カウンセリングマインドとは何か?:自己一致から生まれる純粋性・率直性・話の楽しさ

カウンセリングマインド(counseling-mind)というのは、カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)をベースにした『他者に素直に共感して他者の存在を受容することのできる安定した心理状態(心的能力)』のことである。

カウンセリングマインドという概念が流行したのは1990年代頃であるが、カウンセリングマインドをそれまでの人生を通して培えているかいないかは、『生産的・持続的な人間関係』『気持ちの良いコミュニケーション(癒し・励み・リフレッシュとなる会話)』ができるかとも深く関わっている。

カウンセリングマインドを持つということは、自分がどのような人間であるかという定義をする“自己概念”と実際に活動している自分自身である“現実自己”が一致している『自己一致(純粋性)』の状態にあるということである。

ここでいう自己一致は『純粋性』といってもいいし『率直性』といってもいいが、向かい合っている他者に対して『過剰な自己防衛・自己顕示』をする必要がない状態なので、ありのままの自分を呈示して素直にお互いを受け容れるコミュニケーションができるのである。

純粋性がないということは、自然なありのままの自分をどこか偽って他者に合わせたり、いたずらに他者と優劣を競ったりしやすいということである。率直性がないということは、ポジティブなコミュニケーションに役立つような自分の考えていること・感じていることを相手に伝えられないということである。

完全な自己一致はさすがにそう簡単には有り得ないものだが、自己一致ができていないということは『自分はこのような人間であるという自己定義(自己認識)』と『実際の自分はこういった人間として生きているという現実状況』との間に大きなズレが生まれているということを意味している。

精神分析的には、“理想自我(かくありたい自分)”“現実自我(こうある自分)”との間の葛藤として解釈することもできるが、理想自我と現実自我がかけ離れていればいるほど、『相手が自分をどう思っているか』や『実際の自分よりも相手に良く見られて評価されたい』ということへのこだわりが強くなってしまう。

自己一致ができていないとなぜ純粋性・率直性が障害されやすいのかの理由も、理想自我と現実自我のギャップから生まれる“構えていないありのままの自分”を見せたくないという“過剰な自我防衛機制・自己顕示”に原因があることが多い。

その結果、ある人は必要以上に『卑屈・ネガティブ(=自分の価値の引き下げ)』になり、ある人は必要以上に『傲慢・自慢家(=相手の価値の引き下げ)』となって、自分自身がコミュニケーションを楽しめないか、相手の側に不快な感情や居心地の悪さを感じさせてしまうのである。

カウンセリングマインドとは、“自己一致(純粋性・率直性)”と“他者への関心”を前提とした心的態度である。『相手の話をしっかり聞く(傾聴)・共感的な理解・無条件の肯定的受容(他者の尊重)』といった技法や対応を活用しながら、『話していて楽しい人間関係(気持ちが軽くなる人間関係)を作れる心理状態や能力』のことなのである。


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