タブレットはなぜ売れなくなってきたのか?スマホとタブレットとPCの違い:タブレットの出荷台数減

iPadやNexusなどの人気に牽引されて、一時はPCの出荷台数を追い抜くのではないかと見られるほど好調だったタブレットだが、ここに来て販売台数の成長率が大きく鈍化し、逆に減少に転じてきているという。


タブレットの国内出荷台数初のマイナス 大型画面スマホで十分という人が増える

調査会社IDCジャパンが2014年12月25日に発表した、国内タブレット端末の2014年7~9月期の出荷台数は162万台で、前年同期比3%減となった。2010年の調査開始以来初のマイナス成長だったという。特に個人向け市場は同13.7%減と割合が大きい。


インターネットや情報デバイスを頻繁に利用するユーザーであれば、『パソコンとスマートフォン(スマホ)とタブレット』を全て持っているという人も多いと思うが、この中でどうしても使用頻度が少なくなりやすいのがタブレットである。

タブレットが販売されたばかりの初期には、スマホよりも大きい8~10インチクラスの画面(タッチパネルのディスプレイ)、パソコンのようなキーボードがついていないスタイル(無駄がないように感じるスタイル)に新鮮味が感じられた。

しかし、既に10インチ前後のノートPCを持っていて自分でコンテンツを作りたい人(文章を頻繁に書いてアップしたい人)だと、タブレットを使っているうちに、『ノートPCのほうが自分の使用目的(特に情報発信・文字入力)に合っている』という思いが強くなる。

結果、タッチパネルで文字を打ちにくく、画像・映像を編集しにくいタブレットを敢えて使いたい動機づけが弱まっていく。数百文字程度のつぶやきや短文ならタッチパネルでも問題ないが、数千文字以上のブログ記事のような文章量になるとタブレットで定期的に更新する気力はやはり湧きづらい。

旅先やレストランなどでその場で記念の写真を撮影して、すぐにリアルタイムでアップしたいという目的にはタブレットは合っているように感じるが、その用途だと普通は(6インチのファブレットでも何とかポケットに入るサイズである)スマホを使うほうが手軽で便利になってしまう。

スマホで使えるアプリをもっと大きな画面で楽しみたい、YouTubeやHuluのような映像コンテンツを楽しむにはスマホは小さすぎるというニーズに、確かにタブレットは応えてくれるのだが、『モバイルで携帯して使うには大きすぎる・家族や知人と一緒に映像コンテンツを見るには小さすぎる』という画面サイズの中途半端感の問題がある。

スマホのパケット定額制の料金が高いという不満は以前からよく聞かれるが、タブレットもまた本体だけを購入してWiFiでつなぐのが面倒という人になると、別に通信契約を結ばなければならず追加的な通信コストが必要になってくる。スマホがあればテザリングでタブレットを使えば良いが、テザリングをその都度設定するというのは、頻繁に使う人ほどちょっと面倒な一手間になってしまうのである。

日本で『タブレットのWiFiモデル(本体だけでは情報通信できないモデル・別にWiFi端末やスマホの回線が必要になる)』がそれほど普及しないのは、やはりガラケー時代から携帯型の情報端末は何もしなくてもすぐに本体だけでネットに接続できて当然という意識が強いからだろう。

タブレットの『ディスプレイサイズ』と『機能』は、ノートPCとスマホを持っている人にとっては『帯に短し襷に長し』になりやすく、一回はもの珍しさや新規性から買ってみたとしても、それ以降の買い替え需要を喚起しにくいところがあるように思う。電車やカフェなどで気軽に情報チェックしたりメール・LINEのやり取りをしたりするのには、やはりタブレットのサイズ感は大きすぎて、スマホの手軽さには及ばない。

個人が屋外に持ち歩いて使う『受身の情報デバイス』としては、5~6インチ程度のスマホのほうが適している。個人が室内で使ったり屋外で情報発信(長文のやり取り)をしたりする『能動の情報デバイス』としては、画面だけが大きくて入力装置が貧弱なタブレットはノートPCよりも使い勝手が悪い。スマホよりタブレットを選んだからといって、長文のメールやブログを効率的(スピーディー)に書きやすくなるわけではないからである。また、スマホとタブレットの二つを一緒に持ち歩けば荷物が多くなってしまうので、できることが同じなら(電話もできるなら)小さめのスマホを持ち歩くようになる。

タブレットのニーズや使用頻度が高まりやすいのは、『スマホ非所有・PC非所有のユーザー』ではないかと思うが、スマホは携帯電話(連絡手段)の用途も兼ねているので、スマホかタブレットかのどちらかだけを所有するとなると、スマホを選ぶユーザーが圧倒的多数になる。

初めからPCをずっと使っていない、キーボードの文字入力を殆どしたことがない(慣れていない)という人であれば、スマホより若干文字が打ちやすくなったり、映像コンテンツの見栄えが良くなるタブレットの有用性は高く感じられるとは思うが。

記事に『法人や教育機関でのタブレット需要は今後も堅調』とあるように、タブレットは電子教科書のデバイスや商業施設・公的機関で用いる特定アプリの見やすい表示などに最適化しやすい情報端末としての長所を持っているように思う。

娯楽用・アプリ利用のタブレットの個人需要が、今後極端に高まる可能性は高くないと思うが、義務教育の学校で紙の教科書の一部を電子教科書に置き換えるなどのIT教育改革が進めば、教育分野でのタブレット需要は手堅く伸びていくだろう。また、回転寿司のチェーン店などに設置されているような形で『飲食店の注文用・料理紹介用のタッチパネル(一部のアパレル・書店とかでも応用できる)』としての利用率も上がっていきそうに思う。






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