ドコモの新プラン“docomo with”はお得か?:スマホ料金の高騰と格安スマホの台頭

総務省の『ゼロ円端末規制』の推進によって、三大キャリアで買える最新スマホの購入価格はかなり高騰したが、総務省が期待していたような『月額料金(3~7GBのよく使われている通信プラン)の値下げ』は起こらなかった。

スマホ端末の購入に当たって、三大キャリアではiPhoneは特別に安く買えることもあるが、『MNP(携帯番号ポータビリティー)』でなければ『月々サポート(24ヶ月の継続契約の条件下で端末分割払い料金から一定額を差し引いてくれるサービス)』があっても、スマホ端末の『実質購入価格』は高くなってきている。

ゼロ円端末規制によって実質ゼロ円の新機種はなくなっていて、基本的には『端末の定価(10万円前後)の24回分割払い』から『月々サポート』で割引きをするというシステムになっている。

特にキャリアが広告を打って押し出しているソニーやサムスン、シャープのフラッグシップモデル(最先端の多機能が搭載されていてもっとも各種のスペックが高い機種)は、定価が10万円以上するものが多い。これらの端末は分割払いでも月に3000~4000円以上となり、半額程度は割引きになる『月々サポート』がなければ気軽に買うのが難しい価格になっている。

夏モデルとして販売されるGalaxy S8(S8+)やXperia XZ Premium、Aquos Rもどれもハイスペックな端末でデザインも新しくて凝っているが、『実質販売価格(月々サポートを引いた金額)』が3~6万円台と割高になっていて、通信プランと合わせると毎月1万円に近い金額(少なくとも5GB以上使うなら月に8000円以下にはならない)になってしまうだろう。

こういったキャリア端末の高騰を受けて、最近はキャリアから回線・設備を借りて運営しているMVNO(仮想移動体通信事業者)の『格安スマホ・格安SIM』の需要が上がってきていると言われるが、自分で端末のセットアップをしなければならなかったり、身近に直営店舗がなくてアフターサービスを受けるのに手間がかかったり(スマホ使用経験のない初心者で何の予備知識もないとキャリアのスマホよりも使いづらいケースもある)といった問題もある。

MVNOの格安SIMの通信速度は、レンタルした回線をキャリアよりも多い人数で共有することになりやすいので、朝・夕の通信料が急増する時間帯には多少通信速度が遅くなったり、大容量・高画質の動画を見づらくなったりすることもある。だが通信速度制限がかからなければ、日常的なスマホの用途で不便を感じるほどの速度の遅さではないだろう。

格安スマホの選び方・始め方:毎月の通信費を大幅に削減

MVNOの格安スマホ・格安SIMのデメリットとして認識しておくべきなのは、『最新のフラッグシップモデルの端末は選べない・回線の混み具合で通信速度が遅くなることがある・通話料金が有料になることが多い(カケ・ホーダイでも5分程度の時間制限があるプランが多い)・実店舗があまりないMVNOもある・アフターサービスがキャリアよりは劣る・端末故障時の対応で代替機を貸し出してくれないことがある(端末が故障したり紛失したりするとスマホをまったく使えない期間が発生する)』などであるが、SIMフリースマホならそのままMVNOの格安SIMをさせるし、ネットやSNS、写真、アプリなどの一般的な機能での不都合はほとんどない。

こういった格安スマホ・格安SIMの台頭に対して、NTTドコモは24日に毎月1,500円を恒久的に割引く料金プラン“docomo with”を6月1日より開始すると発表したが、このプランは開始当初はミドルレンジモデルの『2機種』だけにしか適用されないという。

docomo withのプランに対応する端末は、富士通の“arrows Be F-05J”とサムスンの“Galaxy Feel SC-04J”の2機種だが、いずれもフラッグシップモデルではないので定価は2~3万円台に抑えられている。しかし、毎月1500円を恒久的に割引きする代わりにスマホ端末の月々サポートは受けられないので、端末自体は2~3万円台の定価で購入しなければならない。

この定価購入は『一括払い』だけでなく『分割払い』にも対応していると思われるが、確かに実質負担額が月々サポートがあっても4~5万円以上になりやすいキャリアのハイエンドモデルよりはかなりお得にはなる。2~3万円台のスマホ端末の販売価格は、MVNOの格安スマホの販売価格と大体同じか少し高いくらいなので、キャリアからMVNOに乗り換えようとする顧客の増加を食い止めるための案ではあるのだろう。

“arrows Be F-05J”であれば17ヶ月目(1500×17=25500円)から割引き総額が端末料金を上回るので、実質的に『ゼロ円端末』に近い位置づけになり、それ以上長く同じ端末を使い続ければ、毎月1500円の割引額がずっと積み重なっていくというプランになっている。

docomo withは、Galaxy S8(S8+)やXperia XZ Premiumなどのスマホ本体の定価が高いハイエンド端末には適用されないというが、それはいくら毎月1500円を引いてくれても『スマホ端末の分割払いが毎月4000円以上』もかかるのであれば、ほとんど割引の意味がないように感じられるからだろう。

高額なハイエンド端末であっても、3~5年以上も使えば『バッテリーの老朽化』で修理扱いになるバッテリー交換が何度か必要になるし(今の端末は外装の裏蓋を外せなくなっており自分でバッテリー交換ができない)、各種のスペックも時代遅れになっていくので、毎月1500円の割引を十分に活かすことは難しいだろう。

毎月1500円をずっと割り引いてくれるdocomo withのプランは、スマホ本体の価格が2万円程度であれば、すぐに端末料金分を割引総額で支払い終わることができるので、『実質ゼロ円端末+長く使うほど毎月1500円の割引分の得』ということにはなる。キャリアの料金プラン(カケ・ホーダイ+パケットパック)に納得がいく人で、docomo withに対応するスマホ端末でOKという人であれば、docomo withの料金プランはメリットが大きいように思う。

ドコモの最安プランであれば『カケホーダイライト1700円+データSパック2GBで3500円+SPモード300円-docomo withの1500円=4000円』となり、これに定価の端末料金の分割が加わってくるので、月に5000円を超えるくらいになるのだろう。15年以上契約の長期ユーザーなら、ずっとドコモ割で600円か800円が更に割り引かれる。

しかしある程度スマホを通話やデータ通信に使うユーザーであれば『カケホーダイ2700円+ウルトラデータLパック20GBで6000円+SPモード300円-docomo withの1500円=7500円』くらいにはなるはずで、端末料金込みだとdocomo withのプランでも9000円近くなってしまうようには思う。

データMパックなら5000円なのだが、5GBしか使えない条件での5000円であり、それにプラス1000円するだけで20GBになるので、ネット・アプリ・動画・ゲームなどである程度スマホを多く使う人であれば『ウルトラデータLパック』を選ぶことが多いだろう。データMパックだと少し通信量をオーバーして、6GB使うだけでウルトラデータLパック(20GB)と同じ6000円になってしまう。

docomo withは、同じスマホ端末を2~3年以上は絶対に使う前提であればかなりお得で、スマホをWiFi接続で使ってパケットパック契約をSパックで抑えられる人であれば、格安スマホと変わらない料金でキャリアのスマホ・回線が使えるメリットはあるように思う。

一方、大半のユーザーの希望は、自分の好きな端末を選んだ上で、ウルトラデータLパック(20GB)を恒久的に1500円くらいは値下げするような『抜本的な通信コストの引き下げ』だろうから、docomo withのような割引プランによって爆発的にユーザーが増えるというほどのインパクトはないようにも思う。

もう一つ、キャリアで契約しているユーザーの不満として多いのは『長期契約者よりも新参のMNPユーザーが優遇され過ぎている』ということである。スマホ端末を購入する際に『新規契約と長期契約者の機種変が同じ扱い(割高なスマホ料金)』『MNPの人だけが極端に安い割引価格(フラッグシップモデルでも実質2万円以下)で端末購入できる特別扱い』というのは、長期契約を続けるモチベーションを低下させやすい。

キャリアも長期契約者(15年以上)に対して、毎月の料金から一定額を割引きするサービスはしているが、その金額は800円程度で決して大きくはない。

もっと小刻みに、3年以上で400円、5年以上で700円、10年以上で1000円、15年以上で1500円、20年以上で2000円というように割引額を段階的に大きくしていくとか、15年以上の長期契約ユーザーはMNPと同じ割安な端末料金で機種変できるような優遇をするとかの思い切った施策をするほうが、既存顧客をMNPで逃さない効果は大きいように思うが。


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