新人は“仕事で分からないこと”をどのように質問したら良いのか?:新人教育と疑問解決の質問力

新入社員(新人)がどうして『自分が分からないこと』を質問に来ないのかという以下の記事がありましたが、仕事をしながら技術や知識を学ぶ“OJT”では『先輩の教育業務に対する意欲・適性・方法論』『後輩の学習意欲・理解力・質問力』によってその教育の成果に大きな差が出てくると思います。


なぜ新人は聞きに来ないのか?

ググるな危険

「質問できない新人」の簡単な指導法


仕事をする上で『覚えなければならない知識量・手順(ノウハウ)』『身に付けなければならない技術力・経験知』が少なくて、習得するまでの難易度がそれほど高くない単純作業であれば、先輩(上司)の仕事をやっている姿を観察しながら、一緒の業務・作業をやっている内に自然と仕事を覚えられます。

しかし、専門的な知識や高度なスキル、その会社独自の仕事の手順(ノウハウ)などがあり、『仕事に必要な知識・技術・成果の上限』が非常に高いような職種・業務では、どうしても自分ひとりの経験や学習(調べもの)だけでは解決できない問題がでてきます。自分では分からないことがあって仕事が進まなければ、先輩に質問しなければなりませんが、『質問をする側の新人』の考え方には以下のようなパターンが想定されます。


1.自分で調べられることは細かく調べて、『質問する内容』を綺麗にまとめてから質問をする。

2.自分で調べられることはある程度調べて、『質問する内容』を大まかにまとめてから質問をする。

3.自分ではほとんど調べずに分からないことが出てきた時点で、『どうしたらいいでしょうか?』と問題を丸投げして質問する。


新人が上の1~3のどの『質問パターン』を選べば良いのかという決まった答えはありませんが、『職種・仕事内容・その新人に求められているレベル』によって、教える先輩がどの『質問パターン』を好ましく思うのかは変わってくるでしょう。

“1”の質問パターンを採る新人は、できるだけ先輩の手を煩わせずに自分ひとりで問題を解決しようとする姿勢を持っていますが、逆に言えば『聞けばすぐに分かること』をなかなか聞かないことで就業中の時間コストを浪費するというデメリットも出てきます。

何時間も何日間も掛けていろいろなウェブサイトや参考書籍、他人の経験談などを調べていけば、いつかは自力で疑問の解決に行き着くかもしれませんが、先輩が教育係として自分についていてくれるのであれば、ほどほどのところで自力での調べものを諦めて、直接、その仕事を詳しく知っている先輩に質問したほうが良いといえます。

“3”の質問パターンを採る新人は、初めから自分で調べたりトライ&エラーをしても無駄だと考えて、先輩に『分からないことのすべて』を質問して答えを貰ったり、代わりにやってもらって見本を示してもらおうとします。こちらは他人に分からないこと(できないこと)の解決をすぐに頼ってしまうことで、『実際に少し考えながらやればできること』でも、なかなか身に付かないというデメリットがあります。

もっともバランスの取れている質問パターンは“2”ですが、先輩の教育方針や後輩に求める姿勢、現場で必要とされるスキル・結果によっては、“1”のほうが評価されたり“3”のほうが好ましく思われたりすることもあるでしょう。

OJTを含む教育の最終的な目標は、教えてもらったり見本(手順)を見せてもらったりした内容を、『自分ひとりの思考・判断・行為』でも再現できるようになって問題をきちんと解決できるようになることです。

決められた時間に決められた作業(やるべきこと)をこなせば良いというような仕事では、スタッフ全員に共通する『マニュアル教育』で対応が可能なので、1人であれこれ悩んでから質問をするよりも、『この次は何をすれば良いですか?』というような質問を“3”のように即座にしたほうが良いといえます。

一方で、業務遂行のための実際の行為(アウトプット)をする前に『複雑な思考・判断のプロセス』『必要な知識・情報の取捨選択』が必要になるような仕事では、ただその場で通用する『答え・指示・手本』だけを与えてもらっても自分ひとりで仕事ができるようにはならないので、分からない部分に行き着くまでの『思考・判断のプロセス』を自分なりに把握できていなければなりません。

こういったケースでは“2”や“1”の質問パターンのように、自分である程度理解できるところまでは調べたり試行錯誤したりしてみて、『自分なりに調べてみましたが、ここから先が分からなくなります。ここまではこういう風に考えてみてできたのですが』というような思考プロセスを整理してから、質問のポイントを絞って先輩に聞いたほうが良いと思います。

『思考・判断のプロセス』がきちんとしていなければ、自分ひとりで仕事ができるようにならないという職種・業務は、学校の勉強で言えば『数学・理系の学問』に似ている部分があります。答えまで行き着く途中の論理的思考のプロセスや数式の手順をすっ飛ばして、ただ正しい答えだけが分かっていても意味がなく、『次の新たな問題』を解く時には、その解法のメソッドやプロセスを自力で再現することができないからです。

新人が質問をしにくい理由には、『質問を受ける側の先輩』の教育方針や受け応えの態度が関係していることもありますが、教える側の先輩の考え方や対応には以下のようなパターンがあります。

1.自分でできるだけ調べたり十分な試行錯誤をしてから、自分に質問をしに来てほしいという考え方。

2.自分である程度は下調べしたり少しは試行錯誤してから、自分に質問をしに来てほしいという考え方。

3.分からないことがある時には自分であれこれ試行錯誤せずに、自分にすぐに質問をしに来てほしいという考え方。

教える立場の先輩にもいろいろな性格や考え方の人が当然にいるわけですが、基本的には自分が新人時代に『仕事を覚えてきた方法・先輩と後輩の教育的な関係性』を再現しようとする人が多いと思われます。先輩から『すぐに何でも質問せずに、自分でしっかり調べて考えてから聞きに来い』と言われ続けたような人は、新人にもそのような態度で接しやすくなりますし、先輩から『分からないことがあれば、何でも遠慮せずに質問してきて』というような教え方をされた人は、自分も新人に手取り足取り教えるようなスタイルを採りやすいでしょう。

どの教育方針を採用すれば、新人(後輩)の能力やスキルを効率的に伸ばせるのかは『職種・仕事内容・新人のパーソナリティ(性格傾向)』によっても変わってきますが、教える立場の先輩が気をつけるべきこととしては、『何でもかんでも聞きに来るなという態度』『自分に質問せずに勝手に仕事をするなという態度』をごちゃ混ぜにして新人の質問したい意欲を萎縮させないということです。

質問をしても質問をしなくても叱責(注意)されるという状況は、『ダブルバインド(二重拘束)』と呼ばれるストレスフルな心理状態を生み出し、新人は自分がどうすれば良いのかが分からなくなって不安感や緊張感が強まりますので、教える立場の人はある程度一貫した教育方針を持って、新人が話しやすい人間関係づくりを意識してみると良いと思います。

基本的には、『新人が自分である程度調べたり試行してみる→分からない部分を特定して質問する→先輩が必要な知識情報ややり方を教える・お手本を見せてやってみせる→教えてもらった新人が自分でやってみる→新人の仕事の出来具合をできるだけ肯定的に評価する→改善点や問題点を重点的に教えていく→実力やスキルが身についてくれば仕事を任せる』というような学習サイクルが上手く回っていくかどうかで、社員教育の成果が決まってくるのでしょう。


なぜ新人は聞きに来ないのか?

普通の会社には新人を教育するインセンティブが働かない
別に新人が成果を出すようになったからといって自分の給料は上がらないんですよw
そのうえ、自分の仕事の時間は教育の分減ります。

さらに、会社の給与は社員同士の相対評価で配分されます。
つまり、終身雇用もなく成果報酬じみたところは誰かの能力が高いと自分の給与は相対的に低くなる。

教育とか目に見えなすぎて評価にはあまりならない
自分の時間使って,自分だけの技を,他人に教えるメリットが普通はないんです。
社員同士の相対評価ではむしろデメリットなぐらいで。


ただ、職場における業務・実務の新入社員教育では、引用した部分にあるように『教える立場の社員のインセンティブ』が全く無かったり、仕事ができるようになった部下と自分の利益が相反するような事態もあるので、そういった企業・職場では手厚く親切な社員教育というのは、専任の社員教育業務に当たる人員がいないと難しいのかもしれません。

あるいは、手間・時間がかかる『新人教育』も教育担当者の評価の対象となる正規業務として取り込んだ上で、『受け持った新人の離職率・スキルと実務能力の習得・教育後の一定期間の新人の成果』などを教育担当となった社員の評価・報酬に還元していくなどの工夫が求められるのではないかと思います。










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