境界性人格障害の特徴としての『衝動性・依存性・空虚感・不安定さ』と対人関係のトラブル

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、『衝動性・依存性・攻撃性・空虚感』を特徴とするクラスターBの人格障害で、『対人関係のトラブル・コミュニケーションの緊張』を引き起こしやすくなります。境界性パーソナリティ障害を抱える人の『人格構造』は極めて脆弱でストレスに弱く、『相手の反応・環境の変化・悲観的な推測』などによって感情や気分が急速に不安定になります。

境界性パーソナリティ障害の特徴として挙げられる『衝動性・依存性・攻撃性・空虚感』は、それぞれ以下のような不適応行動(問題行動)の原因になることがありますが、その根底にあるのは他者(家族・恋人・友人)の『いつまでも変わらない愛情・関心』を確実に立証して貰わないと安心できない『見捨てられ不安』です。

衝動性……自分の心身を敢えて危険にさらして自分を傷つけるような挑戦行動・自傷行為・自殺念慮(自殺するという脅し)・性的逸脱など。リスクを顧みることなく衝動的に自分の欲求を満たそうとしたり、危険な行為で空虚感や不満感を突発的に解消しようとすること。

依存性……人間関係や物質に過剰にのめり込んで離れられなくなる依存症(嗜癖)。恋愛依存・セックス依存・物質嗜癖(アルコールやドラッグ)・ギャンブル依存・浪費癖(買い物依存)など。

攻撃性……自分の思い通りにならない相手や自分を拒絶(否定)しようとする相手に対する暴力的・挑発的な攻撃性(激しい怒り)。相手に暴言・侮辱・暴力・挑発を仕掛けて、それでもまだ自分を見捨てずに側(そば)にいてくれるかを試す試し行動。

空虚感……自分が社会的・実存的にどういった人間なのかが分からなくなり、何をすれば良いのかも分からなくなる自己アイデンティティの拡散。自己アイデンティティの拡散により、自分の生きる意味や目標を見失いがちになり、『対人的な孤独状況・社会的な孤立状況』に陥って自己の無価値感に襲われる。

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の各種の問題は、『親密な他者からの承認・愛情・保護』を過剰に求めることに由来していますが、それは他者を心から信用できず、絶えず相手の愛情や好意を確認したいという『見捨てられ不安』があるからです。見捨てられ不安や基本的信頼感の欠如が極端に強いと、相手にしがみつこうとして対人関係にトラブルや軋轢が起こりやすくなりますが、相手へのしがみつきの努力は『相手の心理的コントロール』に結びつくことがあります。

境界性パーソナリティ障害(BPD)は演技性パーソナリティ障害と同じく、他者の行動や反応を無意識的にコントロールすることがありますが、特に『激しい怒りの表現・感情的な興奮と混乱・自傷行為や自殺企図』によって、周囲の人たちの愛情や関心を引き留めたり自分の要求を受け容れさせたりすることがあります。

家族・恋人・友人は境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ人のことを心配するので、暫くはBPDの人の怒りや悲しみをなだめて要求を受け容れるように努めますが、理不尽な要求や一方的な非難に対して次第に心身が疲労してしまいます。余りに無理な要求や理不尽な怒り、感情の不安定が続くと、恋人や友人もBPDの人と親しく付き合うことを敬遠しがちになります。

BPDでは相手に見捨てられたくなくて、相手を無意識的にコントロールしようとするのですが、激しい怒りや非難(こきおろし)、自傷行為、自殺企図によってかえって相手との関係が悪くなってしまう問題が起こるのです。自分をいつも大切にしてくれる、永遠に好きでいてくれるという『保証・証明』を求めすぎて、結果として、相手がその過大な要求や気まぐれな不機嫌に応えることが出来なくなって、離れてしまうということが多くなります。

BPDでは自分の感情的欲求を拒絶したり、自分から離れていって孤独にした相手は『人間的な心が無い冷たい人・自分を絶望にまで追い込んだ悪人』として手厳しくバッシングされたり、極端に低く評価されたりします。BPDの対人評価の基準は『自己愛・孤独不安が満たされる程度』であり、自分が見捨てられ不安を感じないように適切にフォローし続けてくれる相手は理想化して賞賛しますが、自分に孤独感や寂しさを感じさせてケアしてくれなくなると攻撃的な罵倒や非難をすることになります。

BPDを持つ人の対人関係様式は、『理想化(褒めごろし)』『脱価値化(こきおろし)』の両極端を揺れ動くので不安定なものになりやすく、相手が自分に十分に構ってくれない時や見捨てられ不安を感じるような言動をした時には、相手に対する評価が非常に低くなり攻撃的・否定的になる傾向があります。こういった対人評価の極端な変化は、『二分法思考(全か無か思考)の認知の歪み』『退行による分裂の防衛機制』によって理解することができます。

『二分法思考(全か無か思考)』というのは、物事や状況を完全に良いか完全に悪いかのどちらかでしか認識できない極端な思考様式で、この認知の歪みは『うつ病(気分障害)』の気分の落ち込みや自己否定感(自己嫌悪感)とも関係しています。『他者・自分・物事』に対して、良いか悪いか、正しいか間違っているかの二分法思考(全か無か思考)でしか認知できないと、少し悪いことがあったり相手から批判(注意)されたりすると、自分の人生や相手の存在を『全否定(すべてがダメの判断)』して気分が落ち込んだり強い怒り(不信)がこみ上げてきたりしやすくなります。

BPDの回復過程を促進するポイントの一つとして、物事を極端に善か悪に分けて考えてしまう『二分法思考の修正』がありますが、二分法思考を修正して『現実的・合理的な認知』を獲得するためには、物事や相手をありのままに見ていき、悲観的な推測(=物事や相手を悪い方向に解釈すること)を訂正する認知療法的な練習をする必要があります。










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境界性人格障害の“認知・感情・行動”のパターン

『自己否定的な衝動性の行動化である自傷行為』とそれが持つ心理学的意味

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■書籍紹介

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