学生・アルバイトの『悪ふざけ投稿による炎上』はなぜ起こるのかの原因と減らすための対応:2

実社会における『悪ふざけ・調子に乗った言動』そのものを大幅に減らすのは難しいにしても、『悪ふざけの内容を意識的に投稿すること』は“報道された事例(報道されたことによって生じた本人の不利益・不名誉・逮捕歴)”などを活用した教育によってかなり減らせるのではないかと思います。

○学生・アルバイトの『悪ふざけ投稿による炎上』はなぜ起こるのかの原因と減らすための対応:1

特に、『店舗の冷蔵庫・冷凍庫の中に入っている写真』などはマスメディアに知られてしまうと大騒ぎになるメディアが主導する型の事件ですが、当事者・関係者の間だけの問題(お客さん・社会一般に知られるところまでいかない問題)であれば非難されるべき行為ではあっても、『厳重注意・冷蔵庫の清掃と除菌・次回の解雇宣告』くらいで済ませられた問題だろうと思います。

場合によっては写真つきの実名で長期間にわたって、『バカな迷惑行為・ルール違反をした人物』として晒し者のようにされる社会的制裁のリスクを伴うこと(その社会的制裁にも名誉毀損・個人情報保護など法的問題があるとは思いますが)を理解していれば、『社会一般(バカ行為を認めてくれる仲間以外の人)に知られると非難されたり炎上したりする行為』をウェブ上にアップしようという人は大幅に減るはずです。

そういった諸々のリスクや不利益(ペナルティ)を覚悟してでも、マナー違反や迷惑行為の記録をアップしたい(アップせずにはいられない)という人はどうしようもありませんが、それは法律で禁止されていることでも敢えてやる人がいるのと一緒で、社会の許容限度を超えた悪ふざけの投稿をすればそれに見合った炎上・社会的制裁が起こるというだけのことでしょう。

そこまでのリスクや長期間消しづらい不名誉を覚悟してまで、仲間内+αで目立ちたいがために『悪ふざけのバカな行為』をSNSやLINEなどにアップしたいという人はまずいないからです。また、『ウェブ上への投稿=社会全体に向けての公開(知られたくない相手や自分たちに制裁を与えようとする相手に閲覧されてそこから複製・拡散される可能性)』というネットリテラシーを、できるだけ早い段階で経験的・知識的に培っておくことが安易な悪ふざけ投稿の抑止になると思います。

自分の悪ふざけのノリや迷惑行為の面白さを理解してくれるはずと勝手に思い込んでいる『仲間内(同級生などの知り合い)』だけに公開する設定をしていても、知り合いの中に『ここまでの悪ふざけや非常識な言動は許せない』という価値観を持っている人がいる可能性は絶えずありますから、『ここだけの話(絶対に外部には漏らさないようにして)』というのはウェブ上ではまず通用しないと思っていたほうが良いと思います。

こういった『悪ふざけ投稿(バカな行為の投稿)』をしてしまう原因は、『本人の承認欲求・自己顕示欲の過剰・ハイテンションなどのパーソナリティ構造(性格傾向)』『自分の自慢したい行動(知ってもらいたい言動)を簡単に周囲に伝えられる各種のSNS的なウェブサービス』にあります。

ウェブ上の“いいね!”やコメントなどの反応をもっと得たいがために、『より過激な方向・よりみんなができないような派手な行動・よりみんなが騒ぎ立てそうな内容』にエスカレートしやすいというウェブ時代というかSNS時代ならではの心理も影響しているでしょう。

一度、ちょっとした悪ふざけや調子に乗った言動などをSNSに投稿してみると、友人知人や関係者の反応が予想以上に良かったということで、それが『繰り返したくなる成功体験の報酬』となってしまうこともありそうです。オペラント条件づけのように『目立ちたがりの派手な行為』に対して『心理的報酬(いいね!やコメント)』が正の強化子として機能することで、その心理的報酬を得るためにもっと前回よりもインパクトの大きい目立つお騒がせな行為をしてやろうという人がでてくる可能性があります。

SNSやLINEなどのソーシャルメディアについて、親しい仲間だけ(悪事を知られても大丈夫な仲間だけ)とつながって『ここだけの話・仲間内だけのノリ』のコミュニケーションを安全にすることができるという誤解をしている人がこういった『悪ふざけ投稿による炎上・制裁』に遭いやすいと言えます。『ウェブ上の投稿』はソーシャルメディアであっても、『自分が知られたくない相手への情報公開』につながる可能性があるという危機管理意識や常識感覚(リアルでしてはいけないことはウェブでもしてはいけない)を教育していくことにも一定の効果があると思います。

アルバイトの若者が企業のブランドイメージを毀損する悪ふざけ投稿をしたことに対して、『正社員とアルバイトの所得・待遇(将来性)・権限の格差問題』を取り上げた意見も見かけましたが、確かに『いつ辞めてもいいという腰掛け気分・仕事に対する向上心や責任感の欠如・職業倫理を培うだけの職業人としての体験や実感の不足』がある場合には、会社や同僚、顧客に迷惑がかかっても構わないというような投稿をしやすくなる側面はあるかもしれません。

これはアルバイトという雇用形態や給与水準に特有の問題というよりは、『生活費を稼ぐために絶対にしなければならない仕事ではないことが多いという年代や立場(学生)の問題』であり、『職場における自分の仕事上の能力や役割、意見の必要性が実感しづらい問題(別に誰でもできる仕事を時給のためだけに最低限の力でやっているという意識)』であるように思います。

仕事に対するこだわりや職業人としてのプライドがあれば、例えば長年下働きをして腕を上げてきたプロの料理人が食材を粗末に扱うことがないというように、『自発的な職業倫理(企業・自分・顧客・社会のそれぞれの関わりに対する責任感の自覚)』が形成されやすくなります。しかし、学生・若い人のアルバイトの場合には『特別な資格や訓練がなくても採用される・時給の昇給が少なく頑張っても給料が変わりにくい・自分の代わりが誰でも勤まる感じが強い』などによって職業倫理や職能のプライドをなかなか培いにくく、本人の社会常識や最低限のマナーに依拠する部分は大きくなります。

それでも『採用後の従業員教育』『職能・実績の客観的評価(能力評価によるランクの分類)』などをコストを惜しまずにしっかり出来ているか否か、店舗の現場においてバイトの管理責任を負えるようなやる気のあるリーダーを育成しているか否かで、企業の信用・ブランドを傷つけたり顧客に対する誠意の無さを示してしまう『悪ふざけ投稿』が起こるリスクはかなり変わってくるだろうと思います。

フランチャイズチェーンでも本部のマニュアル教育だけに機械的に頼らずに、先輩のアルバイトが良い模範となって『サービス業をする上での笑顔・常識・受け答え(接客業の改善点の自発的な模索)』を自然に教育できているような意欲・活気のある店舗があります。カフェチェーンやアパレルチェーンでも店員の各種スキルを客観的に評価するシステムを取り入れて、アルバイトでも『ランク・時給・権限の上昇』を目指して頑張りたくなるような動機づけができているところもあるようですが、経営者も『アルバイトの人が頑張っても頑張らなくてもどうせ同じという意識』をできるだけ持たなくなるような評価制度や仕組みを考えていく必要があるかと思います。

最近では人件費削減のために、一定の時間帯はアルバイトだけで運営する店舗も増えていますが、その場合にも『馴れ合いで悪ふざけを許すような緩みすぎた空気(どうせ正社員でもないからただ最低限の仕事だけやっておけばいいの空気)』を作らないように、『リーダー格になれる人材の育成(任された時間帯だけでも店舗管理とアルバイト指導をきちんとやってくれる人材の育成と待遇の引き上げ)』をしていかなければならないでしょう。

アルバイトという雇用形態であっても時給の引き上げや段階的な肩書き(ランク)の変化、権限の強化、定期的な有給の研修などによって『他の一般アルバイトとは違う当事者意識・一定の責任感を持った人材』を育てていかないと、同じ年代・立場・権限のアルバイトだけで店舗を回していれば、(誰も店舗経営の改善や顧客満足度の上昇を当事者としてしっかり考えないという)モラルハザードが起こる可能性は低くないように思えます。






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