他者に対する嫌悪・拒絶を生む人間アレルギーと愛情・嫌悪の両価的な愛着障害:2
人間アレルギーに対する即効性の対処法は『拒絶反応を感じる相手から距離を取ること・物理的にも心理的にも離れること』であるが、苦手意識や拒絶感を感じた相手のすべてを遠ざけているばかりでは、仕事関係や社会生活が上手くいかないことも多い。だから岡田尊司氏は著書『人間アレルギー』の中で、人間アレルギーを悪化させないための対応策というか心理的能力として『共感性』と『自己省察力』を上げている。
他者に対する嫌悪・拒絶を生む人間アレルギーと他者の悪意を読み取る認知の歪み:1
同じ人間アレルギーであっても、『ネガティブな過剰反応(自意識過剰)・傷つきやすさを強める神経過敏』に基づくものもあれば、『人生やライフスタイルの本質的な価値観・信念』に反する相手への拒絶感もある。
しかし、よほど自分の人生観やアイデンティティーに徹底的に反する受け容れられない相手でない限りは、相手を切り捨てて完全に遠ざけて終わりにするのではなく、『共感性・自己省察力の向上』によって改善すべき人間関係(改善したほうが仕事や人生が豊かになっていくケース)のほうが多いだろう。
共感性とは相手の立場に立ってその感情・言動を汲み取って上げる能力であり、自己省察力とは相手から指摘・批判などをされて不快に思った場合でも自分自身の言動・態度を省みて、改めるべき点があれば素直に改めようとすることができる能力である。
共感性が高ければ『相手の立場・感情・行動』について適切な想像力を働かせることで、相手がそのような不快で攻撃的な行動をしなければならなかった理由に対して自分なりに納得できるので、『相手に対する怒り・拒絶のレベル』が人間アレルギーのレベルにまでは高まりにくい。
自己省察力が高ければ『自分の言動や人間関係の問題点や短所』について自覚して修正しやすくなるので、他人から嫌なことを言われたり自分を否定するような批判をされたりしても、ただ傷ついたり相手を嫌ったりするだけではなくて、『自分にもどこか悪い点があったのではないだろうか?欠点や短所を改めたらもっと良い人間関係が築けるのではないだろうか?』という方向で建設的な思考を働かせやすくなるのである。
人間アレルギーが改善していく心理メカニズムの根本には、『自分自身で客観的事実と相手の感情・立場を共感的に理解していくことで納得する方法』と『相手からの指摘・批判・否定についていったん素直に受け止めてみて自己省察して問題点を改めていく方法』とがあるわけだが、支持的な他者からの働きかけや安心できる環境調整によっても改善することは多い。
人間アレルギーを起こしやすい人の認知の歪みや性格傾向について書いてきたが、こういった人も『人間が本心から嫌い・苦手で憎いから拒絶している』のではなくて、逆説的だが『人間から無条件の愛情・承認・優しさを注がれたい(良好な母子関係を原型とする心理的な安全基地を取り戻したい)』から、それが不可能だと予測したり傷つけられることを恐れて、人間関係を拒絶してしまう所がある。
愛着障害(アダルトチルドレンの影響)とも関係している心理だが、好意と嫌悪、依存と拒絶が両立しながら内面にあるような『アンビバレンツ(両価的)な拒絶感・嫌悪感』を感じやすくなっているのである。
発達早期の幼少期に、一定の愛着(アタッチメント)が形成されて精神的に依存するようになった親から『愛情剥奪・無関心・ネグレクト』などを受けて、愛着対象から裏切られたとか見捨てられたとかいう感情を感じてしまうと、愛情と憎悪の両方を感じる『両価型(アンビバレンツ型)の不安定な愛着』を形成しやすくなってしまう。
両価型の愛着を形成してしまったケースでは、相手からの愛情・関心を強く求めて依存していればこそ、相手からの愛情や関心を失うことを過剰に恐れてしまう。そして、愛情や安心を相手のほうから奪われるくらいであれば、自分から怒り・嫌悪・拒絶を表現して離れたほうがまだ傷つかなくて良いと考えやすくなるのだが、こういった『アンビバレンツな愛着』と『反動形成の自我防衛機制(自分の本心とは正反対の行動を取る防衛)』によって人間アレルギーは悪化しやすいのである。
両価型の不安定な愛着を根底に持つ人間アレルギーでは、『愛情不足の不満・愛情や安心を失うことの不安』が過剰になっているのだが、裏返せば本人の本心は『相手からもっと大切にされたい・もっと安心できるような優しさや愛情が欲しい』ということなので、その人にとって重要な他者である家族なり恋人なり親友なりが協力的・共感的な態度を取ってくれることに合意してくれるのであれば、その人間アレルギーは改善する可能性がかなり出てくる。
しかし、現代社会で人間アレルギーが増えている背景には『人間関係の希薄化+他者に対する好き嫌いの明確化+愛着障害などの親子関係の問題の増加』があるので、『他者からの無条件の愛情・優しさ・労わり』を安定的に得られる関係や状況を作り上げていくこと自体が、設定された治療環境以外では難しいという問題があるだろう。
現代人の『自己愛の肥大・自分にメリットがない他者への無関心化・プライベート意識の強化(プライベシー意識の拡張)』なども、他者との相互的な人間関係に不適応を生じやすい原因になっている。
人間アレルギーを悪化させてしまうと『人間関係全般の不信感・自己嫌悪と自信喪失・人生全体の絶望感(厭世観・他者否定)』にまで至ってしまう恐れもあるので、常にあるわけではない『他者の愛情・優しさ』だけに期待して依存するだけでは覚束無いものがあり、できるだけ早い段階で自分自身でもできる他者の共感的な理解や自己洞察(自分の問題点の意識化・改善)の努力をすることも大切になってくるだろう。
スポンサーリンク
■書籍紹介
他者に対する嫌悪・拒絶を生む人間アレルギーと他者の悪意を読み取る認知の歪み:1
同じ人間アレルギーであっても、『ネガティブな過剰反応(自意識過剰)・傷つきやすさを強める神経過敏』に基づくものもあれば、『人生やライフスタイルの本質的な価値観・信念』に反する相手への拒絶感もある。
しかし、よほど自分の人生観やアイデンティティーに徹底的に反する受け容れられない相手でない限りは、相手を切り捨てて完全に遠ざけて終わりにするのではなく、『共感性・自己省察力の向上』によって改善すべき人間関係(改善したほうが仕事や人生が豊かになっていくケース)のほうが多いだろう。
共感性とは相手の立場に立ってその感情・言動を汲み取って上げる能力であり、自己省察力とは相手から指摘・批判などをされて不快に思った場合でも自分自身の言動・態度を省みて、改めるべき点があれば素直に改めようとすることができる能力である。
共感性が高ければ『相手の立場・感情・行動』について適切な想像力を働かせることで、相手がそのような不快で攻撃的な行動をしなければならなかった理由に対して自分なりに納得できるので、『相手に対する怒り・拒絶のレベル』が人間アレルギーのレベルにまでは高まりにくい。
自己省察力が高ければ『自分の言動や人間関係の問題点や短所』について自覚して修正しやすくなるので、他人から嫌なことを言われたり自分を否定するような批判をされたりしても、ただ傷ついたり相手を嫌ったりするだけではなくて、『自分にもどこか悪い点があったのではないだろうか?欠点や短所を改めたらもっと良い人間関係が築けるのではないだろうか?』という方向で建設的な思考を働かせやすくなるのである。
人間アレルギーが改善していく心理メカニズムの根本には、『自分自身で客観的事実と相手の感情・立場を共感的に理解していくことで納得する方法』と『相手からの指摘・批判・否定についていったん素直に受け止めてみて自己省察して問題点を改めていく方法』とがあるわけだが、支持的な他者からの働きかけや安心できる環境調整によっても改善することは多い。
人間アレルギーを起こしやすい人の認知の歪みや性格傾向について書いてきたが、こういった人も『人間が本心から嫌い・苦手で憎いから拒絶している』のではなくて、逆説的だが『人間から無条件の愛情・承認・優しさを注がれたい(良好な母子関係を原型とする心理的な安全基地を取り戻したい)』から、それが不可能だと予測したり傷つけられることを恐れて、人間関係を拒絶してしまう所がある。
愛着障害(アダルトチルドレンの影響)とも関係している心理だが、好意と嫌悪、依存と拒絶が両立しながら内面にあるような『アンビバレンツ(両価的)な拒絶感・嫌悪感』を感じやすくなっているのである。
発達早期の幼少期に、一定の愛着(アタッチメント)が形成されて精神的に依存するようになった親から『愛情剥奪・無関心・ネグレクト』などを受けて、愛着対象から裏切られたとか見捨てられたとかいう感情を感じてしまうと、愛情と憎悪の両方を感じる『両価型(アンビバレンツ型)の不安定な愛着』を形成しやすくなってしまう。
両価型の愛着を形成してしまったケースでは、相手からの愛情・関心を強く求めて依存していればこそ、相手からの愛情や関心を失うことを過剰に恐れてしまう。そして、愛情や安心を相手のほうから奪われるくらいであれば、自分から怒り・嫌悪・拒絶を表現して離れたほうがまだ傷つかなくて良いと考えやすくなるのだが、こういった『アンビバレンツな愛着』と『反動形成の自我防衛機制(自分の本心とは正反対の行動を取る防衛)』によって人間アレルギーは悪化しやすいのである。
両価型の不安定な愛着を根底に持つ人間アレルギーでは、『愛情不足の不満・愛情や安心を失うことの不安』が過剰になっているのだが、裏返せば本人の本心は『相手からもっと大切にされたい・もっと安心できるような優しさや愛情が欲しい』ということなので、その人にとって重要な他者である家族なり恋人なり親友なりが協力的・共感的な態度を取ってくれることに合意してくれるのであれば、その人間アレルギーは改善する可能性がかなり出てくる。
しかし、現代社会で人間アレルギーが増えている背景には『人間関係の希薄化+他者に対する好き嫌いの明確化+愛着障害などの親子関係の問題の増加』があるので、『他者からの無条件の愛情・優しさ・労わり』を安定的に得られる関係や状況を作り上げていくこと自体が、設定された治療環境以外では難しいという問題があるだろう。
現代人の『自己愛の肥大・自分にメリットがない他者への無関心化・プライベート意識の強化(プライベシー意識の拡張)』なども、他者との相互的な人間関係に不適応を生じやすい原因になっている。
人間アレルギーを悪化させてしまうと『人間関係全般の不信感・自己嫌悪と自信喪失・人生全体の絶望感(厭世観・他者否定)』にまで至ってしまう恐れもあるので、常にあるわけではない『他者の愛情・優しさ』だけに期待して依存するだけでは覚束無いものがあり、できるだけ早い段階で自分自身でもできる他者の共感的な理解や自己洞察(自分の問題点の意識化・改善)の努力をすることも大切になってくるだろう。
スポンサーリンク
■書籍紹介

