“幸福感・充実感・リラックス感”を得るためのカウンセリング的な視点1:マルチタスクの焦燥感の改善

肩に力の入り過ぎた緊張感を和らげることができれば、緩やかなリラックス感を得ることができるし、自分の立てた目標・計画を思い通りにこなすことができれば、自分が物事を上手くやり遂げたという充実感を感じることができる。不安や気がかりの原因となっている問題や物事を首尾よく完璧に解決することができれば、長く続く安心感を得ることもできる。そして、一般に人間が幸福感を感じるためには、『自分の望み通りの状態』がテンポ良く実現するか、『期待通りの他者の反応(承認・評価)』が得られなければならないと思われている。

しかし、『現実』は絶えず自分の思い通りに動くことのほうが少ないし、『他人』が自分が期待したとおりの行動や反応を取ってくれることは更に少ないものであり、『計画(予定)していた物事』が効率良く流れるような段取りで終わらせられることもそれほど多くない。不安や気がかりを生み出す原因は、フロイトの精神分析で考えれば『過去の未解決の感情・記憶』にあるという事になり、ゲシュタルト療法(再決断療法)で考えれば『(これから悪いことが起こるかもしれないという)未来に対する不安』にあるという事になる。

ゲシュタルト療法で悩みを解決するメカニズムは、単純に『今・ここにある自分』に意識を集中して、自分の感じている感情や感覚を受け容れて表現すること、今これからやることの優先順位を整理して、それ以外の余計な観念や考えに振り回されないと自分で自分に約束するといったことである。とても簡単なメカニズムであり、本気でやろうと決断して短時間であっても頭の中をクリアに整理できれば、そこから『今・ここにある自分』がやるべきこと(やりたいことでも)を何か一つに絞り込み、それ以外の事を意識せずに集中する事で気持ちが軽くなり焦慮に苦しむことが減っていることに気づくはずだ。

気持ちに余裕があって気力と体力が充実しているのであれば、同時にあるいは連続して、2つでも3つでも5つでも『マルチタスク(複数の同時進行)』で仕事や用事、コミュニケーションを進めることができるが、意欲・気力・体力が落ちていていまいち仕事や人間関係に前向きになれない時には、優先度と重要度を勘案して十分な時間を確保した上で『シングルタスク(ひとつの物事)』にまずは集中して、他のことは脇において忘れておくことが有効である。

私たちが日常的に感じやすい不満や不安、緊張、怒り(イライラ)、焦燥感(焦り)の原因は、大きく分ければ『過去への執着・未来への不安・計画や目的へのこだわり・他者との関わりの受け取り方』に分類することができる。不満や不安、怒り、焦りが募ってきて、そのストレスに耐えがたくなってくる時には必然的に『過大評価‐過小評価・完全主義思考(全か無か思考)・ネガティブ思考』といった各種の認知の歪みによって、自分で自分を敢えて追い込んでしまうことが多くなってしまう。

『焦燥感・切迫感・余裕のない苛立ち』については、以下のような認知(物事の考え方)と行動をすることによって改善しやすくなってくる。

マルチタスクで段取り良く、時間通りに全てのスケジュールや仕事、書類作りを終えようとすると、どうしても一つ一つのタスク(仕事)に掛けられる時間・労力が細切れとなり、『あれもこれもしなければならない・これを終わらせたらすぐ次に取り掛かるべきだ』という焦燥感が高まるばかりで、結果としてあれもこれも終わらせなかった事により自己評価が低下してやる気が無くなってしまったりもする。

『完全主義思考』に基づいて、すべての業務や仕事を一挙に手際よく片付けてしまおうとするマルチタスクは、意欲と体力、気分が充実して乗っている時には最も効率的なやり方と言えるが、自分で自分が無理をしていてストレスが大き過ぎると感じる時には、『一つの仕事』さえやり終えられないという結果に終わって自己嫌悪や失望感に駆られやすくなる。

あれもこれもと欲張ったマルチタスクの計画を頭に描くだけの段階でもやや気力を消耗するが、複数の仕事を完璧にやり終えてすっきりするか、一つの仕事さえ中途半端になってしまって更に消耗感・徒労感を味わうかというのは、自分自身を非難する気分に落ち込みやすい非適応的な『全か無か思考(1か0かの考え方)』になってしまいやすいのである。

短時間では終わらせられそうもない壮大な計画や膨大な数の作業(仕事)に直面した時には、シングルタスクをやり終えて、ここまではきっちりと片付けられた、今日はここでおしまいにして安心できるという『仕事の区切り感=自分で自分を自然に肯定できるレベルの達成感』を得ることで、焦燥感や義務感の圧力から自分を解き放ちやすくなる。

もう一つは自分がやらなければならないと感じている仕事や作業についての受け止め方(認知)が大切で、『これを終わらせなければ大変なことになる(取り返しがつかなくて最悪な結末となる)』という破局的な認知で仕事に向き合うのではなく、『これを終わらせられれば自分はなかなか大したものだ(何とか自分なりに区切りをつけることができそうだ)』といった自己肯定的でリラックスした認知を持って向き合うほうが、結果としてのパフォーマンスや効率性は高くなりやすい。

特に、知的生産に関連するアイデアの考案、複雑な構成の文章・書類の作成、イラストやデザイン、理解しながらの勉強といった分野においては、慌てれば慌てるほど無理やりに義務感・切迫感を強めて向き合うほど、頭の中が混乱してきて思考の整理がつきにくくなり、不安・焦りによって本来持っているはずの自分の能力や発想、文章表現を引き出すことが難しくなる。

自分を追い詰めて急いだほうが成果が上がりやすいようにも感じられるのだが、実際には落ち着いた余裕のある心理状態で、目の前にある課題や目的に向かって集中力が発揮できる時に、シングルタスクを確実に完遂できる能力が高まり、その今・ここにある仕事(作業)の達成感・区切りによって、次のタスクに取り掛かるモチベーションも自然に再生産されやすくなるのである。






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