カウンセリングと人間関係における傾聴・共感・信頼2:人間関係の深さに応じたコミュニケーションの工夫

同じ人間関係といっても、職場で挨拶だけ交わすような軽い付き合いから、結婚(恋愛)のように生活時間や感情体験を共有するような深い結びつきまで様々な種類や場面、深さのレベルがあるわけですが、『人間関係の深さのレベル』は大まかに分ければ、『他人→知人→友人→固有の重要な関係性』として考えることができる。

他人……何の関わりもない知らない相手であり、必要性がない限りはコミュニケーションも発生しない。

知人(関わりあい)……顔見知りで挨拶やちょっとした雑談をすることもあるが、基本的には店員とお客、付き合いのない近隣住民、職場の知り合い、感情交流のない同窓生のように『義務感・役割意識・パターン化された交流』によって関わっているだけの相手である。

友人(つながり)……相互に親しい友人として認識しており、仕事や義務以外での積極的な交流・会話の機会を持ちたいと思い、喜怒哀楽を含めた感情的な交流もできるような相手である。『建前のやり取り』を越えた『本音のやり取り』もすることができ、自分の思っている本音を出せるがゆえに、他人や知人との間では生じることがない感情的なトラブルが発生することもある。

固有の重要な関係性(結びつき)……『愛・婚姻・血縁・友情』などを媒介とした自分にとってかけがえのない相手(他者と交換不能な相手)であり、人生の時間や経験を長く共有していくような『運命共同体』を形成することも多い。夫・妻・子・無二の親友・親しい親族などが『固有の重要な関係性』を築くことになる典型的な相手であり、それぞれの関係は相互的であり、お互いの人生・幸福に対して一定以上の責任を帯びているのが特徴である。

自分だけが良ければよい、自分は自分・相手は相手でやっていくという自己中心性が通用しづらい関係でもあり、友人・知人よりも心理的距離や実際的な利害関係も深くなり、どちらかだけの都合だけで絶縁したりすることも難しくなる。その相手と深く結びつくことで、『喜び・楽しみ』と『悲しみ・苦しみ』の双方が増す可能性がある関係であり、人によっては人生の幸福の原因にもなり不幸の原因にもなるものである。


一般的に、人間関係の深い相手になるほど、『心理的距離が近づく・接触頻度が多くなる・影響力が大きくなる・必要性や依存性が生まれやすくなる』ということが言えるでしょう。反対に人間関係が浅い相手であれば、『心理的距離が遠くなる・接触頻度が少なくなる・影響力が小さくなる・必要性や依存性が生まれにくい』ということになり、同じような言葉を言っていても人間関係が深い相手が言ったほうが影響を受けやすくなります。

『家族・恋人』のような存在は心理的距離が極めて近くなり、相手の影響力や必要性も高くなってくるので、相手が何回か電話に出ないだけでもかなりのストレスや不満を感じることがありますが、逆にちょっとした知り合いなどであれば心理的距離が遠くなるので、暫く相手に連絡がつかなくても殆どストレスを感じることがないという事になります。

心理的距離が近い家族や恋人との関係が上手くいっている時には精神的な安定感が得られやすくなり、物事に対するモチベーション(意欲・行動力)も高まりやすくなりますが、いったん家族・恋人との関係が険悪になったり離婚(別離)の危機が高まると、それ以外の相手との人間関係よりも強い精神的苦痛(怒り・不安・孤独)を感じやすくなり、時に深刻なトラブルを引き起こすこともあります。

『人間関係が深い』というのは、相手の自分に対する影響力・必要性が大きくて、その関係への依存性が一定以上の高さになっており、接触する頻度も多いということですから、『自分と相手の意見が大きく対立する状況・自分の存在を軽視(無視)されること・相手がいなくなってしまう変化』に対するストレス耐性が低くなりやすいのです。

『人間関係が浅い』のであれば、自分を装ったり職業的な役割に当てはめたりして『よそゆきの建前』だけで無難なやり取りをして済ませることが出来ますが、それはその相手がいてもいなくても自分の心理状態に大きな影響が及ばないからであり(代わりが効くような間柄であり)、『その場だけの関係・役割・義務』を果たせば良いだけという部分もあるからです。言い換えれば、自分と相手との心理的距離が十分に遠く開いているので、『自分の人生・感情』『相手の人生・感情』とを切り離して考えることができるということです。

『他人のことはどうでもいい』というのはエゴイスティックな余り印象の良くない考え方ですが、実際的には全く知らない他人と既に深い関係にある相手とでは、『自分の幸不幸・心理状態にもたらす影響』が非常に大きく異なり、実際にいざという時に不利益を覚悟してでも助け合えるのは『深い関係にある相手(家族・親子・親友など)』しかいないことが多いというのは揺らがない現実ではあります。余りに頻繁に迷惑(負担)を掛けていたり一方的な依存(喧嘩)ばかりをしていれば、深い関係にある相手からも切り捨てられる恐れがないわけではないですが、一般的には関係性が深くなればなるほど、その相手の不幸や苦境を放置しておくこと、何も手助けをしないままでいることは心理的に難しくなります。

相手との関係性が深まっていき、結婚したりして区切られた生活時間を超えた人生を共有するようになると、自分と相手との関係は半ば『運命共同体』のようになり、自分の人生と相手の人生とを切り離して楽観することは不可能になりますから、相手の幸福は自分の幸福となり、相手の不幸は自分の不幸にもなるという密接不可分な『人間関係の共同性』が生まれることになります。逆に、相手が幸福でも自分は面白くなくて苦しいだけ(犠牲感・徒労感ばかりが募っている)、相手が幾ら不幸でも自分はそれとは無関係に楽しくやれる(相手のことを切り捨てて忘れられる)という事であれば、既にその結婚生活や恋愛関係は心情的な部分では半ば破綻している状態にあることも多いように思われます。

表層的な分かりやすい言語的コミュニケーションだけではなく、非言語的コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)も、相手の感情的反応やメッセージの受け止め方に非常に大きな影響を与えている。カウンセリングマインドにおける『傾聴・共感』の技術を効果的に使って、相互理解を深めてコミュニケーションの満足度を高めるには、以下の要素にも気をつけるべきだろう。

○相手よりも少しだけ丁寧で気配りしているくらいの姿勢や態度。

○相手との関係性の深さに応じた適切な距離感や向き合い方。

○明るく楽しい話題であれば“笑顔・ユーモア”を忘れず、暗くて深刻な話題であれば“誠実な受け答え”を忘れない。

○目線は時折、相手の目に合わせることで、『相手の話を真剣に聞いていること』を示すことができる。基本的には鼻・顎・胸あたりに緩やかに目線を合わせると良い、あまりに落ち着きなくあちこちに目線を移すのは印象が良くない。

○相手の話したい話題を尊重(優先)して、相手の話の腰を折ったりせず、いきなり自分の話したい話題に切り替えたりしない。

○相手の話の内容に応じて適度に相づちを打ったり、『なるほど。そうだね。自分もそう思う』といった肯定的な返事を返すようにする。

○相手との会話を盛り上げたり広げたりするために、『相手が答えやすい質問・話したい事柄を引き出す質問』を工夫してみる。“はい・いいえ,賛成・反対”でしか答えられない『閉じた質問』を減らして、あなたはどのように感じるか、何が好きなのか、どこに行きたいかといった回答の自由度のある『開いた質問』を増やしてみる。

○カウンセリングでも『繰り返し・明確化・解釈』はカウンセラーがクライアントの話をきちんと理解していることを分かりやすく伝えるのに有効な技法であるが、会話の途中や区切りで、相手の話している内容を繰り返して『確認』したり、こちらに伝えたい気持ちや要点を整理して『明確化』して上げたりする。






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