人の心を開かせるコミュニケーションスキルと傾聴・共感の効果:1

人間関係の改善と支持的なカウンセリングに共通する要素として『共感的理解』『無条件の肯定的受容』がありますが、それらが持つ最大の効果は『人の心を開かせること(何でも話せるオープンな気持ちにさせること)』に他なりません。

人は自分が考えていることや感じていることを正確に理解してくれて、『共感的・受容的なフィードバック(返事や反応)』を返してくれる人に心を開いて好意や親しみを抱きます。

『相手の気持ちをオープンにすること』の大切さは、クライエント中心療法的なカウンセリングだけではなく、プライベートな人間関係においても、営業・販売などのビジネスの接遇スキルにおいても通用するものなのです。カウンセリングの基本中の基本として『傾聴』がありますが、『相手の話している内容そのもの』や『相手が伝えようとしている考え方・感じ方そのもの』を丁寧に聴き取っていくことは簡単に見えて非常に難しいところがあります。

それは『相手が伝えようとしている考え方・感じ方そのもの』が、自分にとっては不快なものだったり不都合なことだったり、不利益(損失)の多いことだったり、価値観や善悪の上で許せないことだったりしやすいからです。家族や恋人、親友など親しい関係にある相手であっても、深く物事(一つの話題)を突き詰めて話し合っていけば、『自分と他人の間にある埋めがたい差異(自分と他人との受け入れがたい違い)』が浮かび上がってしまうことは少なくないからです。

相手の感じ方や考え方をそのまま受け容れて共感する『傾聴』が失敗してしまった時には、人は相手の話を不快に感じて聴かなくなり、どうにかして『自分の意見・主張・助言』を強く訴えようとしたり、『自分が相手にしてもらいたいこと』を押し付けようとして争いや喧嘩になったりします。こうなると自分と相手の間で『自己主張+要求行動のぶつかり合い』が起こってしまい、心をオープンにしてお互いを受け入れ合うどころの話ではなくなってしまいます。

相手の感じ方や考え方をそのまま受け容れて共感する『傾聴』が失敗する時というのは、裏返せば『自分の心を閉ざした時・相手が気持ちをオープンにできなくなった時(話そうとする気持ちがなくなった時)』なのです。

個人にも団体組織にも国家にも通用する原理として『心を閉ざして相手のことを決めつける考え方をすれば対話ができなくなる』ということがあります。現在タイムリーな国際問題になっている『北朝鮮の核開発・ミサイル発射の問題』にしても、日本・アメリカ・韓国と北朝鮮が相互に心を閉ざして『相手の狙い・思惑』を悪い方向にばかり決めつけている以上は、好戦的・挑発的(恫喝的)な態度になりやすく、対話のとっかかりは得られないということになるでしょう。

人間関係を改善させるためのコミュニケーションスキルでもある『傾聴+共感的理解』のシンプルな初期の目的は以下の2つに集約されます。

1.相手の心を閉ざしてしまわないこと。

2.相手との対話の機会(チャンス)を無くしてしまわないこと。

この人とは性格や考え方が決定的に合わないな(自分も嫌っているように相手も嫌っているんだろうな)と思われたり、この人には深い話をしたり本当の気持ちを話しても仕方がないなと思われたりした時に、人は自分の心を閉ざして、それ以上相手に何か意味のあることを語りかけたいとは思えなくなってしまいます。これが結局、傾聴の失敗につながり、『相手の心を閉ざす+相手との対話機会の消失』という人間関係の悪化や関係修復の困難さに至ってしまうのです。

相手の心を開かせてオープンにするためにまず必要なことは、『相手の感じ方や考え方』をできるだけ相手の感じ方・考え方にのっとって、正確に理解してあげるということです。そこで大切になるのは、『相手の感じ方や考え方』を自分の推測や印象で決めつけてしまわずに、必ず相手にどのように感じて何を考えていたのかについて質問して確認する(認識の違いを対話を通して擦り合わせていく)ということです。

あなたはこのような人間だからこう感じてこう考えているに違いないという決めつけは、親子関係や夫婦関係のような近しい関係では特に、『相手に対する不信感・不快感・怒りや屈辱』を煽り立ててしまいやすいのです。


スポンサーリンク







■書籍紹介



この記事へのトラックバック