自己意識(自意識)が強すぎるとメンタルヘルスが悪化する:理想自己と現実自己のギャップ

自己意識が強い人で主観的な満足度(自己評価)が高い人には、自分ひとりで物事を深く分析して考えること自体が好きだったり、読書・勉強・言論を通して自分の内面的な知識・思想・信念を鍛錬していくことが好きだったりするC.G.ユングがいう『内向的で思考的(直観的)な性格傾向』の人が多いのです。

反対に、自己意識が弱い人で主観的な満足度(自己評価)が高い人には、あれこれ知識・情報をこねくり回し理屈を並べて自己補強をしたり、自分ひとりで思索や言論の内的な活動をしたりするよりも、『社会の中で他者と一緒に何かをすること(仕事をしたり遊んだり家庭生活をしたりすること)』が好きな『外向的で感情的(感覚的)な性格傾向』の人が元々多いのです。

自己意識が高い人と低い人の主観的幸福度の実感:自己中心性と私的・公的な自己意識

さまざまな人間関係への適応問題においても、自己意識が弱すぎる人は『相手の強い意見に飲み込まれて無理に同意させられるリスク』『自分のことは棚に上げて他人のことを批判する可能性』があります。

反対に、自己意識が強すぎる人は『相手の意見や価値観を無視して自分の意見を自己中心的に押し付けるリスク』『自分の短所や欠点ばかりに自意識が向かって劣等コンプレックスが強まる可能性』があります。

自己意識は強すぎても弱すぎても一長一短があるわけですが、自己意識が強い人というのは単純に『わがまま・自己中心的』な人だというわけではなくて、逆に自分に注意を向け過ぎるが故に『自分の言動に対する反省が多い・自分の欠点が目に付く・他人と比べて劣っている感じがする』といった性格的な特徴が前面に出てくることもあるのです。

自己意識が強いか弱いかは、以下の質問項目(はいが多いほど自己意識は強い)で簡単にチェックできますが、平均的な現代人(特に若い世代ほど)ならほとんどの質問項目に当てはまることが多いと思います。

○人が自分をどう思っているのかがいつも気になる。

○人に良い印象を与えられるようにいつも意識している。

○人に自分をどのように見せるかについて努力している。

○自分が何を求めているのかをよく考えている。

○自分の外見や髪型、ファッションをかなり気にするほうだ。

○自分の気分・感情の変化にすぐに気が付くほうだ。

○自分で自分のことを理解しようと努力している。

○自分の言動や態度について後になって反省することが多い。

○自分の考えや気持ちについてあれこれ考えることが多い。

自己意識が強くなりすぎることの問題としては、『自分や他人が完全ではないことに自覚的になりすぎること』『自分の欲求や感情を意識しすぎて自己中心的(わがまま)になること』『自分の言動や態度を反省しすぎて萎縮してしまうこと』『自分の短所や欠点ばかり目につき、優れているように見える他人と比較して劣等コンプレックスを強めてしまうこと』などがあります。

自意識の過剰さは一般的に、自己評価を低下させたり神経過敏になって緊張感が強まったりして『メンタルヘルスの悪化』につながりやすいのです。『自己意識が強すぎるという自覚』がある人は、意識して自分よりも『外部の世界・他人』に外向的な注意を向けて、自分が人からどう見られているかを気にしすぎずにリラックスして日々を過ごすようにした方がいいでしょう。

人間は『自分の客観的な能力・外見・評価』とは関係なく、『理想の自己像(世の中における最高レベルの人物や異性のイメージ)』を内的世界に必ず持っていますから、内向的になって自己意識が強まりすぎると『理想自己と現実自己のギャップ(どうあがいても完全にはなれない自己の不十分さと劣等コンプレックス)』に苦しむことになりやすいのです。

理想自己と現実自己のギャップが生まれた時に、完全や思いどおりの状態に近い『理想自己』に向かってまっすぐに努力や前進を続けられる人はほとんどいませんから、自己意識・自己愛が強くなりすぎると『意識(理想)だけが極端に高いのに現実の成果(現実の他者の反応)が追いついてこずにメンタルヘルスを壊してしまう事例』が増えることになりやすいのです。

理想自己と現実自己のギャップが大きくなればなるほど、そのギャップを自己意識を強めて内向的な思索・価値観の調整で埋めようとすればするほど、『理想自己に対するチャレンジ』ではなく『不安を感じる現実原則・人間関係からの逃避』が起こりやすくなります。

内向的なパーソナリティー傾向を持つ人が、現実社会や人間関係に適応しづらくなる時には、こういった『自己意識が強すぎるが故の理想自己(完全主義)に対する絶望・諦め』が影響していることも少なくないということになるでしょう。


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