民主党鳩山政権の内政・政治改革についての雑感:郵政見直し・高速道路無料化・子ども手当てなど

前回の記事では鳩山政権の国連外交・環境政策について書きましたが、マニフェストに基づく『内政(予算作成・社会保障・政治機構・公共事業など)の改革』にも多くの課題が山積していて、財政や郵政改革では閣内不一致を感じさせられる雰囲気もあります。

亀井静香郵政改革・金融担当相は『郵政改革の主導権』を強く主張しており、原口一博総務相から郵政改革に関する具体的な指示を受けることに強い抵抗を示しています。亀井氏は『小泉政権下の郵政民営化』に反対した急先鋒の政治家であり、日本郵政グループが再び国営化(公社化)するのではないかという懸念を呼ぶなど、『日本郵政の4分社化の体制・株式売却の予定』は極めて大きな変化を受けることになりそうです。

現状で郵政改革の政策が推移すると、日本郵政の西川善文社長は辞任に追い込まれる可能性が相当に高いですが、日本郵政グループ全体の経営形態と株式公開がどのようになるのかは不透明な状況が続いています。民主党政権が日本郵政グループをどのような形態に変えようとしているのかの青写真については大まかな報道が為されていますが、基本的には『電子メールの普及(葉書き・封書の郵便需要の減少)』などで利益を上げにくくなった郵便事業会社と郵便局会社を統合した会社を作り、その郵便事業を行う会社に巨額資本を有する金融2社の株式を保有させるということになっています。

つまり、郵便事業会社と郵便局会社は将来的に経営状態が悪化する可能性がかなり高いので、永続的にユニバーサルサービスを維持するため、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険から『統合された郵便事業会社』に恒常的に配当金などのマネーが流入する仕組みを作り直そうというのが民主党の案です。前原誠司国土交通相の元で経営赤字が拡大したJAL(日本航空)の再建策が模索されていますが、運輸・郵便などの事業では通常、税金の投入などが無ければ過疎地までカバーするようなユニバーサルサービスを維持できないという問題は確かにあります。

航空便であれば極端に需要の少ない空港の便を減らしたり廃止したりしても、それ以外の公共交通機関や自家用車で近郊の空港まで移動できますが、郵便サービスの場合にはどこまでユニバーサルサービスを維持するべきかは難しい問題です。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険との利益配分があれば、当面は郵便事業会社が経営難に落ち込むリスクは回避できると思いますが、『郵政民営化からの完全撤退』ということになると、経営の合理化や郵便資産の市場開放は進まないというデメリットも強まってきます。

日本郵政グループの株式公開・売却がどのくらいの比率で行われるかについては、民主党と社民党・国民新党との間で大きな意見の違いがあり、社民党と国民新党は『国が株式を原則100%保有して市場開放はしない(郵政公社化への回帰)』と主張していますが、民主党は3分の1程度は民間にも株式を売却して良いという方針のようです。

長妻昭厚生労働相は次々と自公政権下の社会保障制度の見直しを発表して、今までの短期間で既に、『後期高齢者医療制度の廃止・生活保護世帯への母子加算の復活・障害者自立支援法の廃止』などを打ち出しています。どちらかというと『大きな政府』の発想で社会保障の充実(社会的弱者の救済)を志向しているのですが、高齢者医療・障害者福祉・児童福祉・雇用対策などの分野での負担増は回避しがたいという現実もあります。

公的年金・健康保険では『一元化の路線』を示しており、その関係で正確な所得を補足するための『納税者番号・社会保障番号の導入』が財務省内で議論され始めているようです。

厚生労働省の管轄事業・政策には、『国民の将来不安・健康管理』『少子高齢化の要因』と関連した社会保障制度が多いので、長妻昭氏にかかっている期待というのはかなり大きいのですが、公的年金制度・健康保険制度の一元化をはじめとする大きな枠組みの転換には数十年の期間がかかると推算されていますので、それまで民主党のビジョンを継承する政権が続くのかという疑念もあります。

民主党のマニフェストで目玉として扱われていた『高速道路無料化』『子ども手当て(月額2万6千円)の支給』に関しては、国民の過半数が賛同していないというアンケート結果もありますが、高速道路無料化は『既存の借金返済の財源・他の公共交通機関事業に与えるマイナスの影響・高速道路の交通渋滞の慢性化』などが懸念されます。民主党はトラックなどの長距離輸送のコストが大幅に削減されることが、配送される商品の価格を引き下げて景気を刺激するので、『生活コストの低下・企業収益と税収の増加』というメリットがあるとしています。

交通渋滞に関しては、渋滞の激しい都心部や名神などの高速区間は無料化しないとも言っていますが、地方では高速無料化によって交通の流れが高速道と一般道に分離することで渋滞緩和の効果があるとしています。個人的には高速道路を無料化しても土日・連休などを除けば、『目的なくガソリンを消費して高速道路を頻繁に利用する国民』はそれほど多くないと推測されるので、平日にはそれほどの渋滞は起こらないのではないかと思いますが、せっかく普及してきたETCなどを無駄にせず渋滞を抑制するために、土日・連休だけは今まで通り1,000円程度を徴収したほうが良いような気もします。

子ども手当ての支給では、『行政刷新による財源の確保・所得制限の有無・支給方法を現金でするか否か』が当面の争点になっていますが、現金以外の『教育・図書・学習サービス・食品・子ども関連のサービス』などに特化したクーポン券みたいなものを発行したほうが子ども手当ての趣旨に適うと思います。

あるいは、子ども手当てという形態にこだわらずに、『幼稚園・保育所・小学校・中学校・高校までの保育-教育コスト』の無償化あるいは大幅削減といった政策のほうが、子どもを持つ世帯の教育負担を低下させられるので子育ての安心感を高められると思います。特に、小中学校で給食費の未払いが問題視されていたこともあるので、月額2万6千円を2万円の支給に減らして給食費の無償化などを推進してみても良いのではないでしょうか。

政治機構改革については国家予算の骨組みを策定する国家戦略局(菅直人国家戦略局相)と国家予算を実務レベルで作成する財務省(藤井裕久財務相)との『役割分担の認識を巡る対立』なども出てきていますが、この問題については極東ブログの『国家戦略局の迷走の先にあるもの』という記事が参考になりました。前原誠司国土交通相が建設中止を明言して、地元の知事や推進派の住民と厳しく対立している『八ッ場ダムの建設中止問題』については、『アゴラ』に掲載されている池田さんの『八ッ場ダムとサンクコスト』という記事が参考になります。










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■書籍紹介

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