小川浩『仕事で使える!Twitter超入門』の書評:Twitterと従来のウェブメディアとの違い

“140文字”を入力して何でも良いのでつぶやくだけのTwitter(ツイッター)というサービスがウェブで人気を集めている。Twitter関連の新書を何か読んでみようと思って、1ヶ月ほど前に小川浩『仕事で使える!Twitter超入門』をAmazonで買ったのだが、その時には津田大介『Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流』コグレマサト『ツイッター 140文字が世界を変える』といった本は在庫が無くて購入できなかった。

神田敏晶『Twitter革命』という新書もあるようだが、そういったTwitter関連書も機会があれば読んでみるかもしれない。とりあえず、ブログの更新通知を兼ねてTwitterのアカウントも取得したので、本書とTwitterについての感想・解釈について少し書き残しておこうと思う。TwitterはポストWeb2.0の革命的なツールとして紹介されることも多いが、Twitterと従来のブログ・SNS・掲示板を単純に比較することには意味がないと思う。

Twitterは固有のアカウントを持つユーザーがリアルタイムでつぶやいていくというサービスであり、『情報・コミュニケーションの鮮度』がブログやSNSよりも高いという特徴を持つ。2chに代表される掲示板(BBS)もリアルタイムの実況やコミュニケーションに使われることはあるが、Twitterのような『固有のアカウント(自分だけのURL)』と発言内容が紐づけられていないので、誰がどの発言をしているのかが分かりにくい。

その意味では、Twitterは『実名制のメディア』ではないが、発言者を特定できる『顕名制のメディア』であり、著名人や有識者(学者)、芸能人などには実名で登録してそのままtweet(つぶやくこと)している人が多いのである。Twitterにtweetされる内容は様々だが、『もう眠たい・今、起きました・さっき牛丼を食べた・どこどこに出かけた・おはよう』といった他愛のないつぶやきが多く、匿名制の掲示板であれば情報価値がゼロに近いものもある。

しかし、Twitterでは誰がその他愛のない言葉をつぶやいているかが分かるので、『匿名の人の食事内容・行動報告』に価値がなくても、『知っている著名人の食事内容・行動報告』には価値が生まれるという事態が生まれやすい。Twitterは『書いた内容の価値・解釈』そのものが問われる匿名制の高いメディアとは異なり、『誰がつぶやいたのか』によってtweetの注目度が大きく変化する顕名制のメディアである。基本的には、著名人や芸能人でないと何気ない挨拶や行動報告のようなつぶやきに、多くのユーザーの注意を集めることは難しいかもしれないが、知り合い同士でフォローしてIM(チャット)のような使い方をすることもできる。

140文字しか書けず複雑な論理構成や話題を展開できないということも、『発言内容(読み物としての面白さ)』よりも『人物自身』への注目度を高めるが、そもそもフォローされていなければ自分のtweet(つぶやき)を呼んでくれる人は殆どいない。Twitterを読むだけではなく参加して楽しみたいという人は、まず自分自身が大勢の人をフォローして回って、『フォロー返し』を期待したほうがいいかもしれない。自分が相手をフォローすれば、ある程度の確率で相手もフォロー返しをしてくれるので、そのフォロワーがずっと自分をフォローしてくれるかは分からないものの、それなりにtweetしたくなる動機づけを高めてくれるだろう。

本書の『1章 なぜTwitterが注目されているのか?』では、Twitterを世界で一番新鮮(スーパーフレッシュ)なウェブと位置づけ、リアル社会での出来事をウェブに置き換えるサービスとしている。10億ユーザーの獲得というTwitter運営の野望と結びつけて、Twitterが『地球の神経(情報伝達)・鼓動(感情表現)』になるという未来像が示されるが、現状では膨大なユーザーをフォローした場合に、神経機構となる“TL(タイムライン)”が複雑になり過ぎて可読性が低くなるという問題があるだろう。

TL(タイムライン)というのはTwitterの表示画面のことで、自分とフォローしているユーザーのtweetが次々に更新されて表示されていくのだが、100人前後のフォロー数でもすべてのtweetを読みきることは時間的に難しいと感じる。

TwitterにはTL(タイムライン)を自分の読みたいユーザーだけに更に絞り込んだりジャンル分けしたりする『リスト』という新機能が搭載されているが、『リスト』を使っていても何日間もtwitterにアクセスしていなければ、その間につぶやかれたtweetの大半を読むことはないままで終わる。ブログと比較するとtweetは検索エンジンにインデックスされることが少ないこともあり、Twitterの『過去ログ』が何度も参照される可能性は低いのだが、そもそもリアルタイムでさっと読まないと、情報価値や面白さが伝わらないものが多いと思う。

それらのことから、コンテンツをストックする機能性に乏しいTwitterを『ミニブログ』として認識するのはかなり違うと思うし、ブログでコンテンツ(各種の読みもの)を作成するときの意識とTwitterで短文をtweetするときの意識もまた相当に違っているはずである。Twitterは『今、何を考えているか?あるテーマについてどう考えているか?』をつぶやくのにも使えるが、『今、何をしているか?』という個人的なライフログ(日記的なログ)を残すような使い方のほうが、よりTwitterらしい特性を生かせるのかもしれない。

かつてブログは『一般人の単なる日記』に過ぎないと言われたこともあるが、実際には人気のあるブログには、自分の日常を書き綴る日記のようなブログよりも『テーマ性のある時評・批評・論説』をメインにしたものが多い。短文のライフログ(日記)としてブログを活用している人の多くはライトユーザーだったし、それほど変化や刺激に富んだ日常を送っているわけでもない大半のユーザーにとっては、『個人的な日記・日常』を書くよりも『一般的な時事評論・各種テーマの感想』を書くほうが、読者も増えやすいしネタに困ることが少ないという事情もある。

ブログは知らない人の単なる日記だから、読む価値がないと低く評価されたこともあったが、Twitterは『単なる日記(日常生活のメモ)』『実名(リアル・ウェブにおける知名度)』とを結びつけることで、単なる日記や行動報告、各種の実況に情報価値を生み出したところが革新的なのだろう。まったく知らない一般人の日記や行動報告にはニーズ(興味関心)が生まれにくいが、芸能人や著名人の日記的なつぶやきであったり、いつも読んでいるブログの作者のメモであったりすれば、その人(その組織)の知名度や人気度によって情報単体としては価値のない書き込みに『属人的な価値』が生まれることになる。

Twitterはブログ以上に、リアル世界の知名度(人気度)や実績・評価が『フォロー数(閲覧数)』に反映されやすいリアルタイムのメディアだが、フォロー数を増やすということにこだわらなければ、個人的なコミュニケーション・メディアやちょっとしたつぶやきの蓄積としての用途にも使える。これからTwitterを始めてみようと思う人は、本書の『2章 Twitterならこんなことまでできる!』に基本的な使い方や投稿(ポスト)のコツが簡単にまとめてある。

Twitter固有の記法のようなものも少しあるが、『フォロー・アンフォロー・返信(@ユーザー名)・引用(RT @ユーザー名 引用部分)・お気に入り(☆マークをクリック)』などの使い方が分かっていれば、Twitterを利用する上での不便はほとんど無いと思う。TwitterのTLを読みやすくしたり、つぶやきをポストしやすくしたりするTwitter専用のクライアント(アプリケーション)も色々と用意されているようなので、興味のある人は検索してみるといい。特に、アップルのiPhoneには、そういった専用アプリが沢山あってダウンロードできるようである。

Twitterが日本のビジネスや就職・転職活動などでどれくらい活用されるかは未知数だが、『3章 たった「140文字」であなたの仕事が変わる』『4章 客をどんどん呼び込むTwitterビジネス』では、Twitterを自分のブランディング(広報活動)や企業のマーケティングに応用していくためのヒントや米国の事例が挙げられている。Twitterを『自己PR・情報収集・マーケティング・宣伝効果』のためのツールとして積極的に活用していこうという趣旨になっている。企業は複数のウェブメディアを結合した販売促進や口コミ戦略を始めているが、顧客とのコミュニケーションを取るツールとして、Twitterが使われるケースは今後増えていく可能性があると感じた。

『5章 Twitterが世界を変える!』では、ポストWeb2.0の特徴を“超新鮮なウェブ”“クラウド・コンピューティング”に求めて、フレッシュで高速なソーシャルストリームを生み出すTwitterが、Google,Amazonよりも先端的なサービスであるという主張につなげている。

GoogleやAmazonの用途とTwitterの用途はかなり異なっているが、『今起きていることを今検索する・属人的なリアルタイムの発言をフォローする』というTwitter独自の機能が、Googleの検索エンジンのリアルタイム性を補完していくことになるのだろうか。現状では、人と人、企業と人とを今までに無かった方法で結びつける可能性があるソーシャルメディアとして、日本におけるTwitterのニッチが急速に拡大している。Twitterには『つぶやく・つながる・閲覧する・リアルの活動に応用する』という4つの大きな用途があるが、それぞれの目的や必要によって、自由にその用途を使い分けていければ良いと思う。










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■書籍紹介

仕事で使える!「Twitter」超入門 (青春新書INTELLIGENCE)
青春出版社
小川 浩

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