スマートフォンの普及と電子書籍の可能性2:電子ブックのタイトル数増加と割安な価格設定が鍵に。

前回の記事の続きになるが、スマートフォンとフューチャーフォンの最大の違いは、フューチャーフォンは基本的に『ハード(物理的な端末)』を買い換えなければ機能を追加できないが、スマートフォンは『ソフト(OS・アプリ)』のアップデートや追加によって機能をカスタマイズすることができるという事です。スマートフォンは大型画面を備えているため、端末自体の外観のデザインの自由度は高くなく、どれもiPhoneのUIに似たデザイン設計になりやすいが、スマートフォンのポテンシャルは『ソフト(OS)の更新・アプリの検索と追加』にあると言って良いように思います。

スマートフォンへの機種変更が増えた理由としては、NTTドコモのSH-03CやT-01C、auのIS03などに『フューチャーフォン特有の機能(ケータイメール・ワンセグ・赤外線通信・おサイフケータイのFeliCaなど)』が追加されて、今まで使っていたケータイメールのアドレスが引き継げることになった影響も大きい。仕事でGmailを使っている人であれば、スマートフォンのGmailアカウントの同期機能(着信を着信音で知らせてくれる)は非常に便利なのですが、それでも今まで使っていたケータイメールアドレスが使えなくなるということで、スマートフォンを選ばなかったユーザーはかなり多かったでしょう。NTTドコモでは『spモード』というサービスで、アドレスを引き継げるようにしています。

スマートフォンやタブレット型PC(iPad)の普及に合わせて『電子書籍の普及・紙の本から電子ブックへの転換』が語られることがありますが、Android搭載のドコモのスマートフォンに関して言えば、『電子ブックを購入できるアプリ・サイト』が充実しているとは言えない状況で、まだまだスマートフォンの電子ブック市場は発展途上といった印象を受けます。NTTドコモのスマホでは『ドコモマーケット』というアプリがプリセットされているのですが、そこで電子書籍のコーナーを見ても、新しく発売された新刊や自分が読みたい本を自由に検索して買えるようなプラットフォームは整っていません。

今は電子書籍の宣伝・普及段階ということもあって、電子書籍のアプリやサイトでは『期間限定で無料で電子ブックを読めるサービス』をしているところが多いのですが、アイテム数はそんなに多くは無いものの、『スマートフォンを使った電子ブックの読みやすさ・機能性』はまずまず優れており、普通に小説などを読む分には特段の支障はないと思います。『文字の大きさ』は変えられるものもあれば変えられないものもあるのですが、電子ブックの文字の大きさは概ね読みやすい大きさに設定されており、『ページを捲る時の動作』もスムーズに動くので、読んでいて疲れるという事は余り無かったですね。

ドコモでは12月27日までの期間限定で、簡単なアンケートに答えると無料で電子書籍をダウンロードできる『電子書籍トライアルサービス』というのを行っており、そこでは『各タイトルごとのUI・機能』を微妙に変えてアンケートを取ることで、電子書籍のUI・機能の改良に役立てようとしているようですが。小説だと伊坂幸太郎の『終末のフール』や村上龍の『歌うクジラ』、村山由佳の『アダルト・エデュケーション』、石田衣良の『1ポンドの悲しみ』など人気作家の比較的新しい作品を電子ブックで無料で読むことができます。新書でも、城繁幸の『7割は課長にさえなれません』や苫米地英人の『テレビは見てはいけない』、香山リカの『しがみつかない生き方』などを無料ダウンロードすることができます。

ただし、ドコモのスマートフォンのSH-03Cでは、Androidのバージョンが2.1であることも影響してか、電子書籍のデータをmicroSDHCに保存することができず、本体のメモリーにしか保存できないので多くの本を一度に保存して読むことはできないのが残念です。アプリもmicroSDHCのほうには保存できないので、それほど大量のアプリをDLすることはできないみたいですが、将来的には外部の記憶媒体にも保存できるようになると良いのですが。

世論調査では『電子書籍を読みたい』という人は3割前後のようですが、実際に何冊か電子書籍を読んでみた感想としては、『購入できる本のタイトルの充実・電子書籍の割安な価格設定・電子ブック配信サイトの分かりやすさ』の条件が揃えば、かなり売れる可能性はあると感じました。現状のAndroid端末では、『読みたい本がどこのサイトで買えるのかはっきりしない・電子書籍に共通規格がないので自分の端末に対応していないことがある・電子化されている本の数が紙の本よりも少な過ぎる』などの問題点があるので、その部分をブレークスルーして分かりやすい電子書籍のプラットフォームを構築することを優先すべきだと思います。

電子書籍のリーダーとしては、スマートフォン以外にもタブレット型PCや電子書籍の専用端末があり、少し前にソニーの『リーダー』、シャープの『ガラパゴス』という電子書籍の専用端末(ガラパゴスはウェブ機能も付属)が発売されました。しかし、『リーダー』『ガラパゴス』もユーザーを囲い込むために“電子書籍の販売サイト”を自社の端末に特化させているようなので(アプリで専用のリーダーが提供されるかもしれませんが)、どの端末からでもその電子書籍サイトで自由に本を購入して読めるという感じではなさそうです。

スマートフォンと電子ブックリーダー(専用端末)のどちらが優れているのかは一概には言えず、一台だけで電子ブックやインターネット、電話・メールも含めた全ての機能をコンパクトに使いこなしたいのであればスマートフォンのほうが良いし、大きな画面で電子ブックを快適に読みたいという目的に特化するのであれば電子ブックリーダーのほうが使いやすいと思います。

しかし、スマートフォンを持っているのに更に電子ブックリーダーを購入するという需要は余り生まれそうになく、気軽に大量の本を保存して持ち運べるという利便性を考えると、スマートフォンのほうが良いでしょう。自宅・決まった場所だけで電子ブックをゆっくり読みたいというニーズがあれば、電子ブックリーダーも使いやすいと思いますが、気軽に持ち運ぶにはややサイズが大きいという問題はあります。

電子ブック(電子書籍)が普及するか否かのポイントは、『(紙の本に近いくらいの)大量のアイテム数の準備』と『(紙の本よりも)安い価格設定』にあるかと思いますが、読みたいと思った本をその場ですぐにダウンロードできるという利便性は紙の本の通販では実現できないので、電子ブック配信サイトが整備されてくれば一定以上の需要を生み出すのではないかと感じました。特に、毎日の通勤通学に公共交通機関を使っていて、文庫本・新書を持ち歩いて読むのが習慣になっているような人であれば、スマートフォンの電子ブックリーダーとしての機能は結構評価できるレベルになってきていると思います。

『本のタイトル数』を充実させるということについては、Googleが来年春頃に開設する予定となっている『Google eBookstore』は、どの端末でも読める電子ブックを販売するようなので期待したいところです。米国では著作権の切れた無料の作品も多く公開されているようなのでその辺も楽しみですね。数十万冊以上の電子書籍が公開・販売されて、情報端末を問わない電子ブック配信のプラットフォームが構築されれば、AndroidのスマートフォンやiPhone、電子ブックリーダーを使ったダウンロード数(購入数)はかなり増えてくるのではないでしょうか。






■関連URI
ブラウザ化するパソコンとモバイル化(携帯化)する社会、迷走するMicrosoftのウェブ戦略

情報革命がもたらした“紙の新聞”の需要減少と“情報コンテンツ”のビジネスの困難:1

日経新聞のウェブ刊(電子版)発刊についての雑感。電子ブックリーダーの普及と電子出版。

京極夏彦が電子出版、電子ブックはどこまで普及するか?ソニーと提携した“GoogleTV”の可能性

■書籍紹介



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのトラックバック