橋下徹・大阪維新の会の『維新八策・大阪都構想』は何を目指すか1:人事・政策よりシステム変革を優先

自民党政権を終わらせた民主党の政権交代によっても『日本の政治・経済・国民生活・外交・教育・文化』の目だった改善は見られず、国民に公約で約束したはずの『マニフェストの看板政策』もその多くを実現することができなかった。『強力な行財政改革=行政のコスト削減(無駄遣いの徹底排除)』によって政策に必要な財源を捻出することができ、4年間の民主党政権では増税は実施しなくても良いとした公約も、消費税増税を推し進める野田政権において簡単に反故にされてしまった。

新聞・テレビの主要なマスメディアのほぼ全ても、『社会保障制度持続のための増税と国民共通番号制に賛成(むしろ増税しない政党や政治家は無責任である)』の社説・主張を展開している。それと呼応して、社会の空気も“消費税増税は必要・国民共通番号制による所得捕捉に賛成”に傾きつつあるのだが、民主党の小沢グループや国民新党の亀井静香は消費税増税には徹底して『反対の姿勢』を維持している。

公正で確実な納税(徴税)と各個人の経済状況に合わせたオーダーメイドの社会保障(社会福祉)・給付つき税額控除(負の所得税)の実現のためには、個人の所得を正確に捕捉する必要があるという事で、『国民共通番号制』の導入が計画されている。

しかし、民主党政権の『金融機関の休眠口座の政治的利用(歳入への組み入れ)』や大阪維新の会の『相続税100%の使いきり型人生モデルの提案』などを考えると、国に個人の口座の中身や金融情報を完全に把握・統御されてしまうことには一抹の不安は残るかもしれない。本格的に国家財政が窮迫してきた時に、公共の利益を理由にして『個人の財産権・所有権』を侵害するような強引な徴税方法が採用される可能性もあるが、効率的で公正な徴税・社会保障(給付つき税額控除)の実現に際しては『国民共通番号制度』は避けて通りにくいものではある。

首相になる政治家や与党になる政党といった『人事(政権)』を変えても政治・経済・生活の再生は上手くいかず、公共事業のケインズ政策や規制緩和(公的部門の民営化)の市場原理の促進策といった『政策の転換(手段の選択)』をしても景気状況や財政収支が改善しないということから、橋下徹・堺屋太一は人事や政策の変更を超えた『体制(システム)の革新』を求めている。それが明治維新に相応する“維新”のコンセプトにつながっており、『大阪府の全体的な衰退』『日本の全体的な衰退』とを重ね合わせた抜本的な成長戦略の提案にもなっているのだが、その中心にあるのが大阪都構想・道州制といった地方から中央に迫る改革の方向性である。

大阪府・大阪市の二重行政や役割分担の曖昧さを排除して、世界的な都市間競争を勝ち抜くためのマクロな戦略・政策を立案する広域自治体の“大阪都”を設置する、更にその大阪都の下に住民生活の改善や住民サービスの充実に直結したミクロな行政業務を実施する基礎自治体の“区(特別自治区)”を配置するというのが『大阪都構想』の大まかな見取り図である。

地方自治の仕事は住民の生活や日常、要求に直結した『内向きの行政サービス』だけに集中していれば良いわけでもなく、また自治体の国際的な競争戦略や行財政の構造改革、将来のビジョンの提示といった『外向きのマクロな改革・ビジョン』だけに集中していれば良いわけでもない。そういった地方自治の原則を踏まえて、『広域自治体(都)と基礎自治体(区)の果たすべき役割・実務の分担』をはっきりさせて二重行政のような重複の無駄を省こうというのが大阪都構想の根底にある思想で、『都市の競争戦略・行政の効率化・住民サービスの区による管掌化』の上で聞くべき価値のある考え方ではあると思う。

橋下徹市長は大阪がニューヨークやサンフランシスコ、東京、香港、上海、ソウル、シンガポール、ロンドン、パリ、ローマといった『世界の主要都市』と競い合って独自の魅力や優位性を示していかなければならないという『国際的な都市間競争』の前提に立っており、その厳しい競争に打ち勝っていくために『大阪都構想の実現』が必要としている。

具体的には大阪都構想では、今の大阪府庁と大阪市役所の組織を解体して大阪都庁とその組織を新たに建設し、現在の大阪市内にある24区を中核都市並みの権限・財源を保有する“8区の特別自治区”へと再編制することが志向されている。基本的には『各政治単位が独立的に動ける権限・財源を委譲して切磋琢磨(競争)し合う』という事が要点になっている。その上で、大阪都の広域自治体に『全体の成長戦略・経済政策・雇用対策・社会インフラ整備・国際的なプレゼン・都市間の連携交渉』などを割り当て、特別自治区の基礎自治体に『教育・医療・介護・社会福祉・身近な社会問題の対策』など住民直結のサービスの役割を割り当てているのである。






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