千葉県船橋市の18歳女性の連れ去り・殺害事件2:未成年の家出・仲間意識に基づく私的制裁のリスク

20歳の男は『逮捕された少女のために監禁・暴行した』と供述しているが、少女のためを思ってしたと語る行動の結果は、自分も少女も殺人犯として取り返しのつかない過ちを犯して逮捕され処罰されるということであり、本当に少女のためを思っているのであれば『重大犯罪につながるような衝動・行為・お願い事』を抑制し拒絶して、まっとうな人間関係のトラブルの解決法を話し合いや条件交渉の形で一緒に模索して欲しかったと思う。

千葉県船橋市の18歳女性の連れ去り・殺害事件1:連れ去りの計画性と安易な犯行の幼稚さ

報道を聞く限りでは成人した20歳の男のほうが、18歳の少女に嫌われたくないか、暴行でも何でもできるという良い恰好をしたいかで、逆にその依頼に迎合して積極的に答えるような行動(少女のご機嫌を伺うかのような協力・悪漢じみた頼もしさの演出)をしてしまい、最悪の結果になってしまったように見える。

少年犯罪に限った話ではないが、『仲間がやられたから(バカにされたり脅されたりメンツを潰されたから)人数を集めてやり返す』や『仲間(異性)から依頼されたから監禁や制裁に協力する』といった安易な集団心理(仲間意識)の動機から始めて、殺人・傷害致死などの重大事件に加担する結果になってしまうケースは少なくなく、『間違った仲間のための義理・貢献・協力(支援)』をしてしまったために、自分も友人・恋人も犯罪者にしてしまうことにもなる。

感情的なトラブルや利害の絡む争いごとが起こった場合に、法律や話し合いを介さずに自分たちで実力(暴力)による脅しや威圧で何とか相手を思い通りに動かそうとするのは、法治国家の法律で禁じられた『私的制裁(リンチ)』である。だが、少し悪ぶりたい年代の不良集団や腕力・威圧に頼る反社会的集団になると、こういった自分たちだけで相手を威圧し屈服させる私的制裁が『自分たちにとっての正義・利益』のように感じられやすいという認知のバイアス(身内の正義の認識)の危険性が出てくるのである。

学校教育に導入されるという道徳教育で、こういった『仲間(異性)のための行動の正しさ・過ち・犯罪化』についても、偏った仲間意識から引き起こされた過去の少年犯罪の類似ケースを用いながら話し合う機会を設けることができれば、『本当に仲間・異性を思っているからこその自分の行動や選択(仲間や彼女が人としての道や法律のルールを踏み外そうとしている時に自分がいかにしてそれを制止して上げられるか)』を意識しやすくなるのではないかと期待する。

仲間や恋人のために、見ず知らずの相手を拉致監禁したりぶん殴って脅したり、金を返せと強要したりすることは、本当の仲間意識や恋愛感情に基づく優しさでもなければ献身・協力でもないし、そういったカルチャーや価値観を持つ集団関係をできるだけ作らないように各人がそれぞれ意識することでしかこの種の事件は防ぎづらいだろう。

仲間の誰かが異常に興奮したり調子に乗っている時に諌める役になれる人がいるかいないかが、犯罪の分かれ道にもなり得るのだが、実際は『類は友を呼ぶ(間違った価値観を持つ人が多数派を形成する集団ではまっとうな事を述べる者は次第に仲間とみなされなくなり集団から離れていく)』の形になりやすい難しさもある。

被害者の生活状況や人間関係などを考えると、近年問題になっている『家出少女の問題(未成年の家出+学校教育からの早期のドロップアウトの問題)』とも重なる部分があり、確固たる職業基盤・就職先や頼れる人間関係もないままに、未成年で自活を迫られる過酷な実社会に放り出されたために(表面的には本人の意思で家を出ていったとしても)、好ましくない人間関係や金銭トラブルに巻き込まれたということはあるだろう。

一般に家出少女の問題では、知らない男に宿泊先を求めて性的被害に遭遇するというケースが多く指摘されているが、そういった性犯罪に巻き込まれないとしても収入面で『衣食住の安定した確保』がかなり困難であるため、友人知人の家を転々とするような生活に陥りやすく、そういった生活状況の中で好ましくない知人・男性と知り合って、相互依存の仲間関係(相互依存性があるために恨みつらみが生まれたりDV的な暴力構造が形成されたりもしやすい関係)から離れにくくなる事も多いだろう。

“年齢・学歴・技能・就職・意識・信用(保証人)”などの面において、自立困難な未成年の女性が家出をしたり社会に投げ出されれば、何とか生活するために『夜の接客業の世界』に取り込まれやすかったり、周囲の大人や男性から様々な側面で利用されやすいという問題もある。

この事件の18歳の被害者も長時間にわたって夜間の接客業で働いていたとも伝えられているが、『未成年で保護者(保証人)のいない状況・仕事や住居が安定しない状況』だと、好ましくない危険な人間関係に取り込まれて逃げられなくなったり、金銭・法律・異性のトラブルなどに巻き込まれたりした時に、誰かに相談して適切な対応を取ることができなくなる危険性がある。

“未成年者の家出”は様々な非行・犯罪・生活破綻の誘因の一つに成り得るものであるが、その背景には『家庭の貧困・育児環境の劣悪さ・親のネグレクト・格差社会の影響・学校教育からの早期離脱(学習意欲の欠如)・寄る辺(目的や仕事)のない未成年者の不良集団化・仲間意識や恋愛感情のこじれ・夜の世界の金銭トラブル』など雑多かつ解決困難な要因が渦巻いていて、視点を変えれば『子供の貧困とネグレクト(無力・危険な状態の子供の社会への放置)・居場所のない親とも関わりの薄い未成年者の不良集団化や非行化・家庭の教育(監護)機能の喪失』に対する対処や支援が急がれる所があるように思う。


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