ウェブの大衆化と利用形態の変化:ブログのテキスト文化からSNSの交流・つぶやき・ビジュアル文化へ

ブログを書き始めて12年以上の年月が経過して、ブログというCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)の新鮮さが無くなったこともありますが、一番大きな変化は「他のブログ」をほとんど読まなくなったことかもしれません。

ブログを読まなくなった理由の一つとして、「Googleリーダー」をはじめとするRSSリーダーのサービスの多くが終了したことがあります。BIGLOBEのウェブリブログにも10年くらい前には「ウェブリリーダー」というRSSリーダーがあり、お気に入りのブログを登録して更新されれば読むというスタイルが確立されていた時期もありましたが、今は昔の話ではあります。

ウェブ2.0(総表現社会)というコンセプトを提唱した梅田望夫さん「ウェブ進化論」が出版された2006年頃からブログブームは拡大して、雨後の筍のように無料ブログサービスも急増しました。

当時は、一般人がただテキストをブログの投稿フォームに書き込むだけで、世界(不特定多数の他者)に向けて意見・情報を発信して読んでもらえるというブログのシステムが、非常に画期的で魅力的なものだったのです。梅田さん以外にも、ライブドアの堀江貴文さんや会計士・作家の勝間和代さんなど、ブログブームを引っ張るような人たちも目立っていました。

しかし、2010年を迎える前には、その時期のブログブームを牽引した有名なブロガーの多くは更新を停止したか更新頻度が大幅に減っていて、ブログ間で相互に同じテーマについて言及し合う「トラックバック文化」も実質的に衰微していたように思います。

2010年以降も様々な形でウェブ上の言論活動を継続している人や知名度・実績を上げて作家・文化人・タレントの枠組みに移行していった人も多いとは思いますが、ある程度のアクセス数のあるブログを運営していた大多数のブロガーは、以前ほど熱心なコンテンツ(記事)の作成はしなくなったのではないかと推測されます。

ブログブームと重なる形でSNSのmixiが大ブームになっていた時期もありますが、ブログとmixiの勢いが衰えるにつれて、気軽につぶやくTwitterやリアルの人間関係を反映させるfacebookの利用者が急増していきました。「(不特定多数に読んでもらう)コンテンツの作成」というよりは、「(既に知ってる人との)コミュニケーションツール」としてネットを使う人が主流になってきました。

一方で、ブログブームの時代には個人で動画コンテンツを作成する人は極めて限られていましたが、2010年代に入ってからYoutuberと呼ばれるようなテキストではなく動画をメインにして情報発信やセルフブランディングをする人たちが増えた変化もあります。現在は広告単価下落などで一時期ほどYoutuberのブームはなくなっていますが、一部の界隈では芸能人並みの知名度や高所得を得る人たちも出たりしました。

現在のウェブサービスで利用者が多いのは、Twitter、facebook、Instagramだと思われますが、ブログが一般人が利用するサービスとしてかなり人気があった2007~2008年以前と比較すると、「文章量のあるコンテンツを作成したいユーザー」は一部の専門家か文章を書くのが好きな人、日記・読書感想・食べ歩き等のライフログ的な記録を残している人、ウェブビジネスをしている人(アフィリエイト含め)に限られてきた観はあります。

日本は日記文化があったからブログを書く人が多いと言われたりもしていましたが、それでも毎日とまでいかずとも数日の一回の頻度で、1000~2000文字以上のある程度の分量と内容のある文章を書き続けることは誰にとっても簡単にできることではないというのはあります。

本業の集客と関係する文章であるとか、セルフブランディングや広告業の一環であるとか、「仕事の一部・手段としての要素もあるブログ」であれば義務的に続けやすいのでしょうが、そういった仕事関連のブログでさえも5年以上も更新が継続されているものは滅多にないとも言えます。純粋な日記・趣味としてまとまった文章を書ける人やその動機づけが続く人が限られるというのは、当たり前といえば当たり前なのかもしれません。

現在ではブログ以外の「手軽・簡単・知人と共有可能なウェブサービス」が増えていて、敢えて時間と手間のかかるテキストベースのブログコンテンツを制作する意味・動機が昔よりは薄れている可能性が高いのでしょう。

一般的な若者の間では(読書が好きとかウェブビジネスがしたいとか知的好奇心が強いとかで個人差はあるにせよ)、情報・知識を散りばめた頭を使うコンテンツベースでやり取りするよりも、TwitterやInstagramに写真をアップして「~に行ってきた・今日は~なことがあった・さっき~誰々とこれを食べた」みたいな投稿をしてイイネやコメントを貰ったほうが嬉しいし簡単・手軽ということがあるように思います。

スマホ普及率の急上昇と合わせて、「ウェブの大衆化・一般化・実名化(facebook登録)」の波が2010年前後から急速に進みましたが、社会一般では読書よりもテレビ視聴や芸能文化を好む人のほうが多いように、やはり「文字だけの読書的・勉強的なコンテンツ」よりも「写真・動画・交流・人物(華・個性のある人)がメインのコンテンツ」のほうが多数派に受けるところは多分にあると思います。

「書いている人の個性」をメインにして読者層を拡張する物書きのセルフブランディング化や体験型のライティングが進んでいるということについては、以下のBLOGOSの記事(書籍の販促として書かれた記事ではありますが)が参考になりました。

ライターが“読モ化”している件について【決定版】<あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか>

確かに大学生など若者層ではビジュアル面での魅力があったり交友関係(サークル)での華があったりする人たちは、自分自身や仲間の写真・動画をメインにして「この人を見たい・この人と共通体験したい」といった擬似芸能人的な需要を掘り起こしている部分もあり、「書いている内容の情報価値」そのものはたいして問われないというのはあるかもしれません。

本当に知名度の高い芸能人であれば、魅力的な写真一枚のアップだけで数百件以上のイイネがつくことはザラですが、社会全体では無名であってもネットの中で知名度のある一般人(その人のファンで写真・動画を見たいというニーズもある一般人)は増え続けているでしょう。


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