島田荘司『UFO大通り/傘を折る女』の書評:“二つの中篇小説”を“一つのトリック(謎解き)”でつなぐ

島田荘司の御手洗潔シリーズの作品ですが、表題の『UFO大通り』ではガソリンスタンドの元店員の変死と宇宙人とUFOを家の近所で見たという老女小平ラクさんの証言が計算された物語のプロットの中で上手く結び付けられていきます。奇妙な状況で亡くなっていたガソリンスタンドの元店員・小寺隆の死亡の謎は合理的に納得できるものになっていますが、小寺の婚約…
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有川浩『図書館内乱』の書評

図書館と図書館司書、メディア規制を題材にとったちょっと変わった色合いの小説ですが、『図書館戦争』という前作を読まずにこの『図書館内乱』を読んだので登場人物のキャラクターと人間関係に少し手間取りました。ウェブで検索してみると『図書館戦争』シリーズとして『図書館危機』『図書館革命』などがありますが、恋愛小説的なストーリー展開やトレンディな場…
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遺伝要因と環境要因によって形成される人間の性格傾向:性格理解のための『類型論』と『特性論』

人間の『性格(character)』は生得的な遺伝・気質を基盤にしながら、後天的な各種の経験と認知変容を積み重ねることによって段階的に形成されていき、成人期に至るまでに大まかな『個性の傾向』としての性格が他者に認識されるようになる。人間の『精神の発達段階』と『性格特性の発現』にも密接な相関があり、精神発達過程の各段階で『適切な刺激・自他…
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高校の学習指導要領の改定と“英語で英語を教える授業”・全国学力テストの結果の公開と競争の問題

義務教育過程の学力向上問題については、大阪府の橋下徹知事が『全国学力テスト』の結果の公開を求めて文部科学省と対立していたが、本格的な学問に至る以前の基礎学力養成の段階において、どのくらい競争原理を持ち込むべきなのかは判断が難しい。『学校間・地域間の学力競争』と『個人間の学力競争』とではその目的も意味合いも全く異なるものだが、『学校別・地…
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『ブログ気持ち玉,テーマタブ』の機能強化について雑感・コンビニチェーンが百貨店の年間売上高を追い抜く

12月18日のウェブリブログの機能強化で、ブログへの簡単な感想を伝えられる『ブログ気持ち玉』という機能が追加されたようです。この『気持ち玉』という閲覧者の記事(コンテンツ)に対する感想を表示する機能は、以前からBIGLOBEニュースで採用されていたものです。個人的にはニュース記事についている『気持ち玉』の機能は結構参考になるというか、読…
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香山リカ・五木寛之『鬱の力』の書評:「躁の時代」と「鬱の時代」の循環に適応するための考える視点

ポップで読みやすい心理学関連の本を多数出版している香山リカと『百寺巡礼』など仏教関連のエッセイなどを精力的に書いている五木寛之の対談本です。現代日本に蔓延している『鬱の気分』を、精神疾患としての臨床的な『うつ病』と人間本来の思考力に内在する『鬱の傾向』とに分類して、『鬱』を完全には排除できない人間の本性を肯定的に受け止め、『これからの現…
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成人年齢・選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げるという議論と社会的な判断能力を培う教育課程の必要性

民法上の成人年齢を20歳から18歳へと引き下げるべきかどうかという議論が見送られることになったが、ニュースのコメントなどネットの書き込みをざっと見渡すと『反対・どちらかというと反対』という変更に対して慎重な意見のほうが多い印象である。日本の成人年齢を国際標準に近い位置づけにある『18歳』に合わせることは喫緊の課題であるとは思わないが、少…
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A.バンデューラのセルフ・エフィカシー(自己効力感)と内的統制の状況認知によるモチベーション向上

人間が物事を意欲的に行おうとするモチベーション(動機づけ)には、目的とする行動以外の報酬によって行動が強化される『外発的動機づけ』と目的とする行動そのものに興味関心や魅力を感じる『内発的動機づけ』がある。モチベーション向上には社会的・経済的な報酬(インセンティブ)や個人的・内面的な価値観などが関わっているが、人間がスキルや知識を習得しよ…
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“シャイネスの心理”と社会生活・コミュニケーションへの適応:社会不安障害・ひきこもりとの相関

生後5~8ヶ月頃に多く見られる『人見知り不安(stranger anxiety)』は、他者や社会的状況に対して気恥ずかしさを感じる『シャイネス(shyness)の気質』の起源であるとも考えられているが、シャイネスという心理状態は誰にでも起こり得る一般的なものである。他者とまともに会話ができないほどの極端に強いシャイネスは、社会不安障害(…
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子どもの近視(視力低下)と情報生活環境の変化・医療事故被害者に対するネット上のバッシングの問題

現代社会では大人も子どもも視力が低下していて、高校生くらいの年代では片目の裸眼視力が1.0を超える目の良い人はかなり少なくなる。年代によって近視の人の比率は異なってくるが、現在30代くらいの世代では小学校の年代では眼鏡・コンタクトレンズを必要とする子どもの比率は相当に少なかったという記憶がある。小学校の1クラスを40人ほどとして5人も眼…
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伊坂幸太郎『重力ピエロ』の書評:性愛・家族・内面の倫理を巡って紡がれる『罪と罰』の物語

伊坂幸太郎のミステリー小説を初めて読んでみましたが、軽快で読みやすいウィットの効いた文章と個性的な登場人物の取り交わす哲学的な会話が印象に残る作品で、『性』と『生』の悲愴感溢れる相関を照射しながら進むストーリーは人を引き込むものがあります。現代小説で人気の高いベストセラー作家には、東野圭吾や宮部みゆき、桐野夏生、重松清など色々な作風の小…
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米国大手ビッグスリーの公的支援・新卒者の内定取消しの問題と門倉貴史『貧困大国ニッポン』の書評:2

門倉貴史の『貧困大国ニッポン 2割の日本人が年収200万円以下(宝島社新書)』というルポルタージュの体裁を取った新書を少し前に読んだのだが、高度経済成長期において企業福祉が部分的に実現した『総中流社会』の基盤は確実に腐蝕されており、いったん貧困層やホームレス・ネットカフェ難民に転落するとそこから這い上がるための雇用制度はほとんど準備され…
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非正規雇用の不安定雇用・経済格差のもたらす消費への影響と門倉貴史『貧困大国ニッポン』の書評:1

サブプライムローンの金融関連商品の信用破綻をきっかけにして、アメリカ有数の証券会社だったリーマン・ブラザーズが倒産し、世界最大の保険グループであるAIGが公的支援を受けることになった。アメリカ経済の屋台骨を支えていた金融・保険業界が急速に景気を悪化させて、米国金融とグローバルな結びつきを持つ世界金融は一気に混乱の度合いを増した。リーマン…
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13代将軍徳川家定・14代将軍徳川家茂の婚姻:皇女和宮の降嫁による『公武合体』の挫折と江戸幕府の崩壊

『前回の記事』の続きになるが、1787年に茂姫は徳川宗家との家格の釣り合わせのために、寧姫として近衛経煕(つねひろ)の養女となり、1789年に近衛寔子(このえただこ)として婚儀が執り行われた。11代将軍の家斉と茂姫の間には五男・敦之助(あつのすけ)が産まれるが、既に側室の子・敏次郎(12代・徳川家慶)が世嗣に決まっていたので清水徳川家の…
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なぜ、株式市場において株価が上がったり下がったりするのか? 資本主義と株式市場の基本的な仕組み

株式変動に関する『基本的な仕組み』についての質問が、はてなに上がっていたので少し考えてみたいと思います。 なぜ株価があがったり下がったりするのか なぜ株価があがったり下がったりするのか、株を買うときに払ったお金はどんな風に使われるのか、小学生でも分かるように説明してください。 『株』とは株式会社が発行して資金を…
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カウンセリングにおける対話の焦点づけと『自分にとっての意味の洞察』:認知・行動の変容と問題解決

『カウンセリングの基本技術』では、『傾聴・観察』と『クライアントの問題への興味の表示』について説明しましたが、クライアントの立場に立って問題状況や感情状態を推測しながら対話を進めていくことで『自己洞察(自己理解)』が深まりやすくなります。 カウンセラー(心理臨床家)が中立的な態度で『クライアントの鏡』として適切に機能している時には…
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『裁判員制度』の選任方法・設立趣旨と国民を刑事司法に参加させる方法について

来年5月から裁判員制度が実施されることを受けて、最高裁判所が11月28日に各地方裁判所の『裁判員候補者名簿』に載ったことを知らせる『通知書』を全国の約29万5000人に一括送付しました。裁判員候補者名簿に掲載される確率は352分の1でかなり高いものであり、一生涯に一度くらいは誰もが(最終的に裁判員に選任されるかどうかはともかく)候補者名…
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