“他人と関わりたい欲求”と“他人から干渉されたくない欲求”が生み出す人間関係の問題・相性

人間関係の悩みの多くは、『他人から認められたい・愛されたいという承認欲求』『他人から傷つけられたくない・構われたくないという防衛欲求』とに関係しています。自分にとっての『他者表象(他者のイメージ)』がどのような意味を持つのかは、幼少期からの親子関係や児童期の友人関係、思春期の異性関係など様々な人間関係が影響しますが、『外向的で人間好きな人』『内向的で人間嫌いな人』とで人間関係の悩みの内容は変わってきます。

『外向的で人間好きな人』の悩みは、自分の存在が他人から認められなかったり、自分が望む集団や活動に上手く参加できなかったりすることにあり、『他人と関わりたいのに関われない・他人から承認されたいのに承認されない』という部分が問題になります。『内向的で人間嫌いな人』の悩みは、自分が関わりたくない相手から干渉されたり、自分の生活のリズムが他人や集団行動によって乱されやすいということにあり、『他人と関わりたくないのに関わらなければならない・自分の生活や思考のリズムが他人に乱される』という部分が問題になります。

“人間好き”と“人間嫌い”というのは、両極端な分かりやすい類型なので、実際には人間好きな人であっても『特定の親しい相手とだけ狭く交流したいタイプ』『多数の相手と幅広く交流したいタイプ』に分けることができ、人間嫌いな人を自認していても『人間関係(コミュニケーション)が苦手なだけで本当は他者と関わりたいタイプ』も多く含まれています。

どういった相手と、どのくらいの範囲の広さで、どのような形態や深さの付き合いをしたいと感じているのかによって、個人個人の『対人関係パターンの特徴』が浮かび上がってくるので、カウンセリングやコミュニケーションスキルでは、それぞれの対人関係パターンに対応した支援のあり方を考える必要がでてきます。

他者と会話する状況や他者から自分の行動を見られる場面で、強度の緊張や不安を感じたり自律神経系のバランスが崩れたりして、普段の自分らしさを発揮できなくなる『社会不安障害(対人恐怖症)』においても、本当は他人とざっくばらんに会話したり人前でリラックスして振る舞いたい人が多く含まれています。

他人と会話をしたり人前で何かをするような場面で『対人不安(対人緊張)』が強まってしまう主な理由は、他人が自分を悪く思っているのではないかという『自意識の過剰・悲観的な他者認知』や、自分が何か大きなミスをしてしまうのではないかという『自信の欠如・自己肯定感の低下』にあります。

そのため、社会不安障害(最近では社交不安障害という呼称も用いられます)を改善する際のポイントになるのは、『他人から自分がどう見られているのかということへの意識』を低下させることであり、『いつもの自分を肯定する認識を高めてとにかく発言して行動してみる』というロールプレイングの試行なのです。

他人が自分をどう見ていてどのように評価しているかという“受動的な自己認知”に留まると、どうしても『他人の期待する自己像』をミスせずに呈示しなければならないという緊張感が高まりやすいですが、自分が伝えたい内容や感情を伝えるという“能動的な目的志向の意識+自己肯定感”を持てるようになれば、『実際に発言・行動してみた後の相手の反応(全てが完璧でなくても他人がそれほど批判的な態度を取るわけではないという反応)』を確認する気持ちのゆとりが生まれやすくなります。

社会不安障害(対人恐怖症)の発症には、過去に人前で恥ずかしい思いをしたり他人から侮辱されたりといったエピソードが関係していることもありますが、『他人から肯定されたい・他人から否定(侮蔑)されたくない』という対人関係の欲求の構図はおよそ普遍的なものと考えることができます。

他人とどのくらい頻繁に会いたいかとか、どのくらい幅広く色々な相手と付き合いたいかとか、相手とどのくらい深い付き合いを望んでいるかとかいうことについては個人差がありますが、『他人から肯定されたい・他人から否定(侮蔑)されたくない』という欲求の構図については、(病理的なパーソナリティや精神障害の状態を除いて)殆ど大きな個人差は見られないといって良いでしょう。

『自分にとって望ましい人間関係』『自分にとってストレスの少ない対人関係の距離感』にはかなりの個人差があり、自分が望む人間関係のパターンと“共通性・類似性”の多い相手が、一般的に『自分と相性の良い相手・一緒にいて疲れない相手』と認識されやすくなります。恋愛関係や友人関係では『会う頻度・交友関係の広さ・付き合いの深さ・話題や趣味の共通性』が、自分と相手との性格特性や対人関係パターンの相性を評価する際の基準となってきます。

会う頻度……『毎日会う、週に1度くらい会う、月に1度くらい会う、気の向いた時にだけ会う』など、それぞれがちょうど良いと感じる頻度。一般的には、会う頻度が多くても良い(それほど負担にならない)と感じられる相手ほど、心理的距離感が近く親密度も高いと評価される。

交友関係の広さ……どのくらい幅広く社交的な活動をしていることが望ましいと感じているか。大勢の人と気さくに付き合うことを楽しみ、パーティやイベントに参加したりすることが好きな人と、少数の限られた相手とだけ付き合い、あまり人の多い場所には行きたくないという人とでは、一般的に相性は良くないと判断される。自分の知らない相手(友人の友人)を紹介されたり、新たな人間関係を作ったりすることに、積極的か消極的かという違い。

付き合いの深さ……自分のプライベートや内面心理の領域に、その他者がどこまで深く関与(コミット)して良いのかというのが付き合いの深さである。自分の内面や過去に関する秘密を一切持たずに、あらゆる事柄を親しい他者(配偶者・恋人)と共有したいという人もいれば、『親しき仲にも礼儀あり・夫婦の間でもプライバシーは重要』というように一定程度の距離感を保ちたい人もいる。自分の人生や内面、感受性などについてどこまでオープンに自己開示するか、どのくらいのレベルまで深く密接な付き合いを望んでいるかという基準。

話題や趣味の共通性……自分が興味関心を寄せている話題(トピック)や自分が日常で楽しんでいる趣味を、相手がどのくらい共有できるかという基準。二人の間で全く共通の話題や活動、趣味などが無ければ、会話が盛り上がりにくかったり、相手と過ごす時間に退屈さ(無為の感覚)を感じやすくなったりもする。










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■書籍紹介

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