イギリスのEU離脱問題と長期化しそうな離脱プロセス・EUの歴史:1

イギリスの国内世論を二分した『EU離脱(ブレグジット)の賛否』を問う国民投票で、イギリスがEUから離脱するという決定が為された。投票後すぐの出口調査ではEU残留派が約52%でわずかにリードしているという速報も出ていたため、『イギリスのEU離脱』という予想外の国民投票の結果を受けて、EU加盟国をはじめとする世界主要国に動揺が走った。

イギリスのEU離脱が確実視されていく状況の中で、金融市場はパニックに陥り、日経平均株価も当日は一時1300円を超えるほどの大暴落を見せた。週明けの日本市場は少し落ち着きを取り戻して357円上昇したが、今後も長期にわたってイギリスのEU離脱プロセスに世界は振り回されることになるのだろう。

しかし、辞任を表明した残留派のキャメロン首相が断行した『国民投票』の結果そのものには、いついつまでに絶対に離脱しなければならないという法的拘束力はないともいい、ポストキャメロンの政権運営の中で再びEU離脱の具体的な内容とプロセスが話し合われる可能性は高いようである。

イギリスはこれから『EU基本条約のガイドライン規定』に従いながら、約2年の月日をかけてEU側と離脱の協定を結ぶプロセスに入ると報道されており、いったん加入したEUから離脱した国の前例がないので、この離脱プロセスはかなり長引くようにも思える。

EU基本条約では、EU加盟国の全会一致で『離脱の交渉期間は延長できる』とあり、英国・連合王国(United Kingdom)の内部分裂の危機や世界不況を回避するために離脱プロセスが長期化することは十分に有り得るだろう。英国は改めてEU側と貿易協定の交渉を行うことになるが、『自由貿易圏からの締め出し・関税率の上昇・輸出入のバランスの崩れ』などによって英国民はブレグジット(EU離脱)の即断即決に対してはかなり迷うはずである。

離脱されると困るEU側が、自由貿易協定やEU圏内の規制水準で『イギリスの要求』を簡単に受け入れるはずもなく、EUは『英国民が短期間で決断できない関税障壁・流通と移動の制限・各種の閾外規制』を突きつけて交渉を長期化させてくるだろう。EUを離脱することによって発生するデメリットやリスクがあまりに大きいとなれば、英国世論にも再考すべきとの機運が生じかねないし、英国内の残留派であるスコットランドや北アイルランドなどが独立運動を激化させる危険性もある。

そもそもイギリス人の多くは離脱派であっても、『EUを離脱すると何が起こるのか?』を理解していないと報じられており、『EUとは何か?EUの加盟国は?』といった基本的なEU関連の情報を調べるための英国内での検索が急増していると言われている。

二度の悲惨な世界大戦や中世以前の無数の戦争・殺戮を経験したヨーロッパでは、第二次世界大戦後の1945年から“一つのヨーロッパ(欧州内部の戦争リスクの廃絶・民主主義の普及・自由市場の統一)”を目指す欧州統合の理想の実現が本格的に目指された。

1967年からは欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(Euratom)の3つを取りまとめる『EC(欧州諸共同体,European Community)』によって『西欧諸国の経済圏の統一』が進められていた。

ジャック・ドロールの欧州委員会における1986年の欧州旗(青地に円形に並べた12個の黄色の星の旗)の採用を経て、1989年のベルリンの壁崩壊(冷戦構造の解体)で統一ドイツ加入の道が開かれた。遂に1993年、欧州連合条約に基づいて外交・内務の一定の超国家的権限を保有する『EU(欧州連合)』が発足したのである。

EUから離脱してイギリスが独自の政治・経済・移民政策の主導権を取り戻していくことが、イギリスにとって『栄光ある孤立の復権』になるのか『孤立の中の没落の始まり』になるのかは分からないが、EU圏内でドイツに続く第二位の経済規模を持つ英国が離脱することの経済的な悪影響と政治的な意味は相当に大きい。英国の輸出の約50%がEU諸国に向けてのものであり、EUからも様々な商品・資源を輸入している。


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