人のやる気(意欲)を高めるか無くしてしまうか:人を思い通りに動かすことはできない

自分が乗り気でない事柄に対して『やる気(意欲)』を出すというのも難しいですが、仕事・学校などで共通の目標に向かって他人の『やる気(意欲)』を引き出して協力してもらうというのは更に難しいことです。

リーダーシップに優れた人というのは、他人や集団(チーム)の『モチベーション(動機づけ)』を高めてみんなをやる気にさせられる人であり、やる気(意欲)を出した複数の人たちを『共通の目標達成』のために、適材適所で配して活躍させることのできる人だとも言えます。

『人のやる気(意欲)を高める方法』というのはすぐに思いつかない事が多いと思いますが、反対に『人のやる気(意欲)を無くす方法』というのは、少なくない人が自分の実体験に基づいて何となく分かるのではないでしょうか。

親(周囲)から『勉強をやれ・遊んでばかりじゃダメだ』とうるさく言われると、それまでやる気になりかけていたのに突然やる気がなくなったという経験をした人はいるでしょう。あるいは、『本当にちゃんと仕事(勉強)していたのか?』と疑われて細かくチェックされたり、『どうせ結果は大したことないだろう』と否定的な過小評価をされたり期待されていない状態だとやる気は落ち込みやすくなります。否定や疑惑、侮辱、軽視(過小評価)などは一般に人のモチベーションを落としてしまうのです。

教育心理学では教師が生徒の能力・努力を信じて、その生徒が有能であるかのように肯定的な期待をして接することで、実際にやる気と成績が上がってくるという『ピグマリオン効果』が知られています。人は基本的に他者から自分の存在や能力を信頼されて肯定的に期待される時に、やる気(意欲)を高めやすいのです。

反対に人がやる気(意欲)を無くしやすい時というのは、自分の存在や能力、やる気を『否定された時(馬鹿にされた時)・疑われた時・全く期待されていない時』であり、ピグマリオン効果が悪い方向に作用して『能力や意欲のないダメな人という前提での扱い』を受けると、本当にやる気がなくなったり無気力になって成果を出しづらくなったりもします。

仕事・学校でのリーダーシップでは、他者を共感的に理解して受け容れていくというカウンセリングマインドが有効になることもありますが、それは自分を本当に理解してもらえたと感じた時に、人の精神状態は安定してモチベーションが高まり、『集団での役割分担・協力意識+目標達成の強い意思』を持てるようになるからです。

カウンセリングマインドの理論や実践方法には色々なものがありますが、その中で最も基本であると同時に重要になるのは、共感的な理解や徹底的な傾聴をするために『人の話を聴くこと』です。

人は相手が思い通りに動いてくれなかったり、自分の価値感から外れた行動を取った時には『怒り・悲しみ・不満の感情』を表現しやすく、『強い自己主張(相手を変えるための意見や説教)』をしがちです。しかし、それらは往々にして相手の反骨精神を煽ったり、逆に精神的な萎縮をさせたりするだけで、相手のやる気(意欲)や協力意識を高めることはできないのです。

結果、強い自己主張や相手を非難する言動ばかりが目立つ人は、やる気のない人に対しては、効果的なリーダーシップを発揮しづらいということになります。

例外として、部活の強豪校の生徒であるとか、難関大学を目指す進学校の生徒であるという場合には、『初めから生徒の目的意識・自己肯定感が高い(部活や勉強で成果を上げるために学校に来ているという自覚が強い)』ので、発破をかける暴言・罵倒・懲罰が飛び交うスパルタ教育でも、それに耐えた生徒は一定の成果が出やすくはなります。

これは生徒の人権を軽視するような暴言・罵倒もあるスパルタ教育そのものの一般的効果というよりは、初めから生徒に高いモチベーションと自己肯定感があったという影響が大きいと思われます。部活・学業のモチベーションと合わせた潜在的な能力と目的意識の高さがある場合には、『否定・挑発・侮辱のある厳しすぎる指導方法』がマイナスになりにくく、こんなところで負けてたまるか(自分ならまだまだやれる)という反発精神をやる気に変えられる人も多いということでしょう。


スポンサーリンク







■書籍紹介



この記事へのトラックバック