佐藤賢一『小説フランス革命Ⅴ 王の逃亡』の感想:フランス王ルイ16世のヴァレンヌ事件と共和政の接近

小説フランス革命は全12巻で完結する構想になっているようだが、第5巻の本書はフランス王であるルイ16世と王妃マリー・アントワネットが、『革命の熱狂・共和主義者(ジャコバン)の敵意』を避けて首都のパリから逃げ出そうとするヴァレンヌ事件(1791年)の経緯が詳細に描かれている。 人民主権を目指すフランス革命はジャコバン派のラディカルな…
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TAT・描画法の科学的研究と標準化・信頼性の困難:科学の懐疑主義を臨床心理学にどう生かすか?

リリエンフェルドの『臨床心理学における科学と疑似科学』は、臨床心理学の定説や成果を批判的に検証した本ですが、臨床心理学の『科学哲学的な考察・科学的視点にフォーカスした論考』に関心を持っている人であれば一読の価値があります。『臨床心理学における科学と疑似科学』は、科学としての心理学と技術としての心理学の境界線を明確化する目的で書かれていま…
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心理検査(心理テスト)の科学的研究の論点:解釈の多義性を持つ『投影法』の標準化と限界

クライアント(被検者)の性格傾向や精神病理などを目的に合わせて調べる『心理アセスメント』には、調査的・診断的面接を補助するさまざまな種類の心理検査(心理テスト)があります。臨床心理学(clinical psychology)を実証性・客観性を重視する科学的心理学の観点から考えると、『心理検査の科学的・統計的根拠』が評価されることになりま…
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郵便不正事件の担当主任検事によるフロッピーディスク改竄事件と検察の捜査手法・チェック体制

障害者郵便割引制度を悪用するため、実体のない『凛の会』に偽の証明書を発行したとされる郵便不正事件で、厚労省元局長の村木厚子氏(54)が一審で無罪判決を受けた。村木氏は各種の客観証拠の不在から冤罪であることが明らかになっているが、この事件を担当した大阪地検特捜部の主任検事が逮捕されるという大きな不祥事が持ち上がり報道が過熱した。 郵…
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交流分析の『エゴグラム』を用いた構造分析の理論:自我状態のアンバランスの修正法について

前回の記事では、5つの自我状態の特徴・機能を大まかに説明しました。エゴグラムの理論・技法を体系化したJ.M.デュセイは、社会適応力と情緒安定度が高くて他者とのコミュニケーションも円滑になりやすいエゴグラムとして、『ベル型』と『平ら型』を上げています。 エゴグラムの折れ線グラフ(棒グラフ)は、『CP・NP・A・FC・AC』の順番で点…
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交流分析の『構造分析(エゴグラム)』と各自我状態の特徴・役割について

1950年代にアメリカの精神科医エリック・バーンが開発した交流分析(transactional analysis)では、人間の自我構造・精神機能を以下の“5つの自我状態”に分けて考えます。簡易な心理テストに基づいてこの5つの自我状態のバランスをグラフ化したものが『エゴグラム(egogram)』であり、エゴグラムによって自分や他人の性格構…
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認知症の人にとってのコミュニケーションと主観的な現実感:“環境世界の共有”による癒し

前回の記事の続きになるが、敬意を持った声掛けや明るい笑顔での挨拶、認知症の人の話を興味を持って聞こうとする姿勢、スキンシップを交えた簡単な会話などによって、ポジティブな情動の共有が起こりやすくなる。 そして、認知症の高齢者の側に『自分の存在が好意的に受け容れられているという感覚(自分が否定されず軽視されてもいないという安心感)』が…
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“情報交換のコミュニケーション”と“感情共有のコミュニケーション”:認知の低下とことば

コミュニケーションの目的には大きく分けて『情報交換・情報共有による意思疎通』と『感情交流(感情共有)・共感伝達による相互承認』とがあるが、一般社会のビジネスや教育の場面で重視されるのは前者の『正確な情報交換とその内容の理解』である。 ここでは自分が『何(どんな内容)』を伝えようとしていて、相手が自分の伝えようとしていることの『意味…
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菅・小沢の民主党代表選と日本の政策課題3:日本経済・雇用環境の建て直しと新成長戦略の有効性

菅内閣は追加的経済支援で9150億円の予算を組んで、家電エコポイント制度の継続と合わせて就職の決まっていない新卒者の集中的な雇用支援をするとしているが、20代~30代という職業キャリアの基盤を築く世代の就労支援や雇用対策、教育訓練制度の政策的な優先度はかなり高いと思う。更に、中年世代に差し掛かってくるフリーター層や無職者層へも、安定した…
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菅・小沢の民主党代表選と日本の政策課題2:新卒者の就職難・雇用減少と超高齢化社会への対応

菅直人首相と小沢一郎氏が争う民主党代表選で最大の論点となるのは、『日本経済と国家財政の建て直しの具体的方策』であり、どういった産業分野を支援して経済成長を成し遂げるのか、どのような方法で持続的な雇用増加が可能なのか、国家財政の赤字を減らすためにどうするのかが厳しく問われている。 経済成長や財政再建といった日本の積年の課題は、“10…
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菅・小沢の民主党代表選と日本の政策課題1:目指すべき国家のビジョンと外交・安全保障の認識

次期首相を決める民主党の代表選が9月11日と13日(国会議員の投票)に迫っているが、菅直人と小沢一郎の政治手法や政策内容、将来のビジョンの違いが会見(討論)・演説を通して少しずつ見えてきている。民主党内の代表選びなので国民が直接投票に参加できるわけではないが、結果として議院内閣制における首相を選出する選挙となるので、国民の関心はかなり高…
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水無田気流『無頼化する女たち』の書評2:中間層解体と無頼化する女性のサバイバル戦略・安心欲求

前回の記事の後半は、『第五章 「おひとりさまの老後」革命』のテーマにもつながってくる“職業キャリア・資産”のある女性の孤独感をどう受け止めるのかの問題でもある。『結婚・家庭・出産』というのは、どれだけ所得の多い社会的地位のある女性にとっても、決して無視できない要素として残っているように思えるが、そこには『他者の欲望を欲望する(多数者が価…
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水無田気流『無頼化する女たち』の書評1:ニッポン女子のハッピーリスクと努力の方向性

水無田気流の『無頼化する女たち』では、従来、『社会経済システム(企業・雇用のシステム)』によって十分に保護されてこなかった女性は、『家族システム(結婚・配偶者の所得)』に頼るしかなく、1980年代までは多くの女性は実質的に結婚して家庭に入るという選択肢しかなかったという。しかし、女性の雇用と社会進出が増えて、女性にも一定の経済的自立が求…
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男女平等社会における男女関係・結婚生活の幸福観と水無田気流『無頼化する女たち』の雑感

この記事は、現代日本における“女性のアイデンティティの錯綜”と“仕事・結婚・消費の価値認識”:1からの内容を踏まえたものとなります。1980年代は女性のアイデンティティが多様化して、規範的なジェンダーが拡散した時期であり、メディアが“キャリアウーマン的な生き方”を“専業主婦的な生き方”よりもカッコ良いと賞賛することで、女性が社会的生産に…
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現代日本における“女性のアイデンティティの錯綜”と“結婚の個人化・自己責任化”:2

前回の記事の続きになるが、1970年代以前には30代の結婚率が90%を超えていた。そのこともあって、『結婚』はしたければするというような個人の選択の問題ではなくて、基本的にはしなければならない社会的義務(することが当たり前の常識)に近いものであったと言える。健康な男女が30代になって結婚していないと、偏見の目で見られたり会社の出世に差し…
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現代日本における“女性のアイデンティティの錯綜”と“仕事・結婚・消費の価値認識”:1

現代日本では『肉食女子・草食男子』などのキーワードで、女性のバイタリティの高さと比較した男性の元気の無さが強調されたりするが、戦争のない平和で安定した時代には女性原理が優位になりやすい。自由で民主的な近代社会が成熟してくると、高等教育を受けた大多数の人がサラリーマンとして企業・組織に雇用されるようになり、市場に供給される商品やサービスが…
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