恋愛・結婚におけるカップリング(相手選び)の心理学2:自己評価と美男美女の外見へのこだわり

異性に感じる対人魅力の要因は大きく分ければ、以下の5つに分類することができますが、年齢が若い時期の恋愛のカップリングには『社会経済的要因』はほとんど通用せず、どちらかというと20代半ば以降の結婚を前提としたカップリングにおいて、家庭生活や子育てと直結する社会経済的要因の魅力が強まってきます。

思春期から青年期前期における相手選びのカップリングでは“外見的魅力・環境的要因”が重視されやすく、年齢と恋愛体験、社会生活(職業活動)を積み重ねるにつれて、それら以外の“性格的魅力・社会経済的要因”も加わってきて、『相手のことを好きになれる外見・容姿の最低基準』も低くなりやすくなります。

1.外見的魅力……容姿が人並み以上に美しかったり恰好良かったり可愛かったりする外見上の魅力。均整の取れたスタイルや分かりやすい性的魅力など。

2.性格的魅力……一緒にいて心地良かったり楽しかったり安心できたりする性格上の魅力。自分と趣味や価値観が合う。“優しい・誠実・思いやりがある・利他的・勇気がある・知的でユーモアがある・話題が豊富・真面目”などの性格的あるいは内面的な美点。

3.社会的・経済的要因……社会的に成功していたり職業能力が高かったり、平均以上の経済力を持っていたりする社会経済的な魅力。安定した生活を送るための経済基盤や社会的地位、それを相手の幸せのために使える器量(利他性)。

4.環境的要因……遠距離恋愛にならず、いつも相手の側にいて頻繁に会えるという単純接触効果や、職場・学校などが一緒で自分のことを知ってもらいやすいという環境要因。

5.生理的要因……“吊り橋効果・ジェットコースター効果”と言われる生理学的な興奮状態にあって、相手のことを好きだという原因帰属の誤謬をしやすくなる。ロマンティックな状況に置かれたりリラックスした心地良い気分になることで好意を感じやすくなる“フィーリンググッド効果”など。

一般的には、若い時期ほど外見の第一印象だけで『この人は恋人候補にはならない』という足切りのハードルが高くなりやすく、『容姿端麗な美男美女でなければ付き合いたくない』という人も少なからずいるものですが、年齢を重ねて人間関係や人生経験が多くなるに従って、『容姿・外見の基準(ストライクゾーン)』が甘くなって、『性格(内面)・能力と意欲・経済力の基準』が厳しめになってきます。それは、将来の結婚を見据えた現実的な生活が成り立つカップリング(相手選び)を考えるようになるということもありますが、色々なタイプの異性にアプローチしたり(大勢の他者と知り合ったり)実際に社会に出て働いたりするうちに、『異性の魅力や自分との相性として容姿と同等以上に大切なもの=一緒に過ごしていて幸せになれそうな要素』に気づく機会が増えるからです。

イケメンや美人の魅力的な容姿には、“性選択(生殖適応度の高さ)”という生物学的根拠を持つ誰にでも通用しやすい『普遍的な魅力』が確かにあるのですが、多くの人は異性関係や人生経験の密度が濃くなるにつれて『かっこいい・可愛いと反射的に感じる異性(一般的に人気のある異性)』『実際に付き合いたいと思う好み異性(一緒にいて幸せや安心を感じられる異性)』との区別が生まれてきます。若い頃には『芸能人のようなイケメンや美人でないと付き合わない』というカップリングの過剰なこだわりを持っていた人でも、その後に色々な出会いや経験、学習を積み重ねていく中で、『自分と相性の良い相手・現実的に惹かれ合う相手』を選びやすくなっていきます。

イケメンや美人の容姿の基準になる要因は、進化生物学的には個体の健康度や強さの指標となる『シンメトリー(左右対称性)・髪の毛や肌、瞳の綺麗さ・男性の身長の高さ・女性のメリハリのあるスタイル』にあると言われますが、どんなスタイル(体型)やファッションに魅力を感じやすいかには“時代・文化・民族”によってもかなり大きな違いがあります。しかしそういった時代の違いや文化の差を考えたとしても、結局のところ、外見的・容姿的な魅力の基準というのは『同じ文化圏で生活するみんなが一般的に良いと感じる容姿』であり、時代の流行やメディア情報の影響なども含めて、みんなが良いと思う特徴や属性を持っているから美男美女としてモテやすいという事になります。

みんなが良いと思って異性として選ばれやすい外見的な特徴が“美男美女”と認識され、みんなに選ばれやすいから必然的に自分の遺伝子を残しやすい“性選択の優位性”につながるわけですが、ここには『美男美女だからみんなに好かれやすい・みんなに好かれやすい外見上の特徴を持った人が美男美女として認識される』というトートロジーがあります。つまり、『普遍的・客観的な美男美女の要素』を備えた人間が、自然界の本質として初めから存在するというよりも、大勢の人間が構成する社会でみんなから選好されて賞賛される人の容姿の特徴・属性が『美男美女の要素』として定義されていくというのが実態に近いと思います。

その意味では、前近代の数十人~数千人(数万人)単位の小さな村落や社会の中での『美男美女の基準』よりも、マスメディアやインターネットが発達して芸能界(モデル界)などが目安になって確立された『現代の美男美女の基準』のほうがより画一性・均質性が高まっていて、大勢の人がその美の階層秩序(自分がどのくらいの外見の美を持っているか)に取り込まれやすいとは言えます。ダイエットや美容整形、ヘアスタイル、エステ、ファッションなどが流行してそれらにお金を使う人が増えている背景にも、マスメディアやみんなの意見が作り上げた『美・カッコよさの階層秩序へのこだわり』が関係しており、自分を少しでもみんなから認められる容姿・外観に近づけて自己評価を高めたいという欲望の強まりがそこにはあります。

しかし、年齢を重ねていって中年期に近くなっても、絶対に誰もが振り向くようなイケメンや美人・可愛い人でなければ付き合うつもりはないという過剰なこだわりを持っている場合には、『2.色々な人から好意を寄せられて誘われるのだが、自分が憧れたり好きになれる相手からはアプローチされない』という悩みや、『いつまで絶っても現実的な恋愛・結婚に進める相手が見つからない』という問題が起こりやすくなってきます。実際に、自分の高い外見の基準(美人・イケメンじゃないとダメ)に見合うような素敵な異性と何度か付き合っていたり、付き合えそうな兆候があればいいのですが、そういった可能性が全く無いにもかかわらず過剰に外見的魅力にこだわることは、自分の恋愛・人づきあいの幅を狭めたり、本来であれば相性が良いはずの相手との出会いを不意にしてしまう恐れが出てきます。

『容姿・外見の魅力への過度のこだわり』というのは、自己評価や承認欲求、社会的バランス理論とも関係していますが、恋愛が上手くいきにくくなる外見的魅力への過度のこだわりは以下の2つに大きく分けることができます。

1.相手がイケメン・美人(可愛い人)でなければ、納得できないので付き合うつもりがない。

2.相手がイケメン・美人(可愛い人)だと、不安感・抵抗感があって付き合えない。

相手がイケメンや美人でなければ付き合えないという“1”の悩みは、『なぜそんなに容姿にこだわるのかの理由』を突き詰めていくと、自分自身が性格度外視でもイケメン(美人)が好きというよりも、みんなや社会がイケメン(美人)の魅力を認識してくれるから好きという部分が大きくなりやすいのです。実際にその相手と付き合ってみて楽しいかどうか、相手が自分を大切にしてくれるかどうかよりも、『みんなが認めるほどの美人・イケメンと付き合っている自分の価値』が周囲の羨望や評価によって高められるという感覚に執着しやすいため、相手の中身や二人の相性を冷静に見極めることが難しくなります。

ロマンチックな恋愛関係や自分を選んでくれた容姿の良い恋人を通して、『自分の価値』が高められたり低められたりするというのは、誰にでも多かれ少なかれあるものではありますが、『周囲や社会が自分の恋人・配偶者をどう評価しているか』ばかりが気になる人は、自己評価が低いために恋人を介した承認欲求が過大になっている状況にあります。あるいは、実際に異性と付き合った経験や心情的な交流をした経験が乏しいために、『恋愛関係の具体的なプロセスや自分と相手との相性の良し悪し』についての理解が浅いということも、容姿以外の要素が目に入りにくい要因になってきます。

もちろん、外見も性格も社会的能力も含めて、自分の魅力とバランスが取れている相手や一緒にいて幸せ・面白さを実感できる相手を選ぶというのであれば、素晴らしい恋愛につながる可能性が高くなってきますが、『容姿以外の側面・部分』を全く見ずにそこだけに執着するというのでは、仮に付き合えたとしてもその後の関係で幸福や安心を実感することは難しいかもしれません。

逆に『相手がイケメン・美人(可愛い人)だと不安感・抵抗感があって付き合えない』という“2”の悩みは、異性の分かりやすい外見の魅力で自己評価の低さをカバーしようとする“1”とは違って、自己評価が低いために『自分は容姿の良い相手に相応しくない(自分には勿体ない相手で長く付き合う自信がない)』と思い込みやすい悩みになっています。自己評価が低くて自分に自信を持てないと、『自分のアプローチを断りそうにない相手・自分を裏切ったり傷つけたりするリスクが低そうな相手』をどうしても選びやすくなり、美男美女の相手が本気で自分と真面目に付き合いたいと言ってきても、その言葉や気持ちをストレートに信じることが難しくなると言う“1”とは正反対の問題が生まれてきます。

“1”と“2”はイケメン・美人との恋愛関係に対して正反対の行動を取っているように見えますが、どちらも『自己評価の低さ・自己防衛とプライドの強さ』の要因によって恋愛が上手くいきにくくなっているのです。

“美男美女でないとダメという1”のケースでは、『異性の多面的な魅力の認知・実際に付き合ってみて楽しめるか否か(自分と相手との魅力のバランス)・異性を自分を飾るモノ化しないこと(他人の目を気にし過ぎないこと)』が恋愛関係を上手く展開させるためのポイントになってきます。“美男美女だと不安になってダメという2”のケースでは、『自分に自信を持つこと・相手の好意や行動を信用すること・自分の気持ちや希望に素直になること』が恋愛で後悔しないために重要になってくるでしょう。






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