舛添要一都知事の政治資金流用疑惑と金銭感覚のズレ1:経費で自己負担を減らしたい誘惑

東京五輪開催を政策課題として掲げる舛添要一都知事(67)は、一連の政治資金の私的流用や不正流用の疑惑を受けて、マスメディアや都民・都議から激しいバッシングを受けている。都民の支持率は10%を切ったとも伝えられ、90%以上の都民(都知事選挙の有権者)が辞任を望んでいる状況であっても、舛添知事は『辞任』は絶対にしないとの構えで、『続投(知事の仕事を通して都民の信頼回復に努めるのが本筋だ)』を明言し続けている。

政治資金の私的流用疑惑は、海外視察でファーストクラスやスイートルームを使用し一回の視察で数千万円の予算を浪費していた批判から始まった。特に正月に家族旅行をしていた温泉旅館(龍宮城スパホテル)で関係者と都知事選出馬についての会議を開いていたからという理由で、『家族を含む宿泊費の全額』を政治資金として申請したという件が厳しく調査されて批判されていた。

東京都内ではない神奈川県の湯河原町にある別荘まで、週一回のペースで公用車を走らせていた問題は、公用車の私的利用と知事職のセキュリティの側面から批判された。それ以外は政治資金として適切とは思われない『レストランの飲食費・絵画や版画(Yahoo!オークションでの美術品購入)・子供の衣服や雑貨・書籍代・舛添氏のキャラの饅頭・チャイナ服・カフェ代・美術館と博物館の視察の多さ』などの私的流用疑惑である。

これらの疑惑は金額的には小さなものも多いが、高額な知事報酬を貰っているにも関わらず、『自分のお金を一切使わずに公金(政治資金)で生活も趣味も家族サービスもすべて賄おうとしているのではないかというセコさ・ズルさのイメージ』が強烈なものとして印象づけられてしまう。日々の生活を節約して必死に税金(地方住民税)を支払っている都民からすれば、『政治資金を名目とした税金の私的流用・不正蓄財(政治資金規正法の穴を潜るズルいお金の使い方)』ではないかという怒りと不満の声(早く辞めるべき)が沸き起こるのは当然といえば当然だろう。

舛添知事がファーストクラスやスイートルームの利用で非難され始めた当初は『金銭感覚のズレ』を指摘して叩く声が多かったのだが、それ以外の日常的な生活費・娯楽費・旅行費の私的流用疑惑が無数に出てくると『公金をいくら使っても良い自分のお金と思い込んでいる傲慢さ・身分意識(トップエリートに与えられた身分特権という意識)』が鼻について叩かれる風向きへ変わってきた。

舛添知事の金銭感覚は安売りのスーパーや衣料品店でもこまめに領収書を出してもらうほどむしろ『庶民的』であり、会議込みの家族旅行で出かけて経費で落としたというホテル・旅館も三ツ星ホテルのような高級ホテルではない。高級品・贅沢品をカネに糸目をつけずに買い漁るような金銭感覚の麻痺はほとんどなく、自分・家族が出かけているお店の価格帯やお金の使い方は庶民的である。

日常的な金銭感覚は麻痺していないのだが、政治資金収支報告書の細目を調べていくと、『自分のお金を使わないで済むのならできるだけ使わないに越したことはない(政治家という職業はほとんどすべての出費を政治資金で申請して経費で落とすことができる)』という基本的な価値観(節約観)がどうしても透けて見えてしまうので、余計にケチやセコいというネガティブなイメージになってしまう。

とはいえ、自分のお金を使わずに可能であればできるだけ経費で落としたいという考え方そのものは、珍しいものでなくむしろ庶民的・一般的でありふれたものでさえある。稼いでいる自営業者であれば、節税のために友人知人との飲食代であっても『多少は仕事・取引に関係する話し合いや交渉もしたから』という理由をつけて、どんなお店でも領収書を必ず取るタイプの人はいるし、バブル期の社用族と呼ばれた夜の商売の上得意たちは『会社のお金ならいくら使ってもタダの感覚』で(自腹なら絶対に行かない価格帯の)高級なクラブやバーで接待・営業を名目として大金を散財したりもした。

『知事・政治家の政治資金申請』『自営業者・サラリーマンの経費申請』を道義的に同列に考えることはできないが、そこに共通する感覚は『できるだけ自腹を切りたくない節約感覚(自分のお金でなければプチ贅沢しようという欲の張り方)』『会議・接待・移動など建前上の名目さえつけられれば個別の支出の中身・相手についてまで細かくは調べられないという楽観』である。

自営業者やサラリーマンの場合は多少の不正なというかいい加減な経費申請があっても、まだその原資が『自分のビジネス(事業)で稼いだお金』であるから、有権者の信任を受けて税金から俸給を貰っている政治家(知事)の政治資金の私的流用よりも、『倫理的・人格的な非難の度合い』は弱くなるだろう。

民間人もやりすぎれば『脱税・横領』で摘発される恐れがあるが、政治家(知事)のように直接関係のない第三者から『飲食費を多めに経費計上しているのではないかとの疑惑』を受けて激しく叩かれるような事態にはまずならない。大企業・高所得者の脱税などは社会的責任の不履行や不正利得の観点からバッシングされる可能性はあるが、そういった脱税のスキームとして舛添知事のような『過剰な経費申請・私的流用部分の水増し』が用いられることはまずない。

舛添都知事の政治資金申請のいい加減な感覚は、前時代的な上記の経費感覚と政治家の特権意識に根ざしたものだったように思うが、『時代の変化・有権者の意識の変化』によって『公金・税金・公職者(権力者)に関係する収支報告(お金の使い方)に対する監視と精査の強度』が格段に上がっている。

更に政治家に求められる適格性・倫理性も手厳しさを増しており、数十年前の『トップエリートの政治家だからこれくらいできて当たり前(一般庶民が権力者に細々したことで楯突いて足を引っ張るな)』といった非民主主義的・選良主義的な特権者意識が通じない領域は拡大する一方である。

舛添知事の政治資金の流用疑惑に対する記者会見の態度も、質問内容に対してストレートに答えない『はぐらかすように決まった台詞を言い続ける不誠実で機械的な返答』に非難が集中した。弁護士の調査結果が出る以前の対応は『信頼を失った私が何をいっても仕方がない、客観的な第三者(専門家)に政治資金の収支・内容の精査を依頼する』というコメントを延々と繰り返すばかりでまともな受け答えを一切しなかった。

元検事の弁護士2人が出してきた調査結果は、『舛添知事の政治資金の支出の多くは不適切なものだったが、政治資金規正法における違法性はない』とするもので、舛添知事はこの結果を受けて不適切な使途について反省と謝罪をしながらも、『今まで以上に懸命に働いて努力する』として知事の職を辞する考えはないことを改めて明言した。


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