“ブログ衰退論”とこれからのブログの使われ方1:個人向けプラットフォームの変遷とブログブームの盛衰

近年では、ウェブ上で個人が情報発信をしたりコミュニケーションをするツールやサービスには色々なものが登場していますが、個人が誰でも気軽に情報発信ができるきっかけになったウェブサービスは、2004~2005年頃にイノベーターからの広がりを見せた『ブログ(ウェブログ)』だったと思います。ブログの登場以前には、HTMLファイルを自分でコーディングしたりホームページビルダーのようなサイト作成ソフトを使ったりして、ウェブ上に自分の『個人ウェブサイト(ホームページ)』をFTPでアップロードする必要があり、基礎知識のない一般ユーザーにとってはハードルの高いものでした。

もちろん当時も、GAIAXやgooなどが提供していた『簡易ホームページサービス』などがあり、これは現在で言えばウェブ上での知り合いを増やす『mixiの簡易版(実名主義ではないのでfacebook的ではない)』として機能していたりもしましたが、ブログ以前にはYahoo掲示板や2ちゃんねる、チャットサイトなど“自分自身のホームグラウンド(固定URL)”を持たずにその場限りのコミュニケーションを行うタイプのサービスが多かった印象があります。

“常連・常駐・リピーター”のように同じサービスに同一のIDでアクセスして、コミュニケーションをしたりサービス内での人間関係ができるという人は多くいましたが、『その人固有のウェブサイト(ウェブ上で随時アクセス可能な固定URL)』を別に持っている人はごく一部であり、大半はウェブ上で自分のコンテンツのログを残すことは無かったと思います。

その意味では、チャットサイトやIDつきの掲示板に特徴的なようにそのユーザーがログインしなくなれば、その人の発言や自己主張も聞けなくなる(過去ログも大して残っていない)というのが普通であり、ウェブサイトを立ち上げてまで自分の言いたい意見や書きたい内容、持っている情報・知識を残したいという人はかなり少なかったわけです。

その後のブログブームがあったように、『自分のコンテンツ(意見・主張・情報・他者とのやり取り)』をウェブ上に固定URLで残していきたいという潜在的なニーズは多くあったはずですが、2000年前後の段階では『日常的にウェブにアクセスして書き込みをするユーザー』が年代的にも職業的(属性的)にもかなり偏っていたという限界がありました。

そのため、梅田望夫氏が著書『ウェブ進化論』『ウェブ時代をゆく』などで指摘した『総表現社会(あるいは一億総アクセス社会)』までにはユーザー数のボリュームの上で距離があり、誰もが簡単に記事をアップロードできる技術的な仕組み(UI)も十分に確立していませんでした。2005年以降にブログが急速に普及し始め、大勢の人がウェブ上でコンテンツを作成したりコミュニケーションを活発化させる状況やその技術的進化を指して“ウェブ2.0(Web2.0)”という概念が流行しましたが、ブログがコモディティ化してその成長力を失うに従って“ウェブ2.0”という言葉を聞くことも無くなりました。

では、ウェブ2.0は一時的な流行としてその時期に突然終わったのかというとそうではなく、SNSの急成長やソーシャルゲームサイトの台頭、動画共有サイトの人気、Twitterのツイートの増大、スマートフォンの普及などによって、ウェブ2.0が余りに当たり前の日常になり過ぎて、短期間で成熟してしまったという事だと思います。つまり、日本国内の誰もが簡単にウェブにアクセスできるようになり、ユーザーが自分たちで書いたり写真・動画をアップしたりする“CGM・UGC(ユーザー生成型のメディア及びコンテンツ)”の使いやすいプラットフォームが確立されたことで、“ウェブ2.0の新規性・珍しさ”が短期間で薄れてしまったように感じます。

ブログが登場して間もない時期には、まだブログというプラットフォームのシステムや機能に『新規性・珍しさ・カスタマイズ性』があったこともあり、トラックバックの使い方やブログのメディアとしての可能性、ブログ同士の議論の作法(個人情報と炎上リスク)、実名匿名論争などをテーマにした『ブログ論』で喧々諤々の議論が戦わせられたりもしていて、(私自身も結構読んでいましたが)それを読んでいるユーザーも多くいました。

しかし、ブログの新しさや珍しさが薄れるにつれて、ブログそのものの本質・可能性についての議論は必然的に下火になってきて、現在ではブログサービスやブログ論壇の存在感は、『SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)・ソーシャルゲームサイト(モバゲー,gree)』などと比べるとかなり弱いものになっています。ブログ界隈が最も賑わったのは2005年から2007年頃にかけてだと思いますが、その時期には個人のブログの開設数が急増して投稿される記事数も膨大なものとなり、インフルエンサーやハブとして機能するような『アルファブロガー』と呼ばれる人たちもいて、話題性のある特定テーマの記事を巡って活発にトラックバックが行き交う光景が見られました。

『はてなブックマーク』などのまとめサイトにも、個人ブロガーの読み応えのある記事、面白い視点・主張の呈示、興味深い議論のやり取りなどが多くありましたが、ここ数年ではてなブックマークに上がってくるエントリーはハウツーもの(ライフハック)や2ちゃんねるのまとめブログ、マスメディアのニュース記事などの比率が大幅に増えて、個人ブロガーの影は薄くなっています。







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