恋愛心理と“市場経済・進化心理学”の視点による異性関係の解釈3:類似性と相補性による異性の選択

どういった異性に魅力を感じてアプローチするか、どういった異性からの誘いを受け容れて付き合ったり結婚するかは、概ね上記した自分と相手とが感じている魅力がほぼ釣り合っている時に付き合おうとするという『社会的バランス理論(社会的交換理論)』によって説明できますが、その場合にも“類似性による選択”“相補性による選択”の違いがあります。

『類似性による選択』というのは、自分と似た属性や特徴、価値観を持つ相手を選ぶということで、美人が平均以上のイケメンを好むとか、高所得の男性が正社員で平均より稼ぐ女性を好むとか、ファッションにこだわる女性がお洒落な男性を好むとか、知的話題を好む男性がインテリの女性を好むとかいうことになります。この場合は『自分と類似した属性・特徴を持つ相手』に高い魅力を感じやすいので、『自分の持っていないような魅力・長所を持っているか』よりも、『自分の持っているものと同じくらいのものを持っているか』ということに重点を置く傾向があります。

『相補性による選択』というのは、類似性による選択とは逆で、自分がもっていないような属性や能力、長所を持つ相手を選ぶということで、二人がそれぞれの長所・魅力を生かしあって、お互いの欠点を補完し合うというD.リカード『比較優位』のようなカップリングのことです。近代日本のスタンダードな婚姻形態にある『夫が外の仕事で収入を稼ぎ、妻が家事育児をして家庭を守る』という性別役割分担が典型的な相補性による選択ですが性別役割だけに限らず、『自分の持っていないような魅力や長所を相手が持っているか・二人で協力することで一人でいるよりも大きな幸せにつなげられるか』といったことが相手選びの重要な基準になっています。

恋愛や結婚の異性選択では、多くの人にとって『性的魅力・外見』『経済力・雇用(お金)』の二本柱が重要にはなってきますが、この二つの魅力の基準にこだわり過ぎることによって、誰も好きになれないというミスマッチや未婚化・晩婚化
の問題が起こりやすくなります。現代では恋愛・結婚はしてもしなくても良い選択の問題になりつつあるので、『自分の設定した外見や経済力の基準』を越えていないと、自分と相手との性格的な相性を確認することもなく、『この人は自分とは合わない・妥協してまで付き合う意味はない』といった考えに傾く人も増えてきますので、そういったことも恋愛活動の低迷や未婚化の要因になっているかもしれません。

特に、プロフィールの条件ありきで相手を探す『婚活・結婚相談サービス』では、『最低でも年収400~600万円以上は欲しいという経済条件』『写真でカワイイやカッコイイと感じる要素が欲しいという外見の条件』によってお互いにこの人がいいなという同意が成り立つカップリングの余地が狭まりやすくなったりもします。

20~30代前半の男性で、年収600万円の条件をクリアできるのは全体の4%しかいないという勝間和代さんなどが強調する統計データもありますが、現在の日本では『男性一人の収入で十分に安心して妻子を扶養できる20~30代の適齢期の男性』の絶対数が減っており、基本的には大卒の大企業社員か公務員、医師や教師、法曹などの専門職などに限られます。自分が平均以上に稼ぐ男性の中にも、自分と同等程度の収入・キャリアのある女性を求める人もいるので、更に女性が選ばれる確率は低くなります。

20~30代男性の全体で5%いるかいないか分からない年収600万円以上の男性でなければダメという場合には、初めから付き合っていた男性の就職と仕事が上手くいって結果として年収が増えるか、そういった男性ばかりが揃っている職場で働いているかなどでないと現実的には難しいという話になります。パッと見た第一印象でカッコイイ・カワイイ(美しい)とかセクシーとか感じる異性で無いとダメという場合も、そういった男女は20~30代全体の10%未満だと推定されますから、『極端な面食い』は自分自身の容姿・外見・経済力の魅力がずば抜けて優れているなどの前提がないと、そう簡単に相手は見つからないでしょう。

“性的魅力・外見”と“お金・仕事”の要素は、異性関係のカップリングにおいて強い魅力を持ってはいますが、そういった魅力を持っている人の絶対数が少ないことから、『特別な美人・イケメン・エリート・お金持ちしかダメ』という前提条件ありきで相手を探そうとすると、いつまでも自分の条件に見合う相手が現れない(そういった相手を惹きつける自分の魅力も十分でない)という問題が起こりやすくなります。

それよりかは、『一緒にいて楽しくてリラックスできる相手・自分を大切にして愛してくれる相手・価値観や考え方を共有して協力しやすい相手・お互いに相手のために頑張りたいと思える』といった基準で相手を探そうとしたほうが、結果として幸福感・満足感の高い恋愛や結婚につながりやすい部分はあります。






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