自律神経失調症のつらい身体症状と原因の分かりにくさ:医学検査で異常はでないが症状が続く

自律神経系のバランスが崩れて発症する自律神経失調症は、精神疾患の一種のように捉えられることも多いですが、大元に何らかの精神的原因(大きな精神的ストレス)があって身体症状が出てくる『心身症(胃潰瘍・高血圧・頭痛など)』『神経症(身体表現性障害・転換性障害など)』と比べて、より原因が何であるか分かりにくい特徴があります。

一般的な自律神経失調症の病理メカニズムでは、身体を興奮させる活動性の『交感神経』が過度に優位になりすぎて、身体を休ませる抑制性の『副交感神経』が長く働かないことで、自律神経失調症が発症して慢性的につらい症状が経過しやすいとされます。

自律神経失調症は『血液検査・MRI(核磁気共鳴画像診断)・CT(コンピューター画像診断)・レントゲン・内視鏡』などの医学的検査では原因を発見することができないので、医学的な疾患(病気)ではない不定愁訴として片付けられやすいのですが、主観的な身体症状のつらさや苦しさ、痛みはかなり大きなものになります。

自律神経失調症の典型的な症状には以下のようなものがあります。

うつ病やパニック障害などと症状で重複するものも多く、心療内科・精神科では精神疾患の薬物療法で対応することも多いと思いますが、『精神的ストレス・精神症状』よりも『身体症状のきつさ・痛さ(特に首・背中を中心に筋肉のこわばりがあり胃腸の違和感や呼吸の苦しさなどがあるが検査では異常がでない)』が前面に出ていて、薬物もあまり効かないケースでは自律神経失調症により近い状態の可能性があるでしょう。

○頭のフラフラ感、フワフワ感、意識・思考がしっかりせず集中できない感覚。

○慢性的な気分の悪さ、体調がすっきりしている時がなく常に不調の感覚。

○呼吸がしづらい息苦しさ、パニック発作のような強い気分の悪化や恐怖感。

○『背中・首・肩』がひどくこっていて痛みや気分の悪さがある。

○頭痛、頭重感、頭がすっきりせず常に違和感がある。

○頻繁な胃痛、胃もたれ、吐き気、ゲップ、腸の不調(腹部膨満感)、下痢・便秘。

○ヒステリー球のような喉の詰まった感覚、食物の飲み込みにくさ、しゃべりにくさ。

○慢性的な疲労感、だるさ、身体の重たさなど。


自律神経失調症を精神疾患として見ても『精神症状』よりも『身体症状』に重点があることが多いので、心療内科・精神科を受診する人が少なかったり受診するまでに時間がかかったりするのですが、重症化した身体症状のきつい自律神経失調症は心療内科の向精神薬(抗不安薬・睡眠薬)やカウンセリングだけでは一定のリラクセーション効果はあってもなかなか身体の苦痛の改善が難しいでしょう。

自律神経失調症は『原因が特定できない身体・精神の不調』ですが、短期間であちこちにつらい症状が移り変わって捉えどころがなく、頭・胸・胃・腸・肺・筋肉(背中・肩・首・腰)など一つ一つの部位に感じる症状がきついので、自分ががんか何か深刻な病気に罹っているはずに違いないという『心気症(ヒポコンドリー)』に陥りやすい傾向があります。

激しい頭痛が続けば脳の血管・神経に異常が起こっているのではないかと疑い、胸がドキドキと動悸がしたり痛みが出たりすれば心臓疾患ではないかと思い、息苦しくなって呼吸がスムーズにできなくなれば呼吸器(肺)に何か起こったのではないかと心配し、胃がキリキリと痛んだり胃もたれが続いて食欲が落ちたりすれば胃潰瘍・十二指腸潰瘍でも発症したかと思い、首・背中・肩などのこわばりが異常に強ければ筋肉がおかしくなったと思うわけですが……実際にそういった医学上の病気・怪我に本当になっている人であれば、『内科・脳外科・心臓外科・消化器内科・整形外科』などの専門の診療科で検査を受ければ、特定の異常所見を発見して現代医学を応用した『薬・施術・手術』などの適切な治療を受けることができるでしょう。

本当に深刻な身体疾患の可能性があって、緊急に医療対応しなければいけないこともあるので、初めはきちんと病院・クリニックで診察・医学的検査を受けるべきなのは当然なのですが、診察や検査(精密検査)を何度も受けてもどうしても原因が見つからずに症状と対症療法だけが続いている状態が自律神経失調症ということになりますが、こういった全体的な不調・気分の悪さ、あちこちに移り変わる症状を完全にすっきり治すことは医療でも心理療法でも整体・鍼灸・マッサージ等でもかなり難しいとされます。


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丸善出版
A. Sato

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