的脱感作の行動療法』が有効な人もいれば、『自分が何とか適応できる仕事・集団・相手を見つける』というニッチな適応戦略が有効な人もいるでしょう。

“回避性パーソナリティー障害・退却神経症”から見る現代人のストレス反応性の広がり

現代のストレス社会に対する自己防衛的かつ非適応的な行動パターンとして増えているものに、『回避・逃避』と『依存・執着』がありますが、両者はそれぞれ以下のような特徴があります。

回避・逃避……初めからストレス(不安・緊張・劣等感)を感じさせられる可能性のある場所や活動、相手に近づかずに回避(逃避)するので、『自我(プライド)の傷つき・劣等コンプレックス』からは守られるが、学業・仕事に適応しづらいために社会経済的なデメリットが大きくなることが多い。

依存・執着……物質・買物・関係性などに対する依存症(嗜癖)を形成することで、『本業(社会経済的活動)にまつわるストレスや嫌なこと』を忘れたり相殺したりしようとするが、アルコールや薬物に対する依存症では健康被害が出ることがある。買物やギャンブルの依存症では多重債務や経済破綻のリスクがあり、恋愛・性などに対する関係依存性ではストーカー・迷惑行為やDV、性犯罪、思いつめた上の自殺企図(心中の求め)などのリスクがあります。

依存症の心理的要因としては、現実の生活や人生における嫌なこと・つらいことを『特定の物質・行動・関係から得られる快楽刺激』によって麻痺させたり忘れられたりできることで依存性が形成されます。その依存性はさらに『報酬系(ドーパミン系)』を繰り返し刺激されて気持ちよくなる脳の生理学的メカニズムの要因によって強固なものになり、『自分の意志・努力ではやめられない状態』にまでなります。

依存症になりやすい人は、初めから社会生活や人間関係に対する適応の難しさ(頑張って無理して家庭や仕事に何とかしがみついている)、日常生活の面白み(快的刺激)の乏しさ、対人的な孤独感やコミュニティーからの疎外感、まっとうな社会生活が送れない劣等感を抱えていることが多いとされ、依存症になること自体がその人の『今の生活や人間関係の状態がとてもつらくて苦しい、いつも孤独で寂しい、嫌なことばかりで面白くない』というクライシスコールになっていると解釈することもできるのです。

タバコやアルコール、薬物の物質依存症には、脳の報酬系(ドーパミン系神経)が繰り返し刺激されることで常にその快感を求めてしまう生理学的要因があり、ニコチンやアルコールの血中濃度が下がると精神的に落ち着かなくなったり身体的な違和感・不快感が出たりといった『身体依存』が形成されることもありますが、タバコやお酒も仕事・対人関係のストレスが緩和されて主観的な幸福感が高まれば、『摂取量』が減ってくることも多いのです。

回避性パーソナリティー障害や退却神経症は、現代の『競争社会(序列や優劣の自意識)・自己責任原理(結果は全て自分が引き受けるべき)』と密接に関係しており、各種の依存症・嗜癖は現代の『個人主義に基づいたコミュニティーや家族の衰退(孤独で寂しい人)・自由主義に基づいた目的意識の拡散(何をしていいか分からない人)』と関係しているでしょう。

広義の回避性パーソナリティーや部分的退却、依存症に当てはまる人は、現代人の中には非常に多いわけですが、それは現代人一般に共通する『環境条件・ストレス強度の適応ハードルの高さ』『対人関係の調整に求められるコミュニケーション能力の高さ』『個人主義・競争原理による孤独感や無力感』の影響を受けているからで、誰もが『人生・仕事・関係性の歯車』が少しでも狂うと、今まで通りの無難な適応水準を維持できないリスクを抱えているとも言えます。


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