どうして、“恋愛・結婚”で自分が不幸せになりそうな相手(状況)を選んでしまうことがあるのか?

男性でも女性でも、好きな相手に求める属性・特徴の上位には『誠実さ・真面目さ・信頼感・温厚な優しさ』などが上がってきますが、これらは総じて『性格の良さ』という風にまとめることができます。反対に、『誠実ではない・不真面目である・信頼できない・暴力的である』などの属性を持った性格に問題のある異性を、初めから求めているという人は滅多にいないわけですが、実際には性格・人格に大きな問題のある相手と繰り返し付き合ってしまうという人も少なくありません。

周囲が各種の評判や情報、日ごろの言動などから、『その相手だけはやめておいたほうが良い』と感じるような相手と付き合ってトラブルに巻き込まれたり、自分でも『この相手と一緒にいても幸せにはなれないしつらい思いをさせられるだけだ』と薄々分かっていてもその相手と離れられないということもあります。

一般的には、『恋は盲目・恋愛依存の体質・男(女)を見る目がない』などと言った言葉で分かったような気になることも多いのですが、何度も何度も自分が傷ついたり異性関係で大きなトラブルを起こしたりする場合には、『異性の魅力や家族像に対する認知の偏り』が起こっていることが多いのです。

どうして、自分を大切にしてくれる信頼できる異性ではなくて、自分を粗末に扱う安心できない異性を選んでしまうのかの最も簡単な理由は、『付き合う前(結婚する前)』と『付き合った後(結婚した後)』で人間は少なからず変わり、その『変化の幅』が自分の許容限度を越えて大き過ぎる相手を選んでしまったということです。

付き合うまでは必死に自分にアプローチしてきて、色々な場面で優しく振る舞ってくれて頼りになる相手だったのに、付き合ったり結婚した途端に、愛情や思いやりを感じる行動が少なくなってしまうということもあります。『釣った魚に餌を上げない』などと揶揄されるような状況でもありますが、男女を問わず完全に自分のパートナーとして『安定的な関係』を確立できたと思った瞬間に、『関係維持のための努力・相手を喜ばせようとする試み』を殆どやめてしまうタイプの人もいます。

それはそれで問題なのですが、『暴力・借金・嫌がらせ(モラルハラスメント)』などの大きな問題がなくて、自分への愛情や思いやりの減少が『自分の許容範囲内』に留まっているのであれば、お互いに余り干渉しない夫婦(恋人)として、それなりに役割分担をしながら付き合っていけることも多いでしょう。

もう一つは、幼少期のトラウマ体験や親子関係における愛情不足、ネグレクト近似の成育環境、深刻な挫折・喪失を伴う劣等感などによって、自分が魅力的なパートナーと幸福な生活を送ることを認められない『自己否定的な認知(自己評価の低さ)』が形成されるという問題があります。自分で自分が幸せになったり安心できることを肯定的に許可することができず、一般的な明るく楽しい恋愛や家庭のイメージに対しても、『居心地の悪さ・拒絶感や侮蔑感・自分には相応しくないという感覚』を感じてしまうのです。

人間は意識的にせよ無意識的にせよ、自分と相手との魅力やメリットのバランスを瞬間的に認識しており、自分に対する自信が極端に低かったり、自分の将来に対する悲観的なビジョン(予測)が強かったりすると、本当は自分に相応しい素敵な相手であっても、『この相手と自分は釣り合わない(付き合ったり結婚しても自分は相手に何も与えられず迷惑を掛けてしまう)』と感じて、相手がアプローチしてきても自分から遠ざかってしまうことがあります。

自己否定的な認知(自己評価の低さ)や悲観的な将来の予測を持っていると、『幸福になれそうな相手・状況』から自ら遠ざかり、『不幸になりそうな相手・状況』のほうになぜか引き寄せられてしまうという現象が起こることがありますが、これは幼少期からの体験で段階的に作り上げてきた『自己イメージ(自分はこういう存在でありこのような人生の筋書きを生きていくのだという人生脚本)』を再確認したい欲求と結びついた現象です。

あるいは、自分が生まれ育った家庭環境(親子関係)を『スタンダードな原型』として認識することによって、『両親に対する過去の感情』『現在の異性関係』の中で依存的に再現しようとする傾向とも関係しています。

なぜか悪い部分ばかりが目に付く『ダメな男(女)』とばかり付き合ってしまうという場合には、自分の過去の家庭環境や成育歴とどこかしら共通点がある異性であることが多く、『ダメな自分』を受け容れてくれるのはその相手しかいないと思い込みやすい経験的・認知的な下地があります。

逆に、性格的・社会的に良い部分ばかりが目につく『いい男(女)』を前にすると、『自分には相応しくない・何だか疎外感や違和感を感じる・自分とは住む世界が違う』というようなシニカルで批判的な認知が反射的に形成されやすくなり、相手が自分に優しく誠実に接してくれても、その好意を素直に受け取ることができにくくなるのです。ここには『ネガティブな感情・考え方に対する共感性』の要素も介在していて、ダメな男(女)のほうが、社会一般の常識からはズレている『自分の偏った家族観・成育歴・価値観』などに共感して賛同してくれやすいということもあります。

子どもに優しくて責任感があり社会的・経済的にもしっかりとした生活をしていて、子どもの為の支援を惜しまないような両親に恵まれて伸びやかに育った人は、『虐待・浪費・不労・ネグレクトをするような親も存在するという事実』をなかなか受け容れることができず、どうしても自分の良識的な親や安定した家庭を元にしたまっとうな意見を言いやすくなります。

その結果、両親から愛情や保護を与えて貰うことができずに自己否定的になっている人は、『自分の家庭環境・成育歴』を、そういった恵まれた相手に共感して聞いてもらうことは無理だと諦めてしまいやすくなります。『ネガティブな感情・考え方』を遠慮なく言い合えるようなダメな相手に引き寄せられやすいという心理的態勢が準備されてしまうのです。

常識的に考えれば、『不幸になりそうな状況・相手』よりも『幸福になれそうな状況・相手』を選ぶほうが良いということになりますが、過去にトラウマティックな体験があったり愛情・安心の乏しい家族関係があったりすると、『自分に相応しい幸福・安心のレベル』を実際よりも相当に低く見積もってしまいやすくなります。

自分の内面にある『異性との属性・特徴とのバランス感覚』『自分に対する自己評価(自分には妥当と感じる幸福度)』によって、人間がどんな相手を選びやすいのかどういった生活環境に居心地の良さを感じるのかは大まかに規定されることになります。自分の魅力や能力を実際以上に『過大評価』して、条件面などで高望みをし過ぎると、そもそも相手が見つからないという問題があるわけですが、自分を過小評価し過ぎると、敢えて『自分を傷つける相手・状況』を選択していくような危うさが生まれてきます。

こういった異性のネガティブな選択要因を少しでも減らしていくためには、ナラティブセラピー(物語療法)や交流分析の脚本分析の技法が有効とされますが、実際的なコミュニケーションを通して過去に束縛されない『客観的な自己評価』を確立していくこと、『自分の人生脚本(人生の大まかな粗筋の認識)』を未来と自己を肯定する内容に地道に書き換えていくことが大切です。

ネガティブで自己破滅的な『人生脚本』を書き換えるために最も効果があるのは、『良い他者との出会い・良い他者からの影響(=変化の対人的な動機づけ)』ですから、自分が選んだ異性との関係で行き詰まりや耐え難い苦痛を感じた時には、『閉鎖的な関係』にひきこもらずに自分の視野と関心、付き合いの範囲を広げてみて欲しいと思います。

自分が過去の経験や感情を通して築き上げてきた『悲観的な自己イメージ・否定的な人生脚本』を悪い方向へと強化する共依存的な相手ではなくて、心情的な共感や優しさを示してくれながらも、『悲観的な自己イメージ』から脱却するための肯定的な言葉を多く掛けてくれる一緒にいて明るくなれる相手を探してみて下さい。

『恋愛・結婚』といった異性関係に限るものではありませんが、多種多様な他者と出会って語り合い、共通の感情体験を重ねることによって、自分の人生脚本(自己定義)や認知的スキーマに『良い変化(変化のきっかけ)』をもたらしてくれる魅力的な相手と出会える可能性が高まってきます。自分の不幸(不遇)に共鳴してただ追従してくれるだけの相手ではなく、現時点で多くの不幸や不遇があるとしても、今から一緒に幸福や安らぎを目指して助け合っていけるような相手を選ぶことで、自分で自分の幸福を制限する『自己否定的な認知(過去の負の影響)』は改善しやすくなります。










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